ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Nov 10, 2006
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「セレブ崇拝癖」

 今日の練習ではベートーベンの「大公」に初挑戦。(ピアノ:セス、バイオリン:僕、チェロ:ルース)
 ピアノパートはさておき、弦は思ったより難しくないというのが第一印象。ベートーベンの中期作品にしては親しみやすい。彼のトリオは今まで 作品1 しか弾いたことがなかったから、いきなり作品97なんて飛躍しすぎかも!と恐れおののいてたけど、ちょっとは安心。

1楽章: 脳天気に行進曲風で始まるのには意表を突かれる。ルドルフ大公ってあんまり威厳がない人だったのかも。
 弦の二人がピチカートで三度で動くとこがあり、バイオリンを弾く自分としては苦手な箇所。温かく響くチェロのピチカートにはどうしても負けてしまう。

2楽章: 作品1と同様、全曲を通してバイオリンにとっては低めの音域で書かれているように感じるけれど、実際、この楽章では 一回もE線を使わずに 弾けてしまった。これならビオラででも弾ける。高音はと言えば、ピアノの右手が常にしっかりと実権を握っている。ちなみにこのスケルツォ、 彼の弦楽四重奏曲「ラズモフスキー」1番 Op59-1 とそっくり。


3楽章: 変奏曲形式。たぶんピアノにとってはかなりの難曲。トリルとか三連符とかのコワザが各所に散りばめられている。

4楽章: 後半、茶目っ気たっぷりの軽音楽になる。あとはやはりピアノの独壇場。

 この曲、もっと早くに出会っておきたかった。上手なピアノ弾きさえ見つければ、トリオの醍醐味を充分に味わえる。ベートーベンの初期のトリオとかモーツァルトのもいいけど、 ちょっと気合いの入ったクラシック音楽 を三人で楽しむには、手の届く範囲内では一番の名曲かもしれない。

 それにしても、ベートーベンって、 セレブ とか 肩書き に弱いタイプだったのかもしれない。直接的であれ間接的であれ、優れた音楽をベートーベンに書かせたという意味で、この楽聖に影響を与えた数々のセレブに我々も感謝すべきか。
 この曲で言えばルドルフ大公。あとは、「英雄」のナポレオンとか、「ラズモフスキー」や「ワルトシュタイン」両伯爵とか、「クロイツェル」氏とか「エリーゼ」嬢とか、それと、名前は知らないけど「幽霊」さんとか「皇帝」さんとかも?

 ところで、今夜の我々三人のもっぱらの話題は、本日から全米公開の 映画 Copying Beethoven 。日本でも「敬愛なるベートーヴェン」という題で上映が決まってるとか。彼のセレブ崇拝癖を裏付けるシーンがあるかもしれない(なわけないか)。
 マスコミ勤務のルース(チェロ)は、さすがに各雑誌の映画評論を既に押さえていて、僕らに映画の内容とかを熱く語ってくれた。ベートーベンの作品の写譜、清書を担当する架空の女性の話だとか。

http://www.copyingbeethoven-themovie.com/home.html





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最終更新日  Nov 15, 2006 08:10:15 AM
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