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団子屋1952

2005年12月05日

今晩、仲良くして頂いている（あんずさん）から昔あった硬い塩豆のお話がありました。

昔の事を思い出し書きたくなりました。

２０代の頃、会社が銀座にあり毎晩のように飲み歩いていました。

当時の銀座は高いお店ばかりで普通では私が入れる店などありません。

得意先に安い店を紹介してもらったり、行きつけのビヤーホールの

ボーイさん達から銀座ではありえない超格安のバーや居酒屋を教えて

もらい、それらのお店を飲み歩いていました。

ある雨の降る夜、先輩と何軒も飲んでいましたが何故か気持ち良く

酔えません。

が盛り上がりません。

もう帰ろうと地下鉄駅に向かう途中、見慣れない路地が目にとまりました。

かすかに赤いランプの光が見えます。

まるでＴＶの（笑うセールスマン）に出てくるようなバーの入口です。

中に入るとカウンターのほかに背の高い木製のボックス席が２つ、

壁は年代物のレンガ作り、タイムスリップしたような感じです。

出てきたのはいかにも人の良さそうなマスター。

初めて来たのに久し振りに帰ってきたような懐かしさを覚えました。

ビールを頼むと一緒に出てきたのは（硬い塩豆）、

スナックやバーに行っても、その当時でも（塩豆）を出す店は無かった。

でもこれが店に良く合っていました。

マスターといろんな話で盛り上がりました。

やっと心から酔え、気持ちよく帰る事が出来ました。

その後、頻繁に１人で飲みに通いました。

常連さんとも知り合えました。

マスター、良い人なのですが１つだけ欠点がありました。

（私はマスターと飲むのは好きだったので大歓迎でしたが）

しかし、マスターは店で飲む時は強いのに他のお店では何故かお酒が弱く

飲みに行く度に銀座から新橋までタクシーで送っていくのが恒例になっていました。

二人がかりでホームまで、かついで行きました。

（これも何故か楽しかった。）

その頃、私が立川の営業所に手伝いに行く事になり、しばらくお店にいけなくなりました。

半年後に本社に戻り、久し振りにマスターに会いに行くとお店の前に

カラオケの文字の書かれた看板がありました。

一瞬で嫌な予感がしました。！！

カラオケ嫌いなマスターがカラオケを置くはずが無い。

店に入ると薄暗かった店内がまばゆいばかりの照明に！！

若い人達の賑やかな歌声が聞こえました。

カウンターの中には若い人が入っていました。

話をお聞きすると、その方はマスターの甥っ子さん、

店を引き継ぎカラオケスナックを開いたとの事でした。

マスターは癌で数ヶ月前に亡くなったという事でした。

まだまだ、一緒に飲みたかった。

常連さんが結婚式の二次会をマスターの店で開くと言っていたのに！！

私もその時は参加する約束までしていたのに。

まだ飲み足りないマスターが店の前にいるようで

お店の前で合掌して帰った。

とっても悲しい夜だった。

お店は和光の横の細い路地の真ん中にありました。

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