ユウ君パパのJAZZ三昧日記

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syoukopapa

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2006.12.06
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カテゴリ: 私の小説集
  僕はBeach Boysのクリスマスソングを、今日もかける。これは、ここ数年のお決まりの聖夜の過ごし方になっていた。Beach Boysのイメージからすると、クリスマスに合うはずはなさそうだが、これがなかなかいいのだ。彼らの軽妙なvocalに、僕はクリスマスが来たことを確認する。

  アンジェリーナと会ってまだ10日ばかりで、まさか聖夜の今日、彼女が僕の目の前で踊れる状態にまで回復しているはずはない。頭の中で考えると、そうなる。でも、何故だか判らないが、僕はアンジェリーナが今日目の前で踊ってくれるような気がしてならない。Beach Boysの心地良い音の中で、僕はついウトウトする。こつこつと軽くドアを叩く音。

 「はい、ドアは開いています。」

  サンタが部屋に入るのに困らないよう、ドアは開けっぱなしにしてあった。当たり前だが、僕のアパートには煙突などないのだ。サンタが部屋を間違えないようにと、ゴールドのリボンでまとめたリースを飾っておいた。

 「私です、アンジェリーナです。」

  その快活な声が、僕に手術の結果が好ましいものであったことを告げていた。

  「入ってもいいでしょうか?」
  「もちろん、どうぞ。殺風景な部屋だけど。」

  僕はドアまで行って、アンジェリーナを向かい入れる。白い帽子に真っ赤のカシミアのロングコート。ダークブルーのマフラー。とてもシック。外は随分寒いのだろう。頬はピンク色に火照っている。本当にキュートだ。


  「 ええ、とっても。さっき雪も降り出しました。」
  「 へぇ。ホワイトクリスマスになったんだ。ロマンチックだね。」

  僕は彼女の明るい様子から、大丈夫だったと予想していたので、思い切って聞いてみる。

  「 ところで、足の具合はどう?」
  「 お蔭様でまた踊れる状態にまで回復しました。心配していただいて、どうもありがとうございます。約束通り、今日はあなたに私の踊りを見ていただきたいと思います。」
  「 おめでとう。サンタに願いが通じたんだ。嬉しいな。」
  「 サンタ?」
  「 いや、いや、独りごと、独りごと。バレーの音楽は何がいいかな?」
  「 このクリスマスソング、かわいくて、素敵ですね。」
  「 Beach Boysのクリスマスソング。」
  「 このクリスマスソングに合わせて踊りたいと思います。」



  「 それでは踊ります。」

  アンジェリーナの軽やかなダンス。ゆったりとしているようだが、無駄な動きはない。バレーシューズが彼女の足の一部となっていた。優雅なダンスに僕は圧倒される。この狭い部屋が完璧なバレーホールに変わっていた。そう、アンジェリーナは雪の聖夜にきらめいている。全ての時間が止まったように思えた・・・。

  「 うーん。」

  目をコスル。僕はいつの間にか眠ってしまっていたようだ。今見たアンジェリーナの踊りは、幸せな夢の中の出来事だったのか? いや、違う。鞄の中に入れていたピンクのバレーシューズがない。随分探したが、部屋の中で見つけることは出来ない。やはり、アンジェリーナは僕の目の前で踊ったのだ。 僕はとても幸せな気分だった。またどこかでアンジェリーナがきらめきながらバレーを踊るのを見れると信じているからだ。僕はそんな気持ちのまま、部屋の窓から外を見る。雪は街の光の中で輝きながら、降っている。静かだけど、とても良い音が僕には聞こえる。






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最終更新日  2006.12.25 12:26:11


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