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2006.07.05

「今夜はパラシュート博物館へ」森博嗣を読んだ

テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24663)

カテゴリ：きらきらポストモダン推理

”Vシリーズ”もあと1冊で完了というところで，ちょっと一休みをしたくなって，森博嗣の短編集を読んでみた。

○ストーリー
ネリナと紫子は，大学のサークルが主催しているミステリーツアーに参加する。キャンパスの奥まで歩き回った後に，ついに謎の”ぶるぶる人形”を見る事ができた。人形はぶるぶるとダンスを踊り，そして燃えて消えてしまった。数日後，ネリナは学食で，同じツアーに参加していた不思議なお嬢様に再会する。果たしてどちらが先に”ぶるぶる人形”の謎を解くのか？そしてこのお嬢様の正体とは？

－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－

”S&Mシリーズ”に属するのが2編，”Vシリーズ”に属するのが1編なので，短編集というより，むしろどちらかのシリーズ本を1冊，といった読後感に近い。なかなかオトクな気分だった。出張に持って行くのにはぴったりの本だったな。

両シリーズのキャラクターが出会うのは，「捩れ屋敷の利鈍」で実現しているが，あちらではお嬢様にしっかりと，国枝先生が付き添っているので，あまりスリルがなかった。この作品でのネリナとお嬢様の出逢いは，1対1だし，会話も楽しいし，ビジュアル的にも華やかな取り合わせだし，もっとずっと楽しめた。

もう1つ感じたのは，”S&Mシリーズ”系の短編より”Vシリーズ”の短編の方が生き生きしている，ということ。”S&M”系はキャラクターが固定されてしまっていて，明らかにイキオイがない。今後，この手法でいくら”S&M”の番外編や後日譚を描いても，もう楽しめないんじゃないかなあ。

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さて，各作品について簡単に述べておく。

「双頭の鷲の旗の下に」：犀川と喜多の出身校の文化祭に，レギュラーキャラの面々が行ってみる，という話。現役の高校生の男の子たちがなかなかカワイイのだけど，最後にレギュラーのあの人の謎が1つ解ける。でもその時の行動が驚いた。キャラクター設定を壊していくのが，短編の目的なんだろうか？？？

「ぶるぶる人形にうってつけの夜」：ネリナとお嬢様の対決（？）のお話。「まどろみ消去」の30人のインディアン人形を思い出させる楽しい作品だ。

「ゲームの国」：ギャグかよ・・・同人誌っぽい作品だなあ。

「私の崖はこの夏のアウトライン」：森博嗣の短編っぽい，詩的で少しサイコな作品だ。こーゆーのがないと，短編集読んだ気がしない。昔と違うこと言ってる気がするけど（笑）。

「卒業文集」：うーん，森博嗣の作品なの？それほど結末が上手いとも思えなかったし，あまり読後感がよくなかった。

「恋之坂ナイトグライド」：ポップなイラストがぴったりな作品だ。ライトSFと解釈してもいいし，単純に2人が○だったと考えてもいい。ちょっと村上春樹っぽいかな？

「素敵な模型屋さん」：これまでの森博嗣ではなかった”男の子”の視点からの作品だ。森博嗣が語り手だとも，”へっ君”が語り手だと解釈しても楽しい。これまでさんざんテイストはほのめかしている”孤独なマジメな男の子”のカラーが全開の作品で，待ってました，というカンジ。僕はダイスキだ。

（途中まで書いて，消えてしまった。ショックで放ってあったけど，書き直したよ。）

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