架空世界の放浪者ランドの「冒険日記」

2007/05/09
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あの大嵐から、何日経っただろう。前方に陸地が見える!

リスボンを出航して南米に向かっていた。ちょうど20日目。私とアルカディア号は、突然の大嵐に遭ったのだ。普段は帆を畳んで嵐が通り過ぎるのを待っていれば、ほとんど損害無くやり過ごせるのだが、この日は違った。

帆を畳んでいても、船が木の葉のように波に飲まれ、船員が一人、また一人と渦の中に消えていった。そして、嵐が過ぎ去った時、ボロボロになったアルカディア号に残されたのは、私一人だった。

船に一人残された私は、船が波に運ばれるまま航海を続けた。六文儀も地図も失ったため、現在どこにいるのかわからない。

そして今朝目覚めると、目の前に陸地が広がっていた。太陽の方向からすると、カリブのあたりか南米のあたりなのだが、全然見覚えが無い。まだ、未開の地があったのかとワクワクする気持ちが半分。もう半分は、帰りの船員をどこかで雇えるのだろうかという不安。

私は、波に任せて陸地に近づいていった。

陸地にたどり着くと、そこに1匹の生き物がいた。
奇妙な感覚だった。はるか昔から絶対的な畏怖の象徴とされてきた生物が目の前を闊歩している。それを目の前にしても、恐怖を感じない自分がいた。巨大なキバ、鋭利な爪、灼熱の吐息、どれをうけても命の灯火が消えることがわかっていても、その瞬間を想像できない・・・そう、私の目の前には、はるか昔に滅び去ったと言われていた恐竜、いやモンスターがいるのだ。

私は、架空世界の冒険者ランド・フォックス。目の前の冒険には、恐怖より心が躍るほうが強いのだ。



そこには何も無かった。

大嵐にさらわれたのだろう。私は一つの武器も持ってない。服も、ボロボロになったベルベットジュストコールだけだ。私は、死を予感した。

何気なく触れたポーチの中で、最後の食事にとっておいた肉の塊に手が触れた。私は、一瞬の判断で、その肉の塊を目の前のモンスターに投げつけ、一目散に森の中に逃げ込んだ。運が良かったのだろう。モンスターは、私が投げた肉の塊にかぶりついて私を追ってくることは無かった。

しばらく森の中を走っていると、目の前に集落らしきものが見えた。私は胸をなでおろした。この陸地に漂着した時、ここが無人島だったらと不安があったのだが、人が住んでいることがわかった。

たびたび先ほどのモンスターが追っかけてこないか後を振り返りながら、私は集落へと歩いていった。

船が修理できるだろうか、船員が雇えるだろうか、帰りの水・食料は手に入るだろうか・・・いや、それよりまず、この地で、生きていくための手段を見つけ、必要な金を手に入れなければならない。






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最終更新日  2007/05/10 04:10:53 PM
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