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2009.12.07
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森見登美彦の”幻想と怪奇”譚を読んだ。

○ストーリー
京都の骨董屋でアルバイトをする私は,うっかりと売約済みの皿を割ってしまう。客先に代わりの品を納めるため,店の女主人は天城という老人を頼る。天城が提供した骨董品で店は事なきを得たが,彼は代償として私の大切なものを次々と奪って行く。京都の暗闇に潜む魔物とは?

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森見登美彦の作品で多いパターンは,おバカな学生たちが下らない事をする,というものだ。最初は呆れてしまうのだが,段々と彼らがいじらしく思え,いつしか応援してしまう,というのが一般的なアプローチではないかと思う。

僕自身も,「夜は短し歩けよ乙女」から始まって,同じような系統の作品を4つ読んできた。ところが今回手にした「きつねのはなし」には驚いた。作風が異なるのだ。純文学に近い幻想小説,と取ればいいのだろうか?面白おかしい表現は少しも登場しない。

読み込んでみると,舞台はいつも通り京都の吉田の辺りであるし,あまり学業に熱心ではない学生も登場するし,随所に他の作品との共通点はある。だが一番大きな違いは,底辺に流れるさみしさ,悲しさだろうか?

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この作品を通して,改めて森見登美彦の京都への愛情を感じた。一方で,本当の京都ではなく,幻想世界の京都に心を奪われている辺りが,逆説的ではあるが,京都以外の出身の人物であると強く感じさせられた。



4つの中編が収録されているが,どれもやや冗長な気がした。もう少しスパッと短くできると思う。

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各編について簡単に述べる。
「きつねのはなし」:骨董屋「芳蓮堂」でアルバイトをする私は,ふとしたことから謎の老人・天城と関わりを持つ。だが天城は次々と私から大切なものを奪ってしまうのだった。・・・登場人物が皆怖い。伝統的な化物譚のモチーフを次々と重ねていって,お祭りのシーンで終わる。なんだか出来すぎだ。

「果実の中の龍」:路上パフォーマーとなっていた兄と再会し,先輩はシルクロードへの旅に出た。旅から戻り,日がな小説を書いている先輩を私は知る。そして,先輩と彼女,私の3人はゆっくりと時間を過ごす。・・・「新釈 走れメロス」の「桜の森の満開の下」を思わせる中編だ。この作品集の中では,一番いつもの森見作品を思い出させるかもしれない。

「魔」:高校の男の子に家庭教師をしている私は,そこの一家,そして彼の幼なじみたちと親しくなる。折りしもその近所では木刀を使った通り魔事件が起きており・・・幼なじみの高校生たちが生き生きと描かれている。夜のシーンも多く,緊迫感がありなかなかの佳作だ。

「水神」:琵琶湖疎水の工事を通じて財を成した曽祖父。祖父が死んだ夜,一族は屋敷の中庭の封印を解こうとするが,そこから姿を現したのは?・・・怪談のモチーフはいくつも重ねられるのだが,似たようなパターンが多く,途中で息切れしてしまう。

なお4編はゆるくつながっていて,連作とも読める。








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Last updated  2009.12.08 22:10:53
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