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久しぶりの更新です。
電力業界の話について少し気になったことがありましたので
少し書いてみます。
以前、少し書いたことがありますが、電力業界では特別高圧の電圧で
送電する場合は、架空電線か地中ケーブルで電気を送りますが、
今回気になっているのは地中ケーブルのこと。
日本電線工業会によれば、今後、油浸紙が調達しにくくなる可能性が
あるようです。
OFケーブルについて、以前少し書いたことがありますが、このケーブルは
電気を流す導体(銅線)の周りに絶縁油を浸透させた「油浸紙」を巻いて
さらにケーブル内に絶縁油を圧入し、ケーブルを保護する外装(シース)を
施して、電気的な絶縁をしているケーブルです。
このような「油浸紙ケーブル」と言われるケーブルの歴史は古く、
SLケーブルなど初期のケーブルは太平洋戦争以前から存在します。
今回、問題になっているのは「油浸紙」を作っている国内唯一のメーカーが
「今までのようにはケーブルメーカーに紙を納品できませんよ」と
悲鳴を上げたこと。
理由は油浸紙の需要が極端に減り、今までのように安定的な生産性を
確保できないことのようです。 それにはOFケーブルの需要の変化が
影響しているとのこと。
背景としては・・・
1970年代までは油浸紙ケーブルは特別高圧送電ケーブルとしては
メジャーで、電力業界等で盛んに使用されていましたが、現在では
CVケーブル(油を必要とせず、架橋ポリエチレンで絶縁しているケーブル)
が一般的となっており、年々、OFケーブルの需要は落ちているようです。
私もリンク先の文書にある需要グラフを見て驚きました。
業界の話をすると、OFケーブルは絶縁油を使用するので、廃棄の際に
PCB検査が必要となったり、ケーブル損傷による油漏れの可能性が
あり、また油の補充なども必要です。
また油を常時給油するための油タンクなど付属設備が多くなり、
設備維持が面倒な点があります。
それに較べてCVケーブルは一度敷設すると、殆どメンテナンスフリーで
25年~30年くらいは持ちます。また最近では50万ボルト用のCVケーブル
も実用化されて、適用線路の条件も殆ど問題ありません。
そのような理由もあって、送電線路の新設はほとんどCVケーブルを
使用する時代です。
OFケーブルを使用せざるを得ないケースとしては、既設の送電線路の
一部を張り替える場合に、既設ケーブルがOFケーブルである場合は
線種統一の観点からOFケーブルを使用する場合があります。
またCVケーブルは単心ケーブルを3相分合わせて、ヨリ合わせるので
1条の外径が大きくなりますが、3心OFケーブルならはるかに外径が
小さいので、既設の細い管路にCV-Tケーブルが入らない場所などで
やむを得ず、OFケーブルを用いる事が稀にあるようです。
個人的にはOFケーブルならケーブルに異常があった場合に
漏油・漏ガス警報の表示が出るので、CVケーブルのように
いきなり地絡する前に、何らかの緊急補修や対策が行える
可能性があるという事で、気に入ってます。
まとまらない話になってすいません。
最後に油浸紙の写真を貼り付けておきます。さようなら。
