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2007.06.18

「θ（シータ）は遊んでくれたよ」森博嗣を読んだ

テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24307)

カテゴリ：きらきらポストモダン推理

「φ（ファイ）」の次は，「θ（シータ）」と，微妙にギリギリ親しみのあるかないかのギリシア文字を用いる森博嗣の「Gシリーズ」の2作目を読んだ。

○ストーリー
那古野の自殺者たちが，それぞれ身体の一部に同じマークをしていた。しかも同じ口紅で。加部谷，山吹，海月の学生3人と，西之園萌絵と反町愛，そして探偵・赤柳がこの謎を追う。事件の裏にあるのは謎のネット教団なのか？病院の闇なのか？

－－－－－－－－－－－－－－－－

「Gシリーズ」はわずか2作目なのに，出ずっぱりの萌絵以外に，ラヴちゃん，こと反町愛，犀川，国枝と「S&Mシリーズ」のメインキャラ総登場だ。その上，今回は他のシリーズからもゲストキャラが複数登場している。なんだかとっても豪華だ。

その反面，若い主人公たちがさっぱり活躍しない。まだ前作では積極的に事件に関わっていたが，この作品では萌絵と愛が活躍し，学生3人はお茶会に参加しているだけという印象で，いいところがない。本来の主人公と思われる加部谷もかすんでいるし，山吹は性格が悪そうだし，海月に関してはほとんどブキミ君だ。

だから今のところ，新しい主人公たちの新しいシリーズを読んでいる，という感触がない。これだったら，「S&M第2シリーズ」と銘打ってもいいのではないだろうか？まあ森博嗣のことなので，なんらかのヒネリはあると期待しているけど。

－－－－－－－－－－－－－－－－

ミステリとしては単純で，ミスリードされてしまうネタがなければ，トリックらしいトリックも存在しない。また短期間に狭い範囲の人々が自殺をするのだけど，それについての心理描写はすっぱりと何も存在しないので，いつもながらちょっと前衛舞台的なドライさが怖い。

一方で，性格が強かった反町愛がウジウジしていたり，と不思議なバランス感覚だった。イマイチ，つかみどころがないシリーズだなあ。

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