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2006.06.18
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飛ばして読んでしまった森博嗣”Vシリーズ”の第5作目を読んだ。

○ストーリー
フランスから戻ってきた曲技飛行チームの演技を見に行っていたアコギ荘の面々の目の前で,飛行機は墜落事故を起こしてしまう。2人乗りの狭いコクピットの中で,パイロットが銃殺されたのだ。保呂草は殺されたパイロットの機に同乗していた女性が逃げるのに手を貸し,ネリナは他の機を操縦していたパイロットの先輩を気遣う。そして事件の裏には,このチームがフランスから運んできたという魔剣”エンジェル・マヌーヴァ”が見え隠れするのだった。果たして紅子はこの謎を解き,保呂草とネリナの無実を証明できるのか?

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これまでの4作は,独立した作品だったが,ここに来て連作長編になるのでは?と思わせる展開が始まった。謎の天才画家・関根朔太と,彼を娘の仇として追うフランスの富豪,というなんだか大きな存在が背景に配置され,便利屋・保呂草が表面に出るようになってきた。

相変わらず紅子の過去ははっきりしないままだが,今回はネリナに関しては少しだけ明らかになった。ネリナがどうして少林寺拳法を習得しているのか,何を目指しているのか,というあたりが分かり,いつもと違うしゃっきりした少年版ネリナも垣間見える。

いつもとほとんど同じ,アコギ荘と愛知県警のメンバーで話は展開するのに,少しずつそれぞれの関係が変化する,というところがあり,これも独立した作品というより,連作長編っぽい味わいだ。

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この作品は,シリーズ中の最高傑作と評判が高い。曲技飛行機のコクピットという狭い空間での密室殺人は変わっているし,それをずばっと解決する紅子の推理も見事だ。第4作に引き続き,紅子が探偵役をきちんとこなしているのだけど,それ以外にあまり紅子の登場するシーンはない。もっぱら保呂草とネリナが,探偵というか便利屋的にうろちょろしている。



保呂草とネリナが主人公として魅力を増しており,その分,紅子の存在感が薄まっているような気がする。シリーズが進むと,過去が徐々に明らかになると思ってたのに,相変わらず素っ頓狂なキャラクターのままだしなあ。

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保呂草のこの作品での活躍,そして第6作での関根朔太の自画像の扱いは,一貫していてなかなか感動的だ。この作品の読後に第6作を読み返してしまったら,じんわりときた。

そしてこの作品で光っているのはネリナだ。ラストでの立ち回りとその直後のシーンは,もう読んでもらうしかない。それでしか伝えることができないだろう。

この2人の行動と心の描写は全く見事で,作家としての森博嗣の器を強く感じる。

・・・でも作者なんだから,暗号ぐらい作品中で解いておいてくれよな。







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Last updated  2006.06.18 12:08:15
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