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開催日:2024.6.8(土)14:00開演場所 :長野県民文化会館大ホール(2,173名収容)2015年以来、9年ぶりに長野西高校吹奏楽班の定期演奏会に行ってきました。プログラム第1部1.勇気の旗を掲げて2.フロンティア・スピリット3.Redline Tango第2部4.映画「君の名は」ステージ第3部5.ディスコ・キッド6.オーメンズ・オブ・ラブ7.サマータイムシンデレラ8.We are confidenceman9.Soranji10.ディスコパーティー2アンコール11.宝島レポート※大変恐縮ながら、都合により3部からの鑑賞となりましたので、3部からの部分レポートとなります。ディスコ・キッドプログラムに記載はありませんでしたが、ステージオープニングの挨拶といった雰囲気での演奏となりました。曲の途中で3部司会の挨拶が入る形でうまくまとめられており、さらにペンライト配布が曲中で行われるサプライズがありました。オーメンズ・オブ・ラブ恋の予感を意味する楽曲ですが、ビート感のしっかりきいたドラムスのもと強くロック感を感じる演奏と感じました。サマータイムシンデレラ恋の予感つながり!ということで、テレビドラマ「真夏のシンデレラ」の主題歌である緑黄色社会の楽曲の演奏となりました。ソロプレーもあり、J-POPらしいポップなノリがとてもほっこりする楽曲と感じました。We are confidenceman欲望や金をテーマに3人の詐欺師が活躍するドラマ「コンフィデンスマンJP」の曲ですが、「目に見えているものが真実とは限らない…。」という思わせぶりなコメントがあったりと謎を彷彿とさせる雰囲気がありました。こちらの楽曲でもトランペット、クラリネット、トロンボーンによるソロプレーが登場し、大いに盛り上がりました。Soranji吹奏楽班の想い出ムービーとともに演奏されました。また先ほど配布されたペンライトの使用もこちらの曲でという案内がありました。曲の中盤からは三年生7名の紹介が行われ、バラード調の感動的な楽曲の雰囲気の中、しみじみと活動を振り返るひとときになりました。ディスコパーティー22004年リリースのニューサウンズインブラス第32集のディスコ・パーティー2は、ホット・スタッフ~ヴィーナス~ジンギスカンの3曲が収録されており、2003年のディスコ・パーティー1と2005年のディスコ・パーティー3と合わせてディスコ・パーティー3部作の真ん中の作品という形になりますが、もしかすると一番難しいのでは?と感じるポリューム感に圧倒された次第です。宝島ディスコ・パーティー2の後、続けてアンコールに突入しましたが、なんと演奏者が客席に降りてきてバラバラの位置で演奏するというサプライズがありました。こういった芸当はよほど曲に慣れていないとできないものと思うので、お見事と感じました。そしてアルトサクソフォーンの2回目のソロは、指揮台に乗って演奏するなど、あるものを上手に利用して最大の演出効果を上げる工夫がとても素晴らしいと感じました。まとめ今回時間の都合により1部・2部を拝聴できなかったことは大変残念でしたが、途中からでもスムーズに入場できるようスタッフを配置されていて、次の演奏開始時間までアナウンスしていただきとてもありがたかいと感じました。短い時間ではありましたが、とてもよいひとときを楽しませていただけたことに感謝です。
June 8, 2024
開催日:2024.6.8(土) 13:30開演場所 :ホクト文化ホール 中ホール(984名収容)長野市立長野高校吹奏楽部の第12回定期演奏会に行ってきました。プログラム第1部1.アルセナール2.2011年度課題曲2 天国の島3.喜歌劇「こうもり」セレクション第2部4.楽器紹介のためのファンタジーメドレー5.J-BEST '23 ~2023年J-POPベストヒッツスペシャルメドレー~6.J-BEST ~日本を勇気づける名曲たち~(中学・高校合同ステージ)第3部7.INB and 高校文化部コラボショー!8.愛を込めて花束を9.ジャンボリミッキーアンコール10.オーメンズ・オブ・ラブレポートアルセナール先週の演奏会に続いてこの曲がオープニングということで、変わらぬ人気ぶりを感じるとともに、少編成であっても音がしっかり出ている骨太感があり、クリアな演奏がとても心地よく感じました。天国の島感じとすれば、過去課題曲ではさくらのうたの次くらいによく演奏されている印象がありますが、改めて聴いてみると、冒頭のスレイベルの涼しげな音色がとてもいい味を出していること。テンポアップしてからの疾走感がとても格好良いこと。中間部の重厚感。各パートにソロが散りばめられ見せ場もあることが、演奏会向きの曲だなと思いました。喜歌劇「こうもり」セレクション鈴木英史氏のセレクションシリーズは、本当においしいところ取りでよくできていると感じますが、ちょうど今私自身がこの曲のクラリネット版を取り組んでいることもあって、曲の構造もよく似ているので、より親しみを感じながら楽しませていただきました。楽器紹介のためのファンタジーメドレーディズニーのいろいろな楽曲を楽器紹介のために連ねた楽曲で、ディズニー好きにはたまらないところと思いますが、私自身が昨年この曲を演奏した経験から記憶に新しいこともあって、パートのソリでのスタンドプレーの緊張感や、リレーされるさまざまなパートのソリの雰囲気を懐かしく楽しませていただきました。J-BEST '23 ~2023年J-POPベストヒッツスペシャルメドレー~2023年のヒット曲が15曲連なるまさにスペシャルなメドレーですが、ぱっとわかったのがすずめ feat.十明と愛の花の2曲で、自身のJ-POP離れを感じざるを得ないところでしたが、改めてその年の流行りは知っておいた方が良いのかなと感じた次第です。J-BEST ~日本を勇気づける名曲たち~市立長野中学校吹奏楽部と市立長野高校吹奏楽部の合同ステージでの演奏となりました。中高一貫校は、高校の敷地内に中学校が併設される形で増えてきているようですが、高校生・中学生ともに交流による良い刺激があるとのことで、今後ますます増えると良いなと思うところです。そして楽曲は90年代~00年代のJ-POP全盛期の名曲を集めたもので、どちらかというと演奏している高校生・中学生の親世代にマストな曲という印象がありますが、そもそも1800年代の曲がクラシックとして日常的に楽しまれているのが音楽というものなので、演奏している皆さんもおそらくこの名曲たちに触れ、古い曲といった印象は持っていないのではなかろうか?と感じた次第です。INB and 高校文化部コラボショー!1曲目の魔女の宅急便メドレーでは、市立長野中学・高校音楽部とのコラボで、音楽部の皆さんは、指揮をする先生を含めて全員がキキの頭リボンを身に着け、メドレーのエンディングとなる「優しさに包まれたなら」で素晴らしい合唱のコラボがありました。2曲目のとなりのトトロでは、市立長野高校演劇部とのコラボで、めい・さつき・トトロ・お父さん・友達の5人がキャストとして登場し、曲間で作中のシーンの寸劇が披露され、トトロの世界観をより楽しむことができました。愛を込めて花束を部長挨拶を組み込む形での演奏となりました。来場への御礼、顧問の先生方への御礼、二年生・一年生への御礼、三年生の紹介、これからの活動への抱負が語られ、選曲とともに楽曲の尺をほぼ使い切る形でとてもうまくまとめられていると感じました。ジャンボリミッキー冒頭のジャンボリミッキー!のかけ声は、聴衆とともに!ということで、かけ声の練習を2回してからの演奏開始となりました。また振付をつけての立奏での演奏ということで、賑やかで盛り上がり感が半端ないところでした。オーメンズ・オブ・ラブアンコールは「恋の予感」を意味し、宝島に次ぐアンコールの定番曲という印象のある、いずれも真島俊夫氏による編曲により原曲よりはるかに豪華になったことで知られるオーメンズ・オブ・ラブで大きく盛り上がってのフィナーレとなりました。まとめ3つのステージでそれぞれ特徴を持たせる中で、中高合同ステージ、吹奏楽部と音楽部・演劇部とのコラボステージと見どころ聴きどころ満載の演奏会で、さらに表紙を含めて14ページに渡る演奏会パンフレットも曲紹介、パート紹介が読みやすい文字の大きさとレイアウトでまとめられており、素晴らしいと感じました。
June 8, 2024
開催日:2024.6.2(日) 13:30開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容)上田染谷丘高校吹奏楽班 第35回定期演奏会に行ってきました。プログラム開演前A.木管五重奏 brilliant DancesB.金管八重奏 四神降り立つ街に第1部1.行進曲「春」2.フロンティア・スピリット3.M-Vミッション4.乱世の神威 幸村第2部 染吹シネマズ5.サウス・ランパート・ストリート・パレード6.シネマトリロジー~Sky Flight~(ジブリメドレー)7.コードブルー8.輝く未来9.ハリーポッター10.Sing Sing Sing第3部 マーチング11.SHOW ME HOW YOU BURLESQUE12.RUN A WAY BABY13.楽器紹介のためのミッキーマウスマーチ14.パレコンメドレー(海の男達の歌~知恵を持つ海)アンコール15.宝島レポートbrilliant Dancesパンフレットにはロビーコンサートと記載されていましたが、ステージ上での演奏となりました。私的にはロビーコンサートは、いわゆる「づく」が出なくて聴くことなく見送ってしまう方も多く見受けられるので、よりたくさんの方に演奏を聴いていただくためにもこの変更は良い選択と感じました。曲は細かい音符が多い印象ですが、作曲者がダンス曲で定評のある福田洋介氏ということで、こんな曲も作っていたのかと興味深く聴かせていただきました。四神降り立つ街に金管らしいパリッとした音色がとても心地良い演奏で、トランペット×3、ホルン×1、トロンボーン×2、ユーフォニアム×1、チューバ×1という編成から、バランス的にトランペットが浮き上がる曲と感じました。行進曲「春」オープニングは、2019年のコンクール課題曲で福島弘和氏の作品ですが、公募作品ではなくプロの演奏家に委嘱して作られた作品ということで、曲の内容的にとてもよくできている印象があります。特に曲の中盤にある緑のトンネルをイメージさせる部分がよい味を出しており、これからやってくる春のわくわく感が演奏会の始まりのわくわく感に通づるところがあって、とてもよい選曲だと感じました。フロンティア・スピリット染吹が夏のコンクールで演奏する今年の課題曲ですが、これまで2024年の課題曲4つを何度か聴いた中では、これが一番楽しい気持ちになれる曲かなと感じるようになりました。また演奏比率で行けば中高生が演奏する機会が多いコンクールの課題曲だけに、いわば未来への希望をイメージさせる曲は本当にいいものだなと思うところです。M-Vミッション染吹が夏のコンクールで演奏する自由曲とのことですが、「M-V」はミューファイブというロケットを打ち上げて小惑星のサンプルを採取し、地球に戻ってくるというミッションをイメージして作られたとあり、これは現実に存在する「はやぶさ」をモチーフにしているのだろうと推測されます。ちょうど先月にJAXAの宇宙科学研究所へ見学に行ってはやぶさが持ち帰った小惑星のサンプルを実際に拝見する機会があったこともあり、より具体的なイメージを持って曲を楽しむことができました。乱世の神威 幸村染吹の今年のマーチングパレードコンテストで演奏する曲とのことで、幸村が最も華々しく活躍する大阪夏の陣を描いた楽曲です。信州上田といえば真田の里ということで、まさにご当地曲というイメージが強く親しみを持って聴かせていただきました。余談ながら私も2019年にこの曲を演奏したことがあり、もう5年前なので楽譜までは思い出せずでしたが、当時の盛り上がり感を懐かしく回想することもできました。サウス・ランパート・ストリート・パレード第2部は染吹シネマズということで、映画館でいろいろな作品を見て回るというストーリーのもとプログラムが進みましたが、導入部から東宝シネマズをイメージした作りになっていて、そのクオリティーに度肝を抜かれるところでした。またこの曲では、1年生による伝統のダンスも飛び出し、まさにイッツ・ショータイム!と感じました。シネマトリロジー~Sky Flight~(ジブリメドレー)おなじみのジブリの楽曲から、「空」に注目した曲がメドレーになった曲とのことですが、それを象徴する1曲としてホウキで空を飛ぶ魔女の宅急便が特に印象的で、演出としてキキが登場してトンボと楽しく談笑する様子がとても微笑ましいと感じました。コードブルー日本の医療ドラマの草分け的存在のコードブルーのテーマ曲ですが、サントミューゼにドクターヘリがやってくるという設定での演奏となりました。演奏中に医療チームがステージに走って登場してくる演出が入り、臨場感がとても高く、視覚と聴覚で大いに曲の世界観を感じることができました。輝く未来演奏前にステージの前方にたくさんのランタンが用意され、その温かな光の中での演奏となりました。またこの曲では、ガード隊が登場し、その優雅な舞にも魅了された次第です。ハリーポッター曲目解説によれば1990年代のイギリスを舞台にした作品とありましたが、私自身90年代は21世紀への期待と不安を抱えながら過ごした時代であり、当時の世相なども想い出しながら楽しませていただきました。またこの曲では演出で魔法使いも登場し、その装いのちょっと怪しげな雰囲気が曲想にもぴったりとはまっていて素晴らしいと感じました。Sing Sing Sing染吹定期演奏会の大きな特徴である舞踊班の演出が入りました。ジャズの名曲ということで、曲のイメージに合わせた舞踊班の黒系の衣装と舞いがステージ上でよく映えていて、大きく盛り上がりました。また演奏でもクラリネットやトランペットのソロが入り、こちらもお見事でした。SHOW ME HOW YOU BURLESQUEここからはマーチングステージということで、オープニングはバーレスクラウンジというアメリカのクラブを舞台にしたミュージカルバーレスクからの1曲とのことで、聴衆の心をいっきにつかみ取るような勢いを感じました。RUN A WAY BABYマーチング2曲目は、「逃げるんだかわいい子猫ちゃん。俺のトリュになる前に!」というメッセージが込められたグルーノ・マーズの名曲という紹介がありましたが、この曲の背景には自分はプレイボーイだから一夜限りのおつきあいしかしないよとあらかじめ宣言し、それでも良ければついてきな!といった意味があるとのことです。楽器紹介のためのミッキーマウスマーチこの曲のテーマは、全員が主役とのことで、楽曲の特徴である楽器紹介を意識したソリをうまく利用してコンテを作っている感じがありました。また1年生のマーチングデビュー曲でもあり、歩くだけでも精一杯というコメントもありましたが、わずか2カ月弱の間にここまでやりきる心意気に大いに感心した次第です。パレコンメドレー(海の男達の歌~知恵を持つ海)昨年のパレードコンテストで演奏した2曲をメドレーにした楽曲で、東海大会で演奏したという実績もあって、とても高いクオリティーを感じました。紹介文によれば、毎年夏の終わりから始まる練習は辛いことや苦しいことがたくさんあります。というコメントがあり、いわば二重苦…。その後に本気の努力や執念は本当に大きな力になることを学んだとあり、班員の皆さんがマーチングを通じて大きく成長した実感を得ていることがよくわかりました。宝島アンコールは定番のこの曲ですが、マーチングの宝島は一味も二味も違うもので、これぞマーチング宝島という形で楽しませていただきました。まとめおおよそ2時間半の公演でしたが、開演前のステージコンサート。1部の座奏。2部のシネマ。3部のマーチングという曲だけでも17曲という盛ったプログラムなのに、2部ではかなり凝った映像とダンスやキャラクターによる演出。極めつけは舞踊班の踊り。3部では動きに魅せられるマーチングと、見どころ聴きどころ満載と感じました。
June 2, 2024
開催日:2024.6.2(土) 13:00開演場所 :長野県松本文化会館大ホール(2,000名収容)2012年以来、12年ぶりに松本蟻ヶ崎高校吹奏楽部の定期演奏会に行ってきました。プログラム第1部1.アルセナール2.2024年度全日本吹奏楽コンクール課題曲3番 メルヘン3.「ダフニスとクロエ」第2組曲(全曲)夜明け~全員の踊り第2部【ブラックライト劇】「オズの魔法使い」フルートアンサンブル魔女の宅急便メドレー【演出ステージ】白雪姫のアリえない1日第3部4.2024年度全日本吹奏楽コンクール課題曲4番 フロンティア・スピリット5.さくらのうた6.ディスコキッド7.ケセラセラ8.Happiness9.宝島10.合唱 Story11.復興(カット版)アンコール12.I should be so luckyレポートアルセナールオープニングにもアンコールにもよく合うヤン・ヴァンデルローストの代表曲ですが、これから始まるコンサートの期待感を感じさせるとてもステキな演奏でした。メルヘンここ最近の演奏会で何度か耳にしてきた楽曲ですが、楽曲紹介によればテンポや拍子が目まぐるしく変わるのが特徴的とあり、思い当たるところでは同じ酒井格氏の七五三を連想しました。七五三は、私自身も取り組んだことがありますが、奏者もそうですが、なにより指揮者が大変…。そんなパズルのような要素がこのメルヘンにも入っているということで、怖いもの見たさで楽譜がどうなっているか見てみたいと感じた次第です。「ダフニスとクロエ」第2組曲(全曲)夜明け~全員の踊り松本蟻ヶ崎高校吹奏楽部は、2016年のコンクールにおいてこの曲で県代表を掴んだという歴史がありますが、コンクールの自由曲の定番として演奏され尽くし、審査されるという観点からすると、ある意味ガラス張りのような曲という印象もある中で、再びこの曲にトライする心意気を感じました。そしてしばらく聴いていなかったダフクロについて、こんな曲だったなと懐かしく楽しませていただきました。【ブラックライト劇】「オズの魔法使い」12年前に定期演奏会を聴かせていただいた際は、ブラックライト演出のスーパーマリオブラザーズという演目でしたが、今回は音楽劇のオズの魔法使いということで、気分を盛り上げる音楽とともに心温まるストーリーが展開されました。音楽とナレーションのかみ合いなど細部まで本当によく作り上げられていて、ブラックライトの独特な視覚効果とともに大いに楽しませていただきました。魔女の宅急便メドレー舞台転換の時間を生かして、ステージ横の張り出しでフルートアンサンブルの演奏となりました。魔女の宅急便メドレーはアンサンブルとしていろいろな編成が出ていますが、フルートはあまり聴いたことかなかったので、とても新鮮な気持ちで楽しませていただきました。【演出ステージ】白雪姫のアリえない1日アリえないというところが校名の「蟻」にかけているのかなと思いましたが、キャストとして白雪姫(白雪姫・王子・小人)、ガーズ、チャーリーとチョコレート工場、パイレーツ・オブ・カリビアン、ゴーストバスターズが登場し、道に迷った白雪姫がいろいろな旅をするオリジナルストーリーで、先がわからない分、次は何が登場するのかというわくわく感がすごくありました。またステージ中では、ストーリーに合わせてくるみ割り人形から金平糖の踊りやパイレーツ・オブ・カリビアンなどが演奏され、大いに楽しませていただきました。フロンティア・スピリット未来を切り開き挑戦する意味が込められている楽曲とのことで、フロンティアという言葉だけを取り上げるとかつて存在したアメリカ西部の開拓時代を彷彿とさせるものがありますが、楽曲紹介によれば吹奏楽コンクールの課題曲としては数少ない式典行進曲をイメージした曲とあり、予感ではありますが、コンクールが終わった後でも式典や壮行会などで演奏される機会がありそうと感じました。さくらのうた今年に入ってから既に何回か耳にした印象がありますが、相変わらずの人気課題曲ぶりを再確認した次第です。この曲の売りとして各パートにソロが点在していることがあると思いますが、特にホルンとトロンボーンがリレーするところが強く印象に残るようで、今回も演奏後にホルンとトロンボーン奏者がスタンドして一礼するサプライズがありました。ディスコキッド曲目解説によれば1977年の課題曲Cとのことですが、そもそも課題曲にドラムセットが登場するということがめずらしいことなので、課題曲らしくない課題曲というイメージがあります。またこの曲は、聴く分には楽しくて良いが、演奏するとなるとなかなかの難易度であり、安易に選曲すると練習時間を取られてしまうことがあり、そういった面ではよくぞ取り上げていただいた!という称賛の気持ちです。ケセラセラ~Happiness今回、ポップスとして「私は最強」「ケセラセラ」「タイムパラドックス」「Happiness」の4曲から来場者のリクエスト投票によって2曲演奏するという方法が取られました。ロビーに投票場が設けられていて、4曲の曲名の下にシールを貼るようになっていましたが、そのボードを見るとケセラセラとHappinessが多くシールが貼られているかな…と感じていたところ、やはりその2曲が選ばれての演奏となりました。宝島楽器を持ってきた中学生が加わっての演奏となりました。注目のアルトサクソフォーンのソロは、サクソフォーン奏者が全員でステージ前に出ての演奏で、大変豪華と感じました。先週の野沢北高校の定期演奏会でも中学生との合同演奏がありましたが、改めて中高の縦の交流が積極的に行われている様子を感じ取れた次第です。合唱 Story全員での合唱となりました。曲の中盤で部長挨拶が入り、コロナ禍後の制限の無い定期演奏会作りについての想いなどが語られ、改めて2020年から3年間続いたコロナ禍という時代がやっと終わったという実感をしみじみと感じ、自分自身の行動の変容についても考えさられました。復興(カット版)演奏に先立って司会の方から「この作品を演奏させていただくことは私たち高校生にとってとても意味のあるものになった。」とのコメントがありましたが、改めてこの曲について調べてみると、技術的にそこまで難しい曲ではないが、奥が深いため練習に終わりが見えないということで、その奥深さを学生の皆さんが感じ取った上でのコメントなのだろうと感じました。I should be so luckyアンコールは、パートごとに色を揃えたポンチョを着るという見事なコーディネートをしての演奏で、華を感じるフィナーレとなりました。まとめ少子化が話題になる中、高校の吹奏楽部の人数も減少し、単独ではバンドを組めないところが増えているように感じますが、そんな中で松本蟻ヶ崎高校吹奏楽部は56名のメンバーを擁し、編成上でもバスクラリネット3名、バリトンサクソフォーン3名、バスーン2名と木低の充実ぶりは目を見張るものがありました。またダフニスとクロエでは、ハープの2台演奏もあって、終始その人数に圧倒された演奏会でした。
June 1, 2024
開催日:2024.5.26(日) 13:30開演場所 :小諸市文化センター(712名収容)野沢北高校吹奏楽班 第107回定期演奏会に行ってきました。プログラム第1部1.五月の風2.アルヴァマー序曲3.井斐川に流るるクシナダ姫の涙佐久穂中学校吹奏楽部による演奏4.怪獣の花唄5.Happiness木管アンサンブル6.私のお気に入り第2部7.銀河鉄道9998.Paradice Has No Border9.Sing Sing Sing金管アンサンブル10.ドラえもん木管アンサンブル11.三日月第3部12.スーパーマリオブラザーズ13.愛の歌14.Music From JURASSIC PARK15.唄16.千と千尋の神隠しハイライト17.ひまわりの約束アンコール18.宝島レポート五月の風5月の演奏会で耳にすることが多い季節感のある曲で、とてもさわやかな雰囲気のコンサート幕開けとなりました。こちらは、真島俊夫氏の楽曲ということで聴き映えは抜群。とても豪華ですが、演奏するとなるとなかなか難解で、仕上げるのに練習時間を取られる楽曲と思いますが、まず第1曲目でこの定期演奏会にかける強い想いを感じることができました。アルヴァマー序曲続く2曲目は、バーンズの名曲ですが、今月の始めに奏鳩会のコンサートで聴いたばかりでもあり、そういった意味ではこの名曲を続けて聴ける幸運に感謝という気持ちがありました。またこういった吹奏楽ド定番の曲を演奏会のプログラムに組み込んでもらえるということにも感謝です。井斐川に流るるクシナダ姫の涙この曲の出典を調べてみたところ、古事記上巻に記される出雲神話「ヤマタノオロチ退治神話」より、物語のヒロイン、クシナダ姫にスポットを当てた曲とありました。聴き進むほどドラマチックなストーリーが鮮明に浮かび上がり、題名から想像するイメージ通りの楽曲と感じました。またこちらの楽曲は作曲者の樽屋氏が小編成版・中編成版・通常版・2022年版と、さまざまなバリエーションを用意しており、バンドの規模に関わらず演奏できるという点についても素晴らしいと感じました。怪獣の花唄ここからはゲストの佐久穂中学校吹奏楽部の演奏となりました。さらに野沢北高校吹奏楽班のメンバーで佐久穂中学校のOBOGが演奏に加わるという中高の交流もあり大変素晴らしいと感じました。楽曲はJ-POPらしい楽しさが湧き出てくるような雰囲気がありました。Happiness嵐の人気曲ですが、2007年リリースということで、じきに20年になろうかという粋の長い曲と感じました。活動休止状態とはいえ、このように楽曲は演奏され、聴く人たちがたくさん生まれる…。今日のクラシック音楽の隆盛からもわかるように、ある意味音楽は不老不死のものと言えるのかもしれません。私のお気に入り1部終了後、20分間の休憩に入りましたが、その中でサウンドオブミュージックを構成するこちらの楽曲が、木管アンサンブルで演奏されました。私の中では、この私のお気に入りは、ドレミの歌、エーデルワイスなどさわやかな印象の曲のイメージが強いサウンドオブミュージックの中にあって、ちょっと毛色が違う、いやだいぶ違う?そんな感じがするのですが、演奏を聴くにつけ木管アンサンブル独特の様々な音色のミックスがとても魅力的と感じました。銀河鉄道999第2部は、ノリノリな曲を集めたステージということで、その1曲目に劇場版銀河鉄道999のエンディングテーマであるこちらの楽曲が演奏されました。私自身、つい先日この曲が入っているジャパニーズ・グラフィティ12を演奏したばかりというタイミングだったので、そのアレンジが頭の中で鳴っていて、ちょっと二十演奏のような不思議な感じになりましたが、大いに楽しませていただきました。Paradice Has No Border野沢中学校吹奏楽部の皆さんとOBOGの皆さんが加わってステージいっぱいの超大編成での演奏となりましたが、さすがにこの人数だと音圧が半端ない…。ということで、もともと力のある曲がさらにパワフルになり、圧倒された感がありました。Sing Sing Singこちらの楽曲の指揮は、昨年度まで顧問を務められていた小嶋先生による指揮での演奏となりました。このあたり、どうしても学校の先生は異動がつきものなので、さすがに新しく赴任した現顧問の井出先生が2カ月ちょっとで定期演奏会という大きな舞台をすべて仕切るのは酷だろうと感じるととともに、こうやって前任の先生が時間を工面してヘルプしてくれるという素晴らしい関係性がとても良いものだと感じました。ドラえもん2部終了後、再び20分間の休憩となりますが、その間に2つのアンサンブルチームの演奏が披露され、まず最初に金管アンサンブルにて、星野源のドラえもんが取り上げられましたが、この曲は中間部の1フレーズに元祖ドラえもんの曲が組み込まれているというのが曲名としてドラえもんを使っている意味なのかなと聴くたびに感じるところです。三日月次に登場したのは木管トリオチームで、絢香の初期の頃の名曲が演奏されました。余談ながらとこの曲を聴くとドビュッシーの月の光を連想するところもあり、「月」をモチーフにした曲は、どこかロマンチックなところがあるのかもしれません。スーパーマリオブラザーズ演奏前にマリオとルイージ、ヨッシーらが登場する寸劇がありました。このあたり、マリオとルイージが登場することはあってもヨッシーまではなかなか!ということで、その凝りようは見事なものと感じました。そして演奏は、私自身もしばらく前に演奏したことも手伝って親しみを感じつつ楽しませていただきました。愛の歌朝ドラの主題歌にしてあいみょんの代表曲の1つになりますが、ドラマのワンシーンやあいみょんの歌声が連想されてくるところで、改めて発信力のある曲だなと感じました。Music From JURASSIC PARKこれぞ映画音楽!というジョン・ウィリアムズらしい楽曲ですが、冒頭にクラリネットソロの見せ場があったりと、編曲も秀逸と感じました。タイムリーなことにちょうど金曜ロードショーでジュラシックワールドの3週連続放映の真っただ中ということも手伝って話題性も大きいところでした。唄12名の一年生のダンスが入っての演奏となりました。一年生は、入学からわずか2カ月弱という短い期間を考えるとよくここまでの複雑な振付のダンスをこなしているなと感服した次第です。千と千尋の神隠しハイライトピアノ演奏から始まるアレンジで、演奏するにはピアノ奏者・ピアノ調律など大変な手間もかかるところですが、千と千尋の世界観を出すのには、ピアノ演奏は大きな効果があると感じました。またアレンジがシンフォニック寄りになっており、そこも素晴らしいと感じました。ひまわりの約束映画『STAND BY ME ドラえもん』の主題歌と作られた楽曲で、作曲者の秦基博氏によればドラえもんをイメージしたものとのことで、困ったときに必ず助けてくれる暖かいドラえもん像が浮かび上がってくるとても優しい曲だなと感じました。宝島アンコールは定番の宝島ということで、大いに楽しませていただきました。そして注目の後半のアルトソロはバリトンとのコラボという形で、オリジナリティーを感じるところとなりました。まとめ107回目の定期演奏会ということで、年2回公演の信州大学交響楽団を除けば県内唯一の100回越えの定期公演を続けているということで、その伝統は群を抜いているものがあると感じました。仮に年1回の定期演奏会だとすれば100年前の1924年に始まったことになり、それは大正時代まで遡ることになります。そんな長い長い時間の流れを感じつつ、3ステージに加えて休憩中のアンサンブルまで2時間半におよぶ充実のステージを楽しませていただきました。
May 26, 2024
開催日:2024.5.19(日)14:00開演場所 :軽井沢大賀ホール(784名収容)軽井沢ファミリーオーケストラ 第9回定期演奏会に行ってきました。プログラム開演前弦楽アンサンブル第1部1.シュトラウス2/アンネンポルカ2.アンダーソン/トランペット吹きの休日3.楽器紹介 弦楽アンサンブル 弦楽セレナーデ 木管アンサンブル 白鳥の踊り 金管アンサンブル ドラゴンクエスト序曲 打楽器アンサンブル ボレロのリズムによるパフォーマンス4.ミヒャエリス/森の鍛冶屋(かじや)第2部5.ドヴォルザーク/交響曲第9番『新世界より』 第1楽章 第2楽章 第3楽章 第4楽章アンコール6.G線上のアリア7.ラデッキー行進曲レポート開演前13:40頃よりプレコンサートとして、弦楽アンサンブルの演奏がありました。聴いたことがある曲ではありましたが、曲名を想い出せずです。アンネンポルカウィーンフィルのニューイヤーコンサートをイメージさせる曲ですが、まずはオープニングでオーケストラの響きを堪能させていただきました。トランペット吹きの休日運動会でよく耳にする曲ということですが、腕に自信のあるトランペット奏者が楽団に数名いないとなかなかできなさそうな感じのテクニカルな曲という感じがあり、その疾走感は群を抜くものがありました。そして演奏後は、トランペット奏者へのリスペクトタイムとなりました。楽器紹介オーケストラを構成する楽器についてその特徴と時には奏者の特性(トランペットは目立ちたがりやが好んで演奏する?→そうとは限らないという主張もあり…)まで踏み込んだ解説とそれぞれの編成での演奏が披露され、改めてこの楽器群が融合した形がオーケストラなのだなと感じた次第です。森の鍛冶屋(かじや)鍛冶屋というと、ホルストの第2組曲の鍛冶屋の歌を連想しますが、解説によれば、森の中に住む鍛冶屋さんの日常である森の中の静かな雰囲気や朝のお祈り、作業をする様子が描かれているとのことで、森の雰囲気を出すのに、弦楽器の音色はとても相性が良いと感じました。そんな曲の中で鍛冶屋さんが作業する様子を表す金属音がありますが、主張しすぎないところがまた上品だなと感じました。交響曲第9番『新世界より』今回の演奏会のメインプログラムの位置づけで、第2部のすべてを占める大曲ですが、本当に聴き応えがあり圧倒された感がありました。曲紹介を見ると、アメリカの自然や先住民の文化、そして移民の喜びや切なさを描いた曲とありますが、私の中でこの曲は、過去にドはまりした銀河英雄伝説のOVAシリーズの第17話アムリッツァ星域会戦のBGMで使われていたこともあり、戦いの曲という印象がとても強く、曲を聴き進めると、そのシーンがどんどん連想されてしまうということで、改めて音楽に紐づけられた記憶というものは相当に強固なものだと感じました。G線上のアリア新世界でテンションが極限まで上がった会場をクールダウンさせるのにふさわしい楽曲で、心を落ち着かせ、穏やかにしてくれるひとときになりました。ラデッキー行進曲締めはおなじみのこちらの楽曲ということで、指揮の杉原直基氏がお約束の聴衆への拍手の指示をして大いに盛り上がりました。こちらは、静かに!盛り上がる!のアクセントをうまく演じられるかという訳ですが、それも訓練だなと思いました。まとめ小さい体格用の小さいヴァイオリンを手にした若いメンバーから、シニア層までとじつに幅広い年齢層のまさにファミリーを感じさせる楽団で、それを杉原氏が巧みに束ねているとても素晴らしい雰囲気を感じました。またコンサートについて、多くの方に音楽に親しんでいただく機会として未就学児のお子様も入場が可能なことをうたっている訳ですが、それをよりよい形で実現するためにお子様席をステージから少し離れた場所に設けたり、お子様がびっくりして泣いたり、じっとしていることに飽きて暴れたり歩きまわったりした時のために演奏中の出入りをOKとしたり、様々な工夫をしているところがとても印象的でした。
May 19, 2024
開催日:2024.5.18(土) 13:30開演場所 :南条小学校音楽堂昨年に続き、南条小学校音楽堂での定期演奏会のレポートです。また演奏会のテーマは「アニメ映画音楽」で、第1部をメインにアニメ映画に関連した楽曲を取り上げました。プログラムオープニング1.紅蓮華第1部 アニメ映画音楽ステージ2.名探偵コナンメインテーマ3.ジャパニーズ・グラフィティ124.「天気の子」コレクション5.いつも何度でも6.塔の上のラプンツェル・メドレー第2部 アンサンブルステージ7.坂ブラクラッツ 愛の挨拶8.おにぎしブラス ドラコンクエスト3メドレー第3部 坂ブラ2024 スプリングステージ9.キャリオカ10.銀の龍の背に乗って11.VIVANT Main theme12.女流演歌コレクション13.ジャパニーズ・グラフィテイ18アンコール14.異邦人15.マツケンサンバ2レポート紅蓮華テレビアニメ「鬼滅の刃」のオープニングテーマで始まりました。この楽曲は、2019年7月にリリースされ、その年の紅白歌合戦で大々的に取り上げられ、2020年は吹奏楽でも大ブレーク!という予感があったのですが、2020年3月から始まったコロナ禍によって一番良い時期を逃してしまったという印象が当時ありました。しかしながら私自身もこの曲を2021年の秋に演奏する機会があったりと、いっきに燃え上がらなかった分、息の長い演奏機会を得られたのかな?ということを今にして感じました。名探偵コナンメインテーマアニメ映画の金字塔の1つであるコナンは、これまでに26作もの劇場版が作成されていますが、そのメインテーマは妙にカッコイイ!と以前から感じていましたが、よくよく調べてみると、そもそもコナンの制作サイドでメインテーマを作るにあたり、太陽にほえろのテーマ曲のようなサスペンスドラマタッチにしたいという狙いがあり、そこで大野克夫氏に制作依頼して出来上がったのがこの曲ということで、なるほど感がありました。またこの曲の大きな見せ場は中盤のアルトサクソフォーンソロであり、そのあたりも吹奏楽によくマッチするところです。ジャパニーズ・グラフィティ12ニューサウンズインブラスのジャパニーズ・グラフィティは全部で20作以上出ていますが、その中で最も演奏頻度が高いのが12という印象があり、その人気の要因は入っている曲のTV版銀河鉄道999と宇宙戦艦ヤマト、そして劇場版銀河鉄道999の3曲のメドレーにあると考えられますが、曲の構成を見てみると出だしは劇場版999をモチーフに作られたつかみの良いフレーズ。そしてささきいさおのカッコ良い歌がイメージされるTV版999、ヤマトと連なり、盛り上がったところでトドメの劇場版999で締めくくられるということで、演じ手も聴き手も大きく盛り上がる要素があるからと言えるかもしれません。「天気の子」コレクション新海誠監督が、2016年に「君の名は」でブレークしてから、続く2019年の「天気の子」、2022年に「すずめの戸締り」がいずれもヒットしている訳ですが、音楽は全てRADWIMPSが担当しており、そういった意味では宮崎駿監督作品における久石譲氏の音楽という間柄と似た関係性があるように感じます。そして新海誠監督のブレーク後の3作品の音楽を聴き比べた時に最もドラマチック感があるのが「天気の子」なのかな?という印象があり、特にコレクションの最初を飾る祝祭は、編曲の妙もあるのかもしれませんが疾走感がありつかみが良く、その後につづくグランドエスケープ、大丈夫、愛にできることはまだあるかいへと次々と展開してゆく楽曲の風景を想像させてくれるところで、コンサート向けの1曲としてとても秀逸であると感じた次第です。いつも何度でも宮崎駿監督作品の音楽といえば久石譲氏という印象が強い訳ですが、その中で久石氏ではない曲もあるということで、こちらは木村弓氏による楽曲です。そしてこの曲の特徴は8分の6拍子で書かれているということで、日本人が民族的文化の関係で不得意とするいやな拍子か?と思いきや、いわゆる3拍で1・2ではなく、1拍づつのカウントで1・2・3・4・5・6となるので、演奏がしやすいのかなと感じました。またこの曲は、冒頭の1メロがクラリネットのソロになっていて、曲の持つ素朴な魅力を表現するのにはクラリネットの暖かい木の響きがベストチョイスではないかと感じました。塔の上のラプンツェル・メドレー美女と野獣、リトルマーメイドなどそうそうたるディズニーの楽曲群を世に送り出したアラン・メンケンを代表する楽曲の1つと感じますが、このメドレーでは自由への扉、誰にでも夢はある、王国でダンス、輝く未来、自由への扉という構成で、扉を開けて、扉を閉めるという構成になっており、そのあたりにストーリー性を強く感じるところがありました。また楽曲中に各パートのソロが散りばめられており、特に輝く未来でのテナーサクソフォーンのソロは大きな見せ場として感じるところがありました。愛の挨拶ヴァイオリンやチェロなどのコンサートで挨拶をかねて最初に演奏される頻度が高い楽曲ということで、耳なじみのある曲ですが、このおなじみの名曲をクラリネット5重奏で演奏するのは大変面白いものがあると感じました。編成はB♭×4、アルト×1ということで、B♭管とアルトの音色の違いというのはもちろんある訳ですが、それとは別にB♭管でも奏者による音色や表現の違いの妙が、2分半という短い時間の中で次々と展開される様が大きな魅力であり、これこそが複数人で演奏するアンサンブルの醍醐味の1つではないかと思いました。ドラコンクエスト3メドレートランペットとバストランペット(一部ピッコロトランペットに持ち替え)による三重奏での演奏となりました。序曲、おおぞらをとぶ、そして伝説への3曲を楽しませていただきました。ドラゴンクエスト3といえば、社会現象にもなったファミコンの大ヒットゲームですが、振り返れば今のPCやスマホと比べれば足元にも及ばないようなハードウェアの仕様でよくぞここまでのゲームを作ったものだと感嘆するとともに、その音楽についてもすぎやまこういち氏による名曲揃いということで、本当に伝説の作品だなと思うところです。キャリオカいわゆる江戸っ子やパリジャンと同様のニュアンスを持つリオ・デ・ジャネイロっ子という意味を持つ楽曲ですが、大きな特徴として曲中に4パートのアドリブソロが組み込まれていることで、都合4回の大きな見せ場があり、ソリストの表現力もさることながら、いろいろな意味で楽しめる楽曲という印象がありました。余談ながら、この楽譜の参考演奏的な位置にあるニューサウンズインブラス'96に収録されているキャリオカのソロでは、前半の2パートはわりと楽譜に忠実に演奏されているが、後半のトロンボーンはかなり崩されていて全く参考にならず…トランペットはあのエリックミヤシロ氏による演奏なので異次元のハイトーンということで常人には演奏不可能ということで、参考演奏にならないという話もちらほらあったようです。銀の龍の背に乗ってつい数か月前にDr.コトー診療所の劇場版が地上波で放映され、私も視聴しましたが、離島医療の困難さについて考えさせられるところがありました。コトー先生も生身の人間である以上はいつ何があるかわからない…。というところで、このテーマ曲が作られた時にそこまで見越していたかはわかりませんが、とても心に響く内容となっていました。また今回演奏されたのは、ミュージックエイト社の山下国俊氏の編曲版になりますが、冒頭のアルトサクソフォーンのしっとりしたソロ。そして後半の金管群による力強い旋律演奏と全パートが主役になれるような作りも大変好感が持てました。VIVANT Main theme昨年夏にTBS系で放映されたテレビドラマになりますが、その当時私自身見ておらず…。その後、この曲のことを知り、ちょうどタイミングよく総集編スペシャルの放映があったので録画して視聴してみましたが、こんなに手に汗にぎる展開のドラマは見たことがない!ということで、久しぶりにドラマで感動した次第ですが、その楽曲は千住明氏によるものだということも知り、昨年コンサートに行ったデュランディの千住真理子氏のお兄さんということでなにやら親近感が湧くこととなりました。女流演歌コレクション八代亜紀の舟唄、森昌子の越冬つばめ、坂本冬美の夜桜お七の3曲がメドレーになった楽曲で、編曲はさくらのうたでおなじみの福田洋介氏によるものです。女流演歌は華があるという印象がありますが、それぞれの華を各パートのソロに見立て、舟唄はクラリネット。越冬つばめはアルトサクソフォーン。夜桜お七はフルートとトロンボーンといった形になっており、それぞれが女流演歌歌手さながらにスポットを浴びる形でとても熱いものを感じるひとときになりました。ジャパニーズ・グラフィテイ18ジャパニーズ・グラフィティの18作目は、アニメヒーローの主題歌を集めた楽曲で、鉄腕アトム~ガッチャマンの歌~ゲゲゲの鬼太郎~CHA-LA HEAD-CHA-LA~ウィアー!がメドレーになったものです。アトムは、途中まで原曲風で行きますが、2フレーズ目からはロックテイストになり粋なアトムを演出。そしてガッチャマンは金管群のバッキングがカッコ良い。ゲゲゲの鬼太郎は、トランペットのおもしろミュート演奏。CHA-LA HEAD-CHA-LAは、いまはチャラ(無しにするという意味)という言葉は使わなくなったな~などと思いつつ。ウィアー!はどこまでもONE PIECE!のテーマ曲という雰囲気で楽しませていただきました。異邦人アンコール1曲目は、昭和歌謡の名曲ですが、この曲は出だしは暗い感じでスタートしますが、途中で調が変わり急に世界観が明るくなる部分がある、いわば「異邦人あるある」みたいなところがありますが、楽譜上ではその部分は転調という形ではなく、臨時記号での対応となっており、演奏サイドとしてみれば、こういう書き方の方が親切なのかな…と思うところがありました。マツケンサンバ2昨年あたりから人気が再燃しているマツケンサンバ2ですが、コンサートのアンコールの締めの1曲としても本当に秀逸だなと感じる曲想だなと感じました。まとめ坂ブラとしては昨年の春の定期演奏会2023に続いての南条小学校音楽堂でのコンサート開催となりました。改めてこのホールを見ると、やはりその音響の良さが際立っており、音楽用に設計された建屋であることがよくわかります。坂城町ではこの音楽堂以外には音楽用の施設は存在しておらず、そういった意味では地域の音楽文化発展のための貴重な中核施設としての役割を期待したいと感じました。
May 18, 2024
開催日:2024.5.12(日)14:00開演場所 :相模原市民会館(1,264名収容)相模原市民吹奏楽団のグリーンコンサートに行ってまいりました。プログラム第1部1.メルヘン2.カントゥス・ソナーレ3.風がきらめくとき4.Mont Fuji~富士山・北斎の版画に触発されて第2部 ミュージカルをなたに5.ミュージカル「キャッツ」メドレー6.ドレミの歌7.「ライオン・キング」メドレー8.ウエスト・サイド・ストーリー・メドレー9.「美女と野獣」メドレーアンコール10.パート・オブ・ユア・ワールド11.Yours!レポートメルヘングリーンコンサートの1曲目は、2024年全日本吹奏楽コンクールの課題曲3より。偶然にも、前日のスーパーコモロウインドオーケストラの演奏につづき2日連続の拝聴となりましたが、改めて聴くほどに幸せな気持ちになる曲だなと感じました。この課題曲は、4曲の中で唯一の委嘱作品ということで、もともと他の3曲とは一線を画する部分がある訳ですが、メルヘンに限らず酒井格氏の曲のイメージを一言で表すならメルヘンチック感がある!と妙に納得した感がありました。カントゥス・ソナーレ歌の響きという意味を持つ楽曲とのことですが、タイムリーな話題として普段は高緯度地方でしか見ることのできないオーロラが、世界中の中緯度地域で見れている…。という身近な出来事もあって、この曲の視覚的なイメージをオーロラとして捉えて聴かせていただきました。ステージに広がる変化する響きが、オーロラの動きと連動しているようでとても神秘的なひとときになりました。風がきらめくとき全日本吹奏楽コンクール課題曲2より。アンサンブル感がとてもくっきりと感じ取れる、とてもきれいな曲というイメージがありますが、それだけに一人一人が持つ最もきれいな音色をたっぷりと聴かせていただいたという感覚がありました。風をモチーフにした曲はたくさん出ていますが、風ときらめきを合わせるとはなんという素晴らしいセンスだろうと感じました。Mont Fuji~富士山・北斎の版画に触発されて演奏前に福本先生と高松氏のトークの中で、故・真島俊夫氏の想い出話があり、こよなくフランスに入れこんでいたこと。その想い入れから日本を象徴する富士山をモチーフとするにも、タイトルにはフランス語で山を意味するMont Fuji(モンフジ)を用いたこと。そんな想いを受け止めながら聴かせていただきました。またこの曲は、今日人気曲として日本中の多くのバンドで演奏されている訳ですが、もともとは2014年の12月に行われた第50回記念の演奏会の委嘱作品ということで、原点は相模原市吹にあり!ということで、そんな縁を感じながらじっくりと楽しませていただきました。ミュージカル「キャッツ」メドレー第2部のテーマは、ミュージカルをあなたにということで、福本先生いわく世の中には一定数ミュージカルが嫌いな人がいる…という分析がありましたが、実際のところ音楽コンサートに比べれば公演数が少なく、特に地方在住だとなかなか機会にも恵まれないことから食わず嫌いという側面があるのかもしれません。私自身も長いこと興味はあったものの、なかなか見れる機会が無かった訳ですが、たまたま昨年家近にピーターパンの公演が来たので、初めて生のミュージカルを体験しましたが、宮川彬良氏の音楽の素晴らしさ、ピーターパン役の山﨑玲奈氏の伸び伸びとした歌に大いに魅せられたことは記憶に新しいところです。そしてキャッツですが、前半はどちらかというとあまり馴染みが無く新鮮な曲。後半のメモリーは、おなじみ感を持って楽しませていただきました。ドレミの歌ここからは、共演の上鶴間中学校吹奏楽部の皆さん登場となりました。ドレミの歌の音階にそれぞれ振り分けられているドーナツなどの絵のプラカードを手に楽しいダンスの演出が加わってとても楽しいステージになりました。ドレミの歌はミュージカルのサウンド・オブ・ミュージックの中の曲ですが、私自身今年はこの曲を演奏する機会にも恵まれており、自身の演奏体験も踏まえて演奏者視点でも楽しむことができました。「ライオン・キング」メドレーライオンキングの父ムファサに着目したアナザーストーリーの公開で話題とのことでしたが、福本氏と高松氏の話の中で悪いライオンの叔父スカーと勘違いして笑いをとる場面もありました。この曲では三年生が演奏。二年生が演出で大活躍となりましたが、特に演出が曲とマッチングする形でストーリー性があり、シンバ誕生からナラとの交流、登場する動物たちとのやりとりなど素晴らしいものがありました。日頃我々は音楽を聴く時、それぞれが好きな想像をして楽しむ訳ですが、それを視覚効果として形で示してくれるのがミュージカルの醍醐味なのかなと感じました。ウエスト・サイド・ストーリー・メドレートゥナイトとマンボの2曲を厳選しての演奏となりました。トゥナイトでは、上鶴間中学校吹奏楽部の皆さんの歌の演出が加わり、英語の歌詞という難しさがあるにも関わらず見事な歌唱がありました。マンボではお決まりの「マンボ!」の掛け声で会場が熱気に包まれ、参加する楽しみも満喫させていただきました。「美女と野獣」メドレー真島俊夫氏、森田一浩氏、船山基紀氏の編曲版をストーリーに合わせて組み合わせるという豪華版での演奏となりましたが、聴きながら最初のうちは「この部分は真島氏アレンジで…。」と耳を立ててみましたが、ストーリーを高松氏が朗読するというスペシャルな演出があり、すぐにそちらに意識を奪われてストーリーの世界へと取り込まれました。美女と野獣は数年前に実写版を劇場で見たことがあったので、バラの葉が落ちるまでに!というタイムリミットのもと、劇中でバラの葉が1つ、また1つと落ちてゆく時間経過を示す演出がところどころに入るのが印象的だった訳ですが、そんな実写版のシーンを回想しながら楽しませていただきました。パート・オブ・ユア・ワールドアンコール1曲目は、リトル・マーメイドでアリエルが歌う有名な楽曲ですが、こんな豪華な吹奏楽版があったのかと驚きました。余談ながら私も昨年アンサンブルで取り上げたことがあり、ミュージカルで歌ういろいろなアリエルをユーチューブで見てみましたが、本当に希望に満ちた歌だなと思うところがありました。Yours!相模原市吹だけの門外不出の楽曲となるYours!ですが、なんと福本先生よりCD化が実現したら全国の皆さんに演奏してもらいましょう!というお話も飛び出し、ちょっと期待が膨らむところではありますが、そもそも相模原市吹のテーマ曲である以上は、他で演奏することは想像できないというところではあります。そして、グリコン恒例のソロはゲストの上鶴間中学校吹奏楽部のメンバーが担当するという形になりました。まとめこの時期恒例のグリーンコンサートですが、午前中少し時間に余裕があったので、JAXAの宇宙科学研究所と相模原市立博物館を見学し、宇宙都市相模原の魅力について学ぶことができました。その後、16号線を歩いて市民会館まで移動した訳ですが、NTT新相模原ビルの赤白鉄塔がとてもよい目印になりました。実際はスマホ片手にグーグルマップを見ながら歩けば迷うことはなさそうですが、歩きスマホで歩けば棒に当たる…ということで、実際に見える目印はありがたいと感じました。コンサートでは、恒例の中学生とのコラボはいつも楽しみな訳ですが、共演を体験したメンバーの中から将来の団員が生まれる可能性があるということを考えると、後進の育成という点でも大変大きな役割を果たしていると感じた次第です。
May 12, 2024
開催日:2024.5.11(土)14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容)長野県小諸高校出身のプロ音楽家が集結し、2017年4月に旗揚げ公演を開催後、7回目の公演となるスーパーコモロウインドオーケストラの第7回演奏会に行ってきました。プログラム前半1.キャンディード序曲2.詩的間奏曲2024年度全日本吹奏楽コンクール課題曲より3.課題曲3 メルヘン4.課題曲4 フロンティア・スピリット5.ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶後半6.ファンタスティック・シナノ・ランド7.パントマイム ユーフォニアムソロ:宮島優哉8.もののけ姫Highlights9.SKWOスペシャルメドレー2024アンコール10.オーメンズ・オブ・ラブ11.宝島レポートキャンディード序曲コンサートのオープニングは、テレビ朝日『題名のない音楽会』で2008年4月から2015年9月まで番組テーマ曲として使われていたこちらの楽曲ですが、改めて通しで聴くと疾走感感、装飾感の際立った曲想で、何かが始まりそうな予感をさせられる曲だなと感じました。詩的間奏曲アルヴァマー序曲など元気な曲のイメージがあるバーンズの印象からすると、また違った感覚のある楽曲ですが、どんな曲か調べてみたところ「テクニックよりも豊かな表現力が必要とされ、なによりホルンの名手がいることが条件」とのことで、ホルンパートにとっては見せ場であり、表現力となると曲の味付けをする指揮者の力量がより試される感じかなと思いました。指揮者の小山氏は「とても美しい曲」と表現されていましたが、実際に聴いてみるとまさしくその通りだなと感じた次第です。メルヘン~フロンティア・スピリット2024年度全日本吹奏楽コンクール課題曲よりということで、プロ集団の演奏会としてコンクールに出演するアマチュアバンドやスクールバンドへの課題曲の模範演奏的な意味合いを持つ選曲になろうかと思います。ユーチューブでそういった模範演奏的のものはよく見かけるところではありますが、やはり実際にステージ上で奏者が演奏しているというのは格別のもので大変貴重な機会だと感じました。ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶小山氏より、この曲を選曲したのは「辰年」だからという動機からだそうですが、アメリカの水爆実験に巻き込まれてしまった第五福竜丸の悲劇をストーリー性を持たせて音楽にした楽曲ということで、そのイメージを丁寧にお話してからの演奏となりました。余談ながらサントミューゼのリサイタルシリーズでは、コンサート前の別日に曲目解説や演奏者の想いなどを伝えることを目的としたアナリーゼワークシッョプが開かれており、それを聴講してからコンサートに臨むとより深く楽しめるということがありますが、今回はそれと同様の効果を感じることができ、改めて事前に曲を知るということは大事なことだなと感じました。ファンタスティック・シナノ・ランドスーパーコモロウインドオーケストラのテーマ曲ともいうべき楽曲で、これまでスーパーコモロウインドオーケストラ以外では上田ブラスフェスト2023で耳にしたことがありますが、いずれにしてもご当地曲ということでおなじみ感がありました。小山氏によれば、カラオケで県歌があるのは信濃の国だけとのコメントもあり、ある意味長野県民のふるさと的な楽曲なのかもしれません。そしてこの曲のアレンジの特徴とすれば、あまり原曲を崩していないという点があり、そこもまた聴きなじんだ曲をベースにファンタスティック感が程よくブレンドされた感があって楽しめた次第です。パントマイム3月のメセナウインドオーケストラの佐藤采香氏による演奏がまだ記憶に新しいところで、今度は宮島優哉氏による演奏で楽しませていただきました。ユーフォニアムの奏者の方から「これはユーフォニアムの楽譜じゃない。」という言葉を時折耳にすることがあり、それは金管パートらしからぬ細かい音符がある!ということを憤慨しているのだと思いますが、まさにこの曲もそれの最たるもの…。ここまで細かい音符にした作曲者スパークの「吹けるものなら吹いてみろ!」という声が聞こえるようなイメージですが、それに立ち向かうプロ奏者の気迫を感じることができました。演奏後に小山氏より「ユーフォニアムってこんな演奏ができるんですね~!」的なコメントがありましたが、まさに宮島優哉氏のスーパーテクニック満載の演奏は感動のひとときになりました。もののけ姫Highlightsもののけ姫はいろいろな編曲版が出ていますが、私自身はこの天野正道氏の編曲版は初めて聴くようで、とても新鮮な感じがありました。ウインドオーケストラとはいえ、今回は編成にハープの竹内遥香氏とピアノの町田莉佳氏が入っていることもあり、そのお二方にスポットを当てるという意味合いもあったのかもと思いました。SKWOスペシャルメドレー2024レギュラープログラムの最後を飾るのは、10分以上におよぶ大メドレーでした。収録曲は…といきたいところですが、1曲が聴いたことも演奏したこともあるはずなのですが曲名が出てこない…。これは人の顔は思い出すが名前が出てこないという現象と酷似している状態で非常に歯がゆいところです。2曲目以降は、インザムード、ムーンライト・セレナーデ、東京ブギウギ、その後は初めて聴く知らない曲をはさんで、シングシングシングという感じだったかと思います。目についたのは、バリトンサクソフォーンのお二方がアルトも用意して時折持ち替えていたことで、まさにサクソフォーンパートのスクランブルといったところでしょうか。あとはなんといってもシング・シング・シングでのコンサートマスターの粟生田先生による豪華なアドリブソロ!これは相当に聴き応えがありました。オーメンズ・オブ・ラブスーパーコモロウインドオーケストラ演奏会のアンコール定番曲ということで、楽しいアンコールの時間が始まったという感じがありました。ある意味、聴き手もそれを期待しているところがあるので、安定の楽しさを感じたところです。宝島ドラムスのソロから、いつアゴゴのあのリズムがが始まるのかな?と思っていましたが、いつもとはちょっと違う形で曲がスタート。そして今回は最初のアルトソロを村田淳一氏。後半のロングソロを指揮者の小山弦太郎氏がサクソフォーンを持ってきてソロを担当するお約束の演奏となりました。まとめ2年ぶりにスーパーコモロウインドオーケストラの演奏を聴かせていただきましたが、昨年の上田ブラスフェストでコンサートマスターの粟生田先生を筆頭に何名かの方を拝見していることもあって、より親しみを持って楽しむことができました。
May 11, 2024
開催日:2024.5.5(日) 14:00開演場所 :千曲市文化会館 あんずホール(760名収容)GW恒例となっている長野県の吹奏楽伝統校である屋代高校吹奏楽班のOBOG会である奏鳩会のコンサートに行ってきました。プログラム第1部1.アルヴァマー序曲2.風紋3.ANTHEM 「アンセム」~吹奏楽のための第2部 特別演奏5.屋代高校校歌~屋代高校附属中学校吹奏楽班の皆さんによる演奏~6.第ゼロ感7.オーメンズオブラブ~屋代高校吹奏楽班の皆さんによる演奏~8.課題曲II「風がきらめくとき」9.マツケンサンバ2第3部10.彼こそが海賊11.星に願いを12.アニメ・メドレー~久石譲作品集~~合同演奏~13.ディープ・パープル・メドレーアンコール14.エルクンバンチェロレポートアルヴァマー序曲オープニングは、景気の良いファンファーレでスタートするこちらの楽曲となりましたが、メロディーもこれぞ吹奏楽という音の厚みがしっかりあるもので、聴いていてとても骨太なサウンドだと感じました。バーンズの楽曲は私も昨年アパラチアン序曲をやりましたが、パートによってはうねるような連符があってなかなか難しい…ということで時間さえあればその部分をさらっていた訳ですが、アルヴァマー序曲にもやはり似たようなうねるような連符があり、これがバーンズらしさなのかと納得した次第です。風紋こちらの曲も人気課題曲の5本の指に入る楽曲と思いますが、今回の演奏はタメが入る仕上がりになっていて、ウインナーワルツにも似た優雅な風紋を感じることができました。余談ながらこの曲は1987年の課題曲なので50歳以上の人にはリアルタイムだった訳ですが、風紋は課題曲Aで、本来課題曲のABCDEは、難易度のランクでは無かったのですが、子供心にAは上手な学校がやる曲みたいな思い込みを先輩含めしていたこともあって、最初からAは選択肢から外れており、私自身楽譜は入手したものの個人練習でちょっとかじったくらいで、ひと夏をかけてやりこむ機会は無く、今思えば風紋をやっていればこのレポートでもいろいろ語れたのに…と少し残念な想いもありました。ANTHEM奏鳩会のコンサートといえばこの曲を聴かなくては帰れない!という程私の中では価値のある曲だと感じています。それは初演から聴かせていただいているという特別な思い入れがあることもありますが、楽譜が門外不出で屋代高校現役生やOBOGでなくては演奏できないため、レア度が高く、オンリーワン感がとても高いというところです。屋代高校校歌パンフレットの裏面に屋代高校校歌の記載があったので、プログラムには無いがどこかで歌うのだろうな…と予測しておりましたが、2部の始まりでの演奏となりました。紹介は無かったですが、おそらく歌い手は屋代高校吹奏楽班のメンバーではないかと思われ、若々しい歌声がとても印象的でした。第ゼロ感アニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」のエンディング主題歌とのことですが、話題とすればプロバスケットボールチームの信州ブレイブウォリアーズが拠点にしていることぶきアリーナが、あんずホールのすぐ近くにあるということで、そんなことも想像しながら聴かせていただきました。オーメンズオブラブ日本語訳すると恋の予感だそうで、吹奏楽では大編成向けの真島俊夫氏のアレンジが特によく演奏されているようですが、今回演奏されたのは別バージョンということで、小編成でもよく鳴るように工夫された感じがあり、見せ場もしっかりあって秀逸なアレンジと感じました。課題曲II「風がきらめくとき」弱奏をメインにしたとてもきれいな曲という印象を受けました。全体として安らかな雰囲気が続きますが、ところどころで何か不安や悲しみといった要素が顔を出す部分もあって、もしかすると亡くなった親しい人を回想している曲なのかも…と想像を膨らませてみました。マツケンサンバ2右手を骨折してしまった顧問の滝沢先生の不運を吹き飛ばそうとがんばる生徒さんたちの元気な演奏がとても印象的でした。マツケンサンバが世に出てもう20年になりますが、昨年あたりからまた人気が再燃してきて、いろいろな団体で演奏されており、今年もそれが続きそうかなというところです。彼こそが海賊パイレーツ・オブ・カリビアンのメドレーでは、だいたい盛り上がるフィナーレの部分で使われている印象がある曲ですが、そこをピンポイントで取り上げて最初から盛り上がる感があり、こういった演奏の仕方も効果的かも!感じました。星に願いを世の中狭いもので…この曲は2月に私自身も演奏したばかりでアレンジも全く一緒だったので、楽譜がまだ頭に残っているようなところもあって、プチ懐かしい心持ちで楽しませていただきました。見せ場のソロや曲の締めくくりは、相変わらずお洒落感があって改めてステキな曲だなと感じた次第です。アニメ・メドレー~久石譲作品集~曲紹介では、久石譲の曲で不可欠なピアノを使わない編曲であるとのことでしたが、吹奏楽アレンジとすれば、ピアノはソロ楽器とはいえ音量では管楽器が束になってかかればかなわないものなので、演奏にあたってバランス調整で管楽器がかなり音量を抑えることを求められる感じがありますが、そこを割り切ってピアノを編成から外すという選択は正解なのではと感じるところがありました。またメドレー2曲目の鳥の人(風の谷のナウシカ)は、宮崎駿監督作品で初めて久石譲氏が音楽を担当した曲とのことで、以降生まれてくる名曲の数々のことを想うと伝説の始まり。原点なのだと感じながら聴かせていただきました。ディープ・パープル・メドレー合同演奏ということで、奏鳩会のメンバーと現役生の三年生がステージに集合しての演奏となりました。この大人数だとさすがに全員座ることができず、後列のパートの皆さんは立ちでの演奏となりましたが、見た目の迫力もさることながら、演奏についてもあんずホールの壁を突き破るのではないか?と思える程の大迫力で恐れ入った次第です。エルクンバンチェロ屋代高校の18番とも言うべき曲ですが、控えていた生徒さんたちも合流して、おそらく楽器を持っている全てのメンバーがステージに集ったと思われる超大編成での演奏となりました。そして奏鳩会コンサートという吹奏楽の祭典の締めくくりにふさわしいど迫力のグランドフィナーレになりました。まとめ奏鳩会コンサートは、コロナ禍によって2020年~2022年は行われず、2023年は関係者のみ。そして今回、5年ぶりに一般公開という形で完全復活となった訳ですが、出演メンバーを拝見すると幅広い年代の方が参加しており、屋代高校吹奏楽班の伝統が脈々と引き継がれていることを改めて感じました。
May 5, 2024
開催日:2024.5.4(木) 14:00開演場所 :松本市音楽文化ホール・メインホール(693名収容)松本モーツァルト・オーケストラ ベートーヴェン・シンフォニーシリーズ-第7回-に行ってきました。プログラム前半《モーツァルト》ピアノ協奏曲 第12番 イ長調 KV414(385p) 第1楽章 Allegro 第2楽章 Andante 第3楽章 RONDEAU Allegrettoピアノ独奏 塚本敦子後半《ベートーヴェン》交響曲 第5番 ハ短調『運命』作品67 第1楽章 Allegro con brio 第2楽章 Andante con moto 第3楽章 Allegro 第4楽章 Allegroアンコールありレポートピアノ協奏曲 第12番 イ長調 KV414(385p)演奏後に指揮の横島勝人氏からのコメントがあり、モーツァルトのピアノ協奏曲は、全部で27番まであるが、1番から4番まではモーツァルトが書いた曲ではなく、他人の曲を写譜したものだったそうで、5番以降が本当のモーツァルトのオリジナル曲とのことでした。そして今回演奏する12番は、モーツァルトがザルツブルクを飛び出し、ウィーンに活動の拠点を移した後の1782年の秋に作曲したものとのことで、新天地に移ったことで気持ち的に明るくなって、それが曲に反映されているのかなという印象を受けました。そしてソリストの塚本氏の演奏はオーケストラとの融合具合が見事で、音色もとても優しく心地よい感じになっており、あれこれ想いを巡らせているうちにあっという間に25分が過ぎてしまいました。また編成として本来は、管楽器も入れてのものになるそうですが、弦楽器だけでも演奏可ということもあって、次が運命で重厚なので、前半はさわやかなサウンド感を趣向して弦楽器とピアノだけにしたとのお話もあって、そこもソリストの音色がより生きることにつながったのかなと思いました。余談ながら、モーツァルトのピアノ協奏曲はどの曲が演奏会でよく取り上げられているのか気になったので、調べてみたところ…1位第24番、2位第20番、3位第23番となっており、今回演奏する12番は10位とのことでした。交響曲 第5番 ハ短調『運命』作品67昨年の5月に聴いた交響曲第4番は、副題を付けるとしたら「恋心」だろうというくらい、ときめきにも似た雰囲気がありましたが、第5番を作曲する頃には、ベートーヴェンの体を蝕む聴力障害が進んできた時期に当たるそうで、第4楽章以降でベートーヴェンらしい明るいメロディーも存在はするものの、1~3楽章では不安の要素が多く感じられるところでした。横島氏によれば、じつは「運命」というのは日本でしか通用しない副題であること。また横島氏は、それを証明するためにベートーヴェンの直筆の写しのスコアを会場に運び込んでおり、来場者にも見せていただけるといううれしい配慮をしていただいており、私も少し見せていただきましたが、当時の情景を少しだけ垣間見ることができたかな?と感じました。まとめ松本モーツァルト・オーケストラ ベートーヴェン・シンフォニーシリーズは、昨年の第5回に続いての鑑賞となりましたが、人数を絞った編成で音色がとてもクリアで素晴らしく、今回もプログラムの半分は協奏曲ということで、素晴らしいピアニストとの共演も大きな聴きどころでした。また横島氏の指揮もプロフィールに書かれているダイナミックかつ繊細との評判通りの見事なもので、特に第5番のフィナーレは鳥肌が立つくらい神がかった指揮をされていたように感じました。
May 4, 2024
開催日:2024.5.3(金) 13:30開演場所 :信州国際音楽村 ホールこだま(300名収容)KODAMAサロン2024 西山まりえリサイタル~典雅なる宮廷の楽器たち~ハープ、チェンバロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ~ ゲスト 上村かおりに行ってきました。プログラム前半1.ヨハン・ゼバスティアン・バッハ:プレリュードBWV846a ハ長調(チェンバロ)2.ルッツァスコ・ルッツァスキ:第4旋法のトッカータ(ハープ)3.カルロ・ジェズアルド:公爵のフランス風カンツォン(ハープ)4.ディエゴ・オルティス:レセルダ8番・2番(ヴィオラ・ダ・ガンバ/ハープ)5.リッカルド・ロニョーニ/チプリアーノ・デ・ローレ原曲:別れの時(ヴィオラ・ダ・ガンバ/ハープ)6.バルトロメオ・デ・セルマ/オルランド・ディ・ラッソ原曲:パッセジャータ《スザンナ》(ヴィオラ・ダ・ガンバ/ハープ)7.ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:ソナタ第10番 KV.330 ハ長調 第1楽章(チェンバロ)後半8.クロード・バルバトル:ラ・プロンニュ(チェンバロ)9.ジョセフ=ニコラ=パンクラス・ロワイエ:感受性(チェンバロ)10.ジョセフ=ニコラ=パンクラス・ロワイエ:スキタイ人の行進(チェンバロ)11.マラン・マレ:夢見る女(ヴィオラ・ダ・ガンバ)12.マラン・マレ:フォリア(ヴィオラ・ダ・ガンバ/ハープ) 1.モンタギュー家とキャピュレット家の入場 2.にらみ合い 3.威嚇し合い 4.ロメオとジュリエットの出会い 5.二人の踊り 6.激しい恋の始まり 7.バルコニーの恋人 8.ジュリエットの父登場 9.悩むジュリエット 10.神父に相談に行く 11.神父の登場 12.若者たちの小競り合い 13.ついに喧嘩 14.ロメオと親友マキューシオの死 15.ロメオの悲しみ 16.ロメオの怒り 17.ロメオがティボルトを殺す 18.逃げるロメオ 19.役人たちの登場 20.ジュリエットの苦悩 21.神父の策 22.追われるロメオ 23.悲劇の始まり 24.ジュリエットが薬を飲む 25.ジュリエットの元へ走るロメオ 26.墓へ降りるロメオ 27.ジュリエットの死を見る 28.ロメオの死 29.ジュリエットの目覚め 30.ロメオに気づく 31.慟哭 32.死に至るジュリエットレポート2時間超の濃密なリサイタルでしたが、オープニングのバッハの曲の後は16~17世紀の音楽をたっぷり5曲聴かせていただきました。その古典な響きに慣れてしまうと、前半最後のモーツァルトの曲がやけに新しく感じるという新鮮な感触がありました。後半は、18世紀の曲をメインに進みましたが、最終曲のフォリアでは、32幕におよぶロメオとジュリエットのストーリーを追ってゆく形での演奏となり、とてもリアリティを感じた次第です。今回、西山氏のハープ、チェンバロは昨年も耳にしているのでその素晴らしい音楽を再確認した次第ですが、加えてヴィオラ・ダ・ガンバの上村氏の演奏はめったに聴けないというレアな部分もあって大変貴重な鑑賞のひとときになりました。まとめ休憩が20分と長めだったこともあり、コーヒー片手にロビーから外に出て新緑の芝生広場を散策する時間を取ることができましたが、こういった休憩ができるのも信州国際音楽村ならではの素晴らしさかなというところです。
May 3, 2024
開催日:2024.4.29(月)14:00開演場所 :軽井沢大賀ホール(784名収容)軽井沢大賀ホール2024春の音楽祭 辻彩奈&阪田知樹デュオ・リサイタルに行ってきました。プログラム前半1.エルガー:愛の挨拶2.シューマン:3つのロマンス3.クライスラー:愛の喜び、愛の悲しみ、美しきロスマリン4.ブラームス/ヨアヒム:ハンガリー舞曲 第1番、第5番5.ブラームス:F.A.E.ソナタより スケルツォ後半6.シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 op.1057.ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 op.108アンコール8.シューマン:小さな子供と大きな子供のための12の連弾小品 夕べの歌 Op.85-12レポート愛の挨拶ソロやデュオのリサイタルでオープニングに演奏されることが多い楽曲ですが、改めて曲目解説を読むと近代イギリス音楽の父エドワード・エルガーが威風堂々とともにポピュラリティを得ている1曲でオリジナルは、1888年に8歳年上の妻キャロラインとの婚約を記念して彼女に贈ったピアノ用の小品で愛情のこもった優しく温かな音楽とのことです。ちょうど私自身もいまこの曲をアンサンブルで手掛けていることもあり、お二人がどのようにこの曲を演奏するのか勉強させていただこうという気持ちで楽しませていただきました。3つのロマンス曲目解説によれば、もともとはオーボエのために書かれた曲で温和にたゆたう「速くなく」、チャーミングな歌が流れる「素朴に、心より」、ラプソディ風の「速くなく」の3曲がセットになった曲とのことですが、この曲はこれまでに何人もの音楽家の方の演奏を聴く機会があり、特に昨年はオーボエによる本家本元の演奏も聴けたので、そういった意味では聴くに際してもたくさんの引き出しがある状態といえ、お二人がどのようにこの名曲を表現するのかをより深く楽しむことができました。愛の喜び、愛の悲しみ、美しきロスマリン曲目解説によれば3曲とも1910年出版の「古典的手稿集」に収められた楽曲とのことですが、クライスラーのよく知られた3作品であり、私の印象とすれば一番好きなのが愛の喜びで底抜けに明るくこれぞヴァイオリン!という響きがあるように思いますが、演奏される頻度とすれば愛の悲しみが多いのかな?美しきロスマリンは3番目?という印象です。そういった訳で、この3曲を連続で聴けるというのは、ちょっと贅沢なシチュエーションであり、これまでに聴いてきたいろいろな方の演奏も思い浮かべつつ、じっくりと楽しませていただきました。ハンガリー舞曲 第1番、第5番曲目解説によれば、ハンガリー舞曲はブラームスが1869年と1880年に出版して大ヒットしたピアノ連弾曲集であり、ブラームスが若い頃にハンガリー出身のヴァイオリニストやロマの楽団から吸収したハンガリーの民族的な音楽をブラームス流にリメイクしたものとあり、なるほどと思うところがありました。5番は特に有名ですが、これまで聴く機会が少なかった1番もなかなか味があって良いなと感じました。F.A.E.ソナタより スケルツォ曲目解説によれば、名ヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムが1853年にシューマン宅を訪問した際にプレゼントされた曲で、ディートリヒ、シューマン、ブラームスの合作によるものとのことですが、その中でもブラームスの第3楽章スケルツォが突出して演奏機会が多いとのことで、私もこれまで何度かこの曲を耳にしたことがあり、その力強さを魅力に感じていた節がありました。余談ながらこの曲の特徴である「タタタ・ター」のリズムですが、聴くたびにヒナステラのエスタンシアを連想してしまいます。あくまで私の見解ではありますが、こういったリズムは労働を連想させるものがあり、人々がもくもくと働いている姿を想像するところです。ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 op.105曲目解説によれば、シューマンが残したヴァイオリン・ソナタは、いずれも創作活動の終盤に書かれ、第1番は簡潔な構成と書法の中に力強さやロマン性を湛えた作品とのことですが、冒頭からしっかりと主張する濃密な音楽が聴く者をその世界観へと強烈に引き込む印象がありました。ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 op.108ブラームスのヴァイオリン・ソナタは、第1番の雨の歌が特に演奏機会が多い印象がありますが、ピアニストの阪田氏より「いずれも異なる世界観を持った作品」とのコメントがあり、さすれば第3番の世界観はいかに?というところでしたが、曲目解説に当時随一のピアニスト、ビューローに献呈する意図と相まってブラームス自身が「名人でなくては弾けない」と述べた程難しいとのことで、そこがこの第3番の演奏頻度が比較的少ない理由かなとも思いました。このあたりはヴァイオリニストが共演するピアニストに演目を告げるとピアニストの都合が急に悪くなって断られてしまう逸話があるリヒャルト・シュトラウスのピアノとヴァイオリンソナタに通づるものがあるのかもしれません。私自身、伊藤文乃氏と高橋多佳子氏による演奏でこの第3番を拝聴したことがあり、その時のお二人の熱量のすさまじさに圧倒された記憶がありましたが、今日の辻氏と阪田氏の演奏も熱量がすさまじく、記憶に残る演奏となりました。小さな子供と大きな子供のための12の連弾小品 夕べの歌 Op.85-12アンコールは本プログラムが重かった分、クールダウン的な印象での演奏となりました。タイトルと小さな子供と大きな子供という意味について、5歳くらいと15歳くらいなのかな?と想像しましたが、ある意味人間が成長する過程をひとくくりに子供とするのはいかがなものか?というアンチテーゼをシューマンが表現したかったのか?とも取れるのかなと感じました。まとめ辻氏の演奏を初めて聴いたのが、第581回 群響定期演奏会プログラム 上田定期演奏会-2022秋-のサン=サーンス / ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61でしたが、その時にその演奏の見事さに大いに感動し、また機会があれば是非彼女の演奏を聴いてみたいと思っていましたが、約1年半の時を経てその願いが叶えられた形となりました。今回はデュオコンサートということで、よりヴァイオリンの音色がくっきりと感じられた訳ですが、印象とすれば澄み渡ったクリアな音色でとても一人で弾いているようには聞こえない太い音色が全音域に渡って響いており、改めてその素晴らしさを感じた次第です。
April 29, 2024
開催日:2024.4.28(日)14:00開演場所 :須坂市文化会館メセナホール(1,124名収容)楽団発足から14年目となるメセナ市民交響楽団の第11回定期演奏会に行ってきました。前半1.プッチーニ/交響的前奏曲 イ長調2.シューマン/ピアノ協奏曲 イ短調 作品54 ピアノソロ 中野孝紀 第1楽章 Allegro affettuoso 第2楽章 Intermezzo:Andantino grazioso 第3楽章 Finale:Allegro vivace ソリストアンコール シューマン/献呈 S.566 R.253(リスト編) 後半3.ベートーヴェン/交響曲 第2番 ニ長調 作品36 第1楽章 Adagio molto - Allegro con brio 第2楽章 Larghetto 第3楽章 Scherzo : Allegro 第4学習 Allegro moltoアンコール4.ビゼー/アルルの女 第二組曲 第4楽章 ファランドールレポート交響的前奏曲 イ長調曲目解説によれば後にオペラ音楽の大家となるプッチーニが24歳の大学院生だった頃の作品とのことでしたが、プッチーニ独特の夢のように憂鬱な旋律を持つという作風は既に出来上がっており、プッチーニ以外の誰の作とも考えられない…というコメントがまさにその通りだなと思いました。前奏曲ということもあり、トロンボーン・チューバまで一通り揃った大編成での演奏となりましたが、盛り上がるのは中盤という感じで、終わりはまた夢の中へという風情がなんだかとても神秘的な感じがありました。ピアノ協奏曲 イ短調 作品54曲目解説によれば、1968年当時にテレビで放映されていた「ウルトラセブン」の最終回に主人公のダン隊員がアンヌ隊員に自分の正体を告げる瞬間に流れる曲であるとのことでしたが、このヒーローの正体隠しというシチュエーションは、スーパーマンであったり、藤子不二雄のパーマンであったりと、ある意味お約束なところもあるのかなと想像しつつ楽しませていただきました。楽曲は、シューマンらしいとてもきれいなメロディーを持っており、素晴らしいピアノソロの音色の心地よさは抜群のものがありますが、それに絡む木管楽器クラリネット・オーボエの活躍も目立っているように感じました。献呈シューマンのピアノ協奏曲のソリストアンコールは、予想通りこの曲が演奏されました。シューマンが結婚に際してクララに贈った愛情にあふれたとてもやさしい曲ですが、ピアノソロ用にリストが編曲したものは、あまりに煌びやかにしてしまったことから被献呈者のクララから「作曲家の思いを無にする技巧的な装飾なんて要らない」と言われてしまったという逸話があり、当時のリストがそれを知って苦笑いしたのかしなかったのか…。とはいえ原曲のやさしい雰囲気はそのまま残されており、この曲を世に広く送り出した功績も大きいものがあるのでは…ということで曲を聴いた後とても暖かい気持ちになりました。交響曲 第2番 ニ長調 作品36曲目解説によれば、ベートーヴェンの9つの交響曲は、一般的に奇数番号の曲が多く演奏され、偶数番号の曲の演奏回数は少ないとのことで、それは偶数番号の方が演奏するのが難しいからとのことでしたが、昨年この時期に松本モーツァルト・オーケストラ ベートーヴェン・シンフォニーシリーズで第4番「恋心」を聴く機会があり、その時も確か難しい曲と言っていたような…とつながった次第ですが、メロディーメーカーのベートーヴェンらしさはあふれており、そこは作曲者の意思が終始強烈に伝わってくる印象がありました。アルルの女 第二組曲 第4楽章 ファランドールアンコールはちょっと毛色の違う曲というイメージがありましたが、トロンボーンの奏者の方などは1曲目の交響的前奏曲以来の登場となり、出番が無かったうっぷんをいっきに晴らす意味も込めて気合の入った演奏と感じられました。まとめ昨年に続いての鑑賞となりましたが、今年は素晴らしいゲストを迎えてのシューマンのピアノ協奏曲。そしてあまり聴けない貴重なベートーヴェンの交響曲第2番ととても有意義な鑑賞のひとときを過ごすことができました。また市民オーケストラということで、見知った方の活躍を拝見することができたのも良かったです。
April 28, 2024
開催日:2024.4.21(日) 14:00開演場所 :信州国際音楽村 ホールこだま(300名収容)ズーラシアンブラス・マニア inすいせん祭りに行ってきました。プログラム第1部・ロッキーのテーマ・天空の城ラピュタメドレー・魔女の宅急便メドレー・狂詩曲「ゴジラ」第2部・チキチキバンバン・リクエストコーナー パート1 もののけ姫・リクエストコーナー パート2 となりのトトロ・荒野の七人第3部・アイドル・あんたがたどこさ・ロッホ・ローモント・コンサートマーチ「蒲田行進曲」アンコール・スイートチャリオットレポートロッキーのテーマオープニングは、2007年に発売されたCDのズーラシネマよりとのことで、ファイトあふれるこちらの楽曲でのスタートとなりました。そしてズーラシアンブラスは金管のアンサンブルチームになる訳ですが、時折聴こえてくるトランペットでの細かいリズムがお見事!吹奏楽ではこういったリズムは木管高音が担当することが多い訳ですか、それをトランペットでやっているということで、とても新鮮な感じがありました。天空の城ラピュタメドレーラピュタの曲の中でも「ハトと少年」は、トランペットのソロが大きな見せ場になる訳ですが、こちらのアレンジでは、とてもステキな金管アンサンブルでまとめられており、ソロもいいがアンサンブルの魅力を大いに感じました。そして締めくくりは「君をのせて」。こちらは、それぞれのパートに見せ場がまわってくるアレンジで大いに楽しませていただきました。魔女の宅急便メドレージブリの音楽の中でも作品中の場面を特に色濃く彩っている感のある魔女の宅急便のメドレーですが、おなじみのあの曲から、ちょっと聞きなれない新鮮なあの曲までを網羅したとても聴きごたえのある内容でした。これまで吹奏楽やアンサンブルなどで何度もやってきた曲ではありますが、こういうのを聴くと、また演奏してみたい気持ちが湧いてきました。狂詩曲「ゴジラ」つい先ごろゴジラ1.0で話題になって、2024年はゴジラブームになりそうな予感がある中で、早速ズーラシアンブラスに取り上げていただいた感があり、あの聴きなれた一節はもちろんですが、狂詩曲ということで、中間部の繊細なアンサンブルなどとても深みのあるイメージになっていてかなりの聴き応えがありました。チキチキバンバン第2部のスタートは、とても陽気なこちらの楽曲でのスタートとなりました。観客の手拍子も入ってご機嫌な盛り上がりですが、じつは技術的にはなかなか高度なことをやっているようで、いつものことながら動物さんたちすごすこぎるよ…と改めて感じました。もののけ姫リクエストコーナーということで3択で「ハウルの動く城」「千と千尋の神隠し」「もののけ姫」から拍手の一番大きい曲を演奏するということでしたが、千と千尋の神隠しともののけ姫がほぼ同点ということで、インドライオンさんが押していたこともあって最終的には指揮者のオカピさんの判断でもののけ姫となりました。ジブリ作品の中でもわりと陰のイメージがある同作品ではありますが、それだけにおどろおどろしい雰囲気の楽曲とそれが終わった後のやすらぎの楽曲とのコントラストが生きてくるのかな…と感じました。となりのトトロリクエストコーナーパート2は、「千と千尋の神隠し」「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」からの3択となりましたが、ナウシカでも歓声が上がりましたが、トトロで子供たちのパワーがさく裂した感じで、トトロになりました。トトロは作品そのものの興行収入はふるわなかったそうですが、楽曲については一級品の認知度で、特に「さんぽ」はおなじみ感があるのかなと思います。それだけにさんぽをメドレーのどの位置に持ってくるかが重要ということになりますが、本日の演奏ではトリにもってきて大いに盛り上がった感がありました。荒野の七人インドライオンさんのとてもステキなソロで曲がスタートしました。さらに曲中で登場するインドライオンさんの曲芸とも捉えられる超絶技巧に圧倒されましたが、西部劇の雰囲気が出ており、往年の名俳優スティーブ・マックウィーンなどを想い出しつつ楽しませていただきました。アイドル第3部のスタートは、またCDに収録されていない楽曲をということで、YOASOBIのヒット曲が登場しました。曲の持つ疾走感を大いに感じた次第です。あんたがたどこさ冒頭で指揮者はいらないよ!ということで、奏者に退場を促されたオカピさんが下がった後は、あんたがたどこさのソロをまわして吹いて行きますが、誰も正しく吹けずにリタイヤ…。トロンボーンのスマトラトラさん至っては間違えたのを誤魔化すように与作を吹き始めてしまうやらで収拾がつかず…。結局最後は、指揮者のオカピさんが再登場して曲をまとめるということになりましたが、ここでは改めて指揮者の重要性について語りたかったのかな?と感じました。ロッホ・ローモントどこか懐かしくてふるさとを想わせるような旋律をトロンボーン、トランペットでリレーして始まりましたが、中盤からはアップテンポになり、いっきにお祭りさわぎの様相を呈して盛り上がりました。コンサートマーチ「蒲田行進曲」1980年公開の映画の楽曲ですが、コンサートマーチ仕立てということで、印象とすればとてもきれいな感じのアレンジになっていると感じました。スイートチャリオット初めて聴く曲でしたが、同名の花があることから、花をモチーフにした楽曲なのかもしれません。まとめ前日のサキソフォックスに続いて連日の鑑賞となりましたが、2つのチームには、どこかリンクしている部分があって、メンバー紹介で前日のサキソフォックスのラトゥール君がインドライオンさんがおなじみにしている曲を吹いていたのを聞いていたのか、対抗して名探偵コナンを吹いたりと、動物の着ぐるみをかぶってはいるものの、じつに人間らしいやりとりがこのズーラシアンファミリーにはあると感じました。
April 21, 2024
開催日:2024.4.20(土) 14:00開演場所 :信州国際音楽村 ホールこだま(300名収容)サキソフォックス・マニア with Beth&Namakemono inすいせん祭りに行ってきました。プログラム第1部1.こぎつね2.トッカータとタンゴ!3.ハーレム・ノクターン4.プリンク・プレンク・プランク第2部5.さくら幻想曲6.リクエストコーナー パート1 となりのトトロメドレー7.リクエストコーナー パート2 名探偵コナンメインテーマ8.鉄道メドレー第3部9.Take Five10.マンボNo.511.ストドラパンパ12.ハイホーアンコール1曲あり 曲目不明レポートこぎつねサキソフォックスのテーマ曲ということで、まずはご挨拶がわりのようなイメージで演奏となりました。パーカッションとピアノも加わっての豪華アレンジということで、第1曲目からお祭り騒ぎの様相となりました。トッカータとタンゴ!バッハの有名なトッカータとフーガを長めに取り入れ、曲の冒頭からクラシックな雰囲気を十分に堪能させていただくことができました。そして中盤はタンゴ調になったかと思いきや、またトッカータとフーガに戻ってゆき、そして気が付くとタンゴ調になっている…。このミックス具合がなんとも絶妙と感じました。ハーレム・ノクターンテナーサクソフォーンをフィーチャーした楽曲ですが、上品なテナーサックスの演奏とそれに合わせるサクソフォーンアンサンブルチームの融合感も加わって、キツネさんたちの息の合った演奏に引き込まれたひとときになりました。プリンク・プレンク・プランクルロイ・アンダーソンの有名な楽曲ですが、そのスピード感はまつにキツネが疾走する感あり。このあたり、思った以上に着ぐるみの視覚上の効果というものは大きいのだなと再確認することとなりました。さくら幻想曲ピアノによる独奏演奏となりました。今年はまだ信州国際音楽村にも桜の花が残っており、わりとタイムリーな形となりましたが、さくらさくらをモチーフとした曲の持つ和のテイストがとても心地よいと感じました。余談ながら題名の似た曲に幻想曲「さくらさくら」という曲がありますが、さくら幻想曲を聴きながら合わせて想い出した次第です。となりのトトロメドレー第2部のスタートは、キツネさんたちが、楽譜を巡ってなにやら揉めている…ところからのスタートとなりました。どうやら演奏する曲を巡って4兄弟の意見が対立している模様…。ということで、観客のリクエストの多かった方を演奏するということになり、となりのトトロメドレーと勇気100%の2択になりましたが、拍手の多かった方!ということでトトロになりました。過去に同じズーラシアンファミリーのクラリキャットのトトロをやったことがあったので、サックス版との違いなども感じながら楽しませていただきました。名探偵コナンメインテーマ2曲目は、ルパンとコナンの対決となりました。こちらも観客の拍手の多い方!ということでしたが、途中でラトゥール君がルパンからコナンに寝返ったことで、キツネさんたちの票が3対1となり、コナンの演奏になりました。どちらもサクソフォーンソロがカッコ良い曲ということで甲乙つけがたいところではありましたが、折しもテレビでコナンを放映したばかりということもあり、図った訳ではないですがタイムリーな選曲と思いました。鉄道メドレー昔のJRの終点をお知らせするメロディーで幕開けし、線路は続くよどこまでもやA列車で行こうなどが組み込まれた楽曲で、不協和音で汽車の汽笛を表現するなど大変面白いと感じました。スパークのオリエント急行を彷彿とさせるような雰囲気もあって、こんどの休日は鉄道で旅してみたいと思わせるようなひとときになりました。Take Five第3部のスタートは、サクソフォーンの艶っぽい音色が良く似合う、おなじみのテイク・ファイブとなりました。マンボNo.5司会の方から「息が合わない」との前置きがありましたが、サキソフォックスのマンボNo.5はそれが楽しい演出になっている訳で、今回もラトゥール君がお約束のおっちょこちょいぶりを発揮して他のメンバーと逆の振付をする様が大いに笑いを誘いました。何度か正しい振付をラトゥール君に教えてもやっぱり逆…。根負けした他のメンバーが「あなたはそれでいいから!」と言い聞かせて再スタートしたら、今度ラトゥール君が正しい振付をして他のメンバーと逆になってしまうというオチは、想像通りのものではありましたが、今回も楽しませていただきました。ストドラパンパ腕まくりダンスを取り入れた観客参加型の演奏となりました。司会の方と働く鳥さんも加わってのダンスがあり、大いに盛り上がりました。ハイホー締めくくりは、白雪姫よりハイホーの演奏となりました。こちらの楽曲ですが、初代ディズニーメドレーに入っているイメージがけっこう強くて、私の中ではディズニーメドレーを構成する楽曲というイメージで楽しませていただきました。まとめ今回は、プログラムが配布されたことから、全体を通して次に来る曲がわかった状態で楽しませていただきました。このあたり、プログラムが無いことが多いジャズの演奏会の雰囲気からプログラムがあるクラシックの演奏会寄りに運営方針が変化したのかもしれませんが、聴き手側からすると、プログラムかあった方が知らない曲の曲名もわかってよい部分が多いように感じました。
April 20, 2024
開催日:2024.4.14(日) 14:00開演場所 :松本市音楽文化ホール・メインホール(693名収容)フィルハーモニック・オーケストラ・松本の7thコンサートに行ってきました。プログラム開演前1.弦楽四重奏 アルルの女よりファランドール2.フルート四重奏前半1.スッペ:「軽騎兵」序曲2.シューベルト:交響曲第8番《未完成》 I Allegro moderato II Andante con moto後半3.チャイコフスキー:交響曲第4番 I Andante sostenuto II Andantino in modo di canzona III Scherzo:Pizzicato ostinato. Allegro IV Finale:Allegro con fuocoアンコール4.ロッシーニ:ウィリアム・テル序曲レポート弦楽四重奏~フルート四重奏開演前のアンサンブル演奏で2チームが登場しました。コンダクターの近藤聡氏が自らヴァイオリンを手に登場しての弦楽四重奏。続いてのフルート四重奏は、フルート特有の淡い音色の魅力を感じられるところでした。「軽騎兵」序曲冒頭のトランペットが特徴的なスッペを代表する序曲の1つですが、私事ながらこの曲は2回ほど演奏しており、特に1回目はコンクールの自由曲で暗譜するほどやっていたことから、いまだに演奏を聴くとその時の楽譜が想い出されるところで、懐かしさ半分ということでとても楽しく聴かせていただきました。交響曲第8番《未完成》パンフレットにとても詳しい曲目解説が掲載されていましたが、そこにシューベルトの人となりとして、ある侯爵家で開かれたパーティーで伴奏を担当したシューベルトは、歌い手が称賛をあびている中で一人ぽつんとしていたところで、それを気の毒に思った侯爵夫人が賛辞を贈ろうとすると、「心遣いはありがたいが、自分のことは全然心配しないでもらいたい、無視されるのに馴れきっているばかりか、そのほうが窮屈な想いをしなくてすむ」と書かれており、シューベルトを身近に感じたエピソードだと思いました。また未完成の未完成たる所以についても諸説あることも含めて書かれており、そんなミステリアスな部分も含めて充実した2つの楽章を大いに楽しませていただきました。交響曲第4番冒頭部分がどこかシバの女王ベルキスを連想させる感じがあるのかなと思いましたが、その後は解説にも書かれていたチャイコフスキーは稀代のメロディーメーカー!とのことにまさしくその通りだなと思いながら繰り出される旋律の数々を楽しませていただきました。印象的だったのは、1楽章のくるみ割り人形の金平糖の踊りをより発展させたような5連符のキャッチボールが面白いなと思ったり、3楽章のピッツィカートを聴くにつけ、その弾ける音色はとても心地がよいけれど、最近の弦楽器はスチール弦が多いだろうからピッツィカートを多用すると指の腹に血豆ができやしないかとハラハラしたり、4楽章の終盤のこれでもという豪華さに感動したりと、いろいろな発見がありました。また演奏後に指揮者の近藤氏が演奏者の皆さんに向かってブラボー!と喝采を送ったのも素晴らしいパフォーマンスでした。ウィリアム・テル序曲アンコールは、抜粋演奏でトランペットのファンファーレから最後までの演奏になりましたが、いわゆる一番有名な部分ということで、その小気味よい演奏を大いに堪能させていただきました。余談ながら、これもロッシーニ風ということで、わざとらしい強奏部の中の弱奏部は力をためているようで面白いと感じました。まとめ指揮を務める近藤氏のことは、昨年のサンテラス100回記念ロビーコンサートで初めて知りましたが、その時に松本の方でオーケストラをやっているというお話を伺い、機会があれば聴いてみたいと思っていたところ、偶然手にしたチラシで公演を知り今回の拝聴となりました。どこかお笑い芸人を彷彿させるような近藤氏の独特なキャラクターは、とても親近感を感じるところがありました。そして演奏後に次回の第8回演奏会(2022.9.22)の演奏会の予告として前プロはシュトラウスの皇帝円舞曲。本プロ1がチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。本プロ2が同じくチャイコフスキーの交響曲第6番悲愴との告知がありましたが、それもじつに興味をそそられる形でお話され、予定さえあえばまた足を運びたいと感じました。
April 14, 2024
開催日:2024.4.7(日) 13:30開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)上田高校室内楽班 第25回定期演奏会に行ってきました。プログラム第1部1.「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」より I.Allegro II.Romanze Andante/W.A.モーツァルト2.「カプリオール組曲」より I.Bass Dance V.Pieds-en-l'air VI.Sword Dance/P.ウォーロック3.2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調/J.S.バッハ第2部4.組曲「くるみ割り人形」より 小序曲 行進曲 金平糖の踊り アラビアの踊り 中国の踊り 花のワルツ /P.チャイコフスキーアンコール5.エニグマ変奏曲 作品36よりニムロッド /E.エルガーレポート「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」よりオープニングは、三年生9名による演奏でのスタートとなりました。今回は第1楽章と第2楽章の演奏になりましたが、曲目解説に幻の第5楽章があるとの記述があり、その謎に大いに興味をそそられた次第です。「カプリオール組曲」より 曲目解説によればイギリスの作曲家、ピーター・ウォーロックの最も人気な曲の1つと言われているそうで、今回はその中から第1楽章、第5楽章、第6楽章の演奏となりました。特に第6楽章はとても楽しい雰囲気があり、聴いていて心躍らせるひとときになりました。2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調2つのヴァイオリンのための協奏曲ということで、ソリストのお二方が向かい合うような形での演奏となりました。曲目解説によれば、対等に書かれた2本のヴァイオリンのソロの、まるで会話をしているようなバランスの良い掛け合いと、それを支える合奏部が織りなす絶妙なハーモニーが魅力とのことで、じっくりと楽しませていただきました。余談ながらピアニストの金子三勇士氏によればバッハの音楽は心を無にして聴くのが良いとのことでしたので、何かをイメージするのでなく流れてくる音を体で浴びる…そんな心持ちで聴いたところとても心が和み癒されました。組曲「くるみ割り人形」より前日に小序曲を演奏したばかりだったので、復習のような形になりましたが、チェロ以下の低弦を使わない編成という曲の意味がオーケストラで聴いてみてよくわかりました。また私自身2017年にオーケストラでくるみ割り人形を演奏したことがあったので、親近感が湧くとともに、ここは目立つソロがあったな…とか、花のワルツはtacetで1回も出番が無かったけれど、特等席で演奏を楽しんでいたな…といったことを想い出し、自分と同じパートの奏者を見ていたら、やっぱり出番が無かったので、どんな気持ちでステージ上にいるのだろうかと気になったり、ある意味奏者目線の鑑賞になり、それはそれで楽しかったです。エニグマ変奏曲アンコール1曲は、エドワード・エルガーのおなじみの曲となりましたが、エルガーと言えば、私の中では威風堂々第1番。そして愛の挨拶といったところが真っ先に想い出されますが、この曲も有名だったな!と想い出させてくれたひとときになりました。それにしても上品に盛り上がる曲というのが率直な感想です。まとめ本プログラム演奏後に部長さんから挨拶があり、上田高校管弦楽班は、昨年大ホールでのオペラを経験し、そんな経験を踏まえての今年の公演をどう盛り上げたら良いか悩んだとのお話がありましたが、1部は室内楽ならではやさしい響きをじっくりと楽しませていただき、2部は地域の音楽家の皆さんが賛助として入り、華やかなバレエ音楽であるくるみ割り人形の演奏を聴くことができ、聴き手とすればとても魅力的なプログラムと感じるところがありました。また集客の面でも立ち見が出るほどの盛況ぶりで、素晴らしい公演であると感じた次第です。
April 7, 2024
開催日:2024.4.6(土) 13:30開演場所 :エコールみよた あつもりホール(322名収容)軽井沢を拠点に活動する廣田喜美先生の生徒さんたちによる発表会に行ってきました。また前回に引き続き上田ウィーンアカデミーで廣田先生にお世話になっている縁でクラリネットアンサンブルの一員としての出場もありました。プログラムオープニング1.カーペンターズメドレー クラリネット4重奏 カーペンターズ/石川亮太ピアノの部2.トルコ行進曲/ベートーヴェン もっともっと/KEITH.n(子供讃美歌)3.『ハウルの動く城』より人生のメリーゴーランド/久石譲4.即興曲 op.90-2/シューベルト5.ソナチネ op.36,No3/クレメンティ トルコマーチ/モ-ツァルト6.アイデンティティ/初音ミク アスノヨゾラ哨戒班/Orangestar7.いつくしみ深き/讃美歌より 乙女の祈り/バダジェフスカクラリネットの部8.ヴィクトリアン・キッチン・ガーデン組曲/ポール・リード9.ソロ・ドゥ・コンクール/ラボー10.コンチェルティーノ op.26/ウェーバー11.ヴァリエーション/ロッシーニ12.アダージョとアレグロ/シューマン13.クラリネットソナタ op.120-2 変ホ長調/ブラームス14.『ディベネティメント』より第1楽章、第5楽章/モーツァルト15.クラリネット5重奏 上海スクエア/新井千悦子16.クラリネット4重奏 3つのラテンダンスより/ピケティック 天使の死/ピアソラ17.クラリネット合奏 くるみ割り人形『序曲』 こうもりセレクション18.クラリネット合奏 サウンドオブミュージック/R.ロジャースレポート日頃の成果を生かした素晴らしい発表が続きましたが、より印象に残った演奏についてレポートしたいと思います。カーペンターズメドレーイエスタデイワンスモアのサビの部分を前奏に、トップ・オブ・ザ・ワールドへと入る構成になっていましたが、なかなかお洒落だと感じました。こちらの楽曲は、もともとはクラリキャットのために書かれた楽譜と思いますが、演奏されている方はもちろん着ぐるみはしていないものの、曲のイメージからキャット4人が演奏していかのような雰囲気が感じられました。いつくしみ深き結婚式でおなじみの讃美歌ですが、教会で歌うあの一節から発展する形でカデンツァのような部分が加えられたりと、廣田先生のクラリネットと生徒さんのピアノのデュオによるとても聴きどころの多い深い演奏でした。ヴィクトリアン・キッチン・ガーデン組曲1.Prelude 2分30秒、2.Spring 0分45秒、3.Mists 1分40秒、4.Exotica 1分、5.Summer 1分30秒の5曲から構成される組曲ですが、曲を聴き進むと次々に色々な風景が浮かび上がるような感じがするリアリティーのあるとてもステキな曲だと感じました。ソロ・ドゥ・コンクールシリアスな雰囲気で始まる楽曲ですが、クラリネットの音域の広さを生かしたカデンツァがあったり、淡々と奏でられる主題がとてもクールな雰囲気ですが、いつのまにか明るい雰囲気になり最後はハッピーエンドとなる…そんなイメージのある曲でした。コンチェルティーノ op.26クラリネット独奏曲の大定番曲という印象がある曲ですが、中間部からの明るいメロディーはウェーバーらしい陽気な感じがあって、聴いていてとても楽しい気持ちにさせられるものがありました。余談ながらこの曲は2年前のMusik Raum Concert Vol.20でも演奏されており、その時から私の中ではお気に入りの1曲になっていて、とても楽しめました。ヴァリエーションつい2カ月ほど前にロッシーニのセビリアの理髪師を演奏する機会があったので、その対比ではありませんが、遊び心が感じられるのはやっぱりロッシーニ風か?という感想を持ちました。キーワードとすればわざとらしく〇〇するみたいなことがロッシーニ風ということになりましょうか。アダージョとアレグロどこかで聴いた曲だな…と思って過去の旅を振り返ってみたところ、2年前に横川晴児&秋場敬浩デュオ・リサイタルで聴いたとわかりましたが、1回聴いただけなのにこれだけ耳に残っているのは、シューマンの音楽は独特の雰囲気を持っていて、聴き手の中に強烈に入り込んでくる音楽性を持っているのではないかと感じました。クラリネットソナタ op.120-2 変ホ長調2年ほど前に、この曲のヴィオラ版を聴いたことがありましたが、その時の曲紹介でクラリネット版の完成後にブラームスが「蛇が尾を噛んで、環は閉じられた。」という言葉を手紙に残したことからも、ブラームス渾身の出来だったのだろうと推測される…。とのことで、そんな最高傑作を本家のクラリネット版で拝聴することができ、さらに廣田先生の演奏ということもあって、拝聴にあたってまさに今日一の贅沢なひとときになりました。『ディベネティメント』より第1楽章、第5楽章オーボエとクラリネットによるデュオでの演奏となりました。どちらかというと濃くて立った音のオーボエの音色と、控えめで淡い音色のクラリネットの二重奏はどうしてもオーボエの音色が耳につきやすいところですが、そこは聴き耳のチャンネルを切り替えることで、どちらも楽しむことができた感がありました。上海スクエアユーチューブなどを見るといろいろな団体が演奏している動画が出てきますが、生で聴いたのは初めてでとても新鮮でした。編成はベークラ×4、バスクラ×1ということで、題名か上海の風景を四角い窓から除いているかのようなイメージがありました。もう25年も前のことになりますが、海外への初の一人旅で行った上海の初日に見た外灘の夜景のことをふと想い出した次第です。3つのラテンダンスよりラテンの香りのするダンス曲は、とても妖艶な雰囲気がありました。会場の照明は一定でしたが、ちょっと暗くすればもっと雰囲気出そう…などと感じるところがありました。天使の死つい2週間前に宮田大チェロ・リサイタル with山中惇史で聴いたばかりということもあって、親しみ感があり、そしてこの後天使が復活するのだな…と想像を巡らせつつ、クラリネット4重奏の天使の死を楽しませていただきました。くるみ割り人形『序曲』上田・ウィーンアカデミークラリネットアンサンブルが2024年から手がける新曲の初披露1曲目となりました。この曲は、原曲ではチェロ以下の低弦を使わない構成になっているので、本来であればアルト・バスは出番が無い…ということになるのですが、そこは音域の広いクラリネットということで、それぞれ上の音域をメインに使っての演奏となりましたが、それゆえの軽快な響きがとても印象的でした。こうもりセレクション上田・ウィーンアカデミークラリネットアンサンブルが2024年から手がける新曲の初披露2曲目となりました。昨年のメリーウィドウと同じ鈴木英史氏による編曲版ですが、2年前にこうもり序曲をやっている関係で一部おなじみの部分もあって、親しみ感も手伝って楽しいひとときを過ごさせていただきました。サウンドオブミュージック締めくくりは、クラリネットメンバー全員での演奏となりました。おなじみのサウンドオブミュージックということで、みんなで山に登ろう!的な一体感もあいまって演じ手も聴き手も盛り上がった感がありました。まとめ昨年に続いてMUSIC RAUMコンサートを拝聴ならびに演奏参加させて頂いた訳ですが、ピアノの部、クラリネットの部、それぞれに興味深い演奏の数々を拝聴することができました。また偶然ではありますが、過去に聴いた曲をもう一度聴ける機会も多くより楽しめた感がありました。
April 6, 2024
開催日:2024.3.31(日)14:00開演場所 :須坂市文化会館メセナホール(1,124名収容)2014年~2016年の3年間に渡りメセナホールで実施した「東京佼成ウインドオーケストラ 吹奏楽大作戦inメセナ」の合同演奏参加者を中心に、須坂市内外の吹奏楽愛好者で2016年5月に結成された吹奏楽団の第5回定期演奏会に行ってきました。プログラム第1部 吹奏楽ステージ1.音楽祭のプレリュード2.吹奏楽のための「風之舞」3.パントマイム(ユーフォニアムソロ 佐藤采香)4.「ナポリ」フニクリフニクラによる変奏曲5.シンフォニア ノビリッシマ第2部 映画音楽6.リトル・マーメイド・メドレー7.ムーン・リバー8.TIME TO SAY GOODBYE9.パイレーツ・オブ・カリビアン・メドレー10.スター・ウォーズ コンサート・セレクションアンコール11.宝島12.星条旗よ永遠なれ音楽祭のプレリュードコンサートのオープニング曲としてぴったりで、豪華なファンファーレが特に素晴らしいと感じました。曲目紹介では、日本におけるアルフレッド・リードの名を世に知らしめた作品とのことでしたが、この曲は1957年に作られたということで、リード初期の楽曲と言えます。私自身もこの音楽祭のプレリュードは何回か演奏してきていますが、なんといっても学生の頃に一番最初に演奏した時の印象が強く、聴くたびに演奏した当時のことを想い出し、とても懐かしく感じた次第です。吹奏楽のための「風之舞」さくらのうたと並ぶ福田洋介氏の代表作の1つというイメージですが、さくらのうたが2012年で風之舞が2004年なので、歴史という点でいくと風之舞の方が8年ほど古く、その分長く演奏されてきた感がありますが、気づけば20年の前の曲!ということで、時の流れは速いなと感じながら楽しませていただきました。パントマイムゲストのユーフォニアム奏者・佐藤采香氏のソロ演奏の披露となりました。パントマイムはユーチューブで外囿祥一郎氏の演奏が公開されていますが、そんなことからユーフォニアムを代表する楽曲であるとの認識があり、今回その曲を演奏するということで大いに楽しみにしていたのですが、実際に生で演奏を聴いてみて、佐藤氏の神業テクニックもさることながら、その圧倒的な表現力に大いに魅せられ、改めてユーフォニアムの持つ魅力を感じることができました。「ナポリ」フニクリフニクラによる変奏曲プログラムに掲載の無いソリストアンコールとして演奏されましたが、この愉快なナポリもどこかおどけた印象があり、ユーフォニアムの柔らかい音色とは相性が良いと感じました。シンフォニア ノビリッシマ邦題は「吹奏楽のための高貴なる楽章」。吹奏楽の世界ではシンフォニアノビリッシマで知られているジェイガーの代表曲として有名ですが、なんといっても中盤のロマンチックな旋律が魅力的で、これはジェイガーが結婚した妻ジョン・ルシルに捧げるというシチュエーションがあったからこそ生まれたということで、ある意味一生に何回も無い貴重なことなのかもしれません。改めて考えてみると妻に捧げる楽曲としては、エルガーの愛の挨拶、シューマンの献呈などが想い出され、曲を作った当人の幸せな持ちが聴く人にもおすそ分けされている…という点で音楽の癒し効果が最大限に発揮されているジャンルではなかろうかと感じました。リトル・マーメイド・メドレー第2部は、映画音楽特集ということで、まずはディズニーから1曲!ニューサウンズインブラスの人気曲でもあり演奏頻度も高いリトルマーメイドですが、アンダー・ザ・シー、キス・ザ・ガール、パート・オブ・ユア・ワールドの3曲が入っており、米国ディズニー社の審査を受けたお墨付きのアレンジだけに大変聴き映えが良いと感じました。ムーン・リバームーン・リバーにもいろいろなアレンジのものが出ていますが、今回演奏されたのは櫛田てつ之扶氏によるシンフォニックジャズ版で、ウインズスコアのジャズシリーズの一角を成すもので、ニューサウンズインブラスのような派手さはないが、とても上品さを感じる演奏でした。TIME TO SAY GOODBYEおとなしく始まり、静かな曲かな?と思ったら、だんだんと盛り上がって最後は圧倒的な音圧感で締めくくられるという、ある意味ボレロのような曲と感じましたが、アレンジが真島俊夫氏なので、キラキラ感のある豪華さが散りばめられており、ある意味この曲でフィナーレになっても十分良いのでは?と思わせるほどの盛り上がりを感じました。パイレーツ・オブ・カリビアン・メドレーニューサウンズインブラス2011に収録されていたメドレーと思われますが、私自身このアレンジでの演奏はこれまであまり聴いたことが無かったのでとても新鮮な感じがありました。とはいえ、定番のカリビアンの曲が出てくるといやがおうにもテンションが高くなる感じがありました。また曲を聴きながら、20年前に行ったディズニーランドのカリブの海賊のアトラクションの滝下りを想い出し、今もあれはあるのかな?と懐かしく思いました。スター・ウォーズ コンサート・セレクション作曲者である真島俊夫氏の曲目解説によれば、このアレンジはポップスではなく原曲に忠実なシンフォニックアレンジとのことで、映画のシーンを想い出しつつの鑑賞が最も心地よく曲を楽しめるのかなと感じました。そしてスターウォーズといえば、なんといってもメイン・タイトルの格好良いトランペットのハイトーンがおなじみですが、こちらはアマチュアの吹奏楽団とは思えないスーパープレイヤーによる惚れ惚れするような突き抜け感のあるハイトーンが聴こえてきたのがとても感動な出来事でした。宝島アンコール1曲目は定番曲の宝島ですが、通常は下手側に陣取るパーカッションパートメンバーが上手側に移動して演奏するという新鮮なレイアウト感やおなじみのサクソフォーンソロ2か所の楽しい演出。極めつけは、ゲストの佐藤采香氏が再登場して演奏に加わるというサプライズも飛び出しました。星条旗よ永遠なれアンコール2曲目は、いわゆるポップステイストではないオリジナル版の星条旗でしたが、ピッコロの演出や佐藤采香氏のはっちゃけ感のある演奏と見どころ聴きどころ満載という感じがありました。まとめメセナウインドオーケストラは、月1~2回程度の練習で活動しており、他のバンドとの掛け持ち参加のプレイヤーも多いとのことですが、それだけにいろいろな文化が混ざり合って、それを指揮の上原先生がうまくまとめ上げている感があるのかなと思いました。また、各曲のソロは上手なプレイヤーが何回もやるのではなく、なるべくたくさんのメンバーが経験できるようにするというアマチュアならではの温かい配慮も感じられ、そこは上原先生の方針なのか、バンドの風土なのかはわかりませんが、とても素晴らしいことだと感じました。
March 31, 2024
開催日:2024.3.30(土) 12:30開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)東信地区ハーモニカ交流コンサートへ行ってきました。プログラム前半1.星に願いを、北の国から2.みかんの花咲く丘、高原列車は行く3.シュワ・ジェ・ヴエチカ、夏の想い出4.月の砂漠5.故郷の空6.故郷の廃家7.母さんの歌8.恋の季節9.椰子の実10.泳げたいやきくん11.恋のしずく、船頭さん12.鈴懸の径13.栄光の架橋14.白い花の咲く頃、見上げてごらん夜の星を15.風雪ながれ旅16.別れの一本杉17.上を向いて歩こう、ここに幸あり18.春風と草競馬、アニーローリー後半19.この世の花、浜千鳥20.夏の想い出、月がとっても青いから21.浜辺の歌22.糸23.天城越え24.青葉の笛幻想曲25.ムーンリバー、岬めぐり26.出船夜想曲27.帰れソレントへ28.さくらのワルツ29.愛の悲しみ30.雪が降る31.叱られて、丘を越えて32.荒城の月33.ヴォルプタ34.柿の木坂の家、大阪ラプソディー35.ラ・クンパルシータ、愛のオルゴールレポート演奏者は、35チームで、おひとり~グループでの出演となりましたが、同じ方がおひとりでまたはグループで何度も出演するといった形で、じつに精力的に交流コンサートを楽しまれている感がありました。そして一口にハーモニカといっても大小さまざまでパイプホルンと呼ばれる楽器やバスハーモニカも登場し、その音色はトロンボーンやコントラバスを思わせる重厚さがありました。そして12時30分に開演して休憩5分、16時終演という3時間半におよぶ濃密なプログラムも大いに聴きごたえがありました。まとめハーモニカの音を出す原理は、鍵盤ハーモニカ、アコーディオン、バンドネオンなどと似ているものと思いますが、息を入れた時、吸った時にも音が出るという特徴があるようで、そこはバンドネオンでジャバラを引っ張る時と戻す時で違う音が出るという機構と似ているのかなと感じました。
March 30, 2024
開催日:2024.3.25(月) 19:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)宮田大チェロ・リサイタル with山中惇史へ行ってきました。プログラム前半1.山中惇史:うたをうたうとき2.ピアソラ/山中惇史編:天使の組曲 1.天使の導入部 2.天使のミロンガ 3.天使の死 4.天使の復活後半3.ビル・ウィーラン/山中惇史編:Riverdance4.ヤナーチェク:おとぎ話 1.コン・モート-アンダンテ 2.コン・モート-アダージョ 3.アレグロ5.ジョン・ウィリアムズ/山中惇史編:John Williams Fantasy Tripアンコール6.坂本龍一/篠田大介編:星になった少年7.ジョン・ウィリアムズ/山中惇史編:アメリカン・コレクションレポートうたをうたうとき1月25日に行われたアナリーゼワークショップの締めで演奏され、今日のリサイタルのスタート曲というつながりを感じつつの鑑賞となりました。楽曲解説によれば、音楽にまつわる4つの詩で構成されている「まど・みちおの詩による4つのうた」という歌曲集の終曲であり、山中氏がチェロとピアノの編曲版として作曲し、2分という尺も手伝ってまずはお二人のあいさつ代わりの演奏という形で楽しませていただきました。天使の組曲アナリーゼワークシッョプで宮田大氏がご自身が奏でるストラディヴァリウスについて、できるだけ小さな音で弾きたい楽器であるとのお話がありましたが、この曲の冒頭ではまさにそれが実践された形で、耳を澄ませてようやく聴こえるピッチカートから曲が始まったのがとても印象的でした。また今回のコンサートでは物語を感じていただきたいというコンセプトも敷かれており、4楽章を聴き進める中での展開が素晴らしくドラマチックに感じられました。Riverdance楽曲解説によれば、上半身を直立の姿勢のまま動かさず、タップとステップとジャンプという下半身の動きだけで繰り広げられるパフォーマンスがリバーダンスであり、山中氏による変化に富んだダイナミックなアレンジが聴きどころとのことですが、山中氏は自分が弾く訳じゃないからあれもこれも詰め込んじゃえ!と編曲してしまったそうで、その後「まさか自分が弾くはめになるとは…。」と本気で練習した節があったようです。そんな裏話があった曲ですが、自作自演の山中氏のピアノと宮田氏のチェロのダイナミックさは本当に素晴らしくその演奏に釘付けになりました。おとぎ話演奏にあたって昆布ダシのような楽曲で、噛めば噛むほど味が出る楽曲とのお話がありました。そこから関連づける形で上田での食事の話も出て駅近の老舗のトンカツ屋さんである力亭に話題が及びましたが、同店には私も30年ほど前から定期的に食べに行っており、メニューは串カツがお気に入りですが、最近は開店前に行っても行列ができている人気店になっています。そんなこんなで私の中では、おとぎ話の曲のイメージがすっかり力亭のトンカツになってしまった次第です。John Williams Fantasy Tripジョン・ウィリアムズのファンタジー要素の強い楽曲をあつめた楽曲で、1月25日のアナリーゼワークショップ時点ではまだ出来上がっていなかったという程、出来立てほやほやの新曲で世界初演こそ譲ったものの、今回2回目の演奏になるとのことでした。また山中氏よりジョン・ウィリアムズについてのお話もあり、93歳となった今も生きて活動している姿に感銘を受けたこと、そんな伝説の作曲家に対する尊敬の想いが詰まった曲であるとのお話があり、聴き手側もそんな気持ちを受け止めながらの鑑賞となり、中でもE.T.の下りは感動の一言でした。星になった少年アンコール1曲目は、ゾウ使いを目指してタイに留学し修業を積んだが、交通事故により20歳で死去した坂本哲夢(1972年 - 1992年)の半生・家族や動物達との交流を描いた作品の楽曲となりましたが、若くして亡くなってしまった無念さのようなものが、曲に表現されているようで心に来るものがありました。アメリカン・コレクションアンコール2曲目は、おそらく日本では知られていない楽曲であろうが、山中氏一オシの楽曲で宮田氏も聴いてすぐに虜になったというとてもステキな楽曲でした。まさにチェロの音色をとてもよい感じで響かせてくれる感があり、まさに宮田氏のチェロで歌うが手に取るように感じられたひとときになりました。まとめサントミューゼのリサイタルシリーズは、小ホールという小ささを生かしてアーティストを間近に感じられるところが魅力の1つですが、特に今回の宮田大氏はビックアーティストということもあり、そのチケットは発売からわずかな期間で完売となり、普段は使われないバルコニー席のステージ横・奥も開放して最大定員の372名収納での公演となりました。私の記憶の中では、コロナ禍の50%定員での完売はあったが、100%定員で完売となった公演は初めてではなかったか?という感じです。そして今回のコンサートでは、お二人の演奏もさることながら、トークも楽しく、時折笑いが沸き上がるのがとても印象的でした。
March 25, 2024
開催日:2024.3.24(土) 13:30開演場所 :飯山市文化交流館なちゅら大ホール(500名収容)Musikkapelle Nagano 特別演奏会に行ってきました。プログラム前半1.春の猟犬(9分)2.勇気の旗を掲げて(4分)3.フロンティア・スピリット(4分)4.スパルタクス(15分 )※ゲストとの合同演奏:飯山高校吹奏楽部、中野西高校ウィンドアンサンブル後半5.鷲の舞うところ(5分)6.天使の糧(5分)7.シンフォニックバンドのためのパッサカリア(7分)8.風がきらめくとき(4分)9.歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲(約10分)アンコール10.さくらのうたレポート春の猟犬アルフレッド・リードのアルメニアンダンス・パート1、エル・カミーノ・レアル、春の猟犬は、私の中では有名曲御三家としてイメージされていますが、その中で唯一季節感があるのがこの春の猟犬ということで、まさに今の時期にふさわしい楽曲と感じました。音楽は、演奏をするにも聴くにもイメージが大事と常々言われることですが、この曲を聴くにあたっての私のイメージは、真っ白い雪の平原と針葉樹林がベースとなっており、そこに猟犬がいるという感じです。そうやってイメージを膨らませてゆくとより曲を楽しめるのかなと思いました。勇気の旗を掲げて2024年度の全日本吹奏楽コンクールの課題曲を初めて生で聴きましたが、タイトルから連想するに双頭の鷲の旗を掲げてをリスペクトしているのかなと思いました。冒頭の旋律は、ひねりが効いていて演奏者泣かせ?とも思いましたが、そこは課題曲なので運指的にちゃんと演奏しやすいよう考えられているのかも?というところです。フロンティア・スピリットこちらも2024年度の全日本吹奏楽コンクールの課題曲ですが、フロンティアというとアメリカの西部劇のようにどこか野性的で荒々しい感じを連想するところですが、この楽曲は語り掛けるような旋律がとてもほのぼのとしていて、トリオもやさしい感じであり、ある意味洗練された都会的な雰囲気を感じるところもあるように感じました。スパルタクス現在、68歳になるベルギーの作曲家ヤン・ヴァンデルローストは、現在までに多数の吹奏曲を世に送り出しており、巨匠と言われていますが、その作品といえばフラッシングウインズ1988年、カンタベリーコラール1991年、アルセナール1995年などが真っ先にイメージされるところです。そしてスパルタクスは、ヤン・ヴアンデルローストが若かりし頃の1988年の作品ということで、楽曲を聴いていて、どこか若々しい挑戦的な感じを受けました。今回の特別演奏会は、演奏者として学生をメインに構成というコンセプトなので、コンサートのコンセプトと選曲が素晴らしくマッチしている!と感じずにはいられないところでした。鷲の舞うところゲストの飯山高校吹奏楽部と中野西ウィンドアンサンブルの皆さんとの合同演奏ということで、藤井先生よりみんなで楽しく演奏できる曲ということで選んだとのお話がありました。この楽曲は吹奏楽の演奏会ではよく耳にする楽曲であり、おなじみ感も手伝って聴く側の私もおおいに楽しんで聴かせていただくことができました。天使の糧ここ数年でフランクのヴァイオリンソナタを何度か聴く機会があり、そのたびにこの天使の糧を想い出していた訳ですが、ようやく本家本元の天使の糧を聴くことができ感無量なひとときになりました。この曲は、本日の演奏会の指揮をつとめる藤井先生と12年前に出会って初めての演奏会で演奏した楽曲の1つであり、当時よくこの曲で合奏をスタートさせウォーミングアップをしていたことを懐かしく想い出しました。シンフォニックバンドのためのパッサカリア日本の吹奏楽の黎明期である1968年に吹奏楽の研究を目的として指導者たちを中心に発足した名古屋ディレクターズバンドに高校生で参加したという細谷照代氏によるお話があり、そこで作曲者で故人の兼田敏氏のことにもふれられ、この名曲の歴史の一旦を感じることができました。そして私自身この曲は、コンクールの自由曲でひと夏取り組んだという特別な曲の1つということもあって感慨深いものがありました。風がきらめくときこちらも2024年度の全日本吹奏楽コンクールの課題曲ですが、どこか無機質な感じがあり、題名の通り風を感じながら聴く曲という印象を受けました。これまでもこういった毛色の曲が課題曲の中に1つは入っていることが多かった気がしますが、静かでスローテンポの曲ほど演奏者に集中力と緊張感を強いるものなので、この曲を演奏するとしたら、空気感が張り詰めたものになりそうだなと感じました。歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲ワーグナーの名曲で、冒頭のフレーズは特におなじみですが、それをフルで聴く機会はじつはあまりない気がしていて、今回は吹奏楽の重厚なサウンドで10分におよぶ名曲の全てを堪能させていただきました。さくらのうたアンコールは、少し早いものの来週には開花するであろうさくらをモチーフにした作品で季節感ぴったりなこちらの楽曲となりました。おそらく歴代課題曲の中でコンクールが終わってからの演奏回数はトップクラスの人気曲であることに間違いないと思いますが、私にとって特別感は、12年前にこの曲で藤井先生の指揮のもとコンクールに取り組んだという想い出が昨日のことのように回想されたことで、改めて音楽と想い出の結びつきの強さを感じた次第です。まとめMusikkapelle Naganoの演奏会は、藤井先生の曲紹介とそれにまつわるエピソードを生の声で聴くことができるのがとても貴重なものと感じました。また私事ながらかつて一緒のステージで演奏したメンバーが何人か演奏者として出演しており、変わらずに活躍しているのを知ることができたこともうれしい出来事となりました。
March 24, 2024
開催日:2024.3.16(土) 14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)弦楽四重奏団のクァルテット・ソレイユの演奏会へ行ってきました。プログラム前半1.モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.155 I.Allegro vivace asssai II.Menuetto Moderato - Trio III.Adagio IV.Allegro assai後半2.ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 作品130 I.Adagio ma non troppo - Allegro II.Presto III.Poco scherzoso.Andante con moto ma non troppo IV.Alla Danza tedesca Allegro assai V.Cavatina Adagio Milton espressivo VI.Finale Allegroレポート弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調 K.155「狩」解説によれば、モーツァルトが敬愛するハイドンに贈ったハイドンセットの6曲の中の4番目にあたる作品で、曲の冒頭が狩りの角笛の響きを連想させるため「狩」という名が付けられているとのことです。そして、この曲はクァルテットソレイユにとって何度も演奏したことのある楽曲だが、定期演奏会では取り上げてこなかったこと。また学生時代のアンサンブルの授業で取り上げられるような弦楽四重奏の入門用楽曲であることもあり、メンバーそれぞれに想い入れがあり、楽譜も若かりし頃のものをそのまま使い、その時の書き込みなども懐かしく感じながらリハーサルをして作り上げたとのお話がありました。弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 作品130解説によれば、ベートーヴェン後期の1825年に作曲され、本来終楽章として置かれていた大フーガが難解すぎて理解できる聴衆がいなかったことから、出版社と友人に差し替えを勧められ、新たに終楽章を作り直したというエピソードがあり、当人にとってみれば憤りを禁じ得ないシチュエーションの中で出来上がった曲とのことですが、差し替えとして出来上がった終楽章はそんな憤りとはうらはらに素晴らしいものとの紹介がありました。またこの曲で特に注目となるのが第5楽章とのことで、カバティーナという題がつけられ、不安という感情をここまで美しく再現できるのはベートーヴェンしかいないのでは?というお話がありました。まとめクァルテット・ソレイユは、2004年に結成されたヴァイオリン:高宮城凌、ヴァイオリン:東山加奈子、ヴィオラ:鈴村大樹、チェロ:太田陽子で構成される弦楽四重奏団ですが、2014年度にサントミューゼレジデンスアーティストになったことやメンバーの太田氏が上田市出身ということが縁で、2017年から毎年この時期にサントミューゼで定期演奏会を開催しており、私も第4回・第5回と聴かせていただき、今回も楽しみにしていた次第で、20年目を迎えるたいへん息のあったカルテットの演奏をじっくりと楽しませていただきました。また今回は、MCでメンバー全員の生の声を聴かせていただき、とても親近感を感じるひとときになりました。
March 16, 2024
開催日:2024.3.10(日) 12:10開演場所 :長野市南部勤労青少年ホーム2018年以来、5年半ぶりに南部勤労青少年ホーム祭のちくたくミュージッククラブのイベント演奏に加わらせていただききました。プログラムステージ発表12:10~12:40ちくたくミュージッククラブ1.夢をかなえてドラえもん2.ひこうき雲3.JUPITER4.3月9日レポート夢をかなえてドラえもんちくたくミュージッククラブにとっては2022年11月の街角アート&ミュージックでの演奏以来となりましたが、コロナ禍前にも演奏していた記憶があるので、いわゆる18番ということになるのかもしれません。そして、この曲を演奏するにわたって当初はよく引き合いに出されるのは旧ドラえもんのテーマ「あんなこといいな~。」ですが、さすがに2007年に夢をかなえてドラえもんに変わってから17年も経過すると、夢ドラの方がドラえもんのテーマ曲として定着感があるのかなと感じました。ひこうき雲昨年11月の6thコンサートでも演奏されましたが、そこからさらに掘り下げが進み、情景をより深く想像しながらの演奏となりました。改めて永遠の名曲であるとの認識を確かなものにした感がありました。JUPITER2019年の夏祭りでも演奏した想い出の楽曲ですが、ホルストの木星をポップ調にアレンジしたものでイメージとすればカッコ良い木星という感じでしょうか。3月9日2023年よりちくたくミュージッククラブは、長野商業高校吹奏楽部の皆さんと合同の活動を行ってきた縁もあって、今回のイベントには卒業式を終えたばかりの三年生も加わっての演奏となったこともあり、三年生の皆さんの卒業を祝して一年生からの提案でこの曲を演奏するということになったそうです。私自身この曲は、ドラマ1リットルの涙で、主人公の亜也が指揮をしてクラスのみんなが歌っていた曲という印象があるのですが、そんなドラマの1シーンを想い出しつつも三年生の門出を祝う演奏となり、感慨深いものがありました。まとめ長野市南部勤労青少年ホームは、今年度を持って廃止となるそうで、私自身この会場で数えきれないほど練習してきたこともあってとても寂しい気持ちになりましたが、最後のホームまつりで演奏するという形で少しでもホームに感謝の気持ちを伝えることができたなら、最高の締めくくりになったのではと感じました。
March 10, 2024
開催日:2024.3.2(土) 16:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容)ディズニー・ワールド・ビート2024に行ってきました。プログラム「ライオン・キング」「アラジン」「おしゃれキャット」「わんわん物語」「モアナと伝説の海」「ミラベルと魔法だらけの家」レポート前半は、リーダー&音楽監督のブラット・ケリー氏主導で進む展開でしたが、日本公演ということもあってか日本語でのお話もあって親しみが持てました。後半からは、テーマ「Music Journey~世界の旅へ!」ということで、あたかも飛行機で世界を旅しているようなシチュエーションで、次は〇〇!といった形でディズニーの世界に浸ることができました。アンコールでは、プレイヤーが客席に降りてきて演奏したり、ブラット・ケリー氏より「写真を撮っても良いです!」との許可も出て、大きく盛り上がりました。まとめディズニー音楽を、大迫力のビックバンドでお贈りするコンサート!というキャッチフレーズで全国19公演が行われる企画でしたが、ディズニーの音楽と映像を楽しむという両面性から、映像に見入るとステージ上のビックバンドには集中できない、ビックバンドを見ると映像には集中できないというジレンマがあり、そこをどうバランスをとって楽しんでゆくかは、聴衆側の気持ち次第というところかなと感じました。
March 2, 2024
開催日:2024.3.2(土) 13:30開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)小諸高校音楽科22期生演奏会 Vol.1へ行ってきました。プログラム前半1.湯山昭/マリンバとサクソフォンのためのディベルティメント2.M.ドゥリング/フルートとオーボエ、ピアノのソナタ3.E.モラレス/2本のトランペットのための協奏曲後半4.C.サン=サーンス/歌劇《サムソンとデリラ》より“あなたの声に心は開く”5.A.ヴィヴァルディ/2つのオーボエの協奏曲ハ長調RV5346.arr.上村勇希/日本歌曲メドレー~早春賦/花/小諸なる古城のほとり/荒城の月/花の街~7.arr.上村勇希/信濃の国アンコール8.J.シュトラウス/ラデッキー行進曲レポートマリンバとサクソフォンのためのディベルティメントマリンバの暖かな木のサウンドと艶のあるサクソフォーンのサウンドの融合が大変心地よい演奏と感じました。楽曲は、いわゆる現代曲の部類に入る作品かと思いますが、昨年ホルン奏者の福川氏から教わった現代曲の楽しみ方を想い出しながら、自由なイメージを膨らませつつ楽しませていただきました。フルートとオーボエ、ピアノのソナタ曲名はフルートとオーボエとなっていますが、今回はオーボエ奏者お二方による演奏となりました。同じ楽器によるニ重奏ということで、統一感のある響きが特徴的と感じましたが、パンフレットにどちらの奏者の方が本来のフルートパートをオーボエで演奏しているか明記されていたこともあってか、その方の演奏をいつのまにかフルートの雰囲気で感じていたようで、ふと見た時にじつはオーボエ奏者二人だった!というような不思議な感覚がありました。2本のトランペットのための協奏曲今回は2楽章・3楽章の演奏とのことでしたが、トランペットのハーモニーがとても気持ち良い楽曲という印象がありました。特に3楽章の疾走感はとても心地よく、ドビッュシーのF.A.E.ソナタのスケルツォを想わせるピアノの細かいビートの刻みとともに躍動するトランペットはとても格好良く華やかでした。歌劇《サムソンとデリラ》より“あなたの声に心は開く”演奏前にサムソンとデリラのストーリーについて紹介があり、この曲はデリラがサムソンを誘惑する曲であること。そして誘惑されたサムソンは、力の秘密が長い髪にあることをしゃべってしまい、最終的には髪を切られて力を失い捕らえられてしまうということでしたが、この歌を聴いていて、こんなふうに甘い歌で誘惑されたら懐柔されて何もかもしゃべってしまうのも無理ないことかと感じました。2つのオーボエの協奏曲ハ長調RV534ヴィヴァルディと言えば四季より春が有名ですが、今回MC中にオーボエによる春の一節を抜粋演奏するというサプライズがありました。またこちらの楽曲は、演奏者が装飾音符を付け足すことで華やかさが増すとのことで、そのあたりも聴きどころとのことでした。そして原曲はオーボエ2人による演奏になっていますが、今回は現代だからこそできるソプラノサクソォーンとオーボエという編成で演奏され、ある意味ヴィヴァルディが知りえなかった新しい響きを楽しませていただきました。日本歌曲メドレー早春賦、花、小諸なる古城のほとり、荒城の月、花の街という日本を代表する歌曲をメドレーにした楽曲で、編成はボーカル、オーボエ、ピアノということで、聴きどころは、ボーカルに絡むオーボエの妙で、ときにオブリガード、ときに旋律をと役割を変えてゆく様がとても印象的でした。信濃の国本日出演の全メンバー(ボーカル、オーボエ×2、アルトサクソフォーン、トランペット×2、マリンバ、ピアノ)による演奏となりました。おなじみの信濃の国が格好良くアレンジされており、スーパーコモロでおなじみのファンタスティック・シナノ・ランドを想わせる部分もあり、その豪華さがとても素晴らしいと感じました。ラデッキー行進曲アンコールは、ウィーンフィルでおなじみのこらちの楽曲ですが、観客の手拍子も入って大いに盛り上がる締めくくりとなりました。まとめ多くの音楽家を世に送り出している小諸高校音楽科の22期生の記念すべき演奏会の第1回目の公演となりましたが、演奏はもちろん曲紹介などのお話も大変素晴らしく、お若いメンバーの皆さんのこれからの活躍が楽しみになるとてもステキな公演でした。
March 2, 2024
開催日:2024.2.24(土) 13:30開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)長野医療衛生専門学校 音楽療法士学科の第41回定期演奏会Happy concertへ行ってきました。プログラム開演前0.ディズニーメドレー フルート・アコーディオン第1部1.オー・シャンゼリゼ ミュージックベル3年生2.千本桜 ミュージックベル3年生3.銀河鉄道999 合奏・全学年4.アラジン・メドレー 合奏・全学年第2部5.どこまでも~How Far I'll Go~ 独唱6.Compass of Your Heart 女性合唱7.“TITANIC” Suite フルート独奏8.花を探して 音楽療法体験第3部9.『秋の瞳』より「美しいもの、竜舌蘭、黎明」 独唱10.Winding Road アカペラ三部合唱11.Immer Kleiner(だんだん小さく) クラリネット独奏12.いのちの歌 独唱13.Baby,God Bless You ピアノ独奏第4部14.Salve Regina 合唱・全学年15.「HANA」 合唱・全学年16.夜明けから日暮れまで 合唱・全学年レポートディズニーメドレー開演15分ほど前からフルートとアコーディオンのデュオが登場しての演奏となりました。一口にディズニーメドレーとしていますが、6分超の大曲で覚えきれないほどの曲が出てきました。私的に印象に残ったのはラプンツェルの明日への扉とスーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスですが、じつにお見事な内容でした。オー・シャンゼリゼ~千本桜小ホールのステージ奥のバルコニーに奏者が並んでの演奏となりました。これまで私が見てきた小ホールでの公演では、まずここで演奏することはなかったので、とても新鮮な感じがありました。そしていつも感じるのですがミュージックベルって音をつなげるのが直感的にできないからすごく大変そう…というのがあるのですが、アップテンポの千本桜でも音が外れることなく素晴らしい演奏でした。銀河鉄道999~アラジン・メドレー上田ブラスフェストの副実行委員長でオーボエ奏者の石井聡恵氏による指揮で、吹奏楽編成による演奏となりました。やはり小ホールでの吹奏楽はなかなかの迫力があり、ソロ演奏も楽しませていただきました。どこまでも~How Far I'll Go~モアナと伝説の海の主題歌ですが、この曲は吹奏楽で演奏したことがあるのですが、改めて独唱で聴くと断然歌唱の方が曲の持つ力がダイレクトに表現されていいなと感じました。Compass of Your Heartこちらは6人による女声合唱での演奏となりました。この曲も昨年吹奏楽で演奏したばかりで記憶に新しいところだったので、こんな歌詞がついていたのか!ということで歌唱もユニゾン、ハーモニー、ソロが多彩に出てきてシンドバットの冒険の様子がリアルに感じられる素晴らしいものでした。“TITANIC” Suiteフルートのピアノのデュオによる演奏となりましたが、「Main Title」「サウザンプトン」「John Ryan&s Polka」「トラブル発生」「My heart will go on」の5曲が映画のストーリーと連動する形で演奏され、映画のイメージ映像とともに楽しませていただきました。花を探して音楽療法体験ということで、学生の皆さんが普段行っているセッションを体験させていただきました。テーマとして花を探してということで、スミレの花咲く頃、ひまわり娘、秋桜、シクラメンのかほりの4曲で四季を花の四季を感じることができました。その後は観客参加型の体験ということで赤・青・緑の3種類のトーンチャイムを使ってたんぽぽの歌でそれぞれ決められたところで楽器を鳴らすこととなりました。続いて「花は咲く」で振付の練習をしましたが、意外と難しい…私自身は半分もできていなかった感じですが、音楽療法ってこんな感じでやるのかな?ということがわかりよい勉強となりました。『秋の瞳』より「美しいもの、竜舌蘭、黎明」大正14年に八木重吉が書いた詩集「秋の瞳」に木下牧子氏が作曲した曲集から厳選した3曲の独唱となりました。心が洗われるような美しい歌声に聴き入り、癒されるひとときになりました。Winding Roadアカペラ三部合唱での演奏となりました。絢香とコブクロが合作した曲とのことですが、女声三部合唱の響きは大変素晴らしく、アカペラの魅力を再確認した次第です。Immer Kleiner(だんだん小さく)クラリネット吹きならよく知っている曲かと思いますが、まずは組みあがった状態で演奏。そしてベルを外して演奏。次に下管を外して演奏。さらに上管を外して演奏。そしてバレルを外して演奏。最後はマウスピースだけで演奏!ということで、外した後のジャスチャーをいかに面白くやるというのも楽しさ倍増の秘訣かなと思いました。いのちの歌連続テレビ小説だんだんでマナカナが歌った曲ということで、この曲を聴くと隠岐に行った時のことを想い出します。もう14年も前のことですが、改めて音楽と想い出はリンクされるものなのだなと感じました。Baby,God Bless You清塚信也氏の楽曲で「おめでとう」という想いが込められた曲とのことで、考えてみれば音楽は祝いごとでも欠かせないもの…。勝者を讃える特賞歌。有名なところで祝典行進曲。海外ものでは祝典序曲など挙げればキリがないところです。そんなことを考えつつ、おめでとうの気持ちをしみじみと感じるひとときになりました。Salve Regina~「HANA」~夜明けから日暮れまで第4部は、全員での合唱となりました。Salve Reginaは、17世紀以降作曲のかなり新しい時代のグレゴリオ聖歌ということで、三部合唱のアカペラが見事でした。そして「HAHA」は、1900年から2004年までの花にまつわる日本のポップス曲のメドレーで、出てくるのは4曲くらいかな?と思ったら数えきれない程の曲が展開され、その名曲盛りに圧倒されました。締めくくりの夜明けから日暮れまでは東日本大震災を契機に生まれた曲とのことで、「鎮魂と再生への祈り」が歌詞に込められており、能登半島地震災害義援金の募金の呼びかけと合わせて音楽療法士として心意気が感じられました。
February 24, 2024
開催日:2024.2.18(日) 13:30開演場所 :信州の幸あんずホール(千曲市更埴文化会館)(760名収容) 新しい吹奏楽の風が吹くのコンセプトのもと、独自の音楽色で活動を続けるウィローウインドオーケストラの定期演奏会ですが、今回はコロナ前とほぼ同様の練習期間と演奏者数を擁し、引き続き粟生田音楽監督のもとで定期演奏会となりました。なお、今回は演奏者視点によるレポートとしたいと思います。プログラム第1部1.セビリアの理髪師序曲(約9分)2.リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲から(約18分)3.スクーティン・オン・ハードロック 3つの即興的ジャズ風舞曲(約9分)第2部4.パリのアメリカ人(約20分)5.フェスティーボ(約7分)6.たなばた(約9分)アンコール7.オブラディオブラダ 40th ver.(約4分半)8.また逢う日まで(約3分)レポートセビリアの理髪師序曲第15回定期演奏会は、ロッシーニの3つのオペラ「イギリス女王エリザベッタ」「パルミラのアウレリアーノ」「セビリアの理髪師」共通のこちらの序曲でのスタートとなりました。30代のうちに音楽家としての地位を固めたロッシーニは、その後美食家としても活躍し数多くの「ロッシーニ風」を流行らせたことで有名ですが、そんな関係性から私の中ではこの曲を演奏していると、美味しそうな牛フィレ肉のステーキ(ロッシーニ風料理の代表格?)を満足顔で頬張るロッシーニの姿を連想するとともに、1曲目特有の硬くなりがちな緊張もほぐれる効果もあった訳ですが、かねてより粟生田先生からもロッシーニの音楽ユーモア感覚(同じppでも楽しげにふざけて小さくしている感じにするなど…)を持って表現した方が良いという指導もいただいており、そんな茶目っ気を楽しみつつの演奏となりました。リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲から18分におよぶ4楽章構成の組曲ですが、私自身過去に演奏者としてクラリネットクワイア―で1・3・4楽章に触れ、さらに聴き手としてオーケストラで2回ほど耳にしたことのある楽曲で、特に第1楽章のイタリアーナは、その出だしがよく印象に残っていて、その曲を吹奏楽で演奏できるとあって、興味深いものがあった訳ですが、実際に演奏してみるとアンサンブルを楽しむ感がすごくある曲と感じました。第2楽章の宮廷のアリアは、最初は重々しい雰囲気でスタートしますが、途中から華やかな宮廷の様子が描かれる場面に入り、それが終わるとダカーポして重々しく終わる感じ。第3楽章のシチリアーナは、オーボエのソロから始まる哀愁にあふれた曲だが、だんだんと金管群が入り重厚感を増してくるところが印象的。第4楽章のパッサカリアは、どこかバッハの音楽を感じる香りする…。と1曲でいろいろなイメージを感じながらの演奏となりました。スクーティン・オン・ハードロックホルジンガーの曲はとにかく伴奏が休みなしで大変…。ウィローで公演中止を余儀なくされた第13回定期演奏会のアブラムの追跡もそうでしたが、そのホルジンガーの作風の印象をいろいろな意味で裏切らない楽曲で、気持ちからすればコンピューターミュージックじゃなくて人間がやるんだから、もうちょっと配慮して欲しい…と思うところがありました。この曲は副題に「3つの即興的ジャズ風舞曲」がつけられており、いわば3つの曲のメドレーという形になっていますが、印象からすれば、1つめと3つめの曲はアップテンポで雰囲気が似ていて、2つめの曲はスローテンポで一見吹きやすい感じがしますが、中に不定期なリズムの罠が仕掛けられており、粟生田先生の「もう1回やってみましょうか!」の繰り返し練習のおかげでなんとか罠を克服できた感がありました。パリのアメリカ人第2部の始まりは、今回の定期演奏会で最長にして最難関。練習でかけた時間もおそらく一番長かったであろうガーシュウィンのシンフォニックジャズの大定番曲の演奏となりました。私自身はこの曲の参考演奏として、ユーチューブで探した愉快バンドさんの演奏(2022愉快バンドクリスマスコンサートより)を繰り返し聴いてイメージを作っていたのですが、演奏後に粟生田先生から「パリのアメリカ人は、劇ムズでくじけそうになったこともありました。」との言葉通り、楽譜が配られた当初は、ゴールが全く見えない感じがありました。とはいえ約半年間はコンマスの指導で細かく区切りながら千里の道も一歩からの気持ちで1つ1つできるところを増やしてゆき、各自がある程度自分の役割を把握したところで、粟生田先生の指導で曲がつながってゆく感じがあって、とても感慨深いものがありました。そしてこの曲はソロ演奏が多くのパートに散りばめられており、私自身も2か所ソロの役割を与えられていましたが、とてもよい緊張感の中、なんとか失敗せずに乗り切ることができたのはとてもよい経験になりました。フェスティーボ1967年にネリベルが作曲した吹奏楽の定番曲で、私自身は20年近く前に買った「ベスト吹奏楽100」というCDに入っていた曲の1つ…というくらいの淡い印象に留まっていたのですが、実際に取り組んでみるとパリッとした爽やかな感じがあって、吹奏楽らしい重厚なサウンド感がとても心地よい曲で、それはネリベル特有の金管群を前面に押し出した作風なので、金管パートの方々の活躍に引っ張られる形で木管パートが呼応し、打楽器パートがさらに輪をかけて盛り上げ、ネリベルらしさを感じる演奏になった感がありました。たなばた酒井格氏が高校生の時(1987~88年)にかけて作曲したという、35年超の歴史ある曲なのですが、素朴な疑問として日本人が作曲したのになぜか楽譜はデ・ハスケというオランダの出版社のものなのか…。とは言え音楽に国境は無いということで、タイトルが日本語でないというくらいの意味しか持たない訳ではありますが…。そしてたなばたはVRアプリBRASSOの公開演奏を聴いてイメージを作りましたが、これはBrassoの音楽・楽曲監修に粟生田先生が携わっておられるという縁と練習中に先生から「是非Brassoのたなばたを聴いて下さい」というお薦めもあってですが、演奏しながら織姫と彦星の幸せなひとときを感じた演奏になりました。オブラディ・オブラダ 40th ver.アンコール1曲目は、粟生田先生より「またかと思われる方は違うんです新アレンジとなっておりますのでお楽しみください」との紹介がありました。補足すると第14回定期演奏会のアンコールで演奏したのは、吹奏楽ポップスの父・岩井直溥氏による編曲版であり1972年にリリースされたもの、今回演奏するのは真島俊夫氏アレンジの40th verで2012年にリリースされたものということで、吹奏楽の世界に金字塔を打ち立てたニューサウンズインブラスの歴史を垣間見るひとときになりました。また逢う日までアンコール2曲目は、粟生田先生より「この私と楽団の皆さんの気持ちです。来年も是非お会いしましょう。」とのお話があってからの演奏スタートとなりました。アンコールの定番曲としてよく演奏されますが、また来年という気持ちで元気よく演奏して締めくくりとなりました。まとめ今回の定期演奏会のプログラムは、すべて毛色が異なっており、そういった意味では大変欲張りなのかもしれませんがアマチュアの楽団だからやりたいものを心のままにやるということができる訳で、そこは音楽を趣味として活動している最大のメリットではなかったか?と感じるところがありました。
February 18, 2024
開催日:2024.2.4(日) 13:30開演場所 :小諸市文化センター(712名収容)前回2022年11月以来の開催となる小諸市消防音楽隊のふれあいコンサートに行ってきました。また縁あって演奏者として参加させて頂くことができましたので、演奏者視点でもレポートさせて頂きたいと思います。プログラム第1部1.行進曲「エンブレムス」2.映画「ハリーポッターと賢者の石」より3.宇宙戦艦ヤマト・ハイライト第2部ラッパ隊による ラッパ吹奏第3部4.水木一郎コレクション5.ナウシカ・レクイエム6.ウイスキーが、お好きでしょ7.ジャパニーズ・グラフィティー10「時代劇絵巻」8.映画『ピノキオ』の主題歌「星に願いを」9.サウンドオブミュージック メドレーアンコール10.東京ブギウギ11.信濃の国 1・2・4・6番レポート行進曲「エンブレムス」1999年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲3として世に出た作品ですが、今回ふれあいコンサートが25周年を迎えるということで25年前の曲を!という趣旨で選ばれたとのことです。私が最初にこの曲を最初に聴いて感じたのは、サビの部分が長野市市歌にどことなく雰囲気が似いてるな…ということで、そういった意味では、親しみのあるメロディーを作って聴きなじみがある感を出そうとしたのかな?という作曲者の意図を感じるところがありました。映画「ハリーポッターと賢者の石」より2曲目は、ハリーポッターのヒットの基礎となった第1作目の賢者の石を題材にしたジョン・ウィリアムズらしい華やかで艶っ気のある映画音楽が取り上げられました。楽曲の作りとしては、まるで映画を見ているかのような場面展開が連なる小気味よい形になっており、テンポの変化や変拍子などが効果的に機能しているのかなと感じました。難易度的にもけっこう骨がある印象ですが、練習を重ねた結果として変化のタイミングをみんなでぴったりと合わせられた時などは大きな達成感がありました。宇宙戦艦ヤマト・ハイライトヤマトの吹奏楽編曲はいろいろありますが、こちらは2017年のニューサウンズインブラスに収録されていた編曲版で、「悲壮なヤマト」「無限に広がる大宇宙」「夕日に眠るヤマト」「元祖ヤマトのテーマ」「コスモタイガー」「ブラックタイガー」「美しい大海を渡る」の7曲が収録されており、まさにおいしいところ取りのハイライトになっています。構成とすれば、緊張感にあふれた冒頭部分~序盤を経て山を登るようにだんだんと盛り上がり、元祖ヤマトのテーマからブラックタイガーまでの駆け抜け感。フィナーレは壮大な美しい大海を渡るという形になっていてとてもドラマチックと感じるところがありました。演奏にあたっては、緊張感にあふれた弱奏部の繊細な表現と、中間部の盛り上がりとのメリハリ感といったところで難易度は高いがやりがいのある楽曲という印象がありました。水木一郎コレクション昨年亡くなったアニキこと水木一郎氏を偲んでの演奏となりましたが、演出として水木氏のトレードマークであった赤いスカーフをところどころに配し、アニキの再来を思わせる雰囲気となりました。楽曲は、とてもドラマチックなアルトサクソフォーンのソロから始まり、その後バビル2世、コンバトラーV、マジンガーZの3曲のメドレーへと続きますが、私的にはバビル2世が楽曲的に一番想い入れがあるところで、3つのしもべ、バビル2世とヨミの対決など原作のシーンを頭に浮かべつつの演奏となりました。ナウシカ・レクイエム原曲は、風の谷のナウシカでナウシカがオームに轢かれて仮死状態?になった時に流れていたレクイエムと思いますが、そのメロディーをモチーフにスウィング調にアレンジした楽曲で、いくつかのパートのアドリブソロが入るご機嫌なジャズテイストの全く新しい楽曲として作られた感があるところですが、ポイントとしては、ところどころに入るノー・スウィングのリズム7音のパターンが曲をよい感じに締めており、それはあたかも竹の節に例えられるような感覚がありました。ウイスキーが、お好きでしょ照明が落とされ、フリューゲルホルンがステージ前に出てソロを奏でるという演出でスタートとなりました。こちらの楽曲は、ソリストの魅力が120%発揮される楽曲ということで、注目を一身に浴びてということになりますが、吹奏楽あるあるではないですがソリストの演奏に聞き惚れて自分の出番を忘れてしまうということがあったとか無かったとか…。ジャパニーズ・グラフィティー10「時代劇絵巻」2006年に発売されたジャパグラですが、当時はあちこちの楽団で課題曲のように演奏されていた印象があり、懐かしい感じがありました。こちらの楽曲は水戸黄門でヴィヴラスラップのソロ。銭形平次の導入部で珍しくバスクラのソロ。ホルンが活躍する大江戸捜査網。そして大岡越前では、テナーサクソフォンソロとトロンボーンのオブリガード。最後は暴れん坊将軍で締めるという見せ場の多い楽曲で、言ってみれば多くのプレイヤーが日の目を見るバランスの良い編曲という印象がありました。映画『ピノキオ』の主題歌「星に願いを」夜明けのようなイメージで始まり、中間部はディズニーらしい優雅なワルツで盛り上がり、それが終わると夕暮れのように曲が閉じられる!というある種の物語を感じられる作りの楽曲で、これはとてもきれいな曲だと感じられました。サウンドオブミュージック メドレーふれあいコンサート本プログラムのトリは、サウンドオブミュージック、ドレミの歌、一人ぼっちの羊飼い、さようなら、ごきげんよう、エーデルワイス、すべての山にのぼろうがメドレーになった大曲でしたが、どの曲もこれまで何度も聴いたり演奏したりしてきた楽曲でなじみがあり、1曲1曲これまでの想い出も回顧しつつ楽しませていただきました。そしてこの曲は、吹奏楽ポップスの父と言われる岩井直溥氏の編曲ということで、そういえば岩井氏から亡くなってからもう10年が経つのだな…といったことにも想いが及びました。そしてこの曲はいわゆる複数の曲を並べたメドレーと一線を画す仕掛けが1つあり、それがクラリネットとバスクラリネットのカデンツァで、まずクラリネットがメロディーを奏で、それに呼応するようにバスクラリネットがメロディーを奏でる(返すようなイメージで)ということで、これを「やまびこ」と捉えると、サウンドオブミュージックの世界観のイメージがすごく膨らむ気がしてより楽しめた感じがありました。東京ブギウギニューサウンズインブラス2019の楽曲ですが、折しもNHK朝の連続テレビ小説で話題になっていることでタイムリーな曲と感じました。冒頭はゆっくりと入り、まずはブギウギ。そして後半からロックンロールに変わりテンポが18も上がっていっきに駆け抜けるという構成でとても小気味よいものがありました。また小諸市消防団の分団長の皆さんによるダンスも披露されるというサプライズで大いに盛り上がりました。信濃の国四十七都道府県には、県歌のあるところ無いところ、あってもあまり知られていないところなど様々事情はあると思いますが、この信濃の国はかなりメジャーな方に入るのでは?と感じます。余談ながら、県内出身者は幼少の頃からこの歌を知っていることから、どこか冷めた目で見ている節がありますが、県外から長野県に移住してきた方からすると「この曲、6番まであるし、4番・5番は曲調が変わるとはなんてお洒落!」と感じることが多いみたいです。そんな中、アンコール曲として演奏された信濃の国は、1・2・4・6番とほぼフルに近いところで、十分に楽曲を感じることができました。まとめ小諸市消防団音楽隊のふれあいコンサートは、日程の都合で2023年はコンサートが無く1年2カ月ぶりの公演となりましたが、今回は前回を上回る編成で迫力も増した感がありました。そして楽曲群もリクエストの多かったジャズを取り入れるなど攻めのプログラムという印象で大いに充実感がありました。
February 4, 2024
開催日:2024.1.28(日) 14:00開演場所 :佐久市コスモホール(800名収容) 2019年1月20日の第14回定期演奏会以来、5年ぶりの開催となる佐久市消防団音楽隊の定期演奏会に行ってきました。プログラム第1部1.高き山へ、遠き川へ ~祝典のための前奏曲~2.「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲3.陽はまた昇る4.ノートルダムの鐘第2部ラッパ隊吹奏第3部5.ポケットモンスター スカーレット・バイオレット「メインテーマ」6.組曲「宇宙戦艦ヤマト」7.情熱大陸8.ディズニーメドレー9.ジャパニーズ・グラフィティー17 美空ひばりメドレーアンコール10.星条旗よ永遠なれ11.佐久わが市レポート高き山へ、遠き川へ ~祝典のための前奏曲~これまで何度も聴いてきた楽曲ですが、この曲を聴くとどうしてもクラシックのあの有名な曲を連想してしまうのは私だけなのか…と感じるところがありますが、題名の通り5年ぶりの演奏会に華を添える祝典のための前奏曲としてオープニングにふさわしいと感じました。「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲おなじみの旋律をモチーフにシンフォニックな吹奏楽曲として大変カッコ良くアレンジされていて「あんたがどこさシンフォニー」のような色合いを感じる楽曲ですが、あんたがたどこさの認知度が高いこともあり、演奏会の1ピースとしてとても有用な楽曲と感じます。また私自身、縁あって昨年この曲を演奏する機会があり、まだ記憶も鮮明なところで演奏者視点で楽しませていただきました。陽はまた昇る東日本大震災を受けて親日家のスパークが世に出した復興応援曲ですが、折しも1月1日の能登地震を受けて重ねての復興支援の願いも込められることとなり、感慨深いものがありました。また2011年以来多くの団体で演奏されてきたこと、私自身も複数回演奏させていただいた想い出もあって、懐かしく、そして改めて復興支援の願いを抱きつつ聴かせていただきました。ノートルダムの鐘数多くのディズニーの名曲を世に送り出しているアラン・メンケンの楽曲ですが、ノートルダム大聖堂の2019年の大規模火災が想い出され、なんと世の中は無常なものなのか…と感じずにはいられないところでした。そしてノートルダムといえばミュージカルが有名ですが、楽曲を聴いていて数年前の大阪桐蔭高校吹奏楽部のアルプス公演で行われたノートルダムのミュージカル演奏をつい昨日のことのように想い出したりと音楽と記憶の結びつきの深さ・大きさについて再確認した次第です。ラッパ隊吹奏ラッパ長のトークによる進行がとてもわかりやすく楽しいステージになりましたが、改めて消防ラッパの最低音から最高音までを鳴らして聴かせていただいたりと、ラッパ吹奏の原点に迫る楽しさがありました。ポケットモンスター スカーレット・バイオレット「メインテーマ」第3部の幕開けは、日本が誇るゲームミュージックよりとなりました。2分半ほどの短い曲の中にとても力を感じ、それはとても華やかで、ふと東京オリンピックの開会式を想い出しました。組曲「宇宙戦艦ヤマト」作曲:宮川泰、編曲:宮川彬良という親子合作による楽曲で、いわばヤマトという楽曲について考えるときの大定番なのかなという印象があります。組曲ということで、本来は全曲聴いてから拍手をするのが定石ではありますが、楽曲から受ける興奮を抑えきれずに楽章間で拍手が飛び出してしまう一幕もヤマトゆえのことなのかなと感じました。情熱大陸冒頭はサクソフォーンによるアンサンブル。中間部にソプラノサクソフォーン2名によるかけあいがあるいわばサクソフォーンパートのための楽曲とも言える大変華のある編曲で、サクソフォーンパートの格好の良さが光っていた感がありました。ディズニーメドレーディズニー吹奏楽の草分け的な楽曲であり、私自身も過去何度も演奏したことがあり親近感を持って楽しませていただきました。そして見せ場となるソロも多く、各奏者がどう吹きこなすのかという興味も満たしつつ、改めてそのアレンジの充実ぶりを感じるところがありました。ジャパニーズ・グラフィティー17 美空ひばりメドレージャパグラとすれば12の次くらいに演奏頻度があるのかなという印象がありますが、佐久市と美空ひばりとの縁というお話もあり、ある意味特別な想いを持っての演奏という感覚がありました。メドレーということでいろいろなヒット曲が登場する訳ですが、締めくくりが川の流れのようにという構成が神だなと感じずにはいられないところでした。星条旗よ永遠なれいわゆるスイング調にアレンジされたものですが、原曲のイメージをけっこう残しており、そこはアレンジが違っても星条旗は星条旗という感覚がありました。佐久わが市おなじみの佐久市の市歌ですが、コロナ禍を経て歌唱ができなかった時期を振り返りつつ、改めて日常が戻ってきたという感覚を再確認することとになりました。まとめここ数年、コロナ禍によって多くの音楽団体が年単位で定期の演奏会を見送るという状況があった訳ですが、昨年あたりからはほぼ復活してきて、長くても4年ぶりくらいで定期公演にこぎつけているのかなと感じていましたが、佐久市消防団音楽隊の定期演奏会は、2019年秋の台風によるコスモホール水没ということも重なって5年ぶりの開催ということになりました。待ち望んていた市民も多かったようで、800名の定員に対して満員の盛況ぶりとなりました。
January 28, 2024
開催日:2024.1.25(木) 19:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)サントミューゼアナリーゼシリーズVol.69 宮田大 チェロ・リサイタル with 山中惇史 関連プログラムのアナリーゼワークショップに行ってきました。プログラムアナリーゼレポートまずは、チェロの大定番であるサン=サーンスの白鳥の演奏でのオープニングとなりました。アナリーゼワークショップということで、トークが中心かなと思っていたら、宮田氏より「演奏が多めのワークショップになります。またリサイタルのお話は最後の方でするとして…演奏を挟みながらチェロについて、ピアノについてお話し、途中二人のフリートーク、終わりの方でリサイタルの曲について触れます!」とのことで、聴き手側にまずワークショップの全体像を示すという形になりました。チェロについては、宮田氏が使っているストラディバリウス「Cholmondeley」についてや、その前に使ってた楽器にも話が及び、チェロがどんな音を出したいかを感じることが大事とのお話があり、我々アマチュアで楽器をやっている者からすると、そんなふうに自分の楽器と対話できたら最高だろうなと思うところがありました。そして山中氏からはピアノについて。ピアノが日本入ってきた当時、湿気のある日本では強度を高めるために漆を塗って黒染めしたら大当たり!そこから黒いピアノが世界に広まった(ただし諸説ありとのこと)といったお話やピアノの足ペダルについてつっこんだお話があり、ラフマニノフの鐘を演奏して実演し、今度ピアノのコンサートを拝聴する時は足に注目してみようと思いました。フリートークでは、宮田氏がヨーロッパ公演でナナメになったステージで車輪の付いた椅子をあてがわれて苦労したことなどが話されました。終わりの方でリサイタルの曲目について解説がありましたが、その中のジョン・ウィリアムズ/山中氏編曲のジョン・ウィリアムズメドレーはまだ完成しておらず絶賛製作中であることも明かされました。最後にピアソラ/山中氏編曲のピアソラ:天使の組曲から天使のミロンガを演奏。さらにアンコール的なところでリサイタルのオープニング曲である山中氏作曲のうたをうたうときが演奏されワークショップが締めくくられました。お二人とも知識が豊富で話し始めたら盛り上がってしまう感じがあり、うれしい時間オーバーとなる充実したワークショップとなりました。
January 25, 2024
開催日:2024.1.20(土) 14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)石上真由子ヴァイオリン・リサイタルへ行ってきました。プログラム前半クララ・シューマン:3つのロマンス Op.22第1曲 アンダンテ・モルト第2曲 アレグレット第3曲 「情熱的に速く」J.プラームス:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ト短調 Op.78第1楽章 ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ第2楽章 アダージョ第3楽章 アレグロ・モルト・モデラート後半L.v.ベートーヴェン:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第9番 イ長調 Op.47第1楽章 アダージュ・ソステヌート-プレスト第2楽章 アンダンテ・コン・ヴァリアツィオーニ第3楽章 プレストアンコールR.シューマン 森の情景 第7曲 予言の鳥 Op.82-7レポート3つのロマンス Op.22演奏に入る前に本日のプログラムの概要についてお話がありました。昨年12月21日に行われたアナリーゼワークショップの内容を一部振り返りつつ、いかにも話し上手な石上氏らしいリサイタルの幕開けと感じました。そして3つのロマンスを書いたクララについてもお話があり、面白いと思ったのは、いわゆるピアノリサイタルは暗譜でなくては!という風潮はクララが作ったものだそうで、その卓越した技量の一旦を垣間見るエピソードと感じました。そして3つのロマンスはロマンティックという言葉が音楽になったような楽曲で、まずは石上氏のヴァイオリンの音色をじっくりと聴かせていただくひとときになりました。ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ト短調 Op.78石上氏いわくこの曲はフェリックスソナタであるとのお話がありました。フェリックスは、クララの末っ子でブラームスが大変目をかけていたということが知られていますが、コンサート前半でクララとブラームスという深くかかわった二人を取り上げる構成ということで、改めて当時の二人の関係性を感じることができました。またこの曲は、ヴァイオリンソナタとしては定番ということもあり、これまでに多くのヴァイオリニストの演奏を聴いてきましたが、石上氏の演奏を聴き進める中で、過去に聴いた演奏の情景も想い出されてきてどこか懐かしい印象がありました。ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第9番 イ長調 Op.47この曲をしっかり聴くのは2020年秋の南紫音氏による演奏以来かなというところですが、2020年といえばコロナ禍が始まり、音楽界もその波に飲み込まれ約半年ほどコンサートが無くなってしまい、秋口になって手探り状態の中でなんとかコンサートが再開されたという時期。そんなことから第9番は、私の中でコロナ禍の中で見た希望の光の1曲でとても強く印象に残っていたこともありとても感慨深いものがありました。そして南氏もそうでしたが、第1楽章はとても激しいので、演奏すると弓の毛が切れて垂れ下がるという状態が起きる傾向がありますが、石上氏も同様となり、その激しさを感じるところとなりました。森の情景 第7曲 予言の鳥 Op.82-7本プログラムでクララ・シューマンとブラームスの曲を取り上げたら、ロベルトの曲を弾かない訳にはいかないということで、アンコールはロベルトのこちらの楽曲となりました。題名からのイメージそのままに、何やら不思議な雰囲気のする曲と感じました。まとめ本プログラム演奏後に石上氏より「こんなマッチョなプログラムを集中して聴いて下さりありがとうございました。」というコメントがありました。前回のアーバンサクソフォーンカルテットの皆さんもそうでしたが、サントミューゼのレジデントアーティストとしての締めくくりは、気合の入ったプログラム(チャレンジングという傾向)で!ということが多く、聴き手もそういう曲で来るだろう!という空気感があって、ある意味演じ手の渾身の演奏を受け手も全力で受け止めるという文化が根付いてきているのかなと感じるひとときになりました。
January 20, 2024
開催日:2024.1.4(水) 15:00開演場所 :信州国際音楽村 ホールこだま(300名収容)信州国際音楽村ニューイヤーコンサート2024に行ってきました。プログラム前半1.L.vベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 作品92後半2.J.シュトラウスII:喜歌劇「こうもり」序曲3.J&J.シュトラウス:ピツィカート・ポルカ4.J.シュトラウスII:ポルカ「狩り」5.J.シュトラウスII:ポルカ「観光列車」6.J.シュトラウスII:皇帝円舞曲7.J.シュトラウスII:美しき青きドナウアンコール8.細川たかし:能登の人9.L.アンダーソン:フィドルファドルレポート交響曲第7番イ長調 作品92コンサートのオープニングは、前半全てを使い40分にもおよぶ交響曲第7番の演奏となりました。まさに長原幸太WITHニューイヤーフレンズの総力を持っての演奏で、ベートーヴェン特有のメロディアスな曲調を大いに堪能させていただきました。そして締めの第4楽章の盛り上がりは、ものすごい熱量が感じられ、終演後にブラボーの声がかかりました。喜歌劇「こうもり」序曲ウィーンフィルのニューイヤーコンサートでもおなじみの楽曲で、このニューイヤーコンサートでも昨年に続いての演奏でしたが、私自身もよく知っている曲であることから、演奏者視点で楽しむこともできて、新年の雰囲気を大いに満喫できた次第です。ピツィカート・ポルカピツィカートとは弓を使わずに演奏する奏法とのことで、この曲では全員がオール弓無しでの演奏となりました。演奏を見ていて老婆心ながら、ピツィカートの曲をやりすぎると指に血豆ができそう…。いやいやそうしたらハープ奏者はどうなるんだろう…などとピツィカートについての想いを巡らしました。そしてこの曲では、長原氏が演奏しながらトライアングルを叩くという設定になっており、ビーターを持ちながらピツィカートをしていると、どことなくビーターが弓に見えてくるという不思議な感覚がありました。ポルカ「狩り」演奏前に長原氏から「辰年ということで龍を狩りに行きましょう!」と声掛けしたところ客席から「意味がわからない!」というツッコミが入り会場に笑いが入りました。そしてつっこみを入れたのが長原氏の息子さんだったというオチにこれまた大爆笑。そして演奏は、スタートにあたって猟銃の発砲音が入るという演出があり、これはこの曲を演奏するにあたって定番なのかなと思いましたが、演奏後に猟銃におもちゃの龍(へこませると音が出るタイプ)が撃たれて鳴き声を出すという凝った演出がとても面白いと感じました。ポルカ「観光列車」メンバーのお二人がそそくさと退場していき、何か企てていると思ったら、鉄道員の姿に扮した佐久間氏が登場し「北陸新幹線延伸おめでとうございます!出発進行!」との掛け声のもと演奏が始まりました。しばらくするとダンボールのかがやき号が登場!先ほどつっこみを入れた長原氏の息子さんも加わってかがやきを走行させるという演出が入りました。演奏後に、車体のラインにも拘ったというお話もあって、長原幸太WITHニューイヤーフレンズは優れた音楽家であると同時に演出家でもあるのだなと感心した次第です。皇帝円舞曲ここからはウインナーワルツの定番曲の登場となりました。そしてここでも、円舞曲にかけての演出として、演奏者のおひとりが客席に降りて、ダンスへ誘うという試みがありました。観客の皆さんは慎み深い方が多く、なかなか相方を得られなくて心配したのですが、おひとりの勇気ある方に相方になっていただき、無事に演出完成。お二人に惜しみない暖かな拍手が贈られるという一幕になりました。美しき青きドナウ余談ながらこの曲は、NHKのクラシック番組で演奏者が演奏したくない曲ワースト1に選ばれており、その理由はテンポが揺れること…。これは私自身ウインナワルツを演奏していて特有のタメが入るテンポ感にどまどうことがあったので、ワースト1は頷ける点ではありますが、長原幸太WITHニューイヤーフレンズの皆さんはそんなことをおくびにも出さず、ブラボーな演奏をされ、ウインワルツの大定番曲を大いに楽しませていただきました。能登の人このコンサートでは、1月1日の能登地震の義援金募集も行われた訳ですが、長原幸太WITHニューイヤーフレンズの皆さんの編曲を担当されている佐々木絵里氏より今朝「能登の人」の楽譜を作ったので演奏していただけますか?というお話があったそうで、急遽の演奏となったようです。能登の人はいわゆる演歌のジャンルに属する楽曲ですが、弦楽アンサンブルで聴く能登の人はとても力強く、じつは演歌と弦楽アンサンブルってすごく相性が良いのでは!と感じました。フィドルファドルアンコールは、定番となっているアンダーソンのこちらの楽曲でしたが、昨年に続いて途中にマツケンサンバ2が入り、紙吹雪を盛大に放つという景気の良い演出がありました。こちらも若手のお二人がサプライズで登場しました。それはあっとおどろく内容で、なんとフィドルファドルがフェードアウトしたと思ったらマツケンサンバ2が始まる!ということで、おなじみの黄金色の衣装で会場を大いにフィーバーさせた感がありました。まとめ13回目のニューイヤーコンサートですが、コロナ禍を経て、今年は昨年以上に観客が集まり、大いに盛り上がりました。構成的に前半は、本気モードでベートーヴェンの交響曲をじっくりと演奏。後半は、楽しい演出とトークをところどころに入れながらのエンターテインメントショーといった2本立てのステージに、新年早々とても充実したひとときを過ごすことができました。
January 3, 2024
開催日:2023.12.24(日) 13:30開演場所 :信州の幸あんずホール(千曲市更埴文化会館)(760名収容) 音楽のおくりもの~歌と楽器が出会ったら~に行ってきました。プログラム第1部1.愛の喜びは J.P.マルティーニ2.オペラ「フィガロの結婚」より 恋とはどんなものかしら W.A.モーツァルト3.オペラ「ジャンニ・スキッキ」より 私のお父さん G.プッチーニ4.アメージンググレイス イギリス民謡5.3つのロマンス作品94より第2曲 R.シューマン6.リベルタンゴ A.ピアソラ7.めえめえ児山羊 藤森秀夫/本居長世 岩河智子編8.冬の花びら~四季より「冬」第2楽章 A.ヴィヴァルディ第2部9.星に願いを L.ハーライン10.そりすべり L.アンダーソン11.ホワイトクリスマス I.バーリン12.クリスマスソングメドレー13.赤鼻のトナカイ J.マークス14.ジングルベル J.ピアポンド15.喜びの歌 L.V.ベートーヴェンレポート愛の喜びはオープニングは、ソプラノ、オーボエ、チェロ、ピアノによる演奏曲で、華やかな雰囲気で幕開けにふさわしいと感じ、まずはソプラノの美声を十分に堪能させていただきました。オペラ「フィガロの結婚」より 恋とはどんなものかしらおなじみの楽曲ですが、ソプラノ二重唱という贅沢な編成での演奏となり、これまた心に響く歌声と感じました。オペラ「ジャンニ・スキッキ」より 私のお父さん結婚を許可しない父親に対して、恋人への愛を切々と語るという、とてもロマンチックな楽曲と感じました。アメージンググレイスオーボエとチェロとピアノによる三重奏での演奏で、演奏前に楽器紹介を兼ねてオーボエの白鳥の湖、チェロの白鳥の一部分を演奏し、その音色を堪能させていただきました。そしてアメージンググレイスは、オーボエとチェロの絡みが大変ステキで思わず聴き入ってしまう素晴らしいものでした。3つのロマンス作品94より第2曲オーボエとピアノによる演奏ですが、この曲はロベルト・シューマンが妻のクララにクリスマスプレゼントとして贈ったオーボエ向けに書いた唯一の作品という紹介がありました。これまで3つのロマンスはヴァイオリンとピアノのデュオで何度も聴いてきたのですが、本家本元のオーボエとピアノでの演奏は初めてで、本来の3つのロマンスの形を知ることがてぎ、改めてオリジナルはやはり聴いておくべきものと感じた次第です。リベルタンゴ チェロとピアノによる演奏ですが、2023年はこの曲について自身が演奏者として取り組んだり、オーボエとバンドネオンによる演奏を聴いたりと、いろいろな角度からこの曲に触れる機会がありました。また折にふれてリベルタンゴを作ったピアソラについても学ぶ機会を得て、曲の理解が少し進んだ感触がありました。そして締めくくりとして、チェロとピアノという編成で聴くことができ、また新たなリベルタンゴを引き出しに入れることができたかなという感じです。めえめえ児山羊まずは、童謡のめえめえ児山羊をソプラノの歌唱にて歌われました。その後、オペラ風にアレンジされた本曲の演奏に入りましたが、セビリアの理髪師、乙女の祈りといった曲のフレーズが散りばめられており、両曲とも何らか形で聴いたり演奏したりした親しみのある楽曲なので、とても親しみを感じることができました。冬の花びら~四季より「冬」第2楽章 ヴィヴァルディの四季より「冬」といえば、第2楽章が一番らしいという感じがします。印象とすれば、しとしとと雪が降っている情景を表している…そんな感じでしょうか。そして今日はその冬になんと歌詞がつき、さらにオーボエとチェロが旋律を取る部分まで用意されており、とてもステキな雰囲気の演奏に至福感を得ました。星に願いを第2部はよりポピュラーな楽曲を取り上げる構成とのことで、まずはオーボエとチェロとピアノによる演奏で、ディズニーでおなじみのしっとりした楽曲でのスタートになりました。そりすべりこの時期のコンサートでは定番とも言える楽曲ですが、オーボエとチェロとピアノに加えてピンポイントで入るスレイベルがとても印象的でした。ホワイトクリスマス これまで吹奏楽などでこの曲を聴く機会はありましたが、ソプラノお二人でということは初めてであり、ここで歌詞の力というものを感じることができました。クリスマスソングメドレー喜びの歌?と思わせる前奏でスタートしましたが、その後はきよしこの夜やもろびとこぞりてなど神聖なクリスマスの雰囲気を表現する楽曲がメドレーで演奏された訳ですが、それをソプラノの合唱で聴けるとはとても豪華と感じました。赤鼻のトナカイ~ジングルベルここからは、ソプラノ、オーボエ、チェロ、ピアノと本日の出演者が全員集っての演奏となりました。そして観客参加型の楽しい振付が入り、まずは振付を覚え、1回目はスローテンポで。慣れたところで2回目はインテンポでという内容で体も解れてとても楽しいひとときになりました。ちなみに赤鼻のトナカイとジングルベルはそれぞれ違う振付が用意されており、ジングルベルの方が複雑になっており、よく考えられているなと感じました。喜びの歌年の瀬の風物詩とも言えるベートーヴェンの第9ですが、これまで年の瀬に聴くという機会に恵まれずに来ましたが、ここにきてやっとそれが叶った形となりました。本日の演奏では、前半を楽器が担当し、後半から歌が加わるという構成で、いやがおうにも盛り上がる!ということで、本当に素晴らしいクリスマスプレゼントになりました。まとめあんずホールの音楽のおくりものは、2月のフルカルって何だろう?につづいて2回目の鑑賞になりましたが、地元にゆかりのあるプロ奏者が集って企画されることから、内容的にとても聴きごたえのあるものとなります。なお今回出演された皆さんは、オーボエ:石井聡恵氏、チェロ:外山賀野氏、ピアノ:瀬在晶子氏、ソプラノ:宮川有美氏、ソプラノ:千野佳月子氏、おはなし:宮坂節子氏の6名でした。
December 24, 2023
開催日:2023.12.23(土) 14:00開演場所 :上田市神川地区公民館 大ホールザ・ブラスグルーヴのThe Brass Groove Christmas Concertへ行ってきました。プログラム開演前アンサンブル1.見上げてごらん夜の星を2.愛を感じて第1部1.ティファナ・タクシー2.恋人たちのクリスマス3.Xmas メドレー~童謡Ver.~ (赤鼻のトナカイ きよしこの夜 ジングルベル あわてん坊のサンタクロース)4.仮面舞踏会5.君がいるだけで6.ユーミン・ポートレート (翳りゆく部屋~あの日に帰りたい~リフレインが叫んでる~朝陽の中で微笑んで~卒業写真~中央フリーウェイ~涙のステイション)第2部7.オーメンズ・オブ・ラブ8.サクソフォンとバンドのための青春の輝き ~カーペンターズ永遠のレバートリーより~9.フライデー・ナイト・ファンタジー10.ダンシング・オールナイト11.ジャパニーズ・グラフィティー9 いい日旅立ち (秋桜~プレイバックPart2~イミテイション・ゴールド~いい日旅立ち)アンコール12.東京ブギウギ13.白い恋人達レポート開演前アンサンブルソプラノサクソフォーン、クラリネット2名、バスクラリネットのカルテットによるアンサンブルで、見上げてごらん夜をとライオンキングより愛を感じての2曲が演奏されました。吹奏楽の標準編成から見ても同じシングルリードの楽器とはいえ音勢がクラリネットの3倍はありそうなサクソフォーンとの混合アンサンブルは難しさがあったかと思いますが、そこは見事に4人の音色がそれぞれ主張される形でまとめられており素晴らしいと感じました。ティファナ・タクシーオープニングは、ハーブ・アルパートの有名曲でのスタートとなりました。演奏後にアルパート氏は88歳で現役という紹介があり、我々もそれにあやかりたいというお話がありました。そしてティファナ・タクシーは、オールナイトニッポンのオープニングで最初使われていたいたが、ある時間違えてB面のビター・アンド・スイートサンバをかけてしまい、以後こっちの方が良いね!ということで定着し、皮肉にもA面のティファナ・タクシーより有名になってしまったとのことでした。このあたりは、B面あるある…みたいなところで、同じようなことをどこかで聴いたことがあったなと思いました。恋人たちのクリスマスマライア・キャリーの有名曲ですが、演奏前に指揮者無しで演奏するのがとても難しいというお話がありました。冒頭のサクソフォーンソロから始まるアレンジになっていますが、そういえば私自身がこの曲をやった時も、指揮者がいても入りが合いづらく難儀したような…。とはいえ、クリスマスのムードを盛り上げる貴重な1曲として楽しませていただきました。Xmas メドレー~童謡Ver.~続くクリスマス曲は、恋人たちのクリスマスとかぶらない形での童謡Ver.ということで、また違った切り口でクリスマスのわくわくした雰囲気を楽しむことができました。仮面舞踏会ジャニーズ改めスマイルアップの社長に就任した少年隊の東山さんが踊っていた楽曲とのことですが、紅白歌合戦で加山雄三氏が「それでは仮面ライダー!」と思い切り間違えて曲紹介したという伝説の放送事故についても話がおよびました。楽曲は、冒頭の作りが凝っているなと思いましたが、主題に入ってからはドラムのビートに支配される典型的なダンシングミュージックという印象がありました。君がいるだけで米米CLUBの代表曲ということで、私の中では、青春ソングの1曲という位置づけになりますが、吹奏楽版を聴いたのは初めてでとても新鮮でした。アレンジとすれば、冒頭がフルートソロ、その後はメロディーをいろいろなパートがリレーするような形になっており、全員が活躍できる良曲と感じました。ユーミン・ポートレート歌手生活50年を超えるユーミンの往年のヒット曲を集めたメドレーになりますが、この曲はホルンが大変とのお話がありました。そして編曲者は真島俊夫氏ということで、難しいが聴き映えはピカ一という特徴があるのかなと思いました。そしてこの曲の締めくくり部分が連符の掛け合いになっているのですが、このパターンはシャンソン・メドレーでも使われており、意外なところで真島氏の共通項を見出してなるほどと感じるひとときになりました。オーメンズ・オブ・ラブ演奏者の体力の10分の9を消費する(パートによる?)激しい曲とのことですが、吹奏楽あるあるでこの曲はT-スクエアの原曲より吹奏楽版の方が有名である…とのことでした。実際のところ宝島などと合わせて日本の高校生が海外でもこの真島俊夫氏版を演奏して現地の人から「あの曲いいね!なんて曲?」となり、世界的に有名なのは吹奏楽版という認識はまさしくその通りという印象がありました。サクソフォンとバンドのための青春の輝きサクソフォーン吹きなら一度は挑戦したい曲という感じですが、この曲は2000年5月10日発売のニューサウンズインブラスフィーチャリング須川展也というCDに収録されていたもので、編曲は森田一浩氏ということで、なかなか聴き映えが良く演奏頻度も高いので、おなじみ感がありますが、それだけにソロプレイヤーの個性の見せ所という部分もあって、大いに盛り上がりを感じました。フライデー・ナイト・ファンタジースタジオミュージシャンの数原晋氏の楽曲で、金曜ロードショーのテーマとして有名ですが、ユーチューブを見ると何人ものトランペット奏者が動画を挙げている話題曲であることがわかります。そんな話題曲を生で聴けるよろこびを感じつつ、じっくり鑑賞させていただきました。ダンシング・オールナイトもんた&ブラザーズが、1980年に発表した楽曲とのことで、じつは長いことバンド活動をやっていて鳴かず飛ばずで、この曲が売れなかったら活動を締めくくる覚悟で録音したらヒットしたという当人にしてみれば神曲だったのだろうと想像した次第です。もんた氏がつい先日亡くなってしまったこともあり、追悼をこめての演奏となりました。ジャパニーズ・グラフィティー9 いい日旅立ち伝説の昭和アイドルである山口百恵の楽曲を集めたメドレーですが、1曲1曲がしっかり入っており聴きごたえがある楽曲ということで裏を返せば演奏者は大変だろう…という感じがありました。そしていい日旅立ちは、つい先日亡くなった谷村新司氏の楽曲ということで、その追悼の意味も込めての演奏となりました。東京ブギウギ朝ドラで話題の楽曲ということで、ちょっとしたブームになった感がありますが、私自身ちょうどこの曲に取り組んでいることもあって、楽譜を想像しつつ楽しませていただきました。白い恋人達白い恋人達ほどこの時期に似合う曲はないだろう…と思う訳ですが、折しも前日に雪が降りシチュエーション的にもぴったりな感じで2023年のクリスマスシーンを十二分に味わえた感がありました。まとめ2006年に活動を開始したザ・ブラス・グルーヴですが、昨年に続いての自主開催によるコンサートということで、今年は昨年の2倍の座席数を用意し、なから満席という盛況ぶりで大いに盛り上がりました。演じ手のスタミナが空になるまでの渾身の演奏を聴き手として存分に楽しまていただきました。
December 23, 2023
開催日:2023.12.21(木) 19:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)サントミューゼアナリーゼシリーズVol.68 石上真由子ヴァイオリン・リサイタル関連プログラムのアナリーゼワークショップに行ってきました。プログラムアナリーゼレポート最初に今回のリサイタルのプログラムのベートーヴェンのピアノとヴァイオリンのためのソナタについてのお話があり、第1番から第10番が作られた年代がベートーヴェンの作曲家人生全体で見ると前期から中期であること。それについて、石上氏からチェロソナタは後期の作品もあるので、ヴァイオリンソナタももっと作って欲しかったとの音楽家としての気持ちも垣間見えました。そしてヴァイオリンソナタ全体を通してピアノとヴァイオリンとの関係性について、演奏を交えながら第1番から始まる最初の方は、ピアノが主体でヴァイオリンは従という関係性だったが、それはベートーヴェンがもともとヴィルトゥオーゾピアニストとして、自分の作った曲を弾いて世間に広めていたことからくるものであること。それがだんだんと作曲活動に重きを置くようになり、演奏は人を雇って行うようになると、ピアノとヴァイオリンの関係性はベートーヴェン自身がピアノを弾かないので、対等にしても面白いのではないかな…といった気持ちが生まれたのではないか?とのことでした。そしてベートーヴェンの作風について、アレグロコンブリオ、カンタービレといった音楽表現を好んで使ったこと。それはベートーヴェンが、とても素晴らしいメロディーメーカーであったことに他ならないとのお話がありました。ベートーヴェンのお話の締めとして、リサイタルで演奏する第9番の半分くらいが演奏されました。ワークシッョプ後半は、今回のリサイタルのもう1つのプログラムであるブラームスのピアノとヴァイオリンのソナタについてのお話となり、第1番が日本では「雨の歌」として親しまれているのは、第2楽章の中にブラームス自身が作曲した歌曲「雨の歌」が引用されているためであること。ということで歌曲の方の雨の歌を弾きます!とのことで、演奏を楽しませていただきました。演奏後に、ソナタへの引用時は歌曲より半音上げているとのお話があり、そちらも演奏していただき、同じフレーズでも歌曲とソナタとの雰囲気の違いを感じることができました。そして、話はブラームスとクララへ。シューマンとの三角関係はよく知られることですが、ブラームスはクララの末っ子のフェリックスを特にかわいがっていたとのことで、それはシューマンが若くして亡くなってしまったこともあり、フェリックスをわが子のように愛しんだとのことでした。残念なことにフェリックスは音楽の多彩な才能を持ちながら結核にかかり24歳の若さで亡くなってしまうとのお話もあり、そこはブラームスにとっては痛恨の出来事だったのだろう…と想像するところでした。ワークショップの締めとして、雨の歌の第1楽章を演奏していただきましたが、この曲は私自身、過去何人ものヴァイオリニストが奏でるのを聴いてきたこともあり、そんなことも想い出しつつ石上氏の雨の歌をじっくり堪能させていただました。アンコールとして、こちらもリサイタルのプログラムであるクララ・シューマンの3つのロマンスより第1楽章を聴かせていただきました。まとめ今回のアナリーゼワークシッョプでは、石上氏のあふれる知識と演奏を絡めた素晴らしいアナリーゼワークショップになりましたが、先日の武石公民館のコンサートでも感じたのですが、とにかく話上手で伝えたいことが明快に語られてわかりやすいので、聴き手側としてはすいすいと知識が入ってくる充実感がありました。
December 21, 2023
開催日:2023.12.17(日) 14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容)上田市民吹奏楽団のポップスコンサート2023に行ってきました。プログラム開演前木管五重奏1.山の音楽家じゅんばん協奏曲前半1.リトル・マーメイド・メドレー2.およげ!たいやきくん in swing3.TSUNAMI4.PIRATES OF THE CARIBBEAN :AT WORLD'S END後半5.BACK TO THE FUTURE6.ジャパニーズ・グラフィティ2~坂本九メモリアル~7.メモリー8.マツケンサンバ29.ドラゴンクエストによるコンサートセレクションアンコール10.時代11.ジングルベル in Swing!!レポート山の音楽家じゅんばん協奏曲開演前のステージにおいて、木管五重奏によるとても面白い曲が演奏されました。調べてみたところ、各楽器が順番にその楽器の代表的なソロを担当してゆく協奏曲になっており、1番手のオーボエがチャイコフスキーの白鳥の湖より「情景」。2番手のホルンがモーツァルトのホルン協奏曲第一番より第一楽章。3番手のフルートが組曲『アルルの女』第1組曲よりメヌエット。4番手のバスーンが魔法使いの弟子。5番手のクラリネットがクラリネットポルカでした。また各番手をつなぐ山の音楽家も短調やカノンになったりと変化があり、これは展覧会の絵のプロムナード的?とも言えるかもしれません。ちなみに、この曲はもともとズーラシアンブラスの木管チームのために書かれた曲とのことで、楽譜も出版されているとのことです。リトル・マーメイド・メドレー海をテーマにした前半のステージの1曲目は海から地上世界への憧れを表現した楽曲で、吹奏楽ではおなじみのニューサウンズインブラスの星出氏編曲版の演奏となりました。素朴な疑問ではありますが、アリエルが美しい声と引き換えに足を手に入れたという話…。アリエルはガラガラ声になってしまったのか、それとも…。およげ!たいやきくん in swing2曲目は、地上世界から海への憧れを表現した楽曲で、リトル・マーメイドと合わせて、ある意味隣の畑は青く見えるものだから、羨むことを戒める意味があったのかなと感じました。そしてこのたいやきくんin Swingは、カッコイイソロがあり、元曲からここまでカッコ良くアレンジできるものなのかと改めて感じました。TSUNAMI歌詞から推察するにおおよそ失恋の歌であることは容易に想像がつきますが、船長の佐藤氏の寸劇によって曲を知らない人にもそのことがはっきりわかるように示されたのがとても良い演出と感じました。そして改めてサザンでも指折りの名曲の1つだなと聴きながら感じた次第です。PIRATES OF THE CARIBBEAN :AT WORLD'S ENDパイレーツ・オブ・カリビアンの3作目ワールドエンドから4曲をチョイスしたメドレーですが、冒頭に海賊の歌が入るという粋な編曲になっており、臨場感が素晴らしい楽曲と感じました。余談ながらワンピースのルフィとラピュタのパズーが同じ声優さんであり、ワンピースでは「海賊になる!」と言い、ラピュタで「海賊になんてならない!」と言う矛盾について話が及び、役柄とはいえ酷なことだなと感じました。BACK TO THE FUTURE後半はタイムトラベルして上田市吹の歴史を振り返る企画ということで、タイムトラベルといえばこの曲!でスタートとなりました。司会者の城下氏がエメット・ブラウン博士に扮しての語りはテンションが高く好演だなと感じました。ジャパニーズ・グラフィティ2~坂本九メモリアル~上田市吹結成の頃へタイムトラベル!初代団長の山嵜氏が何か話しています…という情景を回想し、その頃の雰囲気を「上を向いている」と表現し、それはとても素敵なこと。との定義づけから「明日があるさ」「素敵なタイミング」「見上げてごらん夜の星を」「上を向いて歩こう」の4曲がメドレーになった曲の演奏となりました。メモリー2019年にタイムスリップし、団の雰囲気が落ち込んでいる…原因は音楽監督の近藤先生が団を離れたことか?!よくわからないので当時の団員の記憶を呼び出す猫型メモリー装置が登場。猫=キャッツ、メモリー装置=メモリーという語呂合わせで、メモリーの曲の演奏となりました。吹奏楽版のメモリーといえば、サクソフォンとバンドのためのメモリーがよく知られていますが、今回演奏された編曲版は、いろいろなパートがメロディーを担当する新鮮なものでした。マツケンサンバ22009年にタイムスリップし、団の雰囲気が明るくなっている!それは近藤先生が音楽監督に就任した年ということで、踊りだしたくなるような気持ちに!ということで、マツケンサンバ2の演奏となりました。お約束の金装束のマツケンに加えて先ほどたいやきくんを釣りあげた釣り人も加わっての楽しいダンスが入りました。ドラゴンクエストによるコンサートセレクション現代へと戻ってきて救世主は一人ではないということに気が付き、時代を超える冒険を総括する意味で、おなじみのドラクエの音楽の演奏となりました。こちらの編曲版は、1、2、3、(4)から代表曲を抜粋したメドレーということで、ファミコン世代にはたまらないものがあり、締めくくりのそして伝説へ…が流れる頃には感極まったという雰囲気を感じました。時代アンコール1曲目は後半のステージでも一部サクソフォーンアンサンブルでの演奏があった中島みゆきの時代が演奏されました。この曲がリリースされたのは1976年になりますが、私自身は今から25年ほど前にこの曲を知り、CDを買ってよく聴いていたので、青春の楽曲の1つとしてとても懐かしくしみじみと聴かせていただきました。ジングルベル in Swing!!この時期のコンサートはやっぱりクリスマス曲がよく似合う!ということで、昨年に続いて最後を締めくくる曲として演奏され、とても楽しい気持ちで終わることができました。まとめ今回のポップスコンサートは、海がテーマということで、パンフレットもまるでサマーコンサートのようなデザインとなっており、あえて季節感に逆らうのも面白いと感じる企画でした。さらにパンフレットの出演者のところをよく見ると、団長が船長、副団長が副船長という記述になっており、すごく良いこだわりだなと思いました。後半では時代をテーマに5曲が色を変えて並び聴きごたえ十分と感じました。そして今回も来場者に、退場時にアメとチョコの小袋が配られるといううれしいプレゼントがありました。
December 17, 2023
開催日:2023.12.16(土) 14:30開演場所 :相模女子大学グリーンホール 大ホール(1,790名収容)関東を代表するバンドで市民に寄り添った楽しい演奏会を開いている相模原市民吹奏楽団の定期演奏会に行ってきました。プログラムテーマ 市吹の響き開演前クラリネット八重奏 光と闇のコンフリクト第1部1.舞踏会の美女(L.アンダーソン作曲)2.「ノートルダムの鐘」より (A.メンケン作曲/森田一浩編曲)3.天国の島(佐藤博昭作曲)4.久堅の幹(長生淳作曲)第2部5.組曲「展覧会の絵」 (M.P.ムソルグスキー作曲/鈴木栄一編曲)アンコール6.2本のフルートとピアノの為の組曲 紅(くれない)より黄昏色(真島俊夫作曲)7.Yours!(建部知弘作曲)レポート光と闇のコンフリクト前回演奏した5重奏のガラスの海と都市の情景と同じMICINA氏の楽曲で、HPを見たところ8重奏ならではの音域の広さと、クラリネットの持つ柔らかなサウンドを生かした作品という解説がありました。実際に聴いてみた印象としては、8人でやっているとは思えないような音の厚みと広がりが感じられました。そして何よりもこの曲にはなにやらストーリーが感じられ、そこを想像しながら聴くとさらに楽しくなるのかなと思いました。舞踏会の美女演奏会の幕開けにぴったりの楽しい楽曲ですが、私にとって初めて相模原市民吹奏楽団の演奏会を聴かせていただいた第42回定期演奏会の1曲目だったということもあり、大変強く印象に残っており、以来この曲を聴くたびに相模原市吹の舞踏会の美女を想い出す訳ですが、今日は本家本元の演奏を聴くことができ、17年前に初めて聴いた日のことを懐かしく想い出すひとときになりました。「ノートルダムの鐘」より私の中でノートルダムの鐘と言えば、2018年にアルプス一周特別公演で松本に遠征に来た大阪桐蔭高校吹奏楽部のミュージカルステージで強烈な印象を受けた楽曲なのですが、今回演奏されるのはそのミュージカル作品の中で生まれた音楽をつなぎ合わせたもので、伊奈学園総合高等学校の宇畑先生が全体の構成を考案し、森田氏によって編曲されたものとの曲目解説が書かれており、限られた尺の中にノートルダムの音楽の魅力を山ほど詰め込めこんだおいしいところ取りの楽曲なのかなと感じました。演奏は、歌のパートにもかなり時間が取られており、3年続いたコロナ禍ではタブーだった歌唱の解放も果たした感がありました。天国の島歴代のコンクール課題曲の中では、さくらのうたと並んで人気を争う印象のある楽曲ですが、特徴とすればいくつかのパートにソロという見せ場があるということで、これはさくらのうたにも共通することで、コンクール的にはどうかわかりませんが、演奏会の楽曲としては見せ場のある楽曲というのは演じ手も聴き手も楽しめる要素になるのではと思いました。余談ではありますが、演奏前に高松氏が「ちなみにこの曲をコンクールでやった方は拍手!」と問いかけたところ反応が薄かったということがありましたが、さくらのうたもそうでしたが、こういったソロの多い曲はコンクールでは点数を稼ぎづらい曲=不人気曲という傾向があるのかなという感じはありますが、曲にとって演奏されなければただの紙…といった価値観で考えると、コンクールでは不人気であっても終わってからも末永く演奏される方がじつは曲にとって幸せなのでは?と感じた次第です。久堅の幹今年の相模原市吹のコンクール自由曲ということで、いま一番上手に聴かせられる曲との紹介がありました。こちらの楽曲は5月のグリーンコンサートでも拝聴させていただいておりますが、その時の印象からするとひと夏かけて練習を重ねた成果によって、相当なクオリティーアップを感じることができました。コンクールの全国大会には1点足りなくて進出できなかったとのことですが、今日のこの日にこの素晴らしい演奏を満席のホールで聴かせていただけたことは、なによりの宝物であると感じました。組曲「展覧会の絵」今年はなぜかこの曲に縁があり、3月のSAXRENARDE Vol.5~小狐達の饗宴~におけるサクソフォーンアンサンブル。9月の巨匠(ユベール・スダーン)のタクト、子どもたちに Vol.3 ensemble NOVA。11月のポール・メイエ指揮の群馬交響楽団と聴いてきましたが、その集大成として私にとっては本命とも言える吹奏楽の展覧会の絵で締めくくることとなりました。演奏後に福本氏より「私が指揮者になって一番長い曲だと思います!」とのコメントがあったように30分越えという大作ながら、全15曲はカラフルな曲想にとんでおり、聴き手としても次はどんな曲(絵)が出てくるのだろう…とわくわくする部分があり、それがこの曲の人気が高い理由の1つにもなっているのかなと感じました。またこの曲は作られた年代が新しく、サクソフォーンやユーフォニアムといったクラシック音楽では編成に入らない楽器が入っていることも評価が高いところで、だいたい演奏終了後にこの2パートの奏者は単独スタンドで拍手を受けるというのもお約束なのかなというところです。そしてなんといってもこの曲の冒頭のプロムナードのトランペットの独奏は、相当なプレッシャーがかかる場面でこれまでの演奏会を聴いていてもなかなかすべての音を完璧に当てるのが難しいものと感じますが、そこはさすがの相模原市吹のリードトランペット奏者で演奏はパーフェクト。お見事の一言と感じました。2本のフルートとピアノの為の組曲 紅(くれない)より黄昏色強化合宿で行われたゲームのMVP賞品が、定期演奏会でソロを演奏できる権ということで、知っていたらMVPになりたくなかった?とのお話もありましたが、そこは演奏者冥利に尽きる光栄なことということで、ドレスアップしたソリストの安西綾香氏のオンステージとなりました。この楽曲は、組曲ということですが、調べたところ第1曲が秋の気配を感じさせる“秋風”。第2曲が秋の静かな夕暮れをイメージした“黄昏色”。第3曲が、燃え立つ紅葉を描いた“紅燃ゆる”とのことですが、純白のドレスということもあって黄昏色はとても清楚な感じの楽曲だなと感じました。Yours!演奏会の締めくくりはおなじみのYours!ですが、「あなたの」ということで、最後まで「の」にこだわった初志貫徹の徹底ぶりは素晴らしいと感じました。まとめ今回は、第2部が展覧会の絵1曲のみというオーケストラのコンサートのようなプログラム構成でしたが、改めて1つの曲をじっくりと楽しむというのも良いものだなと感じ、テーマである「市吹の響き」を存分に感じることができました。またパンフレットの団長のご挨拶に「2年後の第60回記念定期演奏会に向け」という記述があるのを見て、つい何年か前に50周年記念だったけれど、時の経つのは早いものだなとも感じ、改めて歴史は刻まれているのだなと感じました。
December 16, 2023
開催日:2023.12.14(木) 19:00開演場所 :立科町中央公民館 大会議室瀧本実里 フルート・コンサート in立科町に行ってきました。プログラム1.E.エルガー:愛の挨拶 作品122.W.A.モーツァルト:アンダンテ3.G.ビゼー:組曲『アルルの女』第1組曲よりメヌエット4.C.ドビュッシー:シリンクス(無伴奏)4.C.ドビュッシー:小舟にて5.F.プーランク:フルート・ソナタ 第1楽章 アレグロ・マリンコリーコ 第2楽章 カンティレーナ 第3楽章 プレスト・ジオコーソアンコール6.J.マスネ:タイスの瞑想曲7.C.J. アンデルセン : スケルツィーノ 作品55 第6番レポート愛の挨拶 作品12オープニングは、定番ともいえるこちらの楽曲となりました。演奏後に瀧本氏よりフルートの楽器の紹介があり、使っている楽器がゴールドであり、金の良い音色をお届けできること。フルートの音を出すしくみをペットボトルを使って説明し、吹くのは簡単だがコントロールするのが難しいこと。音域は3オクターブあることなどを実際に音を出して直感的にわかりやすく知ることができました。アンダンテモーツァルトが残したフルート協奏曲の1曲目の第2楽章として作られたのではないか?という楽曲でモーツァルトの香りが随所に感じられるとてもお洒落な感じがありました。冒頭は、ピアノの前奏がおなじみの音の挨拶3音で始まり、もしかするとこの音源はこの曲からきていたのか?という発見もありました。組曲『アルルの女』第1組曲よりメヌエットアルルの女のメヌエットは、フルーティストにとってとても大事な曲な曲との紹介がありました。瀧本氏がこの曲に初めて取り組んだのは小学生の時で難易度が高くうまく演奏できなくて苦労したが、今の自分ならみなさんにすてきな調べをお届けできるということで、それはプロとして活動する自信と感じましたが、技術的に余裕があるところで、表現にこだわった演奏はとても素晴らしかったです。シリンクス(無伴奏)フルート界隈ではド定番の曲で、昨年の泉真由 フルート・コンサート in 長和町でも演奏された楽曲だったので、曲名を見てすぐにピンときましたが、無伴奏ゆえ、音が小さくなって消える瞬間まで本当に良く聞こえてきて、瀧本氏が作り出す神話の世界を存分に感じることができました。小舟にてフルーティストはメロディーを担当できればなんでもやりたい意欲的なところがあるとのことで、もともとピアノ曲から美しいメロディーを拝借しての演奏との紹介がありました。余談ながらこの曲は、先日の群響上田定期演奏会2023秋-関連プログラム 室内楽演奏会(木管五重奏)でも演奏されて記憶に新しいところだったので、短期間に同じ曲を違う編成で楽しむということができ、改めて楽曲のメロディーの美しさを再確認した次第です。フルート・ソナタ瀧本氏より師匠の工藤氏のさらに師匠がこの曲をプーランクと初演を行っているということで、瀧本氏はいわば孫弟子ということになり、その縁を感じてこの曲に取り組んでいるとのお話がありました。またピアニストの五十嵐氏と3年に渡って何度も演奏してきており、二人で細部までこだわって作り上げてきた自負もあるとのことでしたが、その演奏はまさに神がかったという印象がある大変素晴らしいものでした。タイスの瞑想曲ヴァイオリンの定番曲ですが、フルートで演奏すると、ヴァイオリンとは違ってとてもさわやかな曲に聴こえることから、音色が音楽に与える影響はとても大きいのだなと改めて感じました。スケルツィーノ 作品55 第6番瀧本氏から最後に元気いっぱいの曲を演奏するので、私から元気をもらって帰ってください!とのことで、たくさん元気をもらうことができました。まとめ初めてフルートの演奏を聴くという方にもわかりやすくフルートという楽器の紹介があったり、音楽家当人しか知りえないような師弟関係のお話。またフルーティストとしての日頃の想いなど、演奏を通じてとても身近に感じられるコンサートで、そういった意味では瀧本氏の優れたプレゼンテーション力と演奏力を間近で知ることができた素晴らしいひとときになりました。
December 14, 2023
開催日:2023.12.9(土) 14:00開演場所 :川西公民館 大ホール川西カルテット弦楽四重奏コンサートへ行ってきました。プログラム1.弦楽四重奏曲 変ロ長調 KV.458「狩」 第1楽章 W.A.モーツァルト作曲2.G線上のアリア J.S バッハ作曲3.チャルダッシュ ミンティ作曲楽器紹介コーナー4.ムーン・リヴァー ヘンリー・マンシーニ作曲5.〝ゴットファーザー〟より愛のテーマ ニーノ・ロータ作曲6.坂本 九メドレー7.古き良き時代~懐かしの歌ヒットメドレー8.そりすべり ルロイ・アンダーソン作曲9.ウインター・ワンダーランド フェリックス・バーナード作曲10.ホワイト・クリスマス アーヴィング・バーリン作曲アンコール11.ラデッキー行進曲レポート弦楽四重奏曲 変ロ長調 KV.458「狩」 第1楽章コンサートのスタートは、モーツァルトがリスペクトしていたハイドンに捧げる曲群である「ハイドンセット」からの1曲となりました。司会を務めた第2ヴァイオリンの大井俊恵氏の楽曲紹介がとてもわかりやすくユーモアもあり親しみを感じるとともに、モーツァルトとハイドンの年は違えども親交がとても深かったことなど、偉大な音楽家の交友関係の一旦を垣間見ることができました。G線上のアリアバッハの代表的楽曲の1つになりますが、昨年の川西カルテット演奏会のお客様アンケートでリクエストが多かったとのことで演奏となりました。このあたり、リクエストにしっかり応えていただけるというのも長年演奏会を続ける川西カルテットの素晴らしいところなのかなと感じました。チャルダッシュ多くの場合、ヴァイオリンなどとピアノ・ハープなどのデュオで演奏されることが多いチャルダッシュなので、今回弦楽四重奏での演奏はとても新鮮な感じがありましたが、演奏後に観客から自然と歓声が上がる盛り上がりようで、私も存分に堪能させていただきました。楽器紹介コーナー今回、体の大きさによって楽器のサイズが変わるという「弦楽器あるある」に着目しての紹介となりました。よくヴァイオリニストのプロフィールに3歳からヴァイオリンを始め…といったことが書かれていますが、そのプロセスは一番小さい16分の1の楽器からスタートし、体の成長とともに10分の1、8分の1、4分の1、2分の1、4分の3、4分の4とトータル7調の楽器を持ち替えてゆくそうで、おおよそフルサイズの4分の4になるには個人差はあるが小学生高学年くらいが目途とのことでした。そして今回圧巻だったのが、実際に小さい分数楽器を持ち寄ってアイネクライネナハトムジークの冒頭を演奏するという試みがあり、音がかわいいということもありますが、大人が小さい楽器を持ち寄って引く姿がとても印象的でした。ムーン・リヴァーティファニーで朝食をでおなじみの曲ですが、弦楽四重奏で聴くとじつにお洒落で優雅。より映画の世界に入り込んだかのような感覚がありました。〝ゴットファーザー〟より愛のテーマ少し長めの前奏の後、あの有名な主題に入りますが、もともと曲が持つシリアスな雰囲気が、弦楽の雰囲気のある四重奏によって重厚に演奏され、思わず引き込まれました。坂本 九メドレーここからは日本の曲ということで、明日があるさ、見上げてごらん夜の星を、上を向いて歩こうの3曲がメドレーになっていましたが、それぞれの曲がけっこう長めの尺だったので1曲づつたっぷりと坂本九の世界を堪能することができました。古き良き時代~懐かしの歌ヒットメドレー聴いたことがあるけど曲名が出来ない…もしかして古関裕而?鉄腕アトムだ!と多くの曲が続きましたが、けっこうな大曲でゆっくりと懐かしの歌を楽しむことができました。そりすべりここからはクリスマス曲ということで、まずはルロイ・アンダーソンの有名なそりすべりでスタートとなりました。実際のところ、この曲は聴くのは楽しいが、アマチュアが演奏するのは、なかなか大変という印象があり、管楽器だと最後にトナカイの鳴き声を入れたりして面白くすることもありますが、弦楽四重奏ではお洒落なクリスマスだな~という雰囲気が印象的でした。ウインター・ワンダーランドクリスマス曲の中でもわくわく感とか暖炉のある暖かい部屋といったものを連想させる曲調かなと思いますが、全体としてクリスマスで浮かれる街の様子がとてもよく表現されていた感がありました。ホワイト・クリスマスイブの日。ウインターワンダーランドで浮かれた後は、みんな家に帰って寝静まったころしんしんと雪が降り始め、クリスマス当日の朝、窓を開けたら銀世界といった風情を感じました。一足早くクリスマス気分を堪能した訳ですが、音楽が持つ季節性って本当に面白い!と感じるひとときになりました。ラデッキー行進曲アンコールは、年が明けてニューイヤーコンサート!そして恒例のラデッキーという流れで、プログラムの構成的に本当によく考えられていると感じました。まとめ川西カルテットを構成するメンバーは、第1ヴァイオリン大工原加奈子氏、第2ヴァイオリン大井俊恵氏、ヴィオラ上原恭子氏、チェロ寺島都志子氏で、いずれも長野県在住のベテラン演奏家ということで、これまで私が聴いてきたオーケストラ公演などでも度々お名前を拝見する方々でしたが、そんな方々の弦楽四重奏を間近で聴かせていただき、さらにこれまでになかった新しい視点からの楽器紹介による分数楽器の役割なども勉強できてとても充実したひとときになりました。
December 9, 2023
開催日:2023.12.3(日) 14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)上田ブラスフェスト2023~みんなで楽しむ吹奏楽の世界~へ行ってきました。プログラム第1部 みんなでたのしむアンサンブルの世界1.U・E・D・Aファンファーレ2.打楽器3重奏 インテンションズより第2楽章 Proposal ユージーン・ノヴォトニー コパカバーナ バリー・マニロウ/編曲:後藤郁夫3.クラリネット4重奏 クラリネットのためのカプリス クレア・グランドマン 夜に駆ける Ayase/編曲:小島里美 We Wish you a Merry Christmas 編曲:滝沢俊輔4.木管5重奏 3つ小品より 1.Allegro ジャック・イベール 青春の輝き リチャード・カーペンター/編曲:R.ミカメニコフ5.サクソフォーン4重奏 サクソフォーン四重奏曲より 第3楽章 ミックスナッツ 藤原聡/編曲 Shino6.金管8重奏 晴れた日は恋人と市場へ! 建部知弘 ジブリメドレー 久石譲第2部 こんなで楽しむ吹奏楽の世界7.アルセナール ヤン・ヴェン・デル・ロースト8.「指揮者体験コーナー」9.ファンタスティック・シナノ・ランド 石川亮太10.宝島 和泉宏隆アンコール11.クリスマス・フェスティバル ルロイ・アンダーンレポートU・E・D・Aファンファーレオープニングは、閏間健太氏による作曲の上田のためのファンファーレでスタートとなりました。こちらの楽曲は、DとEとAの音を最初のファンファーレのメロディーにして曲が作られているとのことで、閏間氏の上田への郷土愛を感じるとともに、シューマンが愛するクララの名前を音に当てはめて曲を作ったという故事をふと思い出し、音楽は詩でもあるのだなと改めて感じました。打楽器3重奏インテンションズより第2楽章 Proposalはタンバリンの三重奏曲ということで、直感的に面白く、楽譜はどういうふうに書いてあるのかな?と興味をそそられました。コパカバーナは、吹奏楽ではニューサウンズインブラスのアレンジが有名ですが、今回は打楽器3重奏ということでマリンバとヴィヴラフォンと太鼓の音色の絡み合いがなんとも心地よいサウンドと感じました。クラリネット4重奏クラリネットのためのカプリスは、クラリネットのちょうど良い音域を使った楽曲とのことで、アンサンブルコンテストのようなコンクールの出し物でも良いし、ちょっと遊びで吹いてみるというシチュエーションでも楽しめるとのお話があり、聴いてみてちょっと吹いてみたいかも!感じるところがありました。夜に駆けるは、yoasobiの楽曲とのことでJ-POPらしいリズム感が小気味よかったです。We Wish you a Merry Christmasは、クリスマスソングでこの時期にピッタリのお洒落な楽曲で、聴いていて今年もクリスマスシーズンに入って来たな…と季節感を感じました。木管5重奏フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットによる5重奏となりましたが、吹奏楽あるあるということで、ファゴットの丸山氏から「なぜ金管楽器のホルンが木管5重奏に入っているのか?」ということについてお話がありましたが、結論としてはホルンは庶民派だからとのことです。1曲目の3つ小品より 1.Allegroは、木管5重奏ならこれ!という定番曲とのことで、スタンダードを堪能させていただきました。2曲の青春の輝きは、5人が順番に旋律をとってゆく感じに書かれているようで、スポットライトこそ当たりませんでしたが、旋律を取る楽器がぱっと明るくなるようなとてもステキな演奏でした。サクソフォーン4重奏村田氏よりサクソフォーン4重奏の紹介の後、おなじみのデザンクロのサクソフォーン四重奏曲の第3楽章が演奏されました。こちらは、アンサンブルコンテストでもおなじみですが、プロ奏者による演奏は格別のクオリティー感があり、サクソフォーンアンサンブルの魅力をストレートに感じたひとときになりました。2曲目のミックスナッツは、ソプラノ担当の西田氏より是非バリトンサクソフォーンを聴いてほしい!というお話があり、超絶技巧のベースラインのバリトンサクソフォーンのパートに耳をよせて楽しませていただきました。金管8重奏作曲家の建部氏が中学生のために書いたのが「晴れた日は恋人と市場へ!」とのことで、閏間氏より音域的に広く我々も必死で吹いてるところがあって、本当に中学生が吹いたの?と思うような難易度とのことでした。考えてみれば建部氏の楽曲コンサートマーチ テイク・オフでも楽器の音域を広く使う傾向があったのでけっこう苦労したかも…と納得したところがありました。2曲目はおなじみのジブリの楽曲のメドレーですが、どんな曲が出てくるのかなと宝箱を開けてゆくようなわくわく感で楽しませていただきました。アルセナール第2部はみんなで楽しむ吹奏楽の世界と題して第1部で出演したメンバーが全員集っておなじみのアルセナールの演奏でのスタートとなりました。続いてアルセナールの一部分を用いて3名の指揮者体験コーナーがあり、タクトによって演奏がずいぶん変わるものだなということを改めて感じることができました。ファンタスティック・シナノ・ランドスーパーコモロウインドオーケストラの持ち曲で、信濃の国をモチーフに某テーマパークの音楽風に作られた楽曲ですが、要所要所でコンサートマスターの粟生田先生が指揮(吹き振り)をされて曲をまとめていました。余談ながら、私の知る限り信濃の国の吹奏楽版とすれば、昔からある編曲者不詳(?)のスタンダード版。数年前に藤森章氏が現代風にアレンジしたものがある訳ですが、できればこのシナノランドを一般向けに出版していただき第3の選択肢にしていただければさらに曲が生きることになるのかなと感じました。宝島吹奏楽の世界では世界的に有名な宝島ですが、おなじみのサクソフォーンソロや金管群のソリといった見せ場を今日のスペシャルメンバーがどう表現するのかという期待でわくわくしながら聴かせていただきましたが、期待以上のパフォーマンスが披露され、これぞプロの宝島と感じました。クリスマス・フェスティバル12月に入り、そろそろクリスマスが視野に入ってくる時分で、まずそのムードを楽しませていただきました。調べてみたところ、こちらの楽曲は1950年に作曲され、もろびとこぞりて、ひいらぎを飾ろう、ゴッド・レスト・ジー・メリー・ジェントルメン、グッド・キング・クエンセスラー、ハーク!ザ・ヘラルド・エンジェルス・シング、きよしこの夜、ジングル・ベル、アデステ・フィデリスという8曲が織り込まれており、アンダーソンらしいテクニカルさが垣間見えるところがとても印象的でした。まとめ上田ブラスフェストは、上田市出身、在住の若手音楽家を中心に2018年12月に「上田ブラスフェスト実行委員会」として発足し、2021年に東京吹奏楽団を招待しての演奏会が記憶に残るところですが、近いところで今年10月にまちなかコンサートと題して本当に奏者の皆さんと距離が近いコンサートも開かれており、上田市民一人一人が主役となるように吹奏楽祭を目指すという趣旨を着実に実行している訳でこれからも大いに楽しみなところです。
December 3, 2023
開催日:2023.12.2(土) 14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容)アンサンブルNOVA オールモーツァルトプログラムに行ってました。プログラム前半W.A.モーツァルト1.交響曲第31番 ニ長調 K.297(300a)「パリ」 第1楽章 アレグロ・アッサイ 第2楽章 アンダンテ 第3楽章 アレグロ2.ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K.453 ピアノ:山本貴志 第1楽章 アレグロ 第2楽章 アンダンテ 第3楽章 アレグレット-プレスト ソリストアンコール ショパン ノクターン作品9-2後半3.ホルン協奏曲第4番 変ホ長調 K.495 ホルン:田中沙弥 第1楽章 アレグロ・マエストーソ 第2楽章 ロマンス:アンダンテ・カンタービレ 第3楽章 ロンド:アレグロ・ヴィヴァーチェ4.交響曲第35番 ニ長調 K.385「ハフナー」 第1楽章 アレグロ・コン・スピリート 第2楽章 アンダンテ 第3楽章 メヌエット 第4楽章 プレストアンコール5.ワーグナー ヴェーゼンドンク歌曲集 第5番「夢」レポート交響曲第31番 ニ長調 K.297(300a)クラリネットが初めて編成に入れられたことで知られる楽曲で、つい半年前の群馬交響楽団 上田定期演奏会-2023夏-に続いての鑑賞となりました。当然のことではありますが、同じ曲でも演奏者が変わればイメージも変わってくるものでNOVAの交響曲第31番をじっくりと楽しませていただきました。ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K.453ソロピアニストの山本貴志氏を迎えての演奏になりました。これまで山本氏のことは、リサイタルのチラシで何度か拝見して知ってはいましたが、ここまでその演奏を聴く機会が無かったこともあって、どんなピアニストなのか大いに興味を持って聴かせていただきました。印象強かったのは高い音を奏でる時に鍵盤に顔がつきそうになるくらい近づける演奏方法で、これは今まで聴いてきたピアニストには無かったことからら、山本氏の強い個性と感じました。ノクターン作品9-2当初影アナで時間の関係でソリストアンコールは行いませんと案内されていましたが、スダーン氏の強い勧めもあってサプライズでアンコールが行われ、山本氏が現在ワルシャワを拠点に活動していることもあってかショパンの楽曲が演奏され、会場がショパンカラー一色に染められた感がありました。ホルン協奏曲第4番 変ホ長調 K.495ホルンの田中沙弥氏を迎えての協奏曲となりました。ホルン協奏曲で振り返るに2018年に福川伸陽氏との共演があり、さらに今年3月にはサントミューゼのレジデントアーティストとして訪れた福川氏によってオーケストラのホルンとは?というお題目でお話を聞いていたこともあり、その大変さなどいろいろと思いを巡らせながら聴かせていただきましたが、聴こえてくる田中氏の伸びやかな音色がとても印象的で素晴らしいと感じました。交響曲第35番 ニ長調 K.385「ハフナー」1782年にハフナー家のために作曲されたセレナードとのことですが、協奏曲を演奏した田中氏がそのままホルン奏者としてオーケストラに入ったことが驚きでしたが、考えてみれば吹奏楽では吹きっぱなしの管楽器なのだから、連投は可能なのだろうと変に納得させられた感がありました。楽曲の方は、さすがに演奏会のトリの楽曲だけあって、編成も大きく盛り上がりの上限も高かったと感じました。ヴェーゼンドンク歌曲集 第5番「夢」演奏前にスダーン氏からお話がありました。そしてこの曲はコンサートマスターの原雅道氏を主役にした形で、2人のソリストが協奏曲を奏でたのだからコンサートマスターも負けておられない!という意思のようなものが感じられました。まとめスターン氏の指揮によるNOVAの演奏を聴くのは、9月のキッズ・プロジェクトVol.3に続いて3回目となりますが、NOVAとしておなじみのメンバーが何人も参加していることもあって、とても親近感を感じながら楽しませていただきました。そして女性の衣装が色とりどり、とにかく華やかで、これも長野県ゆかりのアーティストとはいえ、いろいろなところからメンバーが集まってくるNOVAならでは風物詩といった感がありました。
December 2, 2023
開催日:2023.11.28(火) 19:00開演場所 :武石公民館 コミュニティホールサントミューゼのアーティスト・イン・レジデンス 地域ふれあいコンサートVol.85 石上真由子ヴァイオリン・コンサートへ行ってきました。プログラム1.チャイコフスキー 『懐かしき土地の思い出』より「メロディー」2.グリーグ 二つの悲しき旋律 Op.34 第1曲 傷ついた心 第2曲 過ぎにし春3.クライスラー ベートーヴェンの主題によるロンディーノ4.ベートーヴェン ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第9番 Op.47「クロイツェル」より 第1楽章5.ベートーヴェン ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第10番 Op.96より 第1楽章アンコール6.クライスラー 美しきロスマリンレポート『懐かしき土地の思い出』より「メロディー」今回のコンサートの前半はメロディー・旋律をテーマにした楽曲を選定したとのことで、オープニング曲は、曲名にメロディーが織り込まれた楽曲の演奏となりました。白鳥の湖に代表されるチャイコフスキーならではメロディアスな雰囲気がとてもよく出ており、同時に石上氏の歌心を感じるひとときにもなりました。二つの悲しき旋律 Op.34演奏前に楽曲についての説明がありました。印象的だったのは第2曲の過ぎにし春のお話で、余命が少ない主人公が今年は春を迎えられたけれど、来年は迎えられそうにない…だから最後の春をしっかり感じておこう…。といったシチュエーションに、とてもしみじみとした気持ちになりました。ベートーヴェンの主題によるロンディーノ若かりし頃のクライスラーは、ヴァイオリン奏者としては一流だが作曲者としてはなめられていたようで、知恵を絞ったクライスラーが過去の偉大な作曲家の名前を借りて「〇〇の主題による」という曲をたくさん書いたというお話がありました。それらの小品集の多くは〇〇がでっち上げだったそうですが、今回演奏する曲は本当にベートーヴェンの主題を用いているそうで、コンサート前半のメロディー・旋律のテーマを締めくくるにふさわしい楽曲となりました。ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第9番 Op.47「クロイツェル」よりコンサートの後半は、ベートーヴェンソナタをテーマにし、石上氏とピアニストの江崎氏とのユニットM&Mでソナタ1番から演奏するという長い旅をしている途上であり、まさに今その終盤にあるというお話がありました。私の中ではソナタ第9番といえば2020年に聴いた南紫音氏の演奏の印象が強かったのですが、今回3年ぶりに石上氏と江崎氏による生の演奏を聴いて、また新しい第9番を感じることができました。ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第10番 Op.96より石上氏と江崎氏が3年前に出会って初めてデュオ演奏した想い出の楽曲でもあるとのことでした。そして第9番と第10番は楽曲の印象として対照的なところがあるとのお話があり、いわゆる音楽室に飾られている険しい症状のベートーヴェンのイメージが第9番だとすれば第10番はおちゃめでミーハー的な部分を感じさせるところかというところでした。美しきロスマリンクライスラーは、当初音楽家ではなく医師を目指していたそうで、それは石上氏の経歴にも似たところがあり、そういったところで石上氏自身がクライスラーに親しみを覚えているように感じました。ということもあってアンコールはクライスラーの代表曲の1つとも言えるこちらの楽曲の演奏となったのかなと思いました。まとめレジデントアーティストとして、1月20日のリサイタルに向けて、一般公開の公演としては今日が初お披露目となりましたが、より近い距離でお二人の演奏を楽しませていただきました。また公演終了後には、お見送りにも出ていただき、聴衆と一言二言、親睦を深めるひとときがあり、とても親近感を持ちました。このあたり、石上氏より音楽家をやっていればこそ、普段旅行では行かないようなところにも行けていろいろな人たちに出会うことができるというお話もあり、確かにその通りだなと納得するところがありました。
November 28, 2023
開催日:2023.11.26(日) 15:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容)群馬交響楽団 上田定期演奏会-2023秋-に行ってきました。プログラム前半1.モーツァルト 交響曲 第38番 ニ長調 K.504「プラハ」 第1楽章 アダージョ~アレグロ 第2楽章 アンダンテ 第3楽章 フィナーレ:プレスト2.メンデルスゾーン コンツェルト・シュトゥック 第1番 ヘ短調 作品113 第2番 ニ短調 作品114ソリストアンコール C.P.E.バッハ 2本のクラリネットのための2重奏曲より第1番後半3.ミカエル・シャレル ドビュッシーによる3つのエチュード 第1曲 反復する音のための 第2曲 対比的な響きのための 第3曲 和音のための4.ムソルグスキー(ラヴェル編) 組曲《展覧会の絵》 プロムナード 第1曲 グノームス プロムナード 第2曲 古城 プロムナード 第3曲 テュイルリー 第4曲 ビドロ プロムナード 第5曲 殻をつけた雛鳥のバレエ 第6曲 サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ 第7曲 リモージュ 第8曲 カタコンブ-死せる言葉による死者への呼びかけ 第9曲 バーバ・ヤガーの小屋 第10曲 キエフの大門レポート交響曲 第38番 ニ長調 K.504「プラハ」今年6月の交響曲 第31番 ニ長調 K.297「パリ」に続き、同じニ長調の作品ではありますが、プログラムノーツによれば1787年の初演らしいとのことで、1791年に亡くなっていることを考えればモーツアルトの後期の作品という印象がありました。楽器編成がフルート2、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦楽器5部と比較的小さめなところもあり、まずは弦楽を基本としてアンサンブルをじっくり楽しむというプログラムという雰囲気で楽しませていただきました。コンツェルト・シュトゥック今回の演奏会の大きな目玉となるポール・メイエ氏と西川智也氏のお二人がソロでともに立つ曲となりました。ポール・メイエ氏は、私がクラリネットを習い始めた頃に「うまい人の演奏を聴くのが上達への近道だよ。」と教えられて購入したCDの演奏者であり、当時その音色の美しさの虜になっていた訳ですが、録音日を見たら1993年ということでちょうど30年前…。そんな憧れのポール・メイエ氏の演奏を生で拝聴できるという至福の時を噛みしめながら楽しませていただきました。そしてつい6日前の室内楽演奏会でより近いところで演奏を聴かせていただいた西川智也氏がポール・メイエ氏とともに奏でる音楽は本当に素晴らしいものでした。ドビュッシーによる3つのエチュードプログラムノーツによれば、スイスの現代作曲家ミカエル・ジャレル(1958~)がドビュッシーのピアノのために書いた12の練習曲集から第9、第10、第12曲を管弦楽用に編曲したもので、3曲とも現代曲らしい響きがありました。このあたり現代曲というと、3月の福川伸陽氏のAir(ホルン・ソロ)ホルン独奏曲が記憶に新しいところですが、福川氏に教わった現代曲を聴く時の心がまえにて自由な想像のもと楽しませていただきました。組曲《展覧会の絵》今年は3月のSAXRENARDE Vol.5~小狐達の饗宴~、9月の巨匠のタクト、子どもたちに Vol.3 ensemble NOVAにおいて展覧会の絵のフルバージョンを聴く機会があり、3度目の正直はポール・メイエ氏の指揮のもと群馬交響楽団による展覧会の絵となりました。ポール・メイエ氏はどちらかというとテンポを速めに曲作りをするようで、古城などは特にその傾向が見て取れ、それだけに通常なら全部聞くとそうとうなパワーを消費する感のある長大な展覧会の絵が不思議とすっきりと聴くことができたように感じました。改めて演奏するメンバー、コンダクターによって曲の印象というのもずいぶんと変わるものだなと感じた次第です。まとめ群馬交響楽団だけなのかはわかりませんが、入場してから開演までの間にステージで演奏者が音を出している情景にどこかほのぼのとした空気を感じ、とても親しみを感じました。一般的にプロでもアマチュアでも開場後は、演奏者はステージに立ち入らないということが暗黙の了解で決まっているようなところがありますが、そこは少しでもよい演奏を届けようと奏者が最後の最後まで準備をしていると考えれば、よいのではないかと思いました。
November 26, 2023
開催日:2023.11.20(月) 19:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)群響上田定期演奏会2023秋-関連プログラム 室内楽演奏会(木管五重奏)へ行ってきました。プログラム1.ドビュッシー:小組曲 小舟にて 行列 メヌエット バレエ2.ラロ・シフリン:ニューオーリンズ3.メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 第1番 変ホ長調 作品12 第1楽章 アダージョ・ノン・トロッポ-アレグロ・ノン・タルダンテ 第2楽章 カンツォネッタ:アレグレット 第3楽章 アンダンテ・エスプレッシーヴォ 第4楽章 モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェアンコール4.ラロ・シフリン:ニューオーリンズより後半部分レポートドビュッシー:小組曲ドビュッシーらしい深みのある調べがとても印象的でした。小組曲ということで、4つの楽曲を1つ1つ間合いをとりながら演奏してゆく訳ですが、その場面転換もまた張り詰めた緊張感と聴き手にとってはそれが期待感につながり、とても上質なひとときとなりました。ラロ・シフリン:ニューオーリンズニューオーリンズといえばつい11/5にBBBBで強く印象に残るところでしたが、いわゆるジャズとは毛色が違う音楽という印象があり、言ってみればガーシュウィンのパリのアメリカ人のニューオリーンズ版という風情で、演奏後に西川氏が「かなり難しくて…。」というお話もあり、パリアメも同様に難しいことが共通項なので、改めてこういう情景を表す楽曲は演奏側にとっては表現および技術的な難しさと表裏一体にあると感じた次第です。メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 第1番 変ホ長調 作品12演奏前の西川氏のお話でメンデルスゾーンについて触れられ、38歳で亡くなったがそれは西川氏の今の年であること。そして弦楽四重奏を木管四重奏で吹く難しさについても触れられ、弦楽四重奏だと同じ音色の楽器の合奏だが、木管五重奏は違う音色・音勢を持つ楽器のアンサンブルになるので、気遣うところが違ってくること。またそれゆえに弦楽四重奏とは違った魅力もあることのことでした。実際に聴いてみた感じとすれば、フルート、オーボエ、ホルン、ファゴット、クラリネットが絡み合う感じが終始続いて行き、それが木管五重奏の大きな醍醐味なのかなと感じました。まとめこちらの公演は、11/26に行われる群響上田定期演奏会2023秋の関連プログラムとして、本公演のチケットを持っていれば無料で聴くことができるという大変お得な計らいがなされていますが、本公演のポール・メイエ氏と西川智也氏のクラリネットコンチェルトに向けた前哨戦という意味合いもあって、その西川氏の生の声を聴くことができたのも大変素晴らしい機会となりました。
November 20, 2023
開催日:2023.11.19(日) 14:00開演場所 :信州の幸あんずホール(千曲市更埴文化会館)(760名収容)千曲市吹奏楽団の第30回定期演奏会に行ってきました。プログラム第1部1.レトロ2.海へ...吹奏楽の為に3.マードックからの最後の手紙(2021年版)第2部4.ミックス・ナッツ5.気まぐれロマンティック6.「シロクマ」吹奏版~バンドオリジナルVer.~7.ジャパニーズ・グラフィティー17 美空ひばりメドレー第3部8.ミス・サイゴンアンコール9.どうする家康 メインテーマ~暁の空~10.76本のトロンボーンレポートレトロコンサートのオープニングにレトロ!ということでインパクトのあるスタートとなりました。聴くにつけ課題曲という枠に収まらないような間口の広い曲なのかなと改めて感じました。そしてソロという見せ場もあり強く引き付けられたひとときになりました。海へ...吹奏楽の為に2006年の課題曲で、当時コンクールで演奏している団体が少ない印象があり、どうして選ばないのかな?とも思いましたが、コンクールの枠を外れ、1つの楽曲として聴いてみると、ステージ上が大海原のように感じられ、改めて音楽の力はすごいなと再確認することができました。マードックからの最後の手紙(2021年版)日頃演奏会でよく耳にしているおなじみの通常版と違い、いろいろな要素が加えられた2021年版はとても新鮮な感じがありました。イメージとすれば通常版という土地にに新しい建造物をいくつも建てたような多彩さを感じたところです。ミックス・ナッツOfficial髭男dismのおなじみの楽曲ですが、楽曲紹介によれば2022年のオリコンデジタルシングルランキング2位ということで、2022年という年を象徴するような曲として感じられ、ふと2022年の出来事を想い返しながら楽しませていただきました。気まぐれロマンティックいきものががりの初期の頃の名曲でライブでも人気!との紹介があり、歌詞が朗読されるというサプライズがありました。今思うといきものがかりの勢いが最もあったのはゲゲケの女房の主題歌である「ありがとう」が歌われていた頃なのかなと回想した次第です。そしてその2010年にホクト文化ホールでのライブに運よく2回行けたのが昨日のことのように感じられたひとときになりました。「シロクマ」吹奏版~バンドオリジナルVer.~初めてシロクマという楽曲を聴きましたが、素晴らしく切れがあり、聴いていて気持ちが上がってくる感じがありました。曲紹介によれば、高校野球甲子園大会でも多くの学校に応援曲として取り上げられているそうで、選手を音楽で元気にする!これは納得なところです。ジャパニーズ・グラフィティー17 美空ひばりメドレージャパグラシリーズでも、12につぐ演奏頻度があると感じる人気曲ですが、グラフィティーのラストを飾る「川の流れのように」はAKB48を生んだ秋元康氏による楽曲というのは、アイドル路線の秋元氏のイメージからちょっと意外な感じがしますが、今となっては秋元氏だったからこそこの名曲が生まれたとも言えるのかなというところです。ミス・サイゴンヘリコプターの効果音から始まる有名なミュージカルの楽曲ですが、本日演奏デ=メイ版ということで、私自身は宍倉晃氏の編曲版をやったことがあることからどこか対比しながら聴く形となりました。また曲目紹介にパンフレットのほぼ1面を割く形であらすじが書かれており、熟読した上で想像を膨らませて演奏を楽しませていただきました。どうする家康 メインテーマ~暁の空~アンコール1曲目は、今話題のどうする家康のテーマ曲でしたが、NHK交響楽団による演奏は、クラリネットの音が素晴らしく映えているので、そこが吹奏楽版ではどのように反映されているのか?ということに大いに興味を感じましたが、どうやら吹奏楽版ではサクソフォーンとクラリネットの共同作業になってしまったようで、そこはちょっと編曲的に残念なところかなと感じました。76本のトロンボーン私の記憶の中では、千曲市吹奏楽団のアンコール2曲目の定番がこの曲という印象ですが、いまさらながらどうしてこの曲が定番になったのか?ということに大いに興味が湧いた次第です。まとめ2019年の台風19号によるあんずホールの水没、2020年から3年に渡るコロナ禍と千曲市吹奏楽団にとっては逆境続きの4年間であったかと思いますが、第30回定期演奏会は、プログラムの豪華さもあいまって駐車場の混雑による観客の入場遅れから開演時間を10分繰り下げるという処置がとられるというほど集客の勢いがあり、ほぼ満員のお客さんの中で、これまたステージいっぱいに陣取った演奏者の皆さんの迫力ある演奏を楽しませていただくことができました。
November 19, 2023
開催日:2023.11.18(土)14:00開演場所 :東部文化ホール(324名収容)2010年3月の「はじめてのえんそう会」より13年半。11年前の2012年の「にかいめのえんそう会」、9年前の「さんかいめのえんそう会」、7年前の「よんかいめのえんそう会」、5年前の「ごかいめのえんそう会」を経て、今回「6thコンサート」に縁あって加わらせて頂きました。プログラム1st Stage1.アルセナール2.ブルースカイカーニバル3.リベルタンゴ4.アパラチアン序曲2nd Stage5.アンダー・ザ・シー6.「新時代」メドレー7.「すずめの戸締り」コレクション8.人生のメリーゴーランド9.クラシック・メドレーBrass Rockアンコール10.ひこうき雲レポートアルセナールコンサートのオープニングやアンコール曲として吹奏楽の世界ではとてもメジャーな楽曲で、さらに気品を感じさせるこちらの楽曲でのオープニングとなりました。これまで私自身、この曲はいくつかのバンドで演奏させていただきましたが、演奏する度に気持ちが引き締まるような気持ちになり、これから始まるコンサートへ向けての心構えを整えるにも良い楽曲なのかなと感じました。ブルースカイカーニバル9月の吹奏楽の夕べの発表で先行公開という形になった楽曲の1つですが、先行公開というアドバンテージもあって限られた練習時間の中で比較的深く掘り下げられた楽曲という印象もあり、これまでの練習での注意点を一つ一つ確認しながら冷静かつ丁寧に演奏できたのかなという印象がありました。そして楽曲は福田洋介氏のオリジナル曲ということで、福田氏のテイストが光るお洒落な感じがとてもよく出ていると感じました。リベルタンゴコロナ禍直前の2019年で取り組み、その後コロナ中にかけて長く手掛けてきた楽曲ということで、今日の演奏が集大成という気持ちで臨むことになりました。またつい先日の藤井貴宏氏と早川純氏によるオーボエ×バンドネオンで奏でられたリベルタンゴのテイストも想い出しつつ、吹奏楽で奏でるリベルタンゴとは!ということで、時に伴奏、時に主題と役割を交代しながら思い思いの演奏となりました。アパラチアン序曲吹奏楽の代名詞バーンズの楽曲ですが、まさにザ・吹奏楽という響きをもち、おなじみのA-B-A形式と、そしてやればやるほど曲の味わいが深まってくるという印象もありました。コーダ以降の木管系に早いフレーズがあり、どこまでテンポを上げられるか?ということにも関わってくるところでしたが、リハーサルでやや守りに入っていた演奏者に対して指揮者より思い切って音を入れてゆきましょう!というアドバイスをいただき、気持ちの面で攻めの演奏ができたのかなという達成感がありました。アンダー・ザ・シー第2ステージのオープニングは、リトル・マーメイドでおなじみの楽曲でスタートとなりました。この編曲版は、1つのフレーズを複数パートでリレーするという構造になっており、そういった意味ではより多くの練習でパートごとの息を合わせてゆくことがより求められるのかなと感じました。聴いている分にはつながって聴こえるのでそこまではわからないかもしれませんが、演奏する側はけっこうリレーを強く意識していたということがあるのかもしれません。「新時代」メドレーワンピースでおなじみの新時代のメドレーですが、今風のJ-POPの感覚をよく表した楽曲という印象で、テンポが192→145→178→130→70→175と次々と変わる曲の展開もあって、メリハリの強さとともに疾走感が感じられました。「すずめの戸締り」コレクション新海誠監督の最新作「すずめの戸締り」で使われた楽曲のコレクションですが、冒頭と締めくくりのヴィブラフォンがとても幻想的な雰囲気を作り出しており、それは夜明けと日没というイメージでありました。そしてテンポ幅が69~80と狭いこともあって、落ち着いた気持ちでじっくりと聴け、演奏側も1音1音丁寧に奏でてゆくという印象がありました。人生のメリーゴーランドハウルの動く城でおなじみの楽曲ですが、こちらは凝った編曲で定評がある小島里美氏によるアレンジということで、わりと演奏しやすい部分が多いが、凝った部分をクリアするのに時間を要するという感じがありました。そのあたりちょっとハードル高いということはありますが、演奏者とすればそこがうまくできた時はパズルが解けたような達成感が得られる…。といった部分もあるように感じました。クラシック・メドレーBrass Rockなんと13曲ものクラシックの名曲のフレーズの良いとこどりをして作られた楽曲で、それをロック調でアレンジするという試みが面白いところがあると感じました。そしてなんといってもおなじみのクラシックの名曲のフレーズを用いているので耳なじみがあり、演奏者も聴き手も楽しめるという全世代型の優れた楽曲になるのかなという印象がありました。ひこうき雲アンコール曲として、落ち着いた、ちょっと切ない…そんな印象のあるこの曲は本当にぴったりではなかったかと感じました。楽曲そのものは同一テンポで淡々と演奏してゆく感じではあるのですが、それがまたよいということで、最後の消え入るような終わり方もコンサートの幕引きによくはまる感がありました。まとめ今回、コンサートは6回目となりましたが、ちくたくミュージッククラブは2010年以降隔年での演奏会を行ってきましたが、2018年が5回目だったこともあり、コロナ禍をはさみ5年という長い間隔が開きました。5年という月日は大きいですが、それでも今回1回目から御一緒させていただいているメンバーをはじめ、長野商業高校吹奏楽部の皆さんとの共演も実現したことで、一期一会の想い出としてとてもよい想い出となりました。
November 18, 2023
開催日:2023.11.11(土) 13:00開演場所 :上山田文化会館(952名収容)今年で15回目を迎える千曲音楽祭・第1日目へ行ってきました。プログラムみんなでうたいましょう「翼をください」1.堀口鉄久<尺八独奏> 古典的喜遊曲 Jupitar いのちのうた2.カルテット「shin」<アンサンブル> ヴォーカル:北澤克枝、梅原俊和/ヴァイオリン:中村八重子/ピアノ:廣田香里 雷神~天使の子守歌~ アニーローリー 見上げてごらん夜の星を3.中村はま子<ヒアノ独奏> マズルカ Op.17-4 トルコマーチ4.高山賢人<二胡独奏> ピアノ:高久史子 風林火山 Sol solotario5.吉池春子<ピアノ独奏> エリーゼのために ワルツ変イ長調 Op.39-15 小犬のワルツ6.アニージョ・ブランコ<ケーナデュオ> 内山裕三 長坂ひろ子 情熱大陸 糸7.更級小学校4学年<斉唱・二部合唱> 指揮:安藤晴夫 ピアノ:田中亜紀 宝島 小さな勇気8.グリーンメイ コーラス<合唱> ピアノ伴奏:北川彰子 夢をあきらめないで アイノカタチ feat.HIDE9.ぽぷり<合唱> 指揮:丸山ゆかり ピアノ:河辺由美子 アイノカタチ feat.HIDE 世界はあなたに笑いかけている10.緑風二胡楽団<二胡合奏> ピアノ:高久史子 風笛(かざぶえ) Forever Love11.ウィローウインドオーケストラ<吹奏楽> 指揮:七澤秀星 レ・ミゼラブルさいごに うたいましょう 「夢の世界を」 レポートみんなでうたいましょう「翼をください」コロナ禍以降、千曲音楽祭のトレードマークだったみんなで歌いましょうがついに復活となりました。感慨深いものを感じつつ、それでもまだ大声でとはいかず、中くらいの声でまずその雰囲気を感じることかできました。堀口鉄久<尺八独奏>尺八というと昨年の和楽器オーケストラむつのを。そして今年の第97回サンテラスロビーコンサート 和洋が織りなすきらめく音世界での演奏が回顧されますが、今回の選曲を見ても和楽器でJ-POPを吹くということがごく自然なことになってきているのだなと感じました。カルテット「shin」<アンサンブル>ばっちりきまったステキな衣装で登場したカルテット「shin」は、とてもムードのあるアンサンブルで、思わず身を乗り出して楽しませていただきましたが、きっとこれまで多くのステージを踏んできたのたろうなという貫禄とともに「私たちの音楽はこうです!」という型が確立しているように感じました。中村はま子<ヒアノ独奏>ピアノにしかないテイストであるショパンよりマズルカ。そしてモーツァルトのトルコマーチという演目でしたが、改めて1人で音楽を完結できるピアノの優れた表現力を感じたひとときになりました。高山賢人<二胡独奏>だいぶ前の大河ドラマの風林火山ですが、この曲はとても高揚感を掻き立てられる力があると感じました。そして二胡独特の醸し出す波形音が風、林、火、山を表現しているイメージがあり、曲と楽器の音色のマッチングが素晴らしいと感じました。※出演順の関係で5~10番の演奏を聴くことができずレポートできないことをご容赦下さい。ウィローウインドオーケストラ<吹奏楽>今回の演奏曲レ・ミゼラブルは、森田一浩版で、コンクールやスクールバンド、一般バンドの演奏会でもよく耳にする人気曲で、演奏会のメイン曲として取り上げられることが多い印象があります。ウィローでも第10回定期演奏会で演奏したことがあり、その名曲を23名という小編成吹奏楽でどこまでやれるか…ということへの挑戦でもあったのかなと感じました。またこの曲は7曲のメドレーになっているので、曲のつなぎをいかにうまくリレーさせるかということや、ピッコロのソロから始まる曲の時にあえて指揮をやめ、自由な表現を誘引し、存分に聴かせてから、再び指揮で伴奏テンポを出すといった音楽的な演出も試みた演奏となりました。さいごに うたいましょう 「夢の世界を」 コロナ禍前は、希望する出演者の皆さんがステージに上がってみんなで夢の世界を歌って音楽祭を盛り上げてきましたが、今回はまだそこまではいかず、最後に演奏したウィローウインドオーケストラの23名に伴奏と指揮を担当する数名の演奏者の方が加わっての公演となりました。私自身この曲は、ソプラノ・アルト・テノール・バスに分かれて練習した経験から、歌いながら「そういえばこのパートはこの音だったっけなと想い出しつつも忘れてしまったパートはソプラノの主旋律を拾いながら楽しませていただきました。まとめ今回、出演者として参加ということもあり他の出演団体の演奏を一部分しか聴くことができず残念でしたが、毎年感じることではありますが、この千曲音楽祭の魅力は、独唱・独奏・アンサンブル・合唱・合奏と音楽であればジャンルを問わないというスタイルにあるのかなと感じました。また楽器を習い立てのアマチュアからプロとして活動されている(と思われる)方までが同じステージで音楽を表現しあうというシチュエーションも素晴らしい機会と感じた次第です。
November 11, 2023
開催日:2023.11.5(日) 14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)ブラック・ボトム・ブラスバンドのライブに行ってきました。プログラム2023年9月8日にリリースされたBBBB30周年記念アルバム「ロマン」の収録曲やカバー曲。ジャズの定番のシングシングシング。そして締めくくりのアンコール3曲目では、関連プログラム「BBBBと一緒に「聖者の行進」を演奏しよう!本番直前「聖者の行進」ワークショップ」の参加メンバー(クラリネット、サクソフォーン、リコーダー、ハーモニカ、太鼓、ご家族バンド)を加えたとてもにぎやかで楽しい聖者の行進でした。レポートBBBBのライブ鑑賞も4回目ということでメンバーや楽曲への親近感も出てきて、より楽しめた感がありました。BBBBのキャッチフレーズである「ワッショーイ!」「ドッカーン!」もこれまでコロナ禍で思い切りできなかったところを、今回のライブでは心置きなくやれてとても晴れやかな気持ちになりました。このあたり、ライブの冒頭でヤッシーさんからの「わるいことは、全部この会場に置いていってくださいね!」という基本コンセプトのもと、本当にストレスを発散して元気をもらったライブになりました。まとめ縁あって今回も地元音楽愛好者の一員としてワークショップに参加させていただき、その発表の場として聖者の行進を御一緒させていただきましたが、こういった観客参加型のイベントはただ鑑賞しているのに比べて、より能動的に動くことになるので、よい緊張感も手伝って生きててよかった的な想いを感じることができました。
November 5, 2023
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