ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Feb 9, 2006
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 昨日、 セントローレンス弦楽四重奏団

 前半の二曲の現代音楽( オズヴァルド・ゴリジョフ(ゴリホフ)Osvaldo Golijov )が凄かった。Yiddishbukkっていう弦楽四重奏曲と「盲目アイザックの夢と祈りThe Dreams and Prayers of Isaac the Blind」とかいうクラリネット五重奏曲。ゴリジョフ氏は、まだ45歳ぐらいの現役作曲家。アルゼンチン生まれで東欧ユダヤ系らしい。ロシア民謡っぽい旋律とか「屋根の上のバイオリン弾き」っぽい旋律も随所に現れて、実に楽しめた。奏者の方々も、足を踏み鳴らしたり、半分腰を浮かせてスイングしながら弾いたりして、見た目には多いに笑えた。クラリネット奏者が、4本のクラリネットを次から次へと持ち替えながら吹いてたのも圧巻。
 何より僕が意外に感じたのは、こういう賛否両論に振れがちな前衛的な音楽を、会場の観客が明らかに堪能していたこと。ニューヨークの聴衆って、ほんとは文化レベルが高いのかもしれない。演奏中に携帯電話を鳴らしちゃう「こまったちゃん」も多いけど(死語)。

 後半はシューベルトの弦楽五重奏曲。ゲストは第二チェロにDavid Finckelさん。彼は、 エマーソン四重奏団 としての活動に加え、今シーズンは室内楽プロジェクトの芸術監督を担当されており、最近あちこちで名前を見かける。彼を加えてますます見た目が濃くなったこの軍団、演奏もやや濃いめだった。
 チェロが二本ということで、やっぱり響きが厚い。これを重くするのも軽くするのも、全ては第二チェロの加減次第だと思った。今日のチェロ二人は、なんとなく二人して団結して盛り上がってたような気もしたけど、全体としては味わい深い落ち着いた演奏だった。若々しいフレッシュな演奏でもなく、円熟しきった渋い演奏でもなく、その具合がまたちょうど良かった。

 クラシックの演奏会のはずなのに、どこか熱くワイルドな爽快感の残るステージだった。観客の平均年齢が明らかに普通のクラシックのより若かったというのもあるかもしれない。






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最終更新日  Jan 30, 2007 09:52:05 PM
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