ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Mar 5, 2006
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「日曜の昼下がり」

 ワークショップ後半の受講曲はフォーレ。エリカ(ピアノ)、スザンヌ(ビオラ)、そしてトーマス(チェロ)と一緒に弾きました。

 僕は前半のメンデルスゾーンで既に燃えつきてしまったので(文字通り con fuoco)、おフランスものに立ち向かう気力があまり残っていませんでした。
 それに僕はもともとフォーレの作品をほとんど知らなくて、このカルテットもピアノ奏者がやたらと弾きたがる曲という印象しかなく、事実、今回もエリカの強い要望により選曲されました。かつて別のグループでこの曲に挑戦したことがありますが、弦の三人がユニゾンで弾くのが多すぎるのと、フレーズの捉え方がわかりにくくて、あまり好きではなかったのです。この編成だったら、いい曲がほかにも山ほどあると思ってました。

 そしたら今日の練習でこの曲に対する考えが180度変わりました。これは実はとんでもない名曲であります!

 この曲が大好きと言うスザンヌとトーマスは、ここぞとばかりに情熱的に弾いてきます。となるとこっちも釣られて、自然と乗ってくるのです。完璧に書かれているピアノパートを生かすも殺すも弦の三人次第。そういう醍醐味を意識しながら弾くと全然違う曲に思えてきました。
 寄せては返す波というか、伸びては縮むゴムというか(?)、すごく効果的にできてる曲。何拍子かわからなくなる部分とかもよろしい。ちなみに、ちょっとけだるい3楽章にいたっては、イタリアのタビアーニ兄弟が監督した映画「太陽は夜も輝く」の音楽に似ていると思いました(って超マニアック?)。
 解釈次第でいろんな弾き方ができる曲とは、まさにこういう曲のことでしょう。そのためには、弦の三人がきちんと弾き方を統一して曲想を合わせなければいけません。

 スザンヌが言ってましたが、「今日のような穏やかな日曜の昼下がりに、気の合う仲間とワイワイ言いながら合わせるのに最適な曲」というのは言い得て妙。





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最終更新日  Mar 9, 2006 08:34:52 PM
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