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2006.10.27
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「謎亭論処」は,”酩酊ロンド”と読むらしい。例によって,主人公たちが飲んでは推理合戦をする,西澤保彦の「匠千暁シリーズ」だ。

○ストーリー
海辺の車の中で,ある男女が心中をしていた。ところが死んだ2人は,それまで知り合っていた形跡がなく,また女性の方はかつての婚約者とこれから会う約束をしていたのだった。無理心中なのか?殺人なのか?ウサコこと由起子の推理が冴える。

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”クライマックス”と評した前作「依存」から,いつの間にか3,4年経過しており,千暁,千帆,辺見,由起子の4人も社会人になっている。短編集であり,4人全員揃うのは最後の1編のみ,というのも,なんとなくさびしいカンジだ。

だが,思い出してみれば,これこそが,匠千暁シリーズ第1作の「解体諸因」でのパターンだ。第1作では,千暁も辺見も社会人だったしね。だから4人の学生時代を描いていたシリーズの作品群をまたいで,ようやく第1作に,作風も作品内の時間も戻ってきた,という趣向でもある。

また,男女の差別,親の子どもへの虐待,とどんどんテーマがシリアスになりつつあった長編から,あっさりと軽めの短編ミステリー,と回帰しており,やや肩透かしの感がある。調べてみると,なんてことはない。発表された時期が,かなり第1作に近いものが多いのだ。

シリーズファンは,キャラクターの意外な境遇をも楽しみ,新しい読者は西澤保彦らしいロジックの展開を楽しむことができる,というオトクな作品だ。

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「盗まれる答案用紙の問題」:高校の先生となった辺見が巻き込まれてしまった事件の顛末だ。ライトで始まり,ライトで終わる。

「見知らぬ督促状の問題」:4人が学生時代の作品だ。ロジックが冴え,最後に人の悪意があぶりだされる,という西澤保彦らしい作品。

「消えた上履きの問題」:辺見先生の学校のあるクラスで上履きが全て盗まれてしまい,というところから意外な事件が起きる。が,ちょっと後味が悪い。

「呼び出された婚約者の問題」:ウサコの意外な境遇にびっくりする作品だ。ロジックが二転三転と続き,やや長さを感じる作品。

「懲りない無礼者の問題」:辺見のクラスの生徒が見てしまった,地元をさんざんこき下ろす無礼な中年男女が,その後いるはずのない場所で殺されていた。辺見がロジックを駆使して到達した推理とは?

「閉じ込められる容疑者の問題」:シリーズキャラがほとんど登場しない作品だ。事件より,最後に登場する千帆の方が気になったりする。

「印字された不幸の手紙の問題」:4人が学生時代の作品だ。文体や4人の関係は「依存」に近いが,軽い作品だ。

「新・麦酒の家の問題」:この本のために書き下ろされた作品だ。「麦酒の家の冒険」の続編のような作品で,前作を読んでいたほうがいい。辺見の意外な過去が明かされたり,と意外なボーナスがある。また結末近くに,どきっとするシーンがあり,なかなか楽しめた。







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Last updated  2006.10.29 21:19:14
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