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2009.03.13
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カテゴリ: びしびし本格推理
有栖川有栖の人気シリーズ「犯罪学者・火村准教授」の短編集を読んだ。

○ストーリー
京都で女性が絞殺され,しばらくすると大阪府警に「これは火村英生に捧げる犯罪だ」という挑戦状が届く。一方,有栖川有栖のもとにも怪電話が相次ぐ。火村と有栖川それぞれへの攻撃に隠された目的とは?

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英都大学のミステリークラブのメンバーが活躍する「探偵・江神二郎シリーズ」の新作が15年ぶりに発表されたが,有栖川有栖と言えば「火村英生」だと思う。そういう意味では,この作品は,新本格ミステリーの直球ど真ん中だ。

ではどんな意外なミステリーが展開され,どれほど豪快なトリックが説明されたか?というと,どれもかなり小粒で大人しい。ミステリーファンとしては,間取り図とか配置図があるだけでワクワクしてしまうが,それが8作のうちの1作にしか登場しない。

ある意味この品行方正なところが有栖川らしいとも言えるが,この人にはどうしてもより多くを期待してしまうので,肩透かしを食らわされた気分になる。

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この作品の欠点の1つは,もともとはウェブ上の短編として発表されショートショートとでも呼ぶような短い短編が4つも収められていることだろう。物理的に短い作品に多くの情報は詰め込めないので,どうしても短編ミステリーのトリックはシンプルなものになる。



また火村英生の名前が冠されている表題作が,ただの短編だったのには驚いた。探偵の名前を付けしかも表題作なのに,早々に終わってしまう。これから登場するライバルが短編で登場?火村と有栖川を知り尽くした変質者?とかいろいろ考えてしまった自分がアホだ。

これにも軽くだまされた感が残るので,作品の印象を落としてしまっていると思う。

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批判ばかり書いてしまったが,僕自身は火村シリーズは短編で,江神シリーズは長編で,という棲み分けでもいいと思っているくらい火村シリーズの短編は好きだ。

20代の頃と違って情感あふれる作品は書きづらいのは分かるが,それでもストレートな有栖川作品をもっと読みたいと思う。

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各編について簡単に述べる。
「長い影」:工場から出てきた男の長い影,だが犯人と思われる男はそこで消えてしまった。・・・なんだか冒頭から昭和のニオイのする作品で驚いた。トリックが実現困難そうな気がするが,「長い影」の本当の意味と言う部分でだいぶ印象が改善した。

「鸚鵡返し」:殺人事件の部屋にいたペットのオウムが語った犯人の名前とは?・・・正直このネタは古い。それをあえて扱う勇気は素晴らしい。

「あるいは四風荘殺人事件」:社会派ミステリーの重鎮の遺作から火村が読み取った真実とは?・・・せっかくの少ない本格ミステリーなのに,どうして『他の人の作品』という小説内設定が必要なのだろうか?照れなんだろうか?そんなワンクッションは不要だと思う。

「殺意と善意の顛末」:あるマンションで起きた殺人事件の容疑者は他の階の住人だった。一切の証拠がない部屋から出てきたものとは?・・・詳しくは書けないが,建設系エンジニアから言わせると,このトリックは本当はまず成り立たない。



「火村英生に捧げる犯罪」:火村英生に送られてきた挑戦状は戦慄の連続殺人への予告なのか?・・・期待が大きかっただけに裏切られた気持ちが出てしまう作品だ。この作品タイトルはまだ温存しておくべきだったと思う。で,火村准教授の一般的な知名度ってどうなっている設定なんだろう?

「殺風景な部屋」:地下室で殺された男が撮っていた写真はダイイングメッセージなのか?・・・これは脱力系だ。

「雷雨の庭で」:仲間と共同作業をしていた脚本家の隣家で死体が発見される。しかもそれは脚本家といさかいを起こしていた男のものだった。果たして鉄壁のアリバイは巧妙に造られたものなのか?・・・新しい技術も導入しているしムダの無いいい作品だと思う。だがところどころ不自然な描写があり,それが直接トリックの真相だ。有栖川有栖が正直な性格と言うのは分かるが,もう少しうまく描写できないのか?





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Last updated  2009.03.14 18:05:42
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