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2008.07.19
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カテゴリ: びしびし本格推理
島田荘司の「吉敷刑事シリーズ」の中で社会派と言われている作品を読んだ。

○ストーリー
上野駅に到着した上越新幹線に座っていた女性は花束に囲まれたまま死んでいた。数分後隣に到着した東北新幹線の向かいとなる席には,男性の死体があった。新潟と盛岡から流れ着いた2人は,心中なのか,殺人なのか?さらにこの2人は,盛岡で起きたいじめにより自殺した中学生の事件に深く関わっていることが判明した。果たして事件の謎は?

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この作品での吉敷刑事は,全くと言っていいほど役に立たない。推理はことごとく外れ,一般市民を意味無く恫喝し,無駄に動き回り,連続殺人事件の阻止に失敗する。それだけではなく,中学生の少年少女への聞き込みも不器用ゆえにうまく出来ず,地元の気がいい菊地刑事が助けてくれる。

確かにいじめ問題というのはやるせないものだ。事件となるまでは表に出ないことが多く,また不幸にして事件となったとしても,誰から誰までが加害者や扇動者で,誰からが傍観者だったなんて,特定できるはずが無い。

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この作品には印象的な2人の女性が登場する。自殺をした少年の母親・木山法子と,少年と親しかったクラスメートの鳥越ゆかりだ。この作品では,いつも優秀な吉敷刑事も,聞き込み一つできない体たらくだが,この2人の女性がかなりエキセントリックだ,ということも影響している。

この2人はよく似ていて,いつもは大人しいのだけど,思い込みの激しいタイプで,しかも破滅型のようだ。とっつきにくさ,扱いにくさ,が妙にリアルで,島田荘司の苦い経験が入っているのでは?と思ってしまうのは邪推だろうか?



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この作品で,いつもは時刻表と”刑事の勘と経験”で事件を解決してみせる吉敷刑事が冴えないのも,「いじめ問題は理詰めでは解決しない」という島田荘司の考え方の現われなんだと思う。

ただ吉敷刑事の空回りに,読者まで延々とつき合わさせるのはどうかと思うし,いじめというクラスの中の社会問題を,たった一人の加害者の責任にしてしまって片付けているのは,本当の解決ではないと思う。

欠点は多いけど,意欲的な作品だと思った。










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Last updated  2008.07.21 23:52:03
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