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2011.04.07
カテゴリ： がちがちハードボイルド
逢坂剛の小悪党刑事の物語を読んだ。
○ストーリー
東京のど真ん中にある御茶ノ水署の生活安全課保安二係は，斉木と梢田の2人で成り立っている。2人の共通したポリシーは1つ，「いかに楽をするか」。御茶ノ水署で鼻つまみ者の2人は，ひとびとをアッと言わせる活躍をするのか？
－－－－－－－－－－－－
〈御茶ノ水署シリーズ〉の第1作だ。
ハードな男たちを描くことが多い逢坂剛だが，珍しくライト系の作品だ。主人公の2人は，小悪党の刑事だ。片方がずる賢くて，片方が体力があるらしいが，この1冊を読む限りでは，2人の差がよく分からない。どちらも楽して良い思いをしようとする小ズルイ男だ。
ただし，こうした考え方は軽蔑はされるけど，誰もが持っている気持ちだ。だからこの2人はどこか憎めない。
〈禿鷹シリーズ〉の主人公・ハゲタカこと禿富もいわゆる悪徳刑事だった。ハゲタカは，ヤクザをあごで使い，上司のキャリア警視の弱み握り，とにかく無敵の存在だったが，逆にオールマイティ過ぎるという欠点があった。
その分，今回の主人公2人は分かりやすい。ライトに描かれているが，ホントにいそうな気がして怖いくらいだ。
今のところ，生活安全課の2人組以外で，シリーズキャラクターとして，きちんと登場しているのは，刑事課の辻村課長だ。忙しい刑事課の仕事を，どんどんとこの2人組に下請けさせている。
生活安全課の2人は，辻村課長や状況を利用しようと画策するのだけど，毎回うまく使われている，というのがおかしい。この辻村課長，なかなかのしっかり者のようだ。
スペインを舞台にした冒険小説とも，岡坂神策を主人公にした知的な作品とも異なるが，しっかりと物語の骨格ができていて，良質のシリーズだと感じた。
また御茶ノ水，神田，神保町界隈への思い入れがタップリなのも好印象だ。
－－－－－－－－－－－－
各編について簡単に感想を述べる。
「裂けた罠」：御茶ノ水署の管轄で，拷問の末に殺されたと見られる死体が見つかった。だが容疑者の男には，その時間に署に拘束されていたというアリバイがあった。生活安全課の2人はポイントを稼ごうと，容疑者の家を見張るのだが・・・のっけから刑事もののセオリー壊しまくりの短編で驚いた。これが20年以上前の作品だから驚く。斉木・梢田の生活安全課2人組と刑事課の辻村の関係がよく分かる一編だ。
「黒い矢」：若い女性が帰り道，ボーガンで撃たれた。犯人は横を通っていた暴走族だと思われたが，意外な人物が出頭してきた。・・・この話は大体流れが読めたが，最後のヒネリだけは予想外だった。
「公衆電話の女」：生活安全課の2人組は，公衆電話のボックスで客引きをしている売春の話を聞きつける。2人がその女を職質すると，彼女はじゃんけんをしていただけだと主張し始める。・・・最終的には人情話っぽくいい話になっていた。なんだか江戸時代の捕物帳みたいだ。
「危ない消火器」：消防署から来たと偽り，消火器の詰替えを高額で行う業者の苦情が寄せられ，生活安全課の2人は渋々と調査を行う。だが，この事件は意外な展開を見せ始める。・・・短いながら中身がギュッと詰まった印象だ。登場人物も魅力的で，このまま長編にできそう。
「しのびよる月」：生活安全課の梢田に女性が助けを求めてくる。彼女はストーカーの被害に逢っているということだった。梢田は，怪しいコートの男を突き止めるが・・・違和感を感じながら読んでいたが，最後にナットク。うまい・・・そして怖い。
○ストーリー
東京のど真ん中にある御茶ノ水署の生活安全課保安二係は，斉木と梢田の2人で成り立っている。2人の共通したポリシーは1つ，「いかに楽をするか」。御茶ノ水署で鼻つまみ者の2人は，ひとびとをアッと言わせる活躍をするのか？
－－－－－－－－－－－－
〈御茶ノ水署シリーズ〉の第1作だ。
ハードな男たちを描くことが多い逢坂剛だが，珍しくライト系の作品だ。主人公の2人は，小悪党の刑事だ。片方がずる賢くて，片方が体力があるらしいが，この1冊を読む限りでは，2人の差がよく分からない。どちらも楽して良い思いをしようとする小ズルイ男だ。
ただし，こうした考え方は軽蔑はされるけど，誰もが持っている気持ちだ。だからこの2人はどこか憎めない。
〈禿鷹シリーズ〉の主人公・ハゲタカこと禿富もいわゆる悪徳刑事だった。ハゲタカは，ヤクザをあごで使い，上司のキャリア警視の弱み握り，とにかく無敵の存在だったが，逆にオールマイティ過ぎるという欠点があった。
その分，今回の主人公2人は分かりやすい。ライトに描かれているが，ホントにいそうな気がして怖いくらいだ。
今のところ，生活安全課の2人組以外で，シリーズキャラクターとして，きちんと登場しているのは，刑事課の辻村課長だ。忙しい刑事課の仕事を，どんどんとこの2人組に下請けさせている。
生活安全課の2人は，辻村課長や状況を利用しようと画策するのだけど，毎回うまく使われている，というのがおかしい。この辻村課長，なかなかのしっかり者のようだ。
スペインを舞台にした冒険小説とも，岡坂神策を主人公にした知的な作品とも異なるが，しっかりと物語の骨格ができていて，良質のシリーズだと感じた。
また御茶ノ水，神田，神保町界隈への思い入れがタップリなのも好印象だ。
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各編について簡単に感想を述べる。
「裂けた罠」：御茶ノ水署の管轄で，拷問の末に殺されたと見られる死体が見つかった。だが容疑者の男には，その時間に署に拘束されていたというアリバイがあった。生活安全課の2人はポイントを稼ごうと，容疑者の家を見張るのだが・・・のっけから刑事もののセオリー壊しまくりの短編で驚いた。これが20年以上前の作品だから驚く。斉木・梢田の生活安全課2人組と刑事課の辻村の関係がよく分かる一編だ。
「黒い矢」：若い女性が帰り道，ボーガンで撃たれた。犯人は横を通っていた暴走族だと思われたが，意外な人物が出頭してきた。・・・この話は大体流れが読めたが，最後のヒネリだけは予想外だった。
「公衆電話の女」：生活安全課の2人組は，公衆電話のボックスで客引きをしている売春の話を聞きつける。2人がその女を職質すると，彼女はじゃんけんをしていただけだと主張し始める。・・・最終的には人情話っぽくいい話になっていた。なんだか江戸時代の捕物帳みたいだ。
「危ない消火器」：消防署から来たと偽り，消火器の詰替えを高額で行う業者の苦情が寄せられ，生活安全課の2人は渋々と調査を行う。だが，この事件は意外な展開を見せ始める。・・・短いながら中身がギュッと詰まった印象だ。登場人物も魅力的で，このまま長編にできそう。
「しのびよる月」：生活安全課の梢田に女性が助けを求めてくる。彼女はストーカーの被害に逢っているということだった。梢田は，怪しいコートの男を突き止めるが・・・違和感を感じながら読んでいたが，最後にナットク。うまい・・・そして怖い。
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