架空世界の放浪者ランドの「冒険日記」

2005/11/03
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カテゴリ: 大航海時代
「じゃ、いまからケープ行ってきます」
若手商会員の紅鯱団が商会連絡を通じてアフリカの最南端にいくことを告げた。
「ん?何しにいくの?」
私は、紅鯱団に尋ねた。
「北海で海事修行をしていたら、喜望峰のあたりの開錠地図を8枚も手に入れちゃって・・・これからソレを明けにいくんです」
紅鯱団は言った。紅鯱団は、私が安くで譲った「耐久の減らない商用ジーベック」に乗れるようになる為、戦闘経験を積んでいたのだ。その時に、海賊から8枚も地図を収奪したようだ。
「え・・・ちょっとまってよ。」「いま、開錠を上げているから、一緒に連れて行って。」と私は紅鯱団に言った。

冒険者を真面目にやるようになって、はじめて「開錠スキル」の修行が、極めて辛い事だと知った。いままで、情報では、聞いていたのだが、実際やってみるのと全然違う。それこそ、「笑うほど上がらない」のだ。
確かに、他にも上げるのがきつい能力はある。商人の「会計」や「取引」、軍人の「剣術」「外科」なども上げにくい。しかし、それらの能力は、たとえ低くても、自分が少し不利になる程度で、特に何かが制限されるわけではない。しかし、「開錠」は、必要なランクを満たしていないと、依頼をクリアーすることが出来なくなってしまうのだ。


だからこそ、「開錠」が必要とする依頼や地図の誘いがあれば、迷わず参加するぐらいの気概か、よく冒険者が行っている「スルタン開錠回し」「ボルドー地図回し」といわれる、単調な修行を繰り返さなければならない。私は単調な修行にはもうおなかいっぱいなので、前者を選ぶようにしている。

「じゃ、まってますね」
紅鯱団は私の頼みを聞き入れてくれて、まってくれることになった。
「せっかくだから、他にも誰か一緒に行きませんか?」
紅鯱団は、商会連絡を使って、ケープ行きのメンバーを募った。
「俺いく~」
「ぼくも~~~」
早速、2人から参加の声が上がった。近江屋とBaratheaの2人だ。近江屋は本業がなんだかわからなくなってしまったが、Baratheaは純粋な冒険者だ。また、Baratheaはアルカディア商会で唯一のフランス人でもある。今まで、一緒に行動したことがほとんどないので、私はこの「ケープ開錠ツアー」に少なからず期待を抱いた。

私は、このとき、イスタンブールにいたのだが、「開錠ツアー」が決まると、急いで集合場所のナントに向かった。そしてナントで4人が合流した。
「じゃ、一旦リスボンに戻って、いく準備しましょうか」
近江屋が、リーダーシップをとって、みんなを先導しリスボンに向かおうとした。

私は自分のバインダーをみて、地図がある事を確認し、近江屋に言った。
「お。おっけ~。じゃ、プリマスの対岸にいくね」
そういうと、進路を180度旋回させ、北海に向かった。
フランス北西岸で、地図の場所に向かい探索する。「カチャ」と音をたて、箱にしまってあった宝がお目見えする。

「あり~」

「ありがと~」
私のほかに、同行した3人にも、「開錠」の熟練ポイントがはいる。
続いて、2つ目をあける。同じく、熟練ポイントが全員に入る。

一人で地図を探索しても、一人しか幸せになれないが、こうやって冒険者同士が艦隊を組み、一緒に冒険をすると、一つの地図でメンバー全員が幸せになれる。私たちは、フランス北西岸で地図をあけた後、リスボンにもどり、準備を整え、アフリカに向かうことにした。

しかし・・・世の中、そんなにスムーズに予定通り行くことは少ない。

「あ・・・これは」
私は、冒険依頼仲介人から依頼のリストを見せてもらっているときに、あっと驚いた。
「ん?どうしたんです?」
Baratheaが私に近づいてきて言った。
「いや・・・“謎の古代民族”の依頼があるんだよね・・・」
私は言った。
「え・・・」
紅鯱団も何処からか近づいてきて、私に提示されている依頼リストを覗き込んだ。
「おおおおおおおお」
紅鯱団が絶叫にも似た声を上げた。

“謎の古代民族”・・・・これは、リスボンの依頼で、めったに出ないレアな依頼だ。
この依頼を達成すると、ガレー乗りには、必須のアイテム「海民の剣」が手に入るのだ。
現在、「海民の剣」は3M~5Mで取引されている、冒険者にとっては資金源の一つなのだ。

「どうする?」
私はみんなに尋ねた。“謎の古代民族”の依頼は、東地中海のアテネに向かわなければならない。いまから行こうとしているアフリカとは全く逆の方面だ。
「う~ん・・・」
しばらく悩んだ末、近江屋が口を開いた。「いきましょうか」と。
そうして、私たち4人は、ケープ行きを一旦延期して、“謎の古代民族”の依頼を達成するため、アテネに向かい、無事に「海民の剣」をに手に入れた。もちろん、途中にあったトリポリやカンディアの地図の消化も忘れない。

ちょうど、ナイル川で冒険をしていたネドベドと合流し、5人になった「ケープ開錠ツアー」のメンバーは、一旦リスボンに戻って、アフリカ行きの準備を整える。

「さ、みんな準備が整ったかな?じゃ、いこうか」
私は、近江屋、紅鯱団、Barathea、ネドベドの準備が整ったをのみて、声をかけた。
「はい」と返事が帰ってくる。
一人、また一人とリスボンの出航所に集まってくる。

「あれ?紅鯱団さんは??」
あと1人、紅鯱団だけまだ出航所に来ない。
と、思った瞬間、紅鯱団は、私たちの艦隊から抜けてしまった。

「え」
艦隊のメンバーに戸惑いが走る。
私は、すぐに、商会メンバーリストを確認したが、既にこの世界に魂はない。
しばらくまって、また確認するが、魂は戻ってこない。
「しかたないなぁ。10分ほど待つか」
ネドベドの提案で、しばらくリスボンで紅鯱団を待つが、戻ってこない。

「う~む・・・10分たったから、行くか」
私は言った。
「だね・・・」
なんとなくみんなの返事が重い。しかし、ここでみんなの時間を潰すわけには行かない。
後から紅鯱団に文句を言われるのを覚悟で、私は全員に声を掛けて、リスボンの港を出た。
しかし、そこで大事な事に気がついた。

そう、今回のツアーの一番のメインは、紅鯱団が持っているケープ近辺の開錠地図8枚なのだ。つまり、紅鯱団がいないと、アフリカに行くのは無意味になってしまうのだ。それでも、ネドベドがアルギンの生物探索の依頼を受けていたので、それを達成するために、アフリカに向かったのだが・・・・。

結局、この日は、紅鯱団は、この世界に戻ってこなかった。
「ケープ開錠ツアー」は、まぼろしになってしまった。






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最終更新日  2005/11/10 06:35:34 PM
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