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2006.02.18
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「フリージア」の健三と”ススキノ探偵”が共演する東直己版オールキャスト豪華ハードボイルドだ。

○ストーリー
少年は見ては行けないものを見てしまった。警察にさえ狙われる少年を救いにきたのは,”林”と名乗る強いおじさんだった。そして”林のおじさん”のピンチを,ふしぎな背広を着た”モチヤのおじさん”が救う。雪の山中を,そしてススキノを,3人は戦い抜く。

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東直己ファンにとってはたまらない作品だ。ただ一方で,健三,”俺”,桐原,松尾,高田と言ったキャラクターが,「ようっ!」って顔を出すので,これまでのシリーズを知らない読者には分かりにくいんじゃないだろうか?この作品が日本推理作家協会賞を受賞したときは,混乱した人が多かったと思う。

作品を支えているのは,東直己が繰り返し弾劾している,地方都市の組織的な腐敗だ。事件の背景がリアルなので,アクの強いキャラクターが成立している。また主人公たちとは別に,ほんの2ページだけ出てくるキャラクターたちが,なかなかリアルで作品に深みを与えている。

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やはり一番の面白さは,健三と”俺”の取り合わせだ。「探偵は吹雪の果てに」を先に読んでしまったから,ススキノ探偵の”俺”が太り気味の中年になっているのには驚かなかったが,山伏みたいな健三に比べて,”俺”の活躍する場面はほとんどない。減らず口もほとんど叩かず,健三に気を使いながら旅行している場面はなかなか笑える。

だらしない”俺”と比べて,健三は充分現役の仕事屋だ。ただし少年の存在が,健三の足かせとなって,どんどんと追い込まれる。黙々とピンチを切り抜けるのだけど,キャラクターが増えた分,あまり健三自身の内面が描かれておらず,ますます無骨キャラ全開だ。前作の読者でさえ「この人はなんでこんなに頑張るんだろう?」と思ってしまうので,この作品が最初の読者にとっては,ちょっとブキミにさえ思えるかも?



”2人のおじさん”,実は2人のハードボイルドヒーロー,に助けられ,一方で2人の心を支えているのが,少年・恵太だ。ちょっと出来過ぎな少年で,しっかりしていて,頭の回転も早い。東直己の作品では,主人公たちと一緒にがんばれる少年少女が時々登場するが,恵太はそれの最年少・小学校2年生だ。

また影の主人公として,2人のヒーローをめぐり合わせるのが,インテリヤクザの桐原だ。桐原を中心として,おなじみの相田,松尾,高田がそれぞれ活躍し,事件を解決に向かわせる。やや桐原の動機が分からないが,やはり単純に人間としての健三に惚れているのだろう。

4人が一堂に会することはないが,いずれも魅力的なキャラクターたちの協力で事件は解決する。「フリージア」の続編なんて可能かよ?と思っていたけど,なかなか豪華な作品に仕上がっている。

東直己のファンは必読だ。僕も,この作品を読むために,これまでの作品をずーっと,ほぼ順番に読んできた。楽しめるよ。





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Last updated  2006.02.18 10:35:34
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