ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Sep 28, 2006
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「楽聖の風格」

 今日のカルテットの練習は、当初の計画と異なりベートーベンをメインに弾くことになってしまった。
 もともとは、この秋、同メンバー(僕、マイク、ジェーン、ケーティー)で モーツァルトのト長調K387 のほうを師匠にレッスンしていただくことになってたので、各人ともそっちのほうをさらってきて今日を迎えたのに、いざ練習を開始する段になって話が二転三転。結論として、ベートーベンの1番を診ていただくことになった。レッスンの日まで準備期間は一ヶ月以上あるから、現時点での更はまだ間に合うというのが大半の意見。

 で、合わせてみて、僕はすぐに後悔してしまった。ほかのパートはわからないけど、第一バイオリンに限っていえばモーツァルトのほうがずっと弾きやすい。この作品18-1って、ベートーベンの初期作品とはいえ、楽聖の風格が各所に見え隠れして、重いし暗いし苦しいし。レッスンまでの一ヶ月間、真面目に練習しないとヤバイ。

1楽章: ベートーベンって、意外に静かにピアノで始まる曲が多いように思う。この楽章、三拍子ということからして既にクセモノて、弓づかいもやっかい。第1番の第1楽章にふさわしく?指定はアレグロ・コン・ブリオなので、 コンブリ好き の自分としては嬉しい。僕がこの楽章で特に好きなのは、終わりのほうに出てくる渋い和音。ドキッとする。

2楽章: もの哀しいアダージョ。長い。この手のかなり遅めの8分の9拍子は、彼の弦楽三重奏曲作品9-1もそうだが、細かい音符も大きい音符もムラなく弾きつつ、全体の三拍子の流れを失わずに保つのが一番の課題。全員が一斉に長い休符になるとこが何度かあって、その沈黙が息苦しくなる。悲劇「ロメオとジュリエット」の場面を思わせる音楽としばしば評されるとか。確かに重すぎ。

3楽章: このスケルツォ、大きく一つで数えるのかそれとも二つで数えるのか悩みながら弾き進めていくと、大きく三つで数えるとこが出てきて予断を許さない。やっぱりスケルツォといったらベートーベンか。第一バイオリンにウネウネする難所あり。しかもご丁寧にフラット満載!

4楽章:

 ベートーベンの最初の弦楽四重奏曲というと、モーツァルトの延長のような「天使の音楽」的な響きを期待してしまいがちだが、やっぱりベートーベンはベートーベン以外の何者でもない。特に1楽章と2楽章でのちょっとした響きに、既に彼の後期のカルテットに通ずるアダルトな雰囲気を感じた。

 この曲の1楽章と4楽章を中心にレッスンしていただくことになり、早くも緊張している。





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最終更新日  Oct 1, 2006 10:55:39 PM
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