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2009.11.30
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カテゴリ: ばくばく冒険小説
小さな文豪・森見登美彦による名作各編の語り直しを読んだ。

○ストーリー
自分たちが所属する「詭弁論部」の部室の存続をかけ,公衆の面前で桃色ブリーフのみで踊る--阿呆学生のメロスは,友人のセリナを人質にしておきながら,ちゃっかりと京都の街を逃げ切ろうとするのだった。

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森見登美彦が史上の文豪の5作品に対して,パスティーシュを書き,連作短編集としてまとめ上げた作品だ。全て京都のダメ学生を主人公に置き換えた森見ワールドに変貌しているのだが,きちんと元の作品への尊敬の念にあふれている。

また,最後の「百物語」でゆるやかにつながるという趣向,森見登美彦の他の作品にもつながる趣向もあり,ファンにはたまらない作品だと言える。

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同じパスティーシュとは言え,「走れメロス」はパロディのトーンが強いが,「桜の森の満開の下」などは元の作品にインスパイアされた文学作品ともとる事が可能で,様々方向からアプローチがされていて面白い。

ダメ学生たちを主人公にした自虐的なギャグ小説で有名になった森見登美彦の,ブンガクシャとしても別の面が垣間見える。



僕は文庫版で読んだのだが,どうやら「走れメロス」の足跡が記された地図が付属しているのはこの版だけのようだ。京都通でないと着いていけない地名のオンパレードは毎回のことだが,地図の付すのはとても親切でありがたい。

僕も年に1回京都に行っているのだが,この地図が無かったらここまで楽しめたかどうかは大いに疑問だ。

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各編について簡単に述べる。
「山月記」:大文学作品を執筆するために全てをなげうっていたはずの斉藤が失踪した。彼は大文字山で天狗となって暮らしているらしいのだが・・・”樋口先輩”の誕生秘話かと思えば,天狗もなかなかマジメに悩んでいて,まだまだ青いカンジだ。「聖なる怠け者の冒険」にも登場する夏目がサブ主人公だ。

「藪の中」:映画サークルの鵜山は,なぜ恋人と彼女の元の彼氏との恋愛映画を撮影したのか?・・・パロディ作品と思わせて,なかなか純文学をしている。

「走れメロス」:いもしない姉の結婚式をデッチ上げて逃げ回るメロス。だが彼とセリナの間の友情の真実とは?・・・表題作に恥じない芯の通った阿呆学生の物語だ。一見ただのパロディなのだけれど,別の形の友情を貫いているという意味では,古典の現代的な語り直しとも言える。最後の一行でまた現実に戻るカンジではあるが。

「桜の森の満開の下」:満開の桜の下で出会った彼女は,〈男〉の才能を引き出し,〈男〉を一流の作家に成長させる。だが〈男〉は売れっ子作家の毎日に違和感を抱き始める。・・・いつも通りの雰囲気で始まるのだが,後半は完全に純文学だ。森見の京都への思慕が強くにじみ出ている。

「百物語」:百物語が実際に開催されると聞き,出かけた〈私〉は,誰からも見えない人物を目撃してしまう。・・・これまでの4作品の登場人物が一堂に会する貴重な作品なのだが,残念ながら作品そのもののチカラが弱い。








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Last updated  2009.12.01 23:16:05
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