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2009.03.11
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久しぶりに西澤保彦のミステリーを読んだ。

○ストーリー
羽村祐太は50才直前だが早期退職制度を活用し休職中の身だ。親も家族もなく,たった1人で一軒家に住む彼の元に少しずつ相談ごとが持ちかけられる。祐太はどのように依頼者の悩みを解決しているのか?

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西澤保彦は,変わった設定を導入したアクロバティックなミステリーを書くことで有名になった。最近はそこから作風の幅を広げ,ユーモアミステリーやカッチリしたパズラーミステリーも著している。

作品に大きく関わるテーマとして,ジェンダー問題やフェティシズムを扱うことも多い。この作品は,さしずめ「熟年ミステリー」とでも言えるのではないだろうか?基本は羽村祐太とその知人をめぐるシリーズなのだが,ほとんどの作品で50才前後の登場人物が抱える問題を扱っている。

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ミステリーは何も若い世代が登場人物でないと成立しないワケではない。ただ若い読者層にアピールするためには,中年ばかり登場させても人気は出ない,と言うのは理解できる。またミステリーというジャンルは,謎解きのパズルゲームと言う要素があるので,あまり生活のニオイが強い物語とは相性が良くない。結果的に,ミステリーで扱われるテーマとして,熟年という親からも子からもしばられている世代に関連するものは少なくなっていると思う。

50才前後と言うと当然老人ではないが,自分の親が70才を越えており,病気やボケという症状を示していることが多い。また一方で子どもが10代後半で進学問題があったりコミュニケーションギャップを抱えていることもある。



もっと小粒でもいいので,崩しようのないロジックで読者をうならせるような作品を,また書いてもらえないか,と思う。

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各編について
「迷いゴミ」:無職となった祐太に昔のクラスメート・理津子がアルバイトの話を持ちかける。だがそれはゴミを仕分けるという不思議な仕事だった。・・・最初の作品なので,多少戸惑ったが,終わってみれば短い中に登場人物の紹介とミステリーを上手に配した良い作品だ。

「戻る黄昏」:老いた宗則のところに次男が自分の自動車を駐車させてもらいたいと言ってくる。だが次男の家の近辺にも駐車をするスペースはあるはずなのだ・・・老人の食生活問題を浮き彫りにするためとは言えマクロビオティック(玄米を主食にしたベジタリアン食餌療法)の説明が長い。宗則視点の物語はなかなかツライものがあり,ちょっとへこむ。

「その日、最後に見た顔は」:夫と共に故郷に戻ってきた陶子は,かつて同じ町内に住んでいた祐太と再会する。彼と話すうちに,陶子は30年近く前の事件を思い出し,隠れていた事柄に気付く。・・・作品の中で一番これまでの西澤ミステリーらしい短編だ。熟年ならではの夫と子の問題も盛り込まれているが,ややオマケ的だ。

「幸福の外側」:宗則の次男・博雄は,若く美しい妻の不思議な行動に不審を持つ。果たしてその真相とは?・・・「戻る黄昏」の続編となっている。博雄が語り手となっているが,男性に厳しい西澤作品にしては,多少救いがある終わり方ではないだろうか?

「卒業」:理津子の娘・詩織は,祐太のゴミ仕分けを手伝ううちに彼に惹かれてしまう。傲慢な父と優しい祐太を比べる詩織は,あることに気付いてしまう。・・・初めて子ども世代の側から熟年世代の問題が語られる。さすがにミステリーとしては薄味だ。

「夢は枯れ野をかけめぐる」:宗則の長女・佐智子が事故に遭い危篤状態となっている。彼女を見舞った祐太に,佐智子は結婚を申し出るのだが・・・この作品で輝いていたただ1人の人がすっかり,という内容にはショックを受けた。ミステリーの部分はそれほど隠そうとされていないので,西澤ファンなら早々に気付くと思う。










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Last updated  2009.03.14 14:09:28
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