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2010.02.09
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東直己のメインシリーズ「便利屋」あるいは「ススキノ探偵シリーズ」の最新作を読んだ。

○ストーリー
25年前に事件に巻き込まれていたところを救った女性から,”俺”のところに電話がかかってくる。”俺”は,ヤクザに追われている彼女を,なんとか夕張から札幌へ,札幌から本州へと逃がす。ススキノに戻った”俺”は,女性から託された荷物のおかげで,周り中から命を狙われることになる。そして・・・

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このシリーズでは,日本では珍しいローカル系ハードボイルド小説だ。作者の東直己自身が,北海道の札幌(のススキノ)をベースにしているので,この人の作品のほとんどはそこを舞台にしている。

この「ススキノ探偵シリーズ」は1992年の「探偵はバーにいる」から始まり,今回の作品で10作目となった。第1作は80年代を舞台にしていたが,最近の作品は現代を舞台にしている。なので現実世界では18年が経過したが,作品世界では30年近くが経過しているという,フツーとは逆の現象が起きている。

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10作目の節目という意味があるのかも知れないが,第1作にススキノで一番の美人として登場していたキャラクターが再登場する。(実は,ウロ覚えだったので,どの作品だったかは検索で調べた。)

残念ながら,この”モンロー”という通り名の女性に対して,”俺”の目は厳しい。25年の歳月による容色の衰えも容赦なく見抜くし,水商売っぽいコビに対しても「見苦しい」と感じているようだ。



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物語はカーチェイス,敵のワナ,巨額の荷物,謎の刺客,誘拐などなかなか盛り沢山だ。このシリーズでは,主人公があまり役に立たない,という作品もあったりするのだが,この作品ではアクションでも,知能面でも活躍していて安心させられる。

残念なのは,ラストの収束のさせ方で,後から事件がひっそりと終わっていたことが人々に伝わることになっている。これがうら悲しい展開で,そこそこハッピーな物語だったはずなのに,妙に後味が悪い。

もう少し他のまとめ方があっただろうになあ・・・

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とは言え,インテリヤクザの桐原,”俺”の親友で空手の達人の高田,新聞記者の松尾,元レンジャーのオカマ・アンジェラ,占い婆の濱谷,引退警官の種谷など,シリーズキャラクターが順番に登場する。”俺”の後継者とも言われている省吾は,メールの相手としてだけだが登場した。

さすがにかつて「疾走」で共演したことのある畝原と健三という,東直己の他のシリーズの主人公たちまでは登場しなかったが,10作品目にはふさわしい豪華さだった。









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Last updated  2010.02.11 17:40:03
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