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2008.06.23
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島田荘司の「吉敷刑事シリーズ」らしいストイックな1作を読んだ。

○ストーリー
寝台特急の中で,1人の女性が心臓麻痺で死ぬ。彼女は,その直前に「ナチが来る」と叫び,半狂乱になっていた。果たして,彼女は何にそこまで怯えたのか?吉敷刑事は彼女の過去を探り,そして時刻表のトリックに挑戦する。

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最近「吉敷刑事シリーズ」の中の「加納通子モノ」を続けて読んでしまっていたので,吉敷竹史刑事が,コツコツと事件の謎に挑む,フツーのミステリーにホッとした。こうした作品を読むと,吉敷刑事は,仕事と一人旅が趣味という無愛想な男なのだけど,「加納通子モノ」だけは別人になってしまうみたいだ。

死んだ女性の過去を探るうちに,25年前の人間模様が明らかになってくる。作品が書かれた1980年代後半からさらに25年前の,東京オリンピックの頃となる。さすがにだいぶ昔のことなので,語られる数名の女性の人生は,妙に貧しく物悲しい雰囲気がただよっている。

だが,このトーンの異なるグレーで描かれた絵画のような”華の無さ”が,「吉敷刑事シリーズ」の良さじゃないかと思う。

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物語が進むと,現在と過去の事件の関連が見えてくる。犯人の情念も感じられるが,やはり圧巻なのは,作品が始まる前に死んでしまった女性が,人生を通じて表現していた欲望だろう。



最後に香るかすかな甘さがいいと思うな。








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Last updated  2008.06.27 00:18:13
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