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2010.12.14
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カテゴリ: ばくばく冒険小説
鯨統一郎の旧作発掘チャレンジの2つ目を読んだ。

○ストーリー
〈あなた〉は,気付くと記憶を失って街中にいた。だが,ゆっくりと戻ってきた記憶と,今いる世界は微妙に違う。どうやら〈あなた〉は自分の世界を救うために,3つのキャンディを手に入れなければならないらしい。だがキャンディは鬼神と呼ばれる人々の手にあった。〈あなた〉は,仲間と共に冒険を始める。

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2001年に発表されたSF作品だ。鯨統一郎にとっては初のSFなのだが,驚くほどさらりと書かれている。よく言えば洒脱,悪く言えば脱力系だ。

最初のSFでこうしたタイプの作品を書いてしまうのは,ある意味大物だ。

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主人公が世界を救う,という使命を帯びているのは,冒険小説のパターンだ。けれども,それにしても恵まれている。何の説明も無く,(1)身体能力が上がっていて怪力となっている,(2)やたらとモテモテ,(3)世界の秘密を知る長老が指導してくれる,と,いいことづくめだ。

主人公が自分の世界を救うためには,今いる世界でできた仲間を見殺しにしなければならない,というジレンマがキチンとあるのだが,あまりにも話の展開が早くて,そうした悩みは深く検討できないまま進んでしまう。



ちょっと疲れてしまうような笑えないダジャレと,本筋と関係なくムダに(しかもちょっとだけ)エロいシーンが頻発し,軽さが突き抜けている印象だ。

ひたすらスラップスティック,というSF。鯨作品をコンプリートしたい人にしかオススメはできない。







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Last updated  2010.12.14 23:18:07
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