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2006.11.12
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西澤保彦のポストモダン系ミステリーだ。SFとミステリーの融合作品で,かつての西澤保彦のオハコだ。

○ストーリー
私は40才になる大学の助教授で,新年の休暇を実家で過ごしに行くところだ。ところが,飛行機から降り立つと,同じ町でも時代だけは23年前だった。そしてそれは,私の父が謎の殺人事件の犠牲者となった日の4日前だった。家族の運命を大きく変えてしまった事件を,私は阻止できるのだろうか?

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西澤保彦と言えば,SFとミステリーを融合した作品の作者だ,と思っていたんだけど,なんだかずいぶん久方ぶりにこうした傾向の作品を読んだ気がする。キャラクターがあまりにも狙い過ぎだと感じてしまう「チョーモンイン・シリーズ」を,僕が今のところ避けており,そのシリーズに,かつての”ハチャメチャSFミステリー”のエッセンスを封じ込めているためだと思う。

で,「久方ぶり」以外に,感じたのは「変わったなあ」ってこと。”ハチャメチャ系”では,意図的にSF設定をミステリーに持ち込んで,それを中心にして作品を書き上げていたような印象があったけど,「異邦人」では話の中心テーマはきちんと別に存在し,SF設定の部分はあくまでも,それの添え物として導入されている,という印象だ。

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「異邦人」のテーマは,女性の同性愛者の孤立と,彼女への周辺人物の無理解だ。両親,兄弟,友人,など身の回りの人々との確執,男女による家庭の確立を前提としている社会制度への挑戦など,多くの問題が描かれていて考えさせられた。正直,僕自身がどこまで理解しているかも判らないんだけど,西澤保彦がきちんと調べて,問題の存在を認識していることは伝わった。

ただ,西澤保彦も,主人公の「私」も,これを読んでいる僕も,みんな男性なので,どうしても距離感を感じてしまう。だから問題の存在による苦しみが,もう1つピンと来ない。最近の西澤作品の,男性優位思想への怨念めいた文章とは異なっており,非常に淡々と問題を論じている,という表現もその要因の1つだと思う。



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SF要素もミステリー要素も,かつての作品とは異なる雰囲気の展開だった。テーマ性や語り口を重視しているんだろうけど,ロジックの整合性が犠牲になっている気がして,これはさすがに,やや不満だ。西澤作品なのに!!クライマックスに関わるので,あまり言及はできないのが残念。

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謎めいた猫が登場して,主人公を勇気づけるような行動を取ったり,主人公が猫に自己投影をしたりする。この存在が「いつか、ふたりは二匹」につながって行くのかな?と思った。








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Last updated  2006.11.12 23:00:02
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