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2010.04.12
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カテゴリ: ばくばく冒険小説
島田荘司の大河小説は,第四話から第二部「アル・ヴァジャイヴ戦記」が開始された。

○ストーリー
滅亡寸前の王都,サラディーンを救うため,王室守備隊はイスラエルを目指し旅立つ。だが5日間の期限内にたどり着くには,死の荒野,アル・ヴァジャイヴを横断しなければならないのだった。若き騎士,ショーンは仲間と共に荒野に降り立ったが?・・・

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太平洋戦争末期の日本の村を舞台にした第一部から一転して,アラビアンナイトのような時代と舞台の第二部が始まった。日本固有の匂いが濃かった第一部から,第二部は突然きらびやかなヨロイをまとって馬を駆るファンタジーへと様相を変えてきた。

ややホラーテイストがあったとは言え,基本は冒険科学小説の枠組みで展開された第一部だったが,第二部は「クラシカル・ファンタジー」の題名通りのファンタジーのようだ。”イスラエル”,”紅海”という実在の地名が登場するものの,主人公たちを襲う”恐竜”,”翼竜”そしてイスラエルで待つという”女神”などが,これが歴史小説ではなくファンタジーであることを雄弁に語っている。

第二部の舞台は知っていたので,てっきり島田荘司がミステリー作品の中に時々取り込む歴史小説として展開されるのだと思っていたが,その予想は早々に外れた。あえてファンタジー特有の言葉を並べることで,積極的に空想世界の物語であることを読者に伝えようとしているような印象を受けた。

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物語はとにかく急ピッチで進む。たった一冊のあいだで,恐竜の巣を抜け,蛮族の追撃をかわし,第一の砦にたどり着き,次の砦へと向かう。あのゆっくりとした第一部の三冊分は軽く越えている盛り沢山の内容だ。



あまりにも話が急展開するので,主人公のショーンにさえ,まだしっくりと馴染めないような印象を受けた。

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イラストに士郎正宗が起用されていることで,僕自身もこのシリーズの購入を決めた。もちろん濃厚で奥行きのある映像はさすが士郎正宗だが,第一部ではその才能を活かしきれていない気がした。

アラビアンナイト風の冒険活劇となった第二部では,イラストにも広がりと動きがあり,士郎正宗の本領発揮という気がした。また第一部以上にイラストと本文が相乗効果を生む版組みとなっていて,講談社Boxの価値が強く感じられた。

ショーンたち騎兵のヨロイの輝きなど,少し昔では表現できなかったよなあ。

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今のところ,主人公が「ぼく」という一人称を使うという共通点以外は,第一部とのつながりは1つも読み取れない。この先どうやってまとめるのだろう?と不安になるが,島田荘司は豪腕でキッチリと話に収拾をつける人なので,その点はハラハラしつつも,どこかで安心をしている。

少し細かい話だが,第一部では違和感の無かった「ぼく」の活用だが,精鋭部隊である王室守備隊騎兵のショーンが使うのは不思議な気がした。











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Last updated  2010.04.12 22:06:57
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