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カテゴリ: 映画の話
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「今日は“細雪ごっこ”だよね」
という声があがって、皆で笑いました。

桜の季節を迎え、着物姿でお花見を楽しまれる方もいらっしゃることと思います。
おそらく、日本中の桜の下で“細雪ごっこ”という言葉が交わされているのではないでしょうか。

満開の桜と、それに負けず美しい色とりどりの着物。
市川昆監督の映画“細雪”の蒔岡シスターズは、着物好きなら憧れずにはいられない存在。

そもそも谷崎潤一郎の原作自体が、戦時の不自由な中、まるで作家が自らを慰めるように、手に入らなくなったきれいだったもの美味しかったものを、一つひとつ思い出しているような小説ですから、ディテールに凝る市川映画のテイストにはすごくはまっているのだと、見直すたびに思います。

週明けのテレビの芸能ニュースで、市川監督を送る会が催され、石坂浩二が涙ながらに弔辞を読み上げる模様を見ました。



没後、BSで組まれた追悼特集で、上記の作品をまたしみじみと見直した訳ですが、改めて「映像美の巨匠」と言う言葉に嘘はない、と実感しました。

昔は、ちょっとやり過ぎなんじゃないかと感じた映像上の演出。
ですが、何度も観ているうちに、登場人物の心象風景や、映画の中で起こっていること、その場の質感のようなものを、「画面を造りこむ」ことで表現した職人芸なのだと、唸らされます。

生家は没落し、時代は戦争に向かっているのに、いつまでも浮世離れしている蒔岡家の姉妹。
欲得やしがらみにまみれた日常を生きる人々から離れ、一人、違う次元の彼岸に行ってしまったようなおはんさん。
亡くなった父親の想念に囚われ、自分を失っていく松子奥さま・・・

どの人々も印象的で、それは俳優陣の演技そのものよりも、凝ったライティングやソフトフォーカスといった映像のなせる業のように思えてならないのでした。

まあ、私がタイトルに挙げた映画のファンなのは、要するにあの頃の石坂浩二が好きだってことでは?という話もありますが(笑)
「細雪」の三つ揃いのスーツ姿や、「おはん」のやさしいダメ男、今から20年前の石坂浩二には“日本のトニー・レオン”と呼びたくなるような風情があると思うのです・・・

・・・で、「細雪」の中で石坂浩二演じる次女の夫は、百貨店の呉服部長さんという設定なんですね。
あのやわらかい声で“とてもお似合いです”なんて言われたら、私なんて次々財布の紐を緩めてしまいそうです・・・








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最終更新日  2008.04.02 01:21:09
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