ヴィレーヌのワインは、私にとって、いわば「借り暮らしのアリエッティ」的な立ち位置のワインです。 ドメーヌの正式名称は「A. ET P. DE VILLAINE」。Aは当主オベール氏、Pは伴侶パメラ氏の頭文字です。 「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ社の共同経営者が運営するドメーヌ」という大看板が常について回りますが、そもそも畑の立地がコート・シャロネーズだし、リリースしているワインもメルキュレ、リュリー、ブーズロンのアリゴテ、それにACブルゴーニュの赤白と来て、プライスレンジもすべて5000円以下ですから、ここのワインを飲んでDRCの片鱗を感じようとするのにはさすがに無理があります。 ここで造られるワインたちはむしろ地味といってもよく、良くも悪くも中庸を得た仕上がりです。決してこけおどし的な要素や派手さがあるわけではないし、独特のキャラクターや抗しがたい官能性があるわけでもありません。看板銘柄的な「ブルゴーニュ・コートシャロネーズ・ラ・ディゴワーヌ」や「メルキュレイ・ル・モント」にしても、ワイン誌的な尺度でいえば、せいぜい88~89点ぐらいの点数が精一杯でしょう。