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2009.09.26
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カテゴリ: びしびし本格推理
アメリカで暮らしている島田荘司が,ニューヨークへの愛を込めて著したミステリーを読んだ。

○ストーリー
アメリカの宝とも呼ばれた,かつてのブロードウェイの大女優が死に臨み,若き御手洗潔に挑戦状を突きつける。「50年前の停電の夜に34階にいながら,1階にいる人を射殺したのは自分だ」と。物語は1910年代と60年代を行き来しながら進む。数々の怪談が残る38階建ての摩天楼・セントラル・パーク・タワーで,謎が解けたとき人々が目にしたものとは?

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島田荘司は長いことアメリカで暮らしているらしいが,ロスアンゼルスをベースにしているらしい。だからロスを舞台にした作品はいくつかあるし,映画界を扱った作品もある。〈御手洗潔シリーズ〉でも,女優・松崎レオナが登場する作品などは,その特徴が当てはまる。

この作品はニューヨークを舞台にしているだけでなく,ニューヨークの都市の計画,摩天楼と呼ばれる高層建築の発展,ブロードウェイの演劇の歴史などを語りながら進む。都市計画の研究書めいた部分があり,俯瞰的なアプローチそのものが島田荘司のニューヨークへの距離感を表しているように思えた。

ただし,このアプローチは今回とても良い方向に働いている。島田荘司が行った大量の資料収集と歴史の調査は,彼の中できちんと消化され,この作品で見事にミステリーと一体になって果実となっている。

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言うまでもなくこの作品はミュージカル『オペラ座の怪人』にインスパイアされている。作品には顔の半面をマスクで隠した”ファントム”まで登場するので,かなりストレートな類似だ。



21世紀の今からこの時期を振り返ると,どうしても濃いノスタルジーを抱いていしまいがちだが,そうならない視点で踏みとどまっていることも,作品成功の理由の1つだろう。

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さて,この700ページの長い作品は,ミステリーとしてはワンアイディアで勝負している。ただ他の島田荘司作品と同様に,物語内部でのウソがあまりにも大きいので,呆れるよりも感心させられてしまう。

今回のたった1つのウソは,壮大でかつ美しい。この光景を想像し,かつ読者にも見せてしまう島田荘司の巨大な才能にはまったく恐れ入った。

ドレッシング紛失の理由を考えるとちょっと笑えてしまうが。












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Last updated  2009.09.27 16:05:55
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