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2009.10.27
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カテゴリ: びしびし本格推理
”古き良き御手洗シリーズ”の中編2つが収められている作品を読んだ。

○ストーリー
横浜の馬車道を散歩していた御手洗と石岡は,鎌倉の町で起きたという宇宙人の戦争とUFOの往来について調査を依頼される。しかもその現場の近くでは,宇宙服に見える白装束の男性が密室で息絶えていた。果たして御手洗は,次の殺人を阻止できるのだろうか?

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「UFO大通り」と「傘を折る女」の中編2つが収められている。この2つの小説は,中編という発表形式,御手洗と石岡が横浜で暮らしていた頃という状況,また他の点で共通事項が多い。

古くからのファンは,「御手洗シリーズ」が「吉敷刑事シリーズ」の影に隠れて,短編をメインに書き継がれていた頃を思い出して懐かしく思うことだろう。

この作品が刊行された数ヶ月前に,「帝都衛星軌道」という作品も刊行されている。「帝都衛星軌道」は,新作長編の中に10年以上前に執筆された短編が挟まれている,という変わった構成となっているが,こうした”昔の作品”の発掘作業が行われている一方で,20年近く前のような御手洗作品が執筆されているのは,どこか呼応する部分があるような気がする。

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2つの小説とも中編らしく,うまくまとまっている。よく言えば破綻なくキッチリと収束しているが,悪く言えば1アイディアならば短編のところを,1.5アイディアとすることで中編として”持たせている”という印象がある。



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「UFO大通り」で目立つのは,御手洗潔の相手による態度の急変ぶりだ。古いタイプの刑事と石岡に対してはひどく冷たく,幼女と老女に対してはどこまでも優しい。

本当の20年前の「御手洗シリーズ」では,御手洗は犬だけに優しい,という設定だと記憶しているが,女性ファンの急増に合わせて設定が変更されたらしい。

一方で,この御手洗は,大人の女性に対してはどこか底意地の悪い態度を取っており,彼女が不幸な状況になっても同情している様子が感じられず,やや人間としてどうかな?というキャラクターとなっている。

そこでひるがえって少し考えてみれば,設定としては幼女も老女もかなり知能が低いことになっており,やや驚きを隠せない。

ミステリーとしては,意図的な誘導のために,宇宙人からの電磁波攻撃か?と疑ってしまうように出来ており,その巧みな構成力には見事にだまされた。

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「傘を折る女」は,ラジオのリスナーが見かけた「傘を折る女」の逸話から,御手洗潔がロジックを膨らませる,という構成だが,途中から犯人の叙述スタイルになることが島田作品としては珍しい。

再び御手洗たちが登場する場面に戻って,一件落着と思ったら実は???という流れは面白いと思った。偶然の要素は多いのだが,ミステリーとしての驚きは,こちらの中編の方が大きいように感じた。

さらに挙げるならば,この中編の魅力は,御手洗潔が一度は間違えたように見えることだろう。自信満々で,ある意味鼻持ちなら無い御手洗潔が,一瞬解決を間違えた,と思わせておいて,その後にキチンと解決をするテクニックもなかなかだ。

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島田作品ならば何でもほめる島田ファンたちも,さすがにこの作品に関しては辛口評価が多いようだ。








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Last updated  2009.10.27 23:35:37
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