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2009.11.24
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カテゴリ: びしびし本格推理
パズラー型ミステリーの旗手,西澤保彦の短編集を読んだ。

○ストーリー
彼女をもてあそんだ憎き男を殺す--僕にそれを持ちかけてきたのはクロイシだった。だがクロイシがホテルで死体として発見されたとき,僕の中に怖ろしい疑惑が起き始める。

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”何事も極端まで進めないと気がすまない”,それが僕が西澤保彦に対して持っている印象だ。デビュー当時のSFとミステリーの統合,「匠千暁シリーズ」の対話ロジックミステリー,その後も自然食健康法,レスビアン,嫁姑の確執など,とことんまであるテーマを突き進め,ミステリー作品に仕上げている。

ガチガチなミステリー短編集だった「パズラー」まではいかないものの,この作品はかなり本格ミステリーを意識している。最近の西澤作品に見られる登場人物や設定の極端さ,ブラックさは薄まり,読みやすい作品となっている。

とは言え,初めての人には嫌悪感を感じさせるくらい刺激的かもしれないが。

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各編について簡単に述べる。


「迷い込んだ死神」:山の中で死のうと思っていた男が迷い込んだのは豪華な別荘だった。そこで出会った不思議な一家の正体とは?・・・ブラックな味わいなのだが,主人公がフツーの人なので読みやすい。

「未開封」:連続殺人事件の被害者に共通するのは〈静香〉という名前だった。・・・”未開封”から受けたイメージを人間にまで当てはめてしまうことから成立している短編だ。その感覚がすでにフェティシズムで,西澤保彦の異常性が目立つ作品だ。

「死に損」:友人の披露宴に出席するために故郷を訪れた女性が殺害された。容疑者は拘留されたが,事件のきっかけが分からない。だが明らかになってきた残酷な過去は・・・ディテールへの不必要なこだわり,ユーモアなの判断に苦しむ登場人物たちの極端な行動,と欠点が目立つ短編でありながら,ラストの意外性のおかげで面白いものに仕上がっている。

「九のつく歳」:39才になった私は,街を離れようと決心をする。だが訪ねてきた刑事は私のことをすべて知っていた。そこから明らかになった事件の真実とは?・・・”どうしてそれが分かるのか?”という謎が徐々に明らかになり,さらに事件が,という展開は楽しめる。結末はやや投げやりな印象。

「動機、そして沈黙」:長患いだった母親の葬式を終えた妻をねぎらう霧島刑事は,時効の迫る〈平成の切り裂きジャック事件〉について考える。眠れないまま夫婦で事件について語り合ううちに,ある新しいことに気付き,そして・・・中編の長さがあり読み応えがある。同じ短編集でやや似たような設定の作品があるのは良くなく,損をしている。だが西澤作品らしいロジックの積み上げ,徐々に見えてくる人間の怖さが満喫でき,短編集のタイトルになった理由に納得が行く。間違いなくベスト作品だ。








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Last updated  2009.11.28 12:34:31
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