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2007.07.13
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カテゴリ: ばくばく冒険小説
「亡国のイージス」ほかの作家・福井晴敏の最新長編の下巻を読んだ。

○ストーリー
防衛庁の青年工作員・丹原と公安の落ちこぼれ警部補・並河の2人は,一度は組織につぶされかけ,離れ離れになってしまう。しかし日本に対して「オペレーション・ローズダスト」の最終段階を仕掛けてきたテロリストに対して立ち上がったのは,やはり2人だった。崩壊していくお台場を舞台にして,日本に対して絶望した男たちと,まだ希望を持つ男たちが死闘を繰り広げた先に待っていたものは?

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どんどんと分厚くなる福井晴敏作品の最新作なので,文句なしに読み応えがある。てゆーか,重い!本が重いのはもちろんだけど,現代に生きる日本人に対して,びしびしと「それであなたは何ができるのか?」という問いかけをしているところも重い。

毎回毎回キンタロー飴作家と言われている福井晴敏だ。早々に人生裏街道に入ってしまった青年工作員と,挫折してしまった中年自衛隊員あるいは警察官が,あるテロ事件をきっかけにぶつかり合いながら,互いを理解し,2人とも再生をする,というのがストーリー。その背景に,日米安保協定に寄りかかり,戦争放棄をお題目に,国家としての責任まで放棄し,安寧と経済的発展と個人的な保身を重ねてきた”大人たち”への批判がある。

この作品で感じたのが,批判の対象が”大人たち”だけじゃなく,”この現状をゆるしている全ての人”へと広がったということだ。これまでの作品では,政治家,防衛庁官僚などが矢面だったので,批判の鋭さを肌身に感じなかったけど,今度はいやおうなしに”全ての人”に対して,びしびしと厳しい言葉が浴びせられる。

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念のため言っておくが福井晴敏は決して政治的なプロパガンダのために,このシリーズを書いているのではない。現にこの作品の中で,テロリズムが横行する状況を利用して,日本を再軍備しようとする人々が登場し,こっぴどく批判されている。むしろ今の”ぬるま湯的な状況”に対し,積極的に肯定的にとらえていこうとする”新しい言葉”を語る姿勢を,多大なロマンを持って描こうとしている。



一方で,ちょっとホットするのが,登場人物たちが少しずつ柔らかい設定になっていることだ。この作品での主人公コンビ,丹原と並河にしても,早々に丹原の甘ちゃん性格が露呈したし,もう1人の並河にいたっては,家に帰ればいいお父さん,という設定に,正直拍子抜けがした。

状況が厳しくなるばかりの世界だから,あまり張り詰めてばかりの主人公から,少しシフトさせた,ということなのだろうか?

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主人公の丹原,敵対するテロリスト集団,彼ら全てを突き動かすきっかけとなったのが,かつての作戦で命を落とした,不思議な魅力のあった少女・三佳なのだけど,もうひとつ三佳の魅力が伝わりにくいことが,残念だ。ここら辺は,映画となったときに,配役でカバーしてもらいたい。

テロリスト集団のそれぞれに因縁があるので,クライマックスにそれぞれの見せ場を持ってきていることは作品が長くなっている一因とは言え,いいことだと思った。一人一人,それぞれの思いを持って,この作戦に参加しているということも描かれており,それぞれに泣かせるシーンとなっていた。

一方で甘ちゃん丹原がラスト近くで経験することは,評価しない。「福井晴敏,またやっちゃったか!!」という印象だ。必然性ないしなあ。

でもラストシーンの美しさで,全てがなんだかゆるせてしまう。福井晴敏に,また一本取られてしまった!









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Last updated  2007.07.16 22:47:03
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