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2010.09.02
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カテゴリ: びしびし本格推理
有栖川有栖が”もう1つの日本”を舞台に送る探偵小説を読んだ。

○ストーリー
行方不明の母親の帰りを待つため,翻訳家の父親と娘のソラは,大阪から母が育った家のある東北の小さな街へと移り住む。それから4年後,女子高生となったソラの住む街で,殺人事件が起きる。ソラは友人と事件を調べ始めるが,それは国から禁止されている行為だった。そしてついに・・・

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有栖川有栖の作品にしては珍しく,背景となる世界観の構築にチカラが入っている。第二次大戦の結果が少しだけ異なったために,北海道が東側の陣営の国,それより南側が西側の陣営の国となった。

西側である”もう1つの日本”も,我々の日本と少しだけ違う。東西陣営が隣接する歴史が続いたため,徴兵制度もあり,より国家権力が強いのだ。

だが我々の日本もこちらへと向かっていないか?少し不安を感じながら,この作品を読んだ。

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とは言え,こうした”もう1つの日本”を舞台にした作品は他にも多くある。僕が読んでいる中でも,東直己の「沈黙の橋」をはじめ,いくつかある。



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ミステリーとしての部分は,どうもこの作品ではメインではないような気がする。最初に軽い日常ミステリーがあったのので,短編ごとに謎解きがあるのかと思ったら,それ以降は長々とある事件を追っているだけで,あまり爽快感は無い。連作短編風に始まって,フツーの長編に変わっており,なんとなく落ち着かない。

誤解の無いように述べておくと,長編部分のミステリーのトリックは,さすが有栖川有栖という,ロジカルで,隙の無いものだった。豪快さもあり,素晴らしいと思ったのだが,結局作品としては大きなスケールを目指したのか,主人公の女子高生の日常を描きたかったのか,どうしてもブレを感じた。

また結局,”東側”が背景に留まるのが,物語として弱いままの理由のような気がした。

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我々の日本に対して違う方向から光を当てることで,様々な面白い視点を持つことが可能なのに,時間をかけて作り上げた設定を活かす前に物語が終わっているような印象が強い。

せっかくある事件が解決するのだが,それなりの爽快感が味わえるところなのに,主人公たちが別の状況に巻き込まれ,そのまま終わってしまうというのが,なんとも落ち着かない。

主人公のソラの両親の過去をめぐる謎もそのままなので,続編を期待したいところだが,なんだかそれもダメになりそうで不安もよぎる。

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有栖川有栖としては間違いなく新境地で楽しめるが,もう1つインパクトは薄かったかな?









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Last updated  2010.09.03 23:16:30
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