2002年09月16日
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すべて平等に、というのとはちょっと違うかもしれない。
何故なら、死はすべてのひとびとの上に、ランダムにやって来るから。生れ落ちてすぐに終わってしまう命もあるし、天寿をまっとうしたと、祝福されるような長命のひとも居る。

自分の周辺でもついこのあいだ、親しくしていた友達が、幼い子を残して急死した。

やはり、どうにもやりきれないのは、人生がこれからますます輝きを放つ時期に、まったく突然に訪れる死、だ。
七五三の晴れ着を見にまとったおんなのこ。
志望校合格が決定したばかりの学生。
婚約者とハネムーンの相談をしている青年。
幼い子供たちと、輝く笑顔で念願のテーマ・パークに向かう若い主婦。


どうせ、彼らは、もう、ここには居ない。
この地球の上のどこにも居なくて、もう同じ空気を呼吸することは決してない。
酒も飲めないし、SEXもできない。
ぼくらは、身近な人間がそんな目に遭う羽目になってみないと、日常生活を送っている間に、それを思い知らされることは無い。


『ひとは死ぬ、いつか死ぬ、絶対に死ぬ』

そんな、あたりまえ、のことをさえ。
みんな、忘れたフリしてる。
それで、自分の同世代の身近なともだちなどが、この世から居なくなってみないと、なかなか判らない。
理屈では判っていても、身体では身に沁みて来ないし、理解しない。

いよいよ、それを前にしたら誰も助けてくれない。
だから、ひとはいつだって淋しい。


たったひとりの、ゆくえのわからない、すこしながい旅。
かなしみって「しみ」は、どんなしみ?!
そんなものを、探しながらのひとりだけの旅。
こころの底からの、きらきらやわくわくの、ときめきをを求める旅。

たくさんのにんげんの、たくさんのにんげんの数だけの、実にいろいろな種類の旅。







かつて、この標語がポスターになって、ありとあらゆる場所に、べたべたと貼りまくられた、おおきな建てものがあったそうだ。

それは、オウム真理教の「サティアン」と呼ばれた、建物群の中。

どう転んでも、ひとの旅はいっかいきり。
みじかい旅も、ながいながい旅も、結末はみな同じ。

一期一会。
さみしいことばだ。
「一期は夢よ ただ狂へ」
先人の残したことばが、切ない。


だから、ぼくも。
「ああ、あのとき、ああしておけばよかった」
と、あとでくよくよ後悔するよりは、まずやってしまってから、「あれれ」と、舌を出して、頭をぽりぽりかくほうを選ぶことにする。
やらなかった後悔よりも、やってしまった後悔のほうが、なんぼかマシだし、本人も納得できるもの。


場所は、ポカラ。
陸路で一人、中国の上海から大陸を横断してチベット、さらにヒマラヤの向こう側のネパールへ移動してきたひとに会った。

こちらは昨年の11月。
ポカラ滞在中、数回すれ違った時には、インドの衣装のサリー姿だったひと。
バスターミナルで、荷物の見張り番を頼まれたときの写真。
このあと、カトマンズに行く途中でいっしょに食事をしたんだけれど、いきなりはるるの口元についた食べカスを、手でつまんで取ってくれた。
ちょっとタイプのおとなしそうなひとだったので、ドキドキしてしまった。
「アフガンの戦争のおかげで中国政府が外国人旅行者を全員、チベット自治区から国外退去にしたので予定より早くネパールに来ちゃった」と、語ってました。
滞在ビザの期間に関わらない、有無を言わせない一斉退去命令。
いかにも、中国ではありそうな話。

交通手段が無くて、まして日本人の女の子の一人旅で、中国のスクラップ寸前のような輸送トラックのヒッチハイクなど、そうとうな苦労して出てきたそうだけど、そんな様子に見えないくらい明るくて元気そうな旅姿だった。

何のために、そんなに大変な旅をするのか、と言えば「それでもやっぱり、旅が楽しいから」と答えるのだろうか。
ひとが死を迎えるその日まで、毎日を暮らしてゆく普通のひとたちの日々は、やっぱり一人旅の旅人たちの背中にだぶってゆく。







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最終更新日  2002年09月16日 20時50分06秒
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