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2006.10.15
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カテゴリ: ばくばく冒険小説
森博嗣版『紅の豚』とでも言えばいいんだろうか?

○ストーリー
二つの大戦の後,長い戦争はプロの兵士と専門の会社で行われるようになった。主人公の「僕」は,プロペラ戦闘機のパイロットとして新しい基地に赴任してきた。散発的に出撃し,たまに敵機を撃ち落す中で,僕は独特の達観に至る。仲間の飛行士たちも,どこか似たような乾いた精神のものばかりだ。だが敵機の中に,伝説の「黒豹」が現れたとき,僕と仲間たちは大きく動揺する。

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こうしたタイプの設定,ストーリー,そして文体も含めて,SFでは似たような作品が昔からある。だが昔の作品では,「戦士の俺」と「俺を支配する国家」的な二元論で進むことが多かったが,さすがは森作品,主人公の僕の内面描写が,本当に上手で,主人公1人を描くだけで,「僕」と「大人たちが作った僕たち」の1.5元論(?)を展開させている。

この作品は長編なんだろうけど,森博嗣の短編的な詩的な文体でつづられている。他の作者の作品が,ハードボイルド的だったとしたら,森博嗣の作品は,少女マンガ的なタッチで作られている。だからこそ,現代の読者にはすんなりと浸透するんだと思うけど。

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主人公の日常,つまり戦闘と外出の繰り返しを描写していくうちに,自然に「この戦争の目的は?」「主人公たちと一般の人の差は?」「主人公の前任者は?」と言った疑問がわいてくる。こうした疑問が,ある意味ミステリーとなって,読者を引っ張る。

けれども僕は読んでいて,途中からいくつかの謎はどうでもよくなってきた。微妙な世界観が,精巧に構築されていて,それを味わっているだけで満足できたので,背景のロジックは別に分からなくてもいいや,という気分になったのだ。



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「僕」が淡々と戦闘機を扱い,敵機に弾を撃ち込むのと同じように,森博嗣が短い描写を重ねているような気がした。そういう意味で,この作品の主人公に,これまでで一番作者本人を感じてしまった。






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Last updated  2006.10.15 22:21:38
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