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2010.08.31
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人が死なないミステリーを書く米澤穂信のゴシックホラーを読んだ。

○ストーリー
ようやく近代化が進みつつある時代,伝統ある旧家で暮らす娘たち,使用人たちは,家を守るため誰よりも強かった。時には秩序を守るために普通ではない手段も取られるのだった。

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日常ミステリー,青春ミステリーを売りとしている米澤穂信だが,こんなダークで重厚な物語を描くとはオドロキだった。しかもそれが付け焼刃ではなく,きちんと大正や昭和初期の建物,文学,作法の空気が伝わってくる厚みのある作品に仕上がっている。

まだまだ才能を隠していたのだと,感服した。

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作品は和風のゴシックホラーなので,人死には出る。かなり出る。なんと言うか,日頃ガマンしている(?)分だけ,余計に出ているカンジだ。

けれども戦前の旧家という設定なので,それほど死者の登場に対して違和感が無いの事実。現代の高校で殺人が起きるよりははるかに自然だ。



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作品全体を,大学の読書会「バベルの会」という共通のモチーフがつないでいるが,あくまでもゆるやかなリンクだ。

むしろ共通した作品の空気を楽しむべきだろう。

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各編について簡単に述べる。
「身内に不幸がありまして」:丹山吹子お嬢様の付き人として幼い頃より召抱えられた夕日は,吹子と秘密の本棚も共有していた。やがて2人は育ち,大学に通い始めた吹子は,読書サークル「バベルの会」に参加する。だが初めての外泊となる合宿の直前・・・ラストでの世界観の逆転が素晴らしい。巧い!

「北の館の罪人」:妾の娘として身を寄せた六綱家で,アマリは北の館で謎の青年の世話をすることとなる。だが青年が描いた油絵は,ある秘密を語っていた。・・・もっと恐ろしいことが起きるのではないかとドキドキした。美しい短編だ。

「山荘秘聞」:辰野家が神垣内連峰に持つ別荘「飛鶏館」の管理人・屋島。彼女は誰も訪れない別荘を,たった1人で完璧に維持していた。だがある時,連峰の崖の下で遭難者が発見される。そこで彼女が考えたのは・・・いろいろミステリー要素はあるけど,キングの名作『○○○ー』だよなあ。

「玉野五十鈴の誉れ」:祖母が支配する旧家・小栗家の次期当主として期待される純香(すみか)は,同い年の侍女・五十鈴をあてがわれる。だが共に育った3年,そして東京に出た数ヶ月の日々は,ふるさとで起きた事件で幕を閉じる。帰郷した純香を待っていたのは,地獄のような日々だった。そして・・・単なるホラーを超えて重厚な物語を感じさせる作品だ。

「儚い羊たちの祝宴」:急に金回りが良くなり旧家の人々に肩を並べ始めた大寺家では,一流の家にふさわしい新しい料理人を雇うことにする。だが現れたのは,不思議な女性だった。そしてついに大寺家では・・・多分にファンタジックな作品で,やや他と趣が異なる。






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Last updated  2010.08.31 23:26:49
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