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カテゴリ: 映画の話
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家の中に入り込まれたら、命を取られてしまいます。

ミッドランドシネマで上映中の、「シネマ歌舞伎 怪談牡丹燈籠」を観て来ました。

実は、今から20年近く前、私が初めて歌舞伎座へ行った際にかかっていたのが、今回の映画と同じ、仁左衛門(当時孝夫)&玉三郎コンビの「牡丹燈籠」だったのです。

このお芝居、セリフは口語体できっぷの良い江戸弁がポンポン飛び交い、幽霊は出てくるし笑える場面もたっぷり…
「歌舞伎=古臭い、堅苦しい」という固定観念を打ち砕く、一大エンタテイメント。

その上、当時は主役の二人が、お露・新三郎と伴蔵・お峰の二役を早代わりで演じたのですから、さらに観る側の驚きは増したわけです。
こんなに贅沢で面白い演劇があったのか!と、興奮して帰路についたものでした。

今回、改めて3時間の映画でたっぷりと楽しむことが出来て、歌舞伎に魅入られたあの時の気持ちが蘇りました。


冒頭、鮮やかな紅を引いた生きているお露が登場します。
でも不思議なことに、今回演じた七之助さんは、青白く生気を無くした幽霊になってからの方が、美しさを増したように見えました。
それは、以前の舞台で見た時の玉三郎さんも同じだったように思います。
振袖の袂を愛しい新三郎の首元にまとわりつかせ、とり憑いて絶命させる場面の様子…
その、凄絶な美しさは今も脳裏に鮮やかで、スクリーンの七之助さんに、記憶の中の玉三郎さんを重ねて観ていました。

そして、お金に目がくらみ、幽霊に手を貸す形になった伴蔵とお峰の夫婦。
恋人同士の間柄とはまた違う、生活を共にしてきた男女ならではの心情の機微。それが、演じるお二人の一挙手一投足、細やかな表情からひしひしと伝わってきました。

長い歳月、人気のコンビとして数多くの舞台で共演してきた、仁左衛門さんと玉三郎さん。
このお二人ならではの気脈の通じた間柄が、役に存分に命を吹き込んでいると感じます。

演じる側が円熟味を増したのと同様に、この二十年近い歳月を経て、私も夫婦という間柄の妙味を実感するほど年を重ねたのだ…という、不思議な感慨がありました(笑)

【2007年に上演されたこの舞台。稽古中、大詰めの場面の役作りに挑む主演二人のご様子を、 NHKのこちらの番組


プロフェッショナル 仕事の流儀 歌舞伎役者 坂東玉三郎の仕事





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最終更新日  2009.10.26 15:08:41
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