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2007/01/30
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カテゴリ: 政治
昨日、小沢民主党代表が、衆議院にて代表質問の演壇に立ちました(詳細は、 こちら こちら を参照)。

小沢代表の質問の骨子は、安倍首相が掲げる「憲法改正」というテーマの重要性は否定しないが、今の日本で国民が求めているのは「格差是正」ということであって、民主党は「生活維新」を掲げて今国会で論陣を張りたい、として、教育、雇用、年金、地方振興、財源、さらにカネをめぐる政治倫理の問題について、民主党の考え方を表明しつつ、安倍首相の見解を求めたものです。
小沢代表は、岡田克也さんや前原誠司さんと比べると、私の主義主張とはかなりずれる面があります。
もちろん、安倍政権の言っていることに比べれば、ずっと近いのですが。

小泉前首相の答弁は、質問そのものには答えず、質問とは直接関係のないことを答えてはぐらかす、というもので、確認のために岡田克也氏が再質問をすると、「その質問には既に答えた」と言い張って、民主党が総退席というようなこともありました。
それに比べると、安倍首相の答弁は、一応は誠実に答えていたと思いますが、自民党の制約があるのか、「既にやっている」と大声で言い張るだけで、自民党にとって都合良くやっているという内容では、とても満足のいくものではありません。

読売社説は、安倍首相の答弁通りに、「憲法改正」と「格差是正」は二者択一を迫る問題ではない、と、言っていますが、国民投票法は急ぐ理由があるかも知れませんが、「憲法改正」は、自衛隊を海外派遣しないでおけば焦眉の課題ではありません。

悠仁親王が誕生し、天皇制が明日にも行き詰まる、という状況でもありません。
「日本国憲法体制」は、細かな条文では、その趣旨を徹底するために修正の必要があっても、その根幹については、世界を牽引する格調高い憲法であって、修正の余地はありません。

一昨年辺りからの読売社説の民主党への冷ややかな態度が、安倍政権ができてからより色濃くなってきました。
「格差問題」は、中国の発展による需要増と北米で好調な自動車と住宅の売れ行きから日本の景気が回復する中、日本の中の一部の階層だけが潤う、という形で表面化してきました。
三浦展さんの「下流社会」という本によって顕在化したと言えます。
顕在化してからまだ時間が経過しておらず、状況をしっかり把握する段階であるのに、読売社説は意地悪く、民主党に対して、端から「処方箋を示せ」と言うのです。
「処方箋を示せ」というのは、時の政権に対して言う言葉でしょう。
また、財源についても、野党なりにざっくりとした見方を小沢代表は提示しましたが、政権党でもない民主党が財源の詳細を示せるはずがないのに、「具体的な手だてを示せ」と言うのです。
これでは、未来永劫、政権交代はあり得ず、日本は、北朝鮮・中国と同様に自民党一党独裁体制が続き、官僚社会主義体制から脱却できず、民主主義国家には成り得ないということです。
読売社説は、日本国家、日本国民の将来を全く考えていない、ただ一部の利権安住者を守るための存在に成り下がった、ということです。

朝日社説は、野党の代表質問よりもNHK問題の方が重要と考えているらしいですが、小沢代表が提案した事務所費の領収書も含めた明細の開示についてしか書きません。

朝日は、本当は新聞発行部数を伸ばすために、多数派の弱者側に立ちたいのだけれども、自民党の圧力がこわくて、まともなことが書けないのでしょうかね?

日経社説は、小沢代表の政策提案について、「国民生活重視の具体的な主張は一定の迫力があった」と一応評価しました。
しかし、「財源論については説得力が弱かった」と指摘するので、この点は、読売社説と変わりません。
日経社説は、政策具体面では民主党に近いのですが、総体の話になると、急に自民党になってしまうという不思議な社説です。
安倍首相の答弁については、「具体論に乏しかった。内政問題ではアピールが不足している」と日経社説は書いていますが、官僚社会主義を打倒する気のない自民党ではやむを得ないことです。


小沢代表は、格差拡大が小泉政権・安倍政権の政策により拡大した、というように言っているのですが、そうなんでしょうかね?
私は、格差拡大の主原因は、バブル崩壊後の長い不況にあると思っています。
たまたま、小泉政権が景気回復に無策であり、外部要因によって棚ぼた景気回復してしまったために、非正規雇用の弊害が小泉政権・安倍政権の時代に表面化しただけだと、私は思います。
小泉政権、安倍政権が、何か悪いことをしたために格差が拡大したのではなく、所得再配分に無策で、定率減税は廃止するが累進税率は37%を50%に戻さないというようなことをやるから、格差拡大するのです。
もっと、厳しい言い方をするならば、細川政権があまりに早期に崩壊したから、日本経済を立て直せなくなったのです。これが、今日の日本の不幸の第一原因です。
小沢さんがもっと力強く細川政権を支え、国防論で当時の社会党と妥協し、細川政権の下で数年間、予算編成を行っていれば、構造改革を細川政権の下で行うことが出来たはずであり、非正規雇用者の増加が10年以上も続くというような異常事態は起きなかったのです。
今さら、企業に向かって、ニート・フリーターを雇用せよ、と言っても腰が引けるでしょうね。

小泉前首相が、小泉政権誕生時に言っていた構造改革を本当に実行していたなら、自民党は分裂して、官僚社会主義及び少数派の権益を守ろうとする部分と、経済発展を実現しようとする市場原理主義の部分に分かれただろうと思うし、官僚主導ではなく政治主導の国家運営が実現できただろう、と、今でも思っています。
しかしながら、小泉前首相は、「改革を止めるな」と叫びつつ、何も改革をしないで首相をやめてしまったのです。
むしろ、官僚社会主義を強めるようなことをやりながら、有権者にはあたかも改革が進んでいるかのような錯覚を与えた、という点において、かえって日本にマイナスをもたらした、と言えると思います。
構造改革は、銀行がBIS基準を達成というような細かなことではあったかも知れませんが、日本の体制というレベルにおいては、何一つ実現していません。
民主党が前回の衆議院選挙で提示した「政権交代500日プラン」が実現されなければ、いつまでたっても、年金は別目的に流用され、天下り先を探す官僚によって官製談合が形を変えつつ行われ、ムダな公共事業が延々と続き、国家の財政赤字が立て直せず、最後は、ハイパー・インフレか、IMFの介入による第二の被占領という事態になるのです。

代表質問の中で、小沢代表は、市場原理主義の強者の論理が格差拡大を招くのだ、というようなことも言っています。
いろいろな本やブログなどを見ていても、「国家の品格」以来、競争原理は悪いものなのだ、談合をやるというような助け合いの精神が日本の美徳なのだ、というような、悪しき日本の風習に戻ってしまう傾向が見られます。
日本は、IT産業において既に、CPU、OSなどで米国に水を空けられている、というか、日本国内で新たなOSやCPU製作にチャレンジしようなどという大きな動きはありません。
トラック・バスの足回りの不具合、ソニーのバッテリーの不具合、携帯電話も韓国メーカーに遥かに遅れをとり、1980年代に世界を制覇しつつあった、日本の科学技術の行く先には暗澹としたものがあります。
これは、技術力によって優位に立ったものを、周囲が寄ってたかって力任せにぶっ叩く、ということをやるからです。
ビデオでも技術的に優位だったソニーのベータマックスは敗退しました。
衛星通信とPHSでも技術的に優れるPHSが敗退しました。
青色レーザーの開発者はゴールドマン・サックスの経営者が手にするボーナスよりも少額の特許料だけしか得ることが出来ず、怒って米国に行ってしまいました。
日本では、将来展望のある正しい方が負けるのです。
なぜか?競争に負けそうな側が、食いぐちが無くなることを恐れて徒党を組み、より優れた側を潰しにかかるからです。
昨年ライブドア強制捜査以来のIT叩きもその一つです。

こんなことをやっていては、日本から成長産業は出てこなくなってしまいます。
今の日本に、市場原理主義は育っていないのです。
強者が出てこないから、日本全体が沈んでしまい、携帯電話シェアで韓国にすら負けるということが起こるのです。
今の日本で勝ち組と言われている階層は、医者や弁護士を除けば、強者ではなく、官僚社会主義に守られた利権に群がっている本来なら弱者になるはずの階層です。
競争がないために疑似強者となり、ブランド品を身につけて、バカでかい高級車に乗って、強者であるかのように装っているだけです。
こういう人たちには、日本を、世界を牽引する力はないのです。

地下資源を持たず、山がちな国土で平地も狭く耕地面積の少ない日本においては、新しい産業が次々と出てくるという状況が生まれないと国際間の競争に勝つことは出来ません。
日本人が何もしないで既存のもので満足してしまうのなら、アジアの最貧国とどこも違わないことになるのです。
もちろん、セーフティ・ネットをしっかり整備して、強者が弱者・敗者の生活をカバーするという仕組みが重要である、ということについては、私も小沢代表と同意見だし、自民党でもかなり部分がそう言うだろうと思います。
しかし、競争によって強者が勝てるようにすることがまずは重要です。
談合でいい加減な建設業者が順番に受注してしまうのではなく、高い技術力とコスト対応力を持った建設業者が公共事業を受注し、技術力のない企業は淘汰され新しいビジネスに再チャレンジしていくことが重要です。
世界をリードできるような産業が出てきて、所得の再配分機能が働けば、日本はこれからも繁栄していけます。
出る杭、頑張る人、努力する人を、叩くのではなく、力強く支援し、拍手で迎えることが今の日本に求められているのです。
日本の閉塞状況を救うものは、市場原理主義であり、競争原理です。




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最終更新日  2007/01/30 10:15:27 AM


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