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2006.09.10
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西澤保彦の匠千暁(たくみちあき)シリーズの一編を読んだ。今回は,匠の大学での仲間の高瀬千帆が高校時代に遭遇した事件のお話だ。

○ストーリー
高校3年生の高瀬千帆が,寮に戻ると同室の恵が殺害されていたことを知らされる。千帆と恵はある意味恋人同士であり,当初彼女が容疑者とされる。しかし千帆が不在の間に,次々と女子高生連続殺人事件が起き,彼女の疑いは晴れる。そして2年後,大学時代に知り合った仲間とともに,千帆はふるさとに戻る。事件を解き,彼女の過去から解放されるために。

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「スコッチ・ゲーム」というタイトルから,もう少しのんびりした作品を予想していた。高瀬千帆ことタカチがもっともトゲトゲしていたと思われる高校時代のお話で,かつストーリーもかなり速い展開で進むので,なんだか「ゲーム」という雰囲気はまるでない。

「仔羊たちの聖夜」では親子の確執を描いており,今回もタカチと父親のそれが少しだけ描かれる。だが今回のテーマはもっと幅が広い人間関係の問題だ。どこにも存在しうる,相手を自分の思い通りに支配しようとする気持ち,それから起こる悲劇を描いている。これって,例えば誰にでも,僕にでもある気持ちで,なかなかドキッとさせられた。

ただその気持ちを理由に,あまりにも多くの命が奪われてしまい,男女や同性同士でも愛憎劇がある,という展開はちょっと極端ではないかと思った。テーマが明確なんだけど,キャラクターの動きがすべてそれで理由付けられていて,やや無理を感じた。

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タカチのキャラクター小説としては,よく描かれている。彼女のこれまでの性格設定ともきちんと一致しているし,この事件の結果を契機に,性格が変わるんじゃないか,○○が始まるんじゃないか,ということも予想される。














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Last updated  2006.09.10 08:52:01
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