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穴があくほど見つめられたとはこのことか私はその視線に耐えていた。彼女たちの視線が私の頭の髪の毛にむけられていた。自虐的に私は笑みを作っていた。終わりだと思った。やはり秘密は、秘密のままのこしておくべきなのだ。もう一人の自分が自嘲的にささやきかけていた。馬鹿なやつだ。
「それが秘密ですか? それだけですか?」
通訳がいった
私は、笑いをつくっていた。同情なんかいらない。お世辞なんかもいらない。その場を取り繕うすべてのことを拒否したかった。
そんなものだよ。そうなんたよ。もっとうまいこといって金持ちのふりをして日本につれてくればいいのに。要領の悪いやつだもう一人の自分がしきりに私を非難していた。息子(ポコチン)は、困ったように両者をみつめていた。
私は神を憎んでいた。すべての運命が神の名の下にわれわれを支配しているのだったらそんなものはいらない。悪魔と手を結ぼう。
「わかりました それだけですか秘密というのは?」
通訳が聞いた。
私は、開き直ったように彼女に視線をむけていた。
彼女の視線は私の視線とぶつかつた。非難する視線でも軽蔑する視線でもない。自然な視線だった。
「安心しました」
通訳がいった。
「日本に帰っても電話下さい待ってます」
そう通訳が彼女の言葉を受けて言った。
「ええ」
私は、気のない返事をした。
「明日は、子供の学校のことで多分お見送りできません ごめんなさい」
通訳が言った。
「本当に、電話していいんですか、でも日本語わかりませんよね」
私が言うと
「少し英語 少し日本語」
「彼女少し日本語わかりますよ」
「そうですか」
「よろしく大丈夫問題ない」
だどたどしくはあるが彼女から日本語がかえってきた。
「スパシーバ(ありがとう)」と私が言うと屈託なく笑った。
しかしこの先どんな展開になるのかその時は、分からなかった。ぼんやりとした影が忍び寄っていることも。
ホテルにもどって、鏡を覗き込んだ。落胆した自分の顔がくたびれたように笑っていた。
うなだれたポコチンを握った。
きらわれたわけできないし別にどうということでもないだろう。さよなら逆転満塁ホームランだってありうるさ。その時変化が起きた
どうしても彼女を手に入れたい。全身に激しい電流のような痺れがその時走っていた。あの視線が私の中に変化を起こさせていた。
翌日は帰国の日だった。通訳がやってきた。
「ごめんなさい 彼女、これないみたいです これ電話番号です 彼女の、日本帰ったら電話してください待ってます」
「オフコース(もちろん)」
私は英語で何度も大声で叫んでいた。ハバロフスク空港に日本人の変な英語がこだましていた。
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