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2006.11.04
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匠千暁シリーズの第1作となる「解体諸因」を再読した。このシリーズを読み進めてきて,また「猟死の果て」を読んでみて,ひょっとしたら読み落としている内容があるのではないか?という気がしたからだ。

○ストーリー
相思相愛の美大の2人は,親同士がかつて恋敵だったことが理由で,結婚を許されなかった。ところが,2人が合宿に行っている間に,片方の母親がバラバラ死体で発見された。死因が青酸カリ中毒であり,画材で青酸ソーダを使う美大の人間が疑われるのだが・・・

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匠千暁シリーズは,この作品が第1作で短編集だ。第2作からは,長編かつ主人公たちの学生時代に戻っており,第6作まで順に「彼女が死んだ夜」「麦酒の家の冒険」「仔羊たちの聖夜」「スコッチゲーム」「依存」へと続く。第7作は「謎亭論処(めいていロンド)」であり,第1作と同じように,短編集で,また主人公たちが社会人だ。

今回,第1作目を再読してみたのは,ぐるーっと戻ってきた感のある第7作と比較をしてみて,シリーズとしての整合性を確認してみたかった,というのもある。

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まず作品としての評価だが,「猟死の果て」と同じように,1つのミッシングリンクで最後に大きな謎が明らかになる,ということを目指している様子がうかがえる。最終作品で,千暁と中越との対話で,それまでの短編で見落とされていた真相が明らかになる,という展開は面白い。

ただし,全体のボリュームが大きく,そこでどんでん返しとなる短編も半分程度だ。残りの半分は,最初のストーリーのままなので,なんとなく”天地が逆転”というまでのオドロキがない。そういう意味では,ミッシングリンクは作品全体を補完してくれず,スッキリ感が不足している。まあ,でもチャレンジとしては大胆だよなあ。



さて,匠千暁シリーズとしての再読で気付いたポイントを述べる。これはいつもの作品への感想とはちょっと視点が違うので注意!

第1編「解体迅速」:匠千暁(タック)は,大学卒業後も定職に就いておらず,仙人のように暮らしているという設定だ。どうやら現代詩の研究で大学院,助手,そして研究者というルートは選択しなかったらしい。

第2編「解体信条」:辺見祐輔(ボアン先輩)が,女子高教師で登場だ。しっかりと面倒見の良い感じの教師をキチンと務めているので驚きだ。しかも既に2年程度は勤務しているらしい。容疑者たちが合宿に行くT高原は,「麦酒の家の冒険」のR高原とは関係ない・・・当たり前か。

第3編「解体昇降」:平塚刑事と中越警部が登場だ。2人とも,後に匠千暁と知り合いになり,そしてシリーズキャラクターになるらしい。

第4編「解体譲渡」:女子高教師・辺見祐輔が,お見合いをする。祐輔の回想のフレーズとして,「若気の至りで同棲までしたことがある」とあるが,これは「新・麦酒の家の謎」で明らかになった事件のことだ。祐輔が身を固めたいと思っていることが述べられ,お見合いの相手の美女・藤岡圭子とも,そこそこいい雰囲気。


第5編「解体守護」:この短編集で1編だけ,千暁たちが学生時代の作品だ。高瀬千帆(タカチ)が登場して,事件の相談を千暁に持ちかける。2人の雰囲気から言って,大学2年生の頃?「彼女が死んだ夜」の頃かと思われる。
この作品で,千帆の肩で千暁が居眠りをして,ヨダレでジャケットを台無しにする,というシーンがある。

第6編「解体出途」:匠千暁の叔母と従妹,しかも母方側が登場する。妖艶な感じは,美也子さんの妹かとも思わせるが,「依存」での設定から考えると,義母の妹だと思われる。しかし千暁の父親の,女性の趣味って,なんだか良くないような。

第7編「殺人肖像」:第2編で女子高生だった双子姉妹が,大学生として登場して,喫茶店のバイトのお兄さん・匠千暁に相談事をする。第2編から3年は経っているのだから,千暁たちの卒業後5年くらいか?
千暁が友人として,「女子高教師」と「東京で広告代理店に勤めている」2名を挙げている。前者は祐輔が確定だが,後者は千帆ということだろうか?

第8編「解体照応:スライド殺人」:作品内作品なので,シリーズキャラと関連は無い。



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やっぱり,シリーズの時間で,大学卒業周辺がごっそり抜け落ちている。匠千暁が,事件解決のために,誰かの身代わりを演じる,という作品は,いつ読めるんだろうか?








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Last updated  2006.11.05 21:47:31
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