教授のおすすめ!セレクトショップ

教授のおすすめ!セレクトショップ

PR

Profile

釈迦楽

釈迦楽

Keyword Search

▼キーワード検索

Shopping List

お買いものレビューがまだ書かれていません。
January 4, 2022
XML
カテゴリ: 教授の雑感
帰省する時、市立図書館に寄って文芸誌を一冊借り出し、実家でパラパラ読んでいたのですが、やっぱり面白くないんだなあ。そこに載っている小説、どれもこれも何一つ面白くない。なんだろうね、こういうのを書いている人ってのは、何が言いたくてこういうのを書いているのかね・・・。

 ところでかく毒づいている私の文学観ってのはごくごくシンプルなもので、文学=義理×人情なのよ。

 義理ってのは、渡世の義理、つまり人間関係のしがらみですな。あるいは主人公が置かれる所与のシチュエーションと言いましょうか。

 一方、人情ってのは、人間らしい喜怒哀楽ですよ。

 で、義理×人情となると、4つの場合が考えられる。すなわち「平凡なシチュエーション×普通の喜怒哀楽」「異常なシチュエーション×普通の喜怒哀楽」「平凡なシチュエーション×異常な喜怒哀楽」「異常なシチュエーション×異常な喜怒哀楽」の4つ。必ずそうだとは限らないけど、多分、最初に述べた「平凡なシチュエーション×普通の喜怒哀楽」が一番高級な文学になりがちで、後に続くほど低級になっていくような気がする。でも、とにかくこれらの状況の中で描かれる物語が、「そういうことって、あるよね~」という説得力をもって描かれていれば、それは文学だ、と思うわけ。もちろん、文学にも松竹梅はあるよ。あるけども、一応は文学の体裁はとれていると。

 例えば、芥川龍之介の「手巾」とか。

 あれは息子の死を母親が語るという話なんだけど、そういうことはよくあることだから、平凡なシチュエーションだよね。

 だけど、その母親は笑いながら息子の死を語る。そしてその一方、テーブルの下ではハンカチをもみくちゃにしている。上半身で笑い、下半身で泣いているというか。これは普通の状態じゃないから「異常な喜怒哀楽」ということになる。つまり龍之介の「手巾」は「平凡なシチュエーション×異常な喜怒哀楽」の物語なわけだ。だから傾向としては、あまり大した文学性は持ちえない感じはする。でも、そういう風に息子の死を語るということ自体、日本人の行動として理解できなくはない。つまり「そういうことって、あるよね~」の範疇なので、これは一応は文学作品ということになる。

 だけど、そのあと、この話はもうひとひねりある。



 そうやって文学ってのは味わったり考えたりするもんだと思っていたのよ、ワタクシは。

 ところが。

 最近の文芸誌に載っている小説って、「異常なシチュエーション×異常な喜怒哀楽」のものばっかりで、その時点で期待薄である上、さらに「そういうことって、あるよね~」という共感が得られないものばっかりなのよ。

 じゃあ、それ、文学じゃないじゃん!

 っていうね・・・。

 だから、ワタクシの義理×人情方式では、「これは文学作品である」という烙印がそもそも押せないものばっかりなのよ。で、それを、どうやって「文芸時評」すればいいの?

 はあ~。難題だねえ。ほんとにワタクシ、文芸時評できるのかね?


 とまあ、そんなことを考えつつ、今日は名古屋の自宅に帰ります。明日からはまた名古屋からのお気楽日記、お楽しみに~!





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  January 4, 2022 03:09:07 PM
コメントを書く
[教授の雑感] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Calendar

Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: