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July 9, 2018
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カテゴリ: 教授の映画談義
ううむ、歌丸師匠に次いで、今度は加藤剛さんか・・・。昔の俳優は、圧倒的に二枚目だったなあ・・・。


 それはともかく、昨夜、録画しておいた『エンドレス・マーダー』(原題は『スーサイド・セオリー』)というオーストラリア映画を観ましたので、ちょっと心覚えをつけておきましょう。以下、ネタバレ注意ということで。

 スティーヴンという殺し屋の物語なんですが、ある時彼は、パーシヴァルという若者から自分を殺してほしいという依頼を受けるんですな。パーシヴァルはゲイの画家なんですけど、恋人であったクリスに死なれてから絶望し、何度も自殺を試みるのですが、その都度、なぜか奇跡的に助かってしまう。そこで、どうしても死にたいパーシヴァルは、たまたま出会ってしまったスティーヴンに自分の殺しを依頼したわけ。

 で、スティーヴンは、その仕事を引き受け、その場でパーシヴァルに弾丸を3発撃ち込みます。あっさり仕事を片付けたわけ。

 ところが、パーシヴァルはまたもや奇跡的に助かってしまう。それどころか、撃たれた弾を摘出する際、腫瘍が見つかり、ついでにこれも摘出したので、むしろ撃たれる前より健康体に。

 で、パーシヴァルはもう一度スティーヴンにちゃんと殺してもらいに行くのですが、その後2度、殺害を試みるも、どちらも失敗に終わってしまう。パーシヴァルはどうしても死ねないんですな。

 で、どうすればちゃんと殺せるのか、殺し屋のスティーヴンとパーシヴァルは何度も相談を繰り返すんですが、その過程で二人はそれぞれの人生航路を語るようになり、次第に親しくなっていく。

 実はパーシヴァルが恋人を失って絶望しているのと同様、スティーヴンの方も愛する妻を自分の目の前でひき逃げされるという最悪の形で失っており、以後、妻のことがどうしても忘れられず、絶望しているんですな。それだけでなく、ひき逃げのトラウマから、道路を自分の足で渡ることができなくなっている(無理に渡ろうとすると気絶してしまう)。殺し屋の方も、そういう悲しい過去を背負っていたわけ。

 ところで、パーシヴァルというのは運命論者で、自分がどうしても自殺できないのも、またスティーヴンという殺し屋と出会ったのも一つの運命であり、それは決して偶然ではなく、何か意味があるのだろうと思っているんです。そしてそのことを繰り返しスティーヴンに言うもんですから、スティーヴンも次第に、自分が置かれている状況には何か意味があるのではないかと思い始める。



 かくして、スティーヴンもパーシヴァルも、死なずに生きていく道を見い出しかけたかに見えたわけ。

 が!

 パーシヴァルは、3年前にスティーヴンの妻・アニーをひき殺したのが自分であることに気づいてしまったんです。その時、彼は恋人のクリスを失った直後で、自暴自棄になり、浴びるように酒を飲んで車を運転していて、それでハンドル操作を誤ってしまった(あるいは自殺しようとした)と。そして、それに気づいたパーシヴァルは、スティーヴンにそのことを告げ、許しを乞うた上で、改めて殺してほしい旨、伝えるんですな。

 しかし、真実を知ったスティーヴンは、どうしてもパーシヴァルを許すことが出来ず、そのまま彼を殺してしまいます。そして、この時、ようやくパーシヴァルは死ぬことになる。

 で、パーシヴァルの葬儀に出たスティーヴンは、パーシヴァルの兄から、パーシヴァルの絵の回顧展があるから見に来ないかと誘われ、そこに行くわけ。そしてパーシヴァルが最後に描いていた絵を見る。それは死んだ恋人・クリスの肖像画だったんです。

 で、その絵を見た時、スティーヴンは思い出すわけ。3年前、あることがきっかけで彼はある男を殺すのですが、その男がクリスだったことを。

 パーシヴァルの言った通り、すべては運命的に定められていたわけ。

 絶望したスティーヴンはふらふらと大通りを渡り、車に撥ねられてしまう。そしてブラックアウト。

 しかし、その後我々は、病院で治療を受けているスティーヴンの姿を目にすることになる。パーシヴァルがかつてそうだったように、スティーヴンにはもう少し生きながらえる運命があった(らしい)。


 そんな映画。


 最初、殺したはずの相手が何度でも現れるというストーリーだと聞いていたので、その種の超自然的なスリラーなのかと思っていたら全然違いましたね。



 特に、殺し屋のスティーヴンがいい。あまり近づかない方がいいやばい感じのところもあり、友達甲斐のあるような気のいいところ感じのところもあり、今回のこの役にはこれ以上ないほどの適任ぶり。

 で、そこはかとなく可笑しいわけね。だって、殺し屋と殺される側が、「一体どうしたら、ちゃんと殺せるんだろう?」って、一生懸命知恵を出し合ったりするところなんて、普通じゃありえないシチュエーションなんですけど、それが切実な問題としてあるので、なんだか可笑しい。そういう、おふざけでない可笑し味というのが随所にあって、クスッと笑えるわけよ。

 しかも、愛する者を共に失うというシリアスなところもあって、そこはそこで哀しい。そういう可笑し味と哀しさがないまぜになったところが、なかなかよろしい。

 ま、例によって各種レビューを見ると酷評されていたりしますけれども、私が見るに、佳作ですよ佳作。それなりに評価すべきものだし、実際、賞とかも獲ってます。B級映画の味わいとして、見て損はない映画。教授のさらっとおすすめ! と言っておきましょう。



エンドレス・マーダー 【DVD】


 ちなみに本作冒頭近く、パーシヴァルが自身の運命論を語るところで、スティーヴンから「それはフロイトの考え方か?」と尋ねられ、それに対してパーシヴァルが「いや、エリザベス・キューブラー・ロスだ」と答えるところがある。

 エリザベス・キューブラー・ロスについては、本ブログでも再三取り上げておりますが、こういうB級映画の中でもさらっと触れられるほど、一般的に知られているわけですな。そこは自己啓発思想の研究者として、ちょっと面白いところでした。





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Last updated  July 9, 2018 05:01:14 PM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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