りぶらりだいあり

りぶらりだいあり

PR

Profile

りぶらり

りぶらり

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

新千円札と新一万円札 なすび0901さん

Are there health be… 恵子421さん

読書とジャンプ むらきかずはさん
片手に吊革・片手に… もりのゆきさん
From おおさか mayu0208さん

Calendar

Comments

おきま@ Re:「PRIDE 池袋ウェストゲートパークX」石田衣良を読んだ(07/30) 約32年前に池袋のウェイターに騙されて風…
深青6205 @ Re:「恩讐の鎮魂曲」中山七里を読んだ(08/16) こんにちは。御子柴シリーズはお気に入り…
りぶらり @ Re:「我が家のヒミツ」奥田英朗を読んだ(06/18) なすびさん,お久しぶりです。僕が本を買…
なすび0901 @ Re:「我が家のヒミツ」奥田英朗を読んだ(06/18) 好きな作家の一人 図書館で借りないでア…
2006.03.16
XML
森博嗣のシリーズから独立している作品だ。ジャンルはゴシックミステリー,とでも呼べばいいのだろうか?

○ストーリー
恋人の仇敵を探して旅するミチルは,どうやら地図に載っていない謎の町に,その男キョーヤがいるらしいことを知る。その町,ルナ市では,人々は豊かで穏和で,死ぬことがなかった。また,その町を百年の間統治しているのは,美しく若い姿の女王だった。

ミチルの歓迎パーティのその最中に,町の王子は誰かに殺されてしまう。しかし町の人々は,王子は死んでいないし,誰も王子に近付かなかった,と主張するのだった?

なぜこの町の人々は死なないのか?現れても姿の見えないものとは何なのか?そしてこの町を作ったのは誰なのか?苦しみながらミチルは真相に近付いていく。

------------------------

ミステリーとSFが融合しているけれども,西澤保彦のような特殊な条件を設定してるわけではない。”神”の存在に対する,この町での宗教の禁忌がトリックを隠してしまう要素になっているので,心理的な条件かな?

でも結末は「ルール違反だよ」と思わないでもない。ただし,ここまで読み進むと,ミステリーよりもゴシックSFとしての町のストーリーの方が面白いので,あまり気にならない。

萩尾望都の「マージナル」のような実験社会と宗教を思い出しつつ,読み進んだ。ルナ市の人々は,ある意味どの者も哀れだ。そこを駆け抜けるミチルの運命はとても悲しい。



------------------------

実験都市とは別に,この作品の重要な要素が,パートナーロボットのロイディだ。有能で気立てが良くて,でも言語機能が高くないのと,歩みが遅いので,余計にカワイイロイディだけど,ミチルのイライラをぶつける対象となっている。

しかし町の人々から見れば,ロイディは人間とほとんど見分けがつかない。死んでいるように生き続ける町の人々,生きてはいないが人間そっくりのロイディ,彼がいないと暮らせないミチル。こうした対比を描き続けることで,「人間とは?いのちとは?」という疑問を自然と持たざるを得ないようになる。

人形を使った,こうした対比は,押井守の『イノセンス』を思い出させた。あの作品での,エトロフ市に渡ってからの展開は,ビジュアル的にこの小説に似ていないこともない。

------------------------

全体としては,哲学的とでもいう疑問を中心に,このゴシックな町も事件も構築されている。でもいくつかの要素は,短編集「まどろみ消去」にあったものなので,違和感が少なくてすんだ。

でも重い作品だ。作者は,ホントは,こういうのが好きなんだろうなあ。









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.03.17 00:39:12
コメントを書く
[きらきらポストモダン推理] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: