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2005/02/03
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テーマ: ニュース(95826)
カテゴリ: カテゴリ未分類
一昨日も取り上げた、ジャストの「一太郎」「花子」の2月1日の東京地裁の判決文( こちらで入手できます

ジャストの株価は、昨日にストップ安にはなりましたが、既に下げ止まっています。私は、この東京地裁の判決は完全に誤りだと思いますね。私は法律は素人なのでよくわかりませんが、高裁でひっくり返ると思います。東京地裁でのジャストの公判のやり方がまずくて地裁判事が争点がどこにあるのかが理解できなかったのだと思います。

ジャストは松下電産の特許の特許性そのものを争ったのが失敗ですね。これは地裁判事が述べている通り、周知の事実としてジャストが挙げているESCキーでヘルプ・モードに移行するというのと、「?」アイコンをクリックしてヘルプ・モードに移るというのとでは、全く違う機能と言うべきで、新規性があることを認めるべきです。

ジャストが松下電産の特許の特許性そのものを争うのなら、特許が審査請求された時点で異議を申し立てていなければだめです。これは日本中のソフト・メーカー全部に言えます。メガソフトのエディタ"MIFES"の新バージョンが出ますが、MIFESには、松下電産の特許に触れるヘルプ機能は入っていないので、知的財産権に敏感なメーカーはこの松下特許を意識しているように思います。

ジャストは、「?」がアイコンに当たるのか、「印刷」などのボタンがアイコンに当たるのか、ということも争点にしているのですが、松下電産の特許明細書では、アイコンの定義を書いていないので、特許の範囲を考える上では、アイコンを幅広く捉えることになり、いくら当時の文献を持ってきたとしても、アイコンの機能を、ドラグで移動できて、デスクトップ上に配置されるものと限定するのも無理ですね。

結局、ジャストが松下電産の主張を全て否定しようとしたために、かえって争点がぼけることになって本質が見えなくなり、地裁判事の心証を悪くしてしまったのではないかと思います。

判決文のうちの最も重要な部分は、以下の部分です。

********************************
必ずしも判然としない が,仮に被告がいうように,Windowsのヘルプ表示プログラム等によって,「『ヘルプモード』ボタンの指定に引き続いて他のボタンを指定すると,当該他のボタンの説明が表示される」という機能が実現されるとしても,別紙イ号物件目録ないしロ号物件目録記載の機能は,あくまで被告製品をインストールしたパソコンによってしか実行できないものであるから,被告製品は本件発明による課題の解決に不可欠なものであり,被告製品をインストールする行為は,本件特許権を侵害する物の生産であるといわざるを得ない。
********************************

「必ずしも判然としない」と書かれていますが、東京地裁の判事は、この特許裁判の核心部分-OSとアプリケーションの関係-を理解できていないのです。販売差し止めの仮執行が認められなかったのは、地裁判事自身が、上級審でくつがえる可能性を認めているからでしょう。

私は、「?」をクリックすることによりヘルプ・モードに移行するのはWINDOWS自体の機能であって、一太郎としての作為ではない、ということに限定して争えば、一太郎の勝ちになると思います。如何にして、ヘルプ・モードへの移行が実現されているのか、一太郎の全ソースを証拠として提示し、一太郎固有の機能としてヘルプ・モード起動を実現させているところはどこにもないことを示せばジャストは高裁で勝利できると思います。

ソースを松下電産側に提示してしまうと、松下電産がワープロ・ソフトを製品化するかも知れないという恐れを持つのなら、それができないような訴訟を並行して起こしておけばよいと思います。ソースを松下電産に提示すれば、当然、特許に抵触する部分を松下電産は指摘することができません。この機能はWINDOWSの機能だからです。これで裁判は決着するでしょう。ジャストがヘルプ・モードでやっていることは、各ダイアログにWINDOWSが呼び出すアイコンを配置し、WINDOWSが表示したダイアログ中の説明の文章を作っただけのことです。ジャストは松下電産の特許に抵触するようなことは何もやっていないのです。

一昨日も書きましたが、私は、松下電産が特許侵害を訴える相手はマイクロソフトだと思います。米国では、アップル社など、マイクロソフト社に対して特許侵害しているとして訴訟を起こした例がいくらもあります。こちらを今ご覧の方は、例えば、インターネット・エクスプローラを動かしているとき(インターネットにつないでいろいろなホーム・ページを見ている、ちょうど今です)、メニューの中の「ツール(T)」をクリックして「インターネット・オプション(O)」をクリックしてみてください。インターネット・オプションと題されたダイアログが出てきますが、右上に「?」というボタンがあります。これをクリックしてください。マウス・カーソルの右側に「?」が表示されてヘルプ・モードになったことを示します。この状況で、マウス・カーソルを動かして、ダイアログ上のどのボタンでも良いですから、クリックしてみてください。吹き出しのように枠が出て、そのボタンの機能の説明が表示されます(WINDOWSの中をいじってこの機能を止めている人は出ません)。この機能が、松下電産の特許です。

一太郎などインストールしていなくても、WINDOWSだけで松下電産の特許に抵触しているように私には見えます。特許侵害を誰がやっているかおわかり頂けるでしょうか?

上にも書きましたが、ジャスト社がやったことは、この枠の中に出てくる説明文を書いたということだけなのです。このヘルプ機能はWINDOWSの機能なのです。

この松下電産の特許の素晴らしさがおわかり頂けるでしょうか?WINDOWSがこの松下電産の特許を侵害しているかも知れないのです。かつて米国共和党レーガン政権の圧力により、日本のパソコン・ソフト業界は完全に死んでしまった状態にあります。この松下電産の特許は、日本国内だけかも知れませんが、WINDOWSに対抗できる強力な武器ではないでしょうか。そういう意味では、松下電産には弱いものいじめなんてやっていないで、米国の巨人を相手に闘いを挑んで欲しいと思います。

仮に、米国巨人相手に販売差し止めと特許侵害に対する損害賠償なんて言ったらどれくらいの額になるのでしょう?ゾクゾクして来ますね。

ところで、発明した松下電産の社員が会社に対価を要求するべきだと私は思うのですが、松下の社員だと会社に遠慮してしまうかも知れませんね。



追記

東京地裁の判事の理解が得られていない、この特許紛争の核心部分をかみ砕いて言うと次のようなことです。
自動車が高速道路を軽快に走っているのですが、今回の特許紛争の争点となった改良点は、道路に対して為されたものであって、特許侵害を道路の製造元に対して求めるべきであるのに、東京地裁は、軽快に走っている主体は自動車だからとして自動車の製造元に特許侵害を求めてしまった、ということだ、と、ご理解ください。

もっと過激な言い方をすると、花粉症に悩んでいるライターの人がいたとします。この人が空気清浄機を買って仕事の能率がグンと上がったとします。空気清浄機のフィルターのメーカーがフィルターの特許の権利を獲得しました。東京地裁の今回の判決は、空気清浄機が清浄な空気を供給することによって能率が上がったのだから、ライターは特許を使用しているのであって特許権料の支払いに応じないのなら、呼吸することを差し止める(ジャストシステムに対して倒産せよと言っている)、というようなものですね。フィルター・メーカーはその優れた特許の権利行使を、公判闘争のへたくそなその日暮らしのライターに対してではなく、儲かっている空気清浄機メーカーに対して行え、というのが私の主張です。





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最終更新日  2005/02/03 04:21:47 PM


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