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January 17, 2011
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カテゴリ: 教授の映画談義



 主人公のマーク・ザッカーバーグはパソコンおたくのハーバード大学の学生で、その手の学生にありがちな、生身の人間とコミュニケーションをとることが今一つうまくないタイプ。映画の冒頭でも、エリカというガール・フレンドに対して神経を逆なでするような発言ばかりしてしまい、結局大喧嘩して別れることに。そしてその腹いせにエリカの悪口をネット上にアップしたばかりか、勢い余ってハーバード大の女子学生の顔写真を勝手にハッキングしてネット上の美人コンテストを開催。大学から叱責処分を受けることになっただけでなく、ハーバード大学中の女子学生から総スカンを食らう羽目に。

 ところがその一方で、上級生の優等生ウィンクルボス兄弟からハッキングやプログラミングの腕を買われたマークは、ハーバード大学の学生専用の出会い系サイト「ハーバード・コネクション」のプログラム作りを依頼されることになるんですな。

 しかしマークは、ウィンクルボス兄弟も所属するハーバード大のエリートクラブ、あるいはそれが象徴するエスタブリッシュメントへの反発もあり、「ハーバード・コネクション」が想定していたものよりも遥かに巨大で開かれた形のネット上の人的ネットワーク、「ザ・フェイスブック」を、親友のエデュアルドの助力を得て、勝手に起ち上げてしまいます。

 そして、マークの抜け駆けを知ったウィンクルボス兄弟は、マークが自分たちのアイディアを盗んだとしてサイトを封鎖するよう圧力をかけ始めるのですが、そうこうしているうちにマークが起ち上げたサイトは「ナップスター」の創設者で、今はネット・ビジネスのアイコンにして破産者あるショーン・パーカーの目にとまり、彼から「フェイスブック」(「ザ・フェイスブック」から「ザ」を取ったのも、パーカーの示唆による)をビジネス化することを持ちかけられます。そしてパーカーのカリスマ的魅力に魅せられたマークは、パーカーとは肌合いを異にするエドュアルドと次第に上手く行かなくなり、ついにフェイスブックを共に起ち上げたパートナーであり、彼の唯一の親友でもあったエドュアルドを、膨大な富をもたらし始めたフェイスブックのビジネスから締め出してしまうことに。

 そして、「アイディア登用」について訴訟を起こしたウィンクルボス兄弟、それに「ビジネスから不当に締め出されたこと」について訴訟を起こしたエドュアルドを相手に、マークは泥沼の様相を呈する訴訟騒動に巻き込まれていく・・・。

 ・・・とまあ、そんな話です。

 で、私のこの映画に対する点数は・・・

 「81点」です。合格!



 でまたマークという男のやることがよく分からん、という所が、意外性があって面白い。何しろ唯一の親友エドュアルドを裏切っちゃうんですからね。

 ま、マークはユダヤ人で、確かにコンピュータを操る腕は確かだけれど、それ以外、特に目立つものがない。ハンサムなわけでもないし、会話は下手。性格も一般受けするものではない。ハーバード大という、誰もが羨む超一流の大学に入っていて、彼自身、エリート意識の強いところはあるのだけれども、しかしハーバード大学の本当の主流、エスタブリッシュメントだけが会員になれるエリート・クラブには入る足がかりすらない。

 つまり、彼は実際には、アメリカの主流世界の中では「何者でもない」存在なんですな。そのことに対する激しいコンプレックスがマークの中にはある。そしてそれが、絵に描いたようなエリートであるウィンクルボス兄弟への反発に結びつき、そして「同族」と思いこんでいたエドュアルドがエリート・クラブから声を掛かけられた途端、そのことへの嫉妬から彼も「仮想敵」にしてしまうという。

 人と関わることが人一倍下手なマークが、人と人を結びつけるネットワーク「フェイスブック」を起ち上げ、しかもまさにそのことによってマークは一層、彼にとって大事な人とのネットワークを失っていくという、この二重の皮肉。

 しかし、そうした一連のことも、実はマークにとっては大したことではなくて、本当の意味では彼は誰も憎んだりはしていないんですな。ただ、彼は自分の思いを表に表わすことが下手で、それで成り行き上、人を傷つけたり、人を裏切ったりすることになってしまっているだけという。そこにマークの悲喜劇があるわけですよ。ある意味、マークは21世紀のホールデン・コールフィールドかも知れません。

 その辺の複雑なようで単純なマークの人物造形が、ビートルズの「Baby, You Are the Rich Man」をBGMにした最後のシーンで触れられるんですが、これがね、すごく印象的。

 巨万の富を作り上げなが、友も、愛も、全てを失っていく男の悲劇ということで、この映画を『市民ケーン』と重ねて語る人はきっとごまんといると思いますが、それはどうしようもなく正しい指摘でありまして、マークの別れたガール・フレンド、エリカが、この映画の「ローズバッド」であったことは、この最後のシーンが雄弁に物語っております。

 ということで、この映画、教授のおすすめ!です。マークを演じた若手俳優、ジェシー・アイゼンバーグもなかなかのはまり役ですよ~。





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Last updated  January 17, 2011 09:48:27 PM
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釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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