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2010.08.04
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カテゴリ: びしびし本格推理
石持浅海が何回もチャレンジしている「新しいタイプのミステリー」を読んだ。

○ストーリー
ガンにおかされ余命6ヶ月であることを知らされたソル電機の社長・日向(ひなた)は,変わった形の自殺を計画する。彼は4人の社員を会社の保養所で開催する泊まり込みの研修に招集する。保養所には殺人を決行するために十分な状況を整えてあり,社員の1人には日向に復讐をするという動機があった。だが,なぜか日向の殺人の準備を,ことごとく無効にしていく人物がいた。

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主人公の日向(ひなた)は,ある人物の自分に対する怒りを感じており,あえてその人物に殺されようとしている。主人公が被害者でありながら,殺人の準備をし,事件発生までを描く,という点が”新しい”。

日向が手の込んだ自殺を図るのには,過去に犯した2つの罪という理由がある。もう余命が無く,彼の死を悲しむ遺族もいない,ということを考えると,完全に否定はできない行為だ。

だから日向の物語については,まあありかなと思う。

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問題が生じるのは殺人者に予定されている若者だ。彼は日向が犯した罪の1つを知っていて,殺意を抱いている。だがその時点で,もう物語はおかしい。



なぜ彼が日向の2つ目の罪を知っている,という設定にしなかったのかが理解できない。それならばまだ納得がいった。

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さらなる問題は,探偵の採る行動だ。と言っても,石持作品の探偵はかなり共通してこの行動を採るので,いまさら驚かないが。

探偵は事件(この作品の場合は殺人事件の準備)を知り,捜査し,ある程度までは阻止をしようとするのだが,結局それを告発しようとはしない。罪は暴くのだが,個人的な判断にもとづき罰は与えようとしない。

いつもの作品であれば,もう悲劇は起きてしまったので,犯人には別の形で罪を償ってもらう,という理由が成り立った。だがこの作品ではまだ犯罪は起きていないので,それを最後まで阻止しようとしないのは,いつも以上に傲慢な所業だと感じた。

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石持作品も少しずつ独善的な空気が薄れてきたと思っていた。この作品も設定に問題はあるものの,フツーの登場人物で描かれている,と感じて読んでいたら,最後に初期作品と同一の,良いルックス,良い性格,バツグンの頭脳,そしていいように他人を操り,自分の基準で善悪を判断する,という探偵が登場してしまって,一気に気持ちがなえた。

それもそのはず,この作品の探偵役は,「扉は閉ざされたまま」での探偵役と同じ人物なのだ。そう言えば,装丁が良く似ていたが,あれほどの緊迫感は無いまま,あの読後感の悪さだけはしっかりと受け継いでいる。










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Last updated  2010.08.05 23:10:01
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