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開催日:2024.10.26(土) 12:30開演場所 :シャトー・メルシャン椀子ワイナリー椀子マルシェ2024秋で行われた上田ウィーンアカデミークラリネットパートによるアンサンブル演奏へ行ってきました。プログラム上田ウィーンアカデミークラリネットパートによる演奏1.アイネクライネナハトムジーク/モーツァルト2.喜歌劇「こうもり」セレクション/シュトラウス二世3.「くるみ割り人形」より序曲/チャイコフスキーら・ら・らクラリネットによる演奏4.「くるみ割り人形」より花のワルツ/チャイコフスキー5.秋メドレー6.クラウナリーフォークラリネッツ/スタルパース上田ウィーンアカデミークラリネットパートによる演奏7.サウンドオブミュージック/ロジャースレポートアイネクライネナハトムジークモーツァルトといえばアイネクライネ!という程よく知られている曲でのスタートとなりました。特に1楽章が有名ですが、だいぶ古い話ではありますがマリオブラザーズのゲームスタート時に冒頭部分が使われていたことで、クラシックファンのみならず、広く一般にも知られるようになったのかもしれません。今回は、その有名な第1楽章の抜粋演奏となりました。喜歌劇「こうもり」セレクション吹奏楽版でもおなじみの鈴木英史氏によるおいしいどころ取りのメドレーですが、2024年の上田ウィーンアカデミーのレッスン曲として取り組まれており、9月14日のカール・ヤイトラー氏のレッスンでは、「とてもうまく編曲してあるね!」というお墨付きをいただいた良曲です。6分弱の曲中におなじみのこうもりの楽曲群が詰め込まれており、演奏するのも聴くのも楽しいところかなと思いました。「くるみ割り人形」より序曲2024年の上田ウィーンアカデミーのレッスン曲として取り組まれました。バレエ組曲「くるみ割り人形」の1番最初の曲で、原曲ではかわいさを演出するためチェロ以下の低弦を編成から外していますが、それをクラリネット用にアレンジするとなると、アルト以下の曲がりは外されるのが筋かもしれませんが、この編曲版ではアルト・バスまで含めて作られている関係上、アルトはそこまで厳しくはないですが、バスが高音域で小さな音を要求されるようなところがあり、そういった意味ではアンサンブル的にこれまでの経験値が通用しない部分もあって、原野を切り開くようなやりがいを感じた次第です。「くるみ割り人形」より花のワルツここからは、上田ウィーンアカデミークラリネットパートから4名の選抜隊で構成されたらららクラリネットカルテットによる演奏となりました。くるみ割り人形は、たくさんの魅力的な楽曲で構成されていますが、その中でも第2幕・第13曲の花のワルツは優雅で大きな魅力があると感じます。もともとはオーケストラの曲ですが、少人数で演奏できるようアレンジされたものが多数出回っており、チャイコフスキーの素晴らしいメロディをより身近に楽しめた感がありました。秋メドレーこの時期にピッタリな日本の秋の曲をセットにした曲で、季節感を感じながら楽しませていただきました。近年は地球温暖化の影響で夏が長くなり、秋をより感じるのは10月半ば過ぎになってきていますが、それでも立冬以降も立冬以降も暖かさが持続するので日本の秋はまだまだこれから!というところでの鑑賞となり、タイムリーなところでした。クラウナリーフォークラリネッツアンサンブルコンテストのレパートリーとしてよく耳にする楽曲ですが、こちらの楽曲が長く音楽学校で教鞭を取ってきたスパルターツが1987年の定年後から始めた作曲活動で作られた約70曲のうちの1つとのことで、クラリネットの音色の魅力をうまく生かした曲という印象がありました。締めくくりがバスクラの低音で終わるところが「。」とか「END」といったことを連想した次第です。サウンドオブミュージックメドレー締めは再び上田ウィーンアカデミークラリネットチーム全員が終結しての演奏となりました。こちらのメドレーは、サウンドオブミュージックを構成する楽曲から私のお気に入り、ドレミの歌、エーデルワイス、すべての山に登ろうなどをメドレーにした楽曲で昨年のマルシェに続いての演奏でしたが、定番曲として改めて椀子ワイナリーの開放的な景観によく似合う楽曲と感じました。まとめ椀子マルシェは春と秋に開催されていますが、恒例のやぎさんも来ておりにぎやかな催しとなっていました。また今回は、鹿肉のワインシチューをいだきましたが、ワインはもちろん椀子ワイナリーのものが使われており、鹿肉のシーチキンを思わせるしっかりした食感と染み込んだワインの風味が素晴らしく贅沢な味わいになっており、おいしい地元のグルメと世界に認められた椀子ワイナリーの一流のワインを楽しむ最高のシチュエーションになっていたと感じました。
October 26, 2024
開催日:2024.10.20(日) 15:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容)群馬交響楽団 上田定期演奏会2024秋に行ってきました。プログラム前半モーツァルト歌劇《魔笛》序曲ブリテン深紅の花びらは眠りにつく(日本初演)ブリテンノクターン 作品60後半リムスキー=コルサコフ交響組曲《シェエラザード》作品35第1楽章 ラルゴ・エ・マエストーソ-アレグロ・ノン・トロッポ第2楽章 レント-アンダンティーノ-アレグロ・モルト-コン・モート第3楽章 アンダンティーノ・グワジ・アレグレット-ポキッシモ・ピウ・モッソ-コーメ・プリーマ-ポキッシモ・ピウ・アニマート第4楽章 アレグロ・モルト-ヴィーヴォ-アレグロ・ノン・トロッポ・マエストーソレポート歌劇《魔笛》序曲プログラムノーツによれば、モーツァルトが生涯最後となる年に書いた楽曲であり、私的にもこれまで幾度となく聴いたり演奏したりしてきた親しみのある曲で、この名曲をモーツァルトの指揮に定評のあるデイヴィット・レイランド氏と郡馬交響楽団がどのように演奏するかがとても興味深いところでした。印象としてはとても明るくさわやかなサウンドでまとめられており、フランスの香りを感じました。深紅の花びらは眠りにつくテノール独唱、ホルン、弦楽器5部という小さい編成の曲で日本初演というインパクトもあって、希少感のある演奏と感じました。5分ほどの短い曲ですが、テノールとホルンが掛け合うような形となっており、そこも珍しさを感じ、まずは、テノールのマーク・パドモア氏の美声を堪能させていただいたひとときになりました。ブリテンテノール独唱にフルート、イングリッシュホルン、クラリネット、ファゴット、ホルン、ティンパニ、ハープ、弦楽器5部という編成での演奏で、テノールの独唱を主体としつつも、それに絡む楽器パートにも耳がいくような面白さを感じました。また歌詞対訳も配布されており、開演前にそれらを読み込むことで、より歌唱を楽しむこともできた次第です。また今回はテノール独唱の息遣いを間近で感じるために、あえて最前列の席で聴かせていただきましたが、その効果もあって大変濃厚な鑑賞の時間となりました。交響組曲《シェエラザード》作品35ピッコロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、大太鼓、サスペンテッドシンバル、シンバル、小太鼓、トライアングル、タンブリン、タムタム、ハープ、弦楽器5部(人数は前半より多い)というステージを埋め尽くす豪華フルオーケストラによる演奏となりました。そしてヴァイオリン・ソロはソロコンサートマスターの伊藤文乃氏が務め、10月7日に行われた関連プログラムのトーク&コンサートのレクチャーを想い出しつつも、シェエラザードが千夜一夜物語をドラマチックに語る様子を想像しながら42分の大曲を堪能させていただきました。まとめアンコールは行わないのが、群馬交響楽団の公演スタイルとなっていますが、何度もデイヴィット・レイランド氏が挨拶に登場する盛り上がりがありました。またゲスト奏者としてハープの津野田圭氏が2018年のサントミューゼのリサイタル以来の上田登場ということで、開演前と休憩時間中の入念なチューニングと演奏中のその優美な音色を懐かしい想いで楽しませていただきました。
October 20, 2024
開催日:2024.10.19(土) 13:30開演場所 :長野大学9号館3Fリブロホール第8回長野大学りんどう祭のイベント 合唱サークルひびきの合唱パフォーマンスに行ってきました。プログラム1.This is Me ミュージカル『グレイテスト・ショーマン』より2.トゥモロー ミュージカル『アニー』より3.雨に唄えば ミュージカル『SINGIN'IN THE RAIN〜雨に唄えば〜』より4.Hail Holy Queen 映画『天使にラブソングを』より5.星に願いを ~ 映画『ピノキオ』より6.ディズニー・メドレー7.リメンバー・ミーレポートThis is Meオープニングは、グレイテスト・ショーマンといえばこの曲!といったイメージで、作品中での歌うシーンを想像しつつ親しみを持って聴かせていただきました。トゥモロー朝が来れば~という希望に満ちた歌詞と曲調がとても魅力的な楽曲で、とてもさわやかなですてきなハーモニーを感じさせていただきました。また過去に合唱隊と吹奏楽でのコラボでこの曲を演奏したことがあり、そんな懐かしい想い出も蘇りました。雨に唄えば傘をさして土砂降りの雨に濡れながら歌う…そんなイメージの曲ですが、普通は雨に濡れるのは不快なイメージがありますが、ここでは喜々として歌っており、曲調もコミカルで楽しんでいる!という風がとてもよく伝わってきました。Hail Holy Queenどんな曲が調べてみたところ、キリスト教聖歌における交唱「Salve regina」を英訳・編曲した「Hail Holy Queen enthroned above」を、ゴスペル調にアレンジしたものとのことで、聖歌隊の歌なので、導入部はとても厳かに。後半は手拍子が入るようなノリノリの楽曲を楽しませていただきました。星に願いをここからはディズニーの楽曲の歌唱となりました。まずはピノキオでおなじみのこちらの楽曲でディズニーの雰囲気にモードが切り替わりました。ディズニー・メドレー歌唱にあたってディズニー作品の魅力について部員へのインタビューがあり、ピーターパンが好きという方がいて、ピーターパンは空を飛べるので空を飛べないフック船長が勝てる訳がないからズルイといったお話がありましたが、私もピーターパンのミュージカルを2年連続で見ているので、二人が戦うシーンを回想し、確かにそういう感じがあるのかもと共感できるところがありました。メドレーの内容は、ホール・ニュー・ワールド、アンダー・ザ・シー、パート・ユア・ワールド、輝く未来、美女と野獣、愛を感じてということで、いずれも演奏したことがあったので親しみを感じながら楽しませていただきました。リメンバー・ミー2017年のディズニー作品の曲ですが、昨年やった楽器紹介のためのファンタジーメドレーの中に入っていたこともあって、あの曲だな!とすぐにわかったこともあって、とても楽しくきかせていただきました。そしてエンドロールは、学年ごとに挨拶するという演出があり、素晴らしい締めくくりとなりました。まとめ昨年に続いてりんどう祭を訪問しましたが、開学時からあった1号館の取り壊しが完了しており、その様子を眺めつつ2号館・4号館などの校内展示を見学させていただきました。素朴な疑問として、全体マップに8号館がなく欠番になっているのがどうしてか?と思った次第です。またりんどう祭では、19日、20日の2日間で体育館・リブロホールの2会場で10公演のイベントが予定されており、今回は訪問時間の都合で合唱サークルひびきの公演を拝聴させていただいた訳ですが、とてもクオリティーが高く、素晴らしいハーモニーに癒されたひとときになりました。
October 19, 2024
開催日:2024.10.16(月) 13:30開演場所 :中野市市民会館ソソラホール(781名収容)Musikkapelle Nagano 第4回演奏会に行ってきました。プログラム1.交響的序曲 J.バーンズ作曲2.行進曲 作品99 S.プロコフィエフ作曲(J.メレディス編曲)3.主よ、人の望みの喜びよ J.S.バッハ作曲(A.リード編曲)4.スラブ行進曲 作品31 P.I.チャイコフスキー作曲(木村吉宏編曲)休憩5.朧月夜 岡野貞一作曲(森田一浩編曲)6.砂山 中山晋平作曲(天野正道編曲)7.故郷 岡野貞一作曲(真島俊夫編曲)8.「ラピュタ」~キャッスル・イン・ザ・スカイ 久石譲作曲(森田一浩編曲)9.ガブリエルのオーボエ E.モリコーネ作曲(R.ロングフィールド編曲)休憩10.風紋(原典版) 保科洋作曲11.遥か 伊藤有里作曲12.3つのジャポニズム 真島俊夫作曲 1.鶴が舞う 2.雪の川 3.祭りアンコール13.故郷 岡野貞一作曲(真島俊夫編曲)レポート交響的序曲オープニングは序曲という演奏会の黄金パターンでのスタートとなりました。眩い光を放つようなオープニングのファンファーレに続いてアップテンポのテーマ。そして中間部は、じっくりと時間をかけいくつかのソロを挟みながら語り掛けるような曲調。後半は派手に盛り上がって終わるという早-遅-早の構成がとてもわかりやすいと感じました。そしてバーンズの作風の特徴でもあるのか、連符が多用されており、これは奏者泣かせのところもありそうですが、躍動感を得るには重要な要素なのかなと感じました。行進曲 作品99演奏人数を大幅に絞っての演奏となりました。藤井氏の曲紹介では昔のロシアのCMの曲とのことで、コミカルな曲調が面白く、尺もすっきりと短く楽しめた感がありました。主よ、人の望みの喜びよ再び大編成での演奏となりましたが、私も10年ほど前にこのA.リード編曲版を藤井氏の指揮で演奏したことがありますが、ブレスを取るところがない…。ということで、管楽器での演奏には不向きな楽曲という印象がありましたが、そこは大編成の利点を生かして、交代でブレスを取るなどの工夫をしているようで切れ目のないとても滑らかな演奏を聴かせていただきました。スラブ行進曲 作品31暗めの曲調のスタートがこれぞロシア音楽という印象でしたが、曲が進むにつれてだんだんと明るくなり、最後は違う曲のような華やかさで終わるという変化ぶりにロシアの夜明けのようなイメージがありました。朧月夜~砂山~ふるさと演奏前に藤井氏と飯山高校吹奏楽部の代表者の生徒さんとのトークがありました。またここからの4曲はMusikkapelle Naganoとゲストの中野西高校ウィンドアンサンブル部、中野立志舘高校吹奏楽部、飯山高校吹奏楽部との合同演奏となり、3曲続けての演奏となりました。その中で砂山は、私も演奏したことがあり、とても懐かしく聴かせていただきました。「ラピュタ」~キャッスル・イン・ザ・スカイ演奏前に藤井氏の中野立志舘高校吹奏楽部の代表者の生徒さんとのトークがありました。同高校の吹奏楽部は、現在部員10名で活動されているそうで、地理的には、ホールのすぐ隣が学校という好立地という印象がありました。楽曲は地元中野市出身の久石譲氏をリスペクトした選曲といった形かなというところですが、数多くあるラピュタの編曲版の中でもシンフォニック寄りのサウンドがとても印象的でした。ガブリエルのオーボエ演奏前に藤井氏の中野西高校ウインドアンサンブル部の代表者の生徒さんとのトークがありました。部員13名で最近1年生が1人加わったとのことで、会場から暖かい拍手がありました。演奏は、高校生の皆さんと藤井氏という編成で、ソロを奏でる藤井氏とそれを盛り上げる高校生の皆さんの融合感がとても素晴らしく、感動のひとときになりました。風紋(原典版)全日本吹奏楽コンクールでは、課題曲という形で毎年4曲づつ新曲が提供され、全国で演奏されている訳ですが、コンクールが終わるとほとんどの曲は再演される機会はぐっと少なくなる印象があります。そんな中で、この風紋、天国の島、さくらのうたなどの数曲は繰り返し演奏されており、その人気ぶりは特別なものがあります。また今回演奏される風紋は原典版ということで、時間制限で織り込めなかった部分を追加再構成したものになりますが、聴くにあたっては、追加された部分を探すような耳もあって、新鮮な感触を受けた次第です。遥かMusikkapelle Naganoの委嘱作品にして世界初演ということで、藤井氏より今日の演奏会のメインという位置づけの曲との紹介がありました。また作曲者の伊藤友里氏へのインタビューがあり、中野市の美しい風景とそこで暮らす人々の営みが遥か先まで続いていって欲しいという願いを込めて書いたというお話がありました。楽曲は、人々の営みを思わせる情景を感じる雰囲気でスタートし、続いてゆったりとした中間部では中野市の美しい風景を思わせるシーン。そして再び人々の営みのシーンが表れ、フィナーレはそれらが融合するという形で、じつによく情景が想像できる素晴らしい曲であると感じました。3つのジャポニズム真島俊夫氏の代表作であまりにも有名な楽曲ですが、日本文化の色を音楽で表現するという意味では、原点となる曲という印象がありました。3楽章からなる大曲ですが、あまりにも素晴らしすぎる故か楽章ごとに拍手が入るということもありましたが、その後に発表された真島氏の数々の名曲を想いつつ楽しませていただきました。まとめこれまでの演奏会と同様にMusikkapelle Naganoとゲストの飯山高校吹奏楽部、中野西高校ウィンドアンサンブル、中野立志舘高校吹奏楽部の皆さんは、10/12・13と当日の3日間のリハーサルで曲をまとめて演奏会に臨む形は変わらずとのことでしたが、今回中野市市民会館「ソソラホール」オープニング記念コンサートということで、リニューアルしたホールのお披露目の雰囲気もあってとても新鮮な感じのする素晴らしい公演という印象を受けました。
October 14, 2024
開催日:2024.10.14(月)10:00開演場所 :長野市芸術館メインホール(1,292名収容)長野ドリームフェスティバル2024へ行ってきました。また縁あって長野商業高等学校・ちくたくミュージッククラブで演奏者として参加させていただきましたので、演奏者視点でもレポートさせて頂きたいと思います。メインホールプログラム1.長野工業高等専門学校 RPG 空も飛べるはず アイネ・クライネ・ナハトポッポ 風になりたい2.長野東高等学校 風薫る五月に 祈りは時の流れに輝く キセキ3.長野商業高等学校・ちくたくミュージッククラブ サンライズマーチ 名探偵コナンメインテーマ ホール・ニュー・ワールド 勇気100%4.長野市立東北中学校 ダンスホール Soranji特別ゲスト演奏 クアトロ アルコ イリス5.長野市立東部中学校 残酷な天使のテーゼ 限界突破 アイドル6.長野西高等学校 怪獣の花唄 ワタリドリ Happiness ひまわりの約束7.長野日本大学高等学校・中学校 ユーロビート・ディズニー・メドレー 風になりたい 松田聖子コレクション マツケンサンバ2 J-BEST~ダンス・コレクション2017合同演奏 宝島レポートサンライズマーチ全日本吹奏楽コンクールの1982年の課題曲ですが、今でも演奏会で耳にすることがあるので、課題曲名曲選の1つという印象がありますが、私自身この曲は1990年代から何度か演奏する機会があり、都度懐かしさを感じるところです。最後まで演奏して6小節目に戻り中間で終わるという今となっては珍しい構成も時代を感じさせるところですが、そんな歴史ある名曲を高校生の皆さんと一緒に演奏するというシチュエーションにも感慨深いものを感じました。名探偵コナンメインテーマ縁あって昨年から何回か演奏させていただいていますが、この曲の見せ場はなんといっても中間部のアルトサクソフォーンのソロ!このソロをソリストがどんなふうに演奏するのかということが楽しみなところですが、今回演奏した高校生のソロは音色の艶色がとてもキラキラとしていて、その堂々たる演奏に感動したひとときになりました。ホール・ニュー・ワールドFLX フレックス・バンド(五声部+打楽器)用の楽譜での演奏でしたが、こちらは少人数でも合奏を楽しみたいという声に応えて販売されている楽譜で最低6人で演奏できるという優れものです。今回は、その楽譜を多人数で演奏する場合のノウハウをいろいろと学ばせていただきましたが、通常の吹奏楽の楽譜でもまわりをきいて音量のバランスを取ることをしていますが、こちらの楽譜ではさらにその感覚を研ぎ澄まして、振り幅も広げて対応することがポイントなのかなと思いました。勇気100%こちらもFLX フレックス・バンド(五声部+打楽器)用の楽譜でしたが、勇気100%が持つ曲のパワーをしっかりと表現していて、よくできているなと感じました。まとめ今回、都合により他団体の演奏を客席で聴くことができなかったので、そのレポートができないことをご容赦ください。長野ドリームフェスティバルは、自衛隊長野地方協力本部の主催で、自衛隊と地域社会の連携を深め、学生の皆さんに貴重な学びの場を提供し、県民の皆さんとの交流を図ることを目的にしているイベントで、その中でメインホールでの演奏体験をさせていただいたという位置づけになりましたが、開会式での力久本部長のお話を伺う機会を得たり、展示された自衛隊車両を見学できたりと、とても有意義なひとときを過ごすことができました。
October 14, 2024
開催日:2024.10.12(土) 10:30開演場所 :カフェギャラリーすみれ屋(20名収容)写真展「The brand new VEGA -Portrait of Haruka TAKEUCHI-」記念 竹内遥香ハープコンサートに行ってきました。プログラム1.彼方の光(村松崇継)2.エレノア・プランケット(オキャロラン)3.グリーンスリーブス(イングランド民謡)4.荒城の月(滝廉太郎)5.春よ、来い(松任谷由実)6.秋メドレー(竹内遥香 編曲)7.星に願いを(ハーライン)8.「千と千尋の神隠し」より いつも何度でも(木村弓)9.森の詩 ~25弦のハープのための~(稗島律子)10.バロック・フラメンコ(デボラ・ヘンソン=コナン)11.ナイチンゲール(デボラ・ヘンソン=コナン)12.「タイタニック」より マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン13.「ティファニーで朝食を」より ムーン・リバーアンコール14.ハナミズキレポート彼方の光オープニングは、結婚式などでおなじみの村松崇継氏の有名なこちらの曲でスタートとなりました。演奏は、アイリッシュハープで行われ、グランドハープに比べれば小ぶりでは音色も落ち着いた優しいもので、その美しい響きに癒されました。エレノア・プランケットアイリッシュハープといえばこの曲は外せないということでの演奏となりました。語り掛けるようなメロディーがとても心地よく、歌詞はないけれど物語を想像することができました。グリーンスリーブスどこの誰が作ったかはわからない…でも歌い継がれてみんなが知っている!という曲の代表格だと思いますが、イングランド民謡に留まらず世界で知られている曲という印象があります。竹内氏のユーチューブの曲の中でも世界中で再生されているとのお話がありました。荒城の月季節を感じる日本の曲ということで、古風な感じが日本人の心の琴線に触れる感じで大変心地よく感じました。曲中でハープ特有のグリッサンドが何回か出てくるものもみやびな感じがして良かったです。春よ、来いいまの季節感とすれば、厳しい夏がやっと終わり一息ついているところで、春を待つのは数カ月先にはなりますが、曲が持つ季節の色というものを楽しませていただきました。秋メドレー竹内氏が秋の童謡を集めて編曲した曲で、まさにいまの季節感にぴったりで、秋だなあと感じるひとときになりました。演奏後に竹内氏から保育園で演奏した時に子供たちが1曲も知らなくて白けてしまったけど、今日は大丈夫という安心感があったとのことで、納得のひとときになりました。星に願いを演奏前にアイリッシュハープの楽器紹介がありましたが、半音調整の機構がグランドハープは足のレバーで行うのに対して、アイリッシュハープは、上部のフックを手で上げ下げする機構になっており、演奏の難易度はアイリッシュハープの方が高く、じつは半音が多くでてくる星に願いをは演奏するのが難しいということでした。そんなことで、演奏中はフックを操る手の動きにみんなの視線が集中したようで、音より手を見られている!ということに竹内氏も気が付いたようでした。「千と千尋の神隠し」よりいつも何度でも竹内氏が演奏活動をする中で、リクエストナンバー1の曲とのことで、もともとはライヤーハープの曲だが、今回竹内氏が用意したもう1台の25弦の小さなアイリッシュハープでライヤーの雰囲気を出しながらの演奏となりました。森の詩 ~25弦のハープのための~25弦ハープについての紹介があり、当初はグランドハープの代用品であったが、今は改良が進み楽器としての完成度が上がりコンサートでの使用にも耐えうるようになったとのことでした。そしてこちらの曲は25弦ハープのために書かれた曲で、難易度的には25弦ハープの限界に挑戦するものがあるということで、演奏はもちろん台座を叩いて音を出す奏法も入り、小さいがダイナミックさを感じることができました。バロック・フラメンコエレキハープ奏者のデボラ・ヘンソン氏の曲で、あるフラメンコダンサーがハープをかき鳴らしたら中世にタイムスリップしてしまった…というストーリーがついているとのことで、フラメンコ調の妖艶な雰囲気のする楽曲だが、アイリッシュハープの音色でこういう曲を奏でるのもまた味があって良いと感じました。ナイチンゲール同じくデボラ・ヘンソン氏の曲ですが、こちらは淡々と語り掛けるような曲で、時折繰り出されるグリッサンドが舞台転換のような役割をしていて、いわば人生を走馬灯のように振り返っているような壮大な印象がありました。「タイタニック」より マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン締めくくりは映画音楽2曲ということで、まずは1997年公開の永遠の名作タイタニックの名曲マイ・ハート・ウィル・ゴー・オンとなりました。こちらの楽曲はいろいろな楽器で聴いたことがありましたが、アイリッシュハープでの演奏は音色と曲のマッチングに格別感がありました。「ティファニーで朝食を」より ムーン・リバーおなじみのムーン・リバーですが、とても落ち着いた感じの雰囲気で編曲されており、改めてアイリッシュハープの音色の魅力を感じることができました。ハナミズキアンコールは、竹内氏が大事にしているハナミズキの演奏で締めくくられました。まとめ今回、演奏家写真や演奏会写真を多く手掛ける写真家北原祐一氏の写真展とタイアップしてのコンサート企画とのことでしたが、ギャラリーカフェすみれ屋のギャラリー室には、これまでに北原氏が撮りためた竹内氏の写真がたくさん展示されており、美術と音楽の融合を感じることができました。また今回のコンサートでは、ハープでもアイリッシュハープというグランドハープとはまた違った魅力を持つ楽器の演奏を堪能できたことが大きな収穫となりました。
October 12, 2024
開催日:2024.10.7(月) 19:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)群響上田定期演奏会2024秋-関連プログラム トーク&コンサートへ行ってきました。プログラム1.W.A.モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ 第21番 ホ短調 K.304 第1楽章 Allegro 第2楽章 Tempo di menuetto2.リムスキー=コルサコフ(F.クライスラーによるヴァイオリンとピアノ編) 《シェエラザード》 Op.35から「アラビアの歌」「東洋風舞曲」3.C.A.ドビッュシー ヴァイオリン・ソナタ ト短調 第1楽章 Allegro vivo 第2楽章 Intermede:Fantasrue et leger 第3楽章 Finale:Tres animeアンコール4.イザイ 子供の夢 Op.14レポートヴァイオリン・ソナタ 第21番 ホ短調 K.304モーツァルトのヴァイオリンソナタの中で唯一短調の曲で、それは母の死という悲しみの中で作られた楽曲だったから?という紹介がありました。2楽章で構成された楽曲ですが、ある意味レクイエムをほうふつとさせるところもあり、当時のモーツァルトの想いを感じながら聴かせていただきました。《シェエラザード》 Op.35から「アラビアの歌」「東洋風舞曲」10月20日に行われる上田定期演奏会2024秋に関連した選曲で、ヴァイオリンソロを担当する伊藤氏が主役になる交響組曲シェエラザードだけに、いわば前哨戦ともいうべき印象で、有名な千夜一夜物語のお話で演奏を交えつつの音楽家ならではのトークを経て、クライスラー編曲によるヴァイオリンとピアノ版でシェエラザードの音楽の魅力を伊藤氏の美しい音色で存分に堪能させていただきました。ヴァイオリン・ソナタ ト短調今回の上田定期演奏会のテーマが「夜」ということで、ドビュッシーといえば「月の光」などが連想されるところで、そこで夜というイメージが紐づけられることからの選曲になったとのことでした。ドビュッシーの音楽が夜っぽいのは、フラットがたくさんついた調性だからと言われますが、そんな暗い色を感じつつの鑑賞となりました。子供の夢 Op.14アンコールは、イザイの4番目の子どもアントワーヌが誕生した際に書かれた曲とのことで、子どもへの優しい愛情が感じられるものでした。ゆりかごで眠る子供を静かに見守る親をイメージした次第です。まとめ伊藤氏の演奏は、2020年のワンコインソワレで初めて聴かせていただき、翌2021年のレジデントアーティストとしてのリサイタル。その後は郡馬交響楽団の上田定期演奏会でコンサートマスターとして何度も演奏を聴かせていただきました。やはりソロでの演奏は、個人の音色がダイレクトに感じられるので、その美しい音色を間近で感じることができました。また関連プログラムということで、10月20日の公演チケットを持っていれば観覧料500円が無料になるという特典もありつつ、さらに本公演へ向けての楽しみも増した感がありました。
October 7, 2024
開催日:2024.10.6(日)14:00開演場所 :大町市文化会館(エコーホール)(1,172名収容)黒部ダムで有名な大町を拠点に活動する大町市民吹奏楽団の定期演奏会に行ってきました。また、縁あって演奏者として参加させて頂くことができましたので、演奏者視点でもレポートさせて頂きたいと思います。第1部1.プロローグ・ワン2.マーチ「春風」3.カイト4.カルメン・ファンタジー第2部 5.塔の上のラプンツェル・メドレー6.サンバ・エキスプレス7.楽器紹介「山の音楽家」8.「もののけ姫」セレクションアンコール9.世界中のこどもたちが10.ヤングマン(Y.M.C.A)レポートプロローグ・ワン浜松日体中学校・高等学校の委嘱作品としてコロナ禍真っただ中の2020年に世に出た曲ですが、多くの制限がかけられたコロナ禍の絶望の中にあって、一筋の光を感じるような希望に満ちた曲調がとても印象的な楽曲と感じました。構成は、チューニングからスタートして、スネアドラムを合図に堂々たる金管ファンファーレ。そして威厳のあるテンポ120の前半部。中盤からテンポ132のポップス調にガラリと変わる展開にもわくわく感があり、演奏会の幕開けを華やかに彩った形となりました。マーチ「春風」2005年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲ですが、大町市吹の前身であるアルプスシンフォニックバンドがコンクールに出場し金賞を受賞したという紹介があり、団にとっては金字塔のような想い出の楽曲なのだろうと感じました。石津先生のレッスンでは、この曲について「どんなふうに演奏するのかよく考えてやる。」という教えがあり、それは過去の金賞受賞時のことでもあり、さりとて19年が経過してバンドのメンバーの多くが入れかわった今においては、今日ここに集ったプレイヤー一人一人が積み重ねてきたものを生かして演奏して欲しいというメッセージと捉えて、いろいろな想いがつまった演奏になった感がありました。カイト米津玄師氏の代表作で嵐のヒット曲になりますが、今回演奏されたのはロケットミュージック版の編曲版で、これまで私が2回演奏したウインズスコア版とはまた違った味がありました。とはいえ原曲の素晴らしさは少しも損なわれることなくカイトの世界観にじっくりと入り込めたひとときになりました。カルメン・ファンタジー昨年のメリー・ウィドウセレクションに続いて今年も鈴木英史氏編曲のカルメン・ファンタジーが1部のトリになりました。使用曲は「前奏曲」(第4幕)「ハバネラ」(第1幕)「セギディーリャ」(第1幕)「行進曲と合唱」(第4幕)「終曲」(第3幕)「終曲」(第1幕)「ジプシーの歌」(第2幕)とのことで、その中の楽曲のおいしいところを取り出して再構成したような形になっており、その見事な構成は、もはやカルメンではなくカルメンファンタジーという曲!という印象がありました。塔の上のラプンツェル・メドレー第2部の幕開けは、ディズニーミュージックでも人気のあるラプンツェルですが、私にとっては5回目の演奏で、直近の4回目の演奏は5月と記憶も新しいところです。そんな中、今回はソロのあるオーボエパートの隣で演奏することとなり、4回目の演奏でオーボエのオプションを吹いていた縁から、冒頭の入りの緊張感や後半での歌いこみなど、自分のことのような親近感を持ちつつも、本物のオーボエの演奏はやはり素晴らしいといった想いを感じさせていただきました。サンバ・エキスプレス真島俊夫氏の曲というとで、なかなかの難易度…。その音符の並びを見るにつけ真島氏から「吹けるものなら吹いてみろ!」と言われているようで、演奏者としてはコンチクショー!という闘志が湧いてくるようなところがあるように感じました。私的にはこの曲の印象として残っているのは、前半と終盤にそれぞれ1回づつあるトランペットソロで、そのキラキラしたサウンドのあまりの格好良さにため息がでるところでした。楽器紹介「山の音楽家」昨年の楽器紹介のためのファンタジーメドレーに続いての楽器紹介曲になりますが、題名通り山の音楽家のあの有名なメロディーをつなぎに使い、その楽器の有名な曲をリレーしてゆくというもので、なかなかによく考えられた曲と感じました。というのもバンドによってはいないパートも当然ある中で、そのパートをスムーズに飛ばして演奏できるような構成になっているところがとても親切と感じました。「もののけ姫」セレクション『アシタカせっ記』『TA・TA・RI・GAMI』『アシタカとサン』の3曲がメドレーになった楽曲で編曲者の森田一浩氏によれば、もともと16分あった交響組曲版をコンクールで演奏したいという希望を受けて、再編成した楽曲で、そこには第3クラリネットは楽器を始めたばかりの1年生でも吹けるようにレジスターキーを使わない音域で書くといった特段の配慮も入ったりして、演奏者に寄り添う森田氏の想いが感じられました。演奏に際しては石津先生より、冒頭はあの世の音楽。練習番号3からこの世の音楽に切り替わるといったサウンドの変化の表現や、最終小節のタイでつながった8分音符をどう表現するのか…といった掘り下げがあり、改めて音楽の深みを感じた次第です。世界中のこどもたちがアンコール1曲目は、保育施設や小学校などで定番となっている楽曲とのことで、起源は保育士でありミュージシャンでもある新沢としひこ氏と中川ひろたか氏によって1987年に作詞作曲されたとあります。演奏については、三連符の音型を特に強調することでメリハリをつける形になりましたが、それが気合のように感じられ、演奏者も聴き手も元気になれる…そんな力を持った楽曲と感じました。ヤングマン(Y.M.C.A)アンコール2曲目は、1979年に発表された西城秀樹の28枚目のシングルでおなじみですが、このM8の編曲版では、サクソフォーンカルテットのソリとトロンボーンのソロが組み込まれており、イケイケ感の強い形になっていると感じました。そして今回は演出として「大」「町」「市」「吹」「ま」「た」「来」「年」のプラカードの演出と、カラフルなキラキラを手首に付けての時間差スタンドプレーの後、最後はベルアップでの締めくくりとなりました。まとめ昨年に続き演奏者として参加させて頂いた訳ですが、今回特に印象的だったのは石津先生がリハーサルでどうもサウンドが良くない…響きに霧がかかったようだということで、演奏者の並びを台形に再編成したところ、たちどころにサウンドがクリアになったという出来事があり、並び次第でこうもかわるものという事を目の当たりにしたことで、奏者の並びについて大いに興味を感じることがありました。
October 6, 2024
開催日:2024.10.3(木) 19:00開演場所 :上野が丘公民館 大ホールサントミューゼのアーティスト・イン・レジデンス 地域ふれあいコンサートVol.92 カルテット・スピリタス・サクソフォン・コンサートへ行ってきました。プログラム1.ジョン・ウィリアムズ/内田祥子編 松井選!!四重奏のためのスターウォーズ2.ジャン=バティスト・サンジュレー サクソフォン四重奏曲 第1番より第4楽章3.フィル・ウッズ 3つの即興曲より第1楽章4.アラン・ベルノー サクソフォン四重奏曲より第4楽章5.内田祥子 日本のうたメドレー(秋・冬)6.ラロ・シフリン 燃えよドラゴンのテーマ7.アラン・メンケン/内田祥子・三浦秀秋編 スピリタスのヒーロー&プリンセスメドレーアンコール8.カントリーウエスタンの曲レポート松井選!!四重奏のためのスターウォーズ愉快な曲を演奏しながら客席を練り歩きながらメンバーが入場し、メンバー紹介のあと1曲目の演奏に入りました。このスターウォーズはダースベイダーに着目したテーマにしたということで帝国のマーチ、愛のテーマ、アナキンのテーマで構成されたいわば帝国ソングといった趣を感じました。サクソフォン四重奏曲 第1番より第4楽章演奏前にサクソフォーンの発祥について説明がありました。そしてこのサンジュレーの四重奏曲は、史上初のサクソフォーン四重奏曲であり、その指向は弦楽四重奏曲を意識したものであり、現在一般的になっているソプラノ・アルト・テナー・バリトンの構成の原点を感じた次第です。3つの即興曲より第1楽章アメリカの南北戦争で軍楽隊が持ち込んだ楽器が安い価格で広く庶民に行き渡ったことで生まれた音楽がブルース、ジャズというのはよく知られた話ですが、そんなことをわかりやすくお話しつつ、ジャズテイストのこちらの曲の演奏となりました。サクソフォン四重奏曲より第4楽章2000年くらいまで生きていた近代作曲家のアラン・ベルノーによる作品とのことで、今回プログラムには第1楽章・第4楽章とあるが、アウトリーチで子供たちに知っている曲を演奏するから来てね!と言った手前知っている曲を増やさないといけないためこちらの曲は4楽章のみの演奏になるとのお話がありました。この曲は11月16日のリサイタルでは全楽章演奏するということで、まずはその前哨戦としての演奏を楽しませていただきました。日本のうたメドレー(秋・冬)もみじ、赤とんぼ、雪がメドレーになった楽曲で、暑かった今年の夏がやっと収束の気配を見せる中で季節感を先取りした形での演奏となりました。いずれも童謡の3曲ですが、サクソフォーン特有の艶っぽい音色でのアンサンブルはゴージャス感満載といった感がありました。燃えよドラゴンのテーマブルースリーのかけ声が曲中に入るとても愉快な曲で、そのかけ声をみんなで一緒にやろうということで、まずは練習。その後演奏となりましたが、みんなで楽しもうという空気感が素晴らしく、カルテット・スピリタスの高いエンターテイメント性を感じたひとときになりました。スピリタスのヒーロー&プリンセスメドレー今日のために曲を選び直し、尺が大きくなったとのことで、バック・トゥー・ザ・フィーチャーのテーマで始まり、パイレーツ・オブ・カリビアン、モアナと伝説の海、塔の上のラプンツェル、リトル・マーメイド、他数曲の大メドレーでそれぞれの作品の情景を想い出しつつ楽しませていただきました。カントリーウエスタンの曲アンコールは、カウボーイが跳躍するような雰囲気のアップテンポなノリノリの曲で締めくくりとなりました。まとめカルテット・スピリタスのメンバーは全員東京の音楽大学で講師を務めているということで、そのコミカルなキャラクターに加えて、博学性も素晴らしいものがあり、とてもわかりやすいお話をされるという印象を受けました。今回の選曲についてはサクソフォーン初の四重奏曲を聴くことができ、1時間という短いひとときではありましたが、かなり凝縮された内容の濃い公演という印象を受けました。また今回、アウトリーチで演奏を聴いた子供たちが多数来場して、会場がとても賑やかで、用意したプログラム・アンケートが足りなくなり、追加で印刷するという盛況ぶりとなりました。
October 3, 2024
開催日:2024.10.2(水) 19:00開演場所 :中澤ホール(40名収容)オーボエ&バンドネオン Tours vol.9へ行ってきました。プログラム前半1.ペル ウナ カベサ / C.ガルデル2.ブラジル風バッハ第5番 / H.ヴィラ=ロボス3.オブリビオン / A.ピアソラ4.オーボエ協奏曲 / A.マルチェッロ後半5.人生のメリーゴーランド / 久石譲6.もののけ姫 / 久石譲7.ふるさと / 岡野貞一8.涙そうそう / BIGIN9.うしなわれし時のワルツ / 早川純10.アダージォ / W.A.モーツァルト11.リベルタンゴ / A.ピアソラアンコール12.ペル ウナ カベサ take2 / C.ガルデル13.ガブリエルのオーボエ / E.モリコーネレポートペル ウナ カベサお二人のMCでコンサートが始まりました。改めてオーボエとバンドネオンの共通項であるリードを使って音を出していることについてそれぞれの楽器で音の出し比べをしつつのお話がありました。1曲目は魅力的な彼女をどちらがものにするか…ということをテーマにした曲で、結果は「首の差で」彼女をライバルに取られてしまった悲しい曲…。聴いてみると確かに悲しみが込められており、そこには哀愁を感じました。ブラジル風バッハ第5番ブラジルの民族音楽とクラシックを融合した曲で、バッハの特徴である長いフレーズにブラジルの踊りのリズムがミックスされているとのことでした。原曲は、ソプラノ歌手とチェロ8本という編成とのことで、今回はそれをボーカルのソプラノパートをオーボエ、チェロ8本をバンドネオンにアレンジしたということで、その光景を想像しつつ楽しませていただきました。オブリビオン演奏前にバンドネオンの歴史についてお話があり、ドイツ発祥であること。パイプオルガンがない教会で携帯用の役割で弾かれていたのでは?とのことで、お二人による讃美歌の披露もあり、バンドネオンのオルガン的な響きを感じました。さらにバンドネオンの楽器としての解説が続き、音を出すボタンの並び方の不規則さに加えてジャバラを伸ばした時と縮めた時に違う音が出る…話を聴くにつけ並大抵の努力では弾きこなすことができない楽器ということがわかりました。その後、アルゼンチンの独立記念日を題材にしたタンゴ7月9日をバンドネオンのソロで演奏され、楽器についての理解が深まりました。その後、忘却を意味するピアソラの人気曲であるオブリビオンをじっくりと堪能させていただきました。オーボエ協奏曲イタリアが音楽の中心だった1600年代の楽曲でバッハが自分の勉強のために取り寄せた楽曲との紹介がありました。イタリアが音楽発祥の地であることは昨年の4月に行われたレストランベルでのスプリングコンサート オーボエ 藤井貴宏&ピアノ 齋藤寧子のイタリア特集で勉強したことを想い出したところですが、同じフレーズでも1回目と2回目を奏者の工夫で違うように吹くことがよしとされている時代…。考えてみればその後ベートーヴェンのようにこういうふうに演奏して欲しい感が強く出ている楽譜に比べると、未完成ではあるが奏者によってオリジナリティーを出してゆくバロック時代の曲の味のようなものを感じ取りました。人生のメリーゴーランド後半の最初は中野市出身の大作曲家久石譲氏をリスペクトしてスタートとなりました。この曲のオリジナルはアコーティオンとのことでしたが、今回は早川氏のテイストが入ったとてもステキな演奏になっており、オーボエま締まった音色とバンドネオンの絡み合いがとても心地よいと感じました。もののけ姫演奏に先立って早川氏から「もののけ姫を見たことない人?」という問いかけがあり、若い方を中心に手が挙がったことで、ジブリ作品の楽曲の多くが懐メロ化しているという現実を見た感がありました。楽曲は前奏の神秘的な部分がバンドネオンの音色と素晴らしくマッチしており、これは!と思うところがあり、その後に続くオーボエのテーマをとても自然な形で誘っているのが素晴らしかったです。ふるさとツアー中の沖縄の離島・黒島でアレンジされた曲とのことで、長野県のふるさとを描いた曲ではあるものの、どこか沖縄テイストが入っているというふれこみがありました。実際に曲を聴いた感じでは異色なテイスト感はなく、とても自然な感じだったので、もしかするとアイランドミュージックとふるさとのような楽曲は、もともと共通の空気感のようなものがあるのでは感じました。涙そうそう演奏に先立って沖縄ツアーのお話がありました。その中で離島・黒島でこの曲を演奏した際に子供たちが自然と歌ってくれたのがとても印象に残ったとのことで、そんなステキな情景を想像しながらしみじみと演奏を聴かせていただき、とても温かな気持ちになりました。うしなわれし時のワルツ早川氏のオリジナル曲で、岸部露伴は動かないで使われていた曲との紹介がありました。私もこの番組は見ていたのですが、その当時の印象で「くしゃがら」というキーワードがあったっけな…と想い出しつつ、作曲者自身による自作自演という貴重な演奏をじっくりと聴かせていただきました。アダージォ演奏に先立って、藤井氏よりアダージォについてお話がありました。それによればアダージォとは天国を示すものということで、いま世界がかかえる不幸な出来事である戦争や自然災害などがどうか落ち着きますように…という想いをこめての演奏となりました。リベルタンゴ早川氏より、この曲を聴かないとバンドネオンのコンサートに来た気がしないと言われる…そんな有名どころの楽曲ですが、バンドネオンによる超カッコイイ前奏でまず虜になり、その後のおなじみのテーマはオーボエとの絡みが絶妙と感じました。また早川氏が演奏しながら足踏みでアクセントを入れているのも全身で演奏している感が伝わってきて、まさに全身全霊をかけた演奏と感じました。ペル ウナ カベサ take2アンコール1曲目は、遅れてきた方がレギュラープログラム1曲目のこの曲を聴きそびれてしまった…ということで、再演のリクエストに応えての演奏となりました。ガブリエルのオーボエアンコール2曲目は、一昨年から藤井氏がレパートリーにしているこちらの曲の演奏となりました。ちょっと長めの前奏がバンドネオンにより行われ、じゅうぶん聴き手の期待感をあおっておいてから、オーボエがあの有名なメロディーを奏でる…というステキなアレンジがとても素晴らしいと感じました。まとめ2年前にオーボエ&バンドネオンTours Vol.1を拝聴してから、1年前にVol.4。そして今回のVol.9の拝聴となりましたが、Vol.2~3とVol5~8を聴いていないのは、海外公演や遠隔地公演ということで、足をのばせる地元公演に伺ったゆえのことになります。改めて藤井氏と早川氏のDuoは大学の同期ということもあって演奏は、息がぴったりあっていて素晴らしく、お話も曲のことだけでなくツアーでの出会いのことなども聴かせていただきとても楽しいひとときを過ごすことができました。
October 2, 2024
開催日:2024.9.28(土)17:00開演場所 :キッセイ文化ホール中ホール(746名収容)松商学園吹奏楽部OB・OG会現役合同演奏会へ行ってきました。プログラム第1部 ~OB・OGステージ~1.錨を上げて2.おジャ魔女カーニバル!!3.アイドル4.おどるポンポコリン5.日本を勇気づける名曲メドレー第2部 ~現役生ステージ~1.アルセナール2.ドラゴンの年3.ディープパープルメドレー4.学園天国5.コンサートマーチ「風薫る五月に」第3部 ~合同ステージ~1.可愛くてごめん2.エル・カミーノ・レアル3.風林火山4.マツケンサンバ25.ジャンボリミッキー!アンコール1.宝島2.フラッシングウインズのような曲3.松商学園校歌レポート錨を上げてアメリカ海軍の公式行進曲になりますが、こういった古風なマーチでオープニングというのもなかなか味があって良いと感じました。おジャ魔女カーニバル!!テレビアニメ『おジャ魔女どれみ』の初代オープニングテーマという紹介がありました。リリースが1999年ということで、どこか20世紀アニメの懐かしさがあり、ビートのきいた力強い楽曲は勇気100%のようなノリが感じられました。アイドル2023年リリースの今をときめくYOASOBIの大ヒット曲ですが、どこか影を感じるようなところもあり、ある意味今の世相をよく反映した楽曲と感じるとともに、共感するところがありました。おどるポンポコリンOBOGの家族が加わっての演奏となりました。また来場者にもタマゴマラカスが貸与されて参加型の演奏となりましたが、驚いたのはその貸与量で、これだけのマラカスをどうやって集めたのか…いずれにしても購入されたものだとは思いますが、演奏中にシャカシャカ音が会場中に響き渡る様は壮観なものがありました。日本を勇気づける名曲メドレー愛は勝つ、どんなときもなどの1990年代の名曲の多くが収録されたアラフィフ世代にとっては青春どストライクの楽曲というイメージですが、私自身も何度か演奏したことがあり、その時のことを想い出しつつも改めて秀逸なメドレーだなと感じました。アルセナール現役生ステージの始まりは、あまりにも有名なヤン・ヴァンデルローストのコンサートマーチで幕開けとなりました。時期的に3年生が引退して1・2年生での編成でしたが、45名ほどの大編成となっており、その迫力に圧倒されました。ドラゴンの年中日高校県大会で金賞を受賞したと紹介がありました。P.スパークの楽曲の特徴として、聴き映えが良くなるよう書かれているが、アマチュアが演奏するとキズが目立ち、かなり練習しないとなかなかそのように聞こえないという難点がある印象がありますが、そこは大会で演奏した曲ということでさすがのクオリティーと感じました。そして編成にコントラバスクラリネットが入り、その地響きのような重低音も圧巻でした。ディープパープルメドレーリリースは1996年と今から28年も前の楽曲ですが、宝島、オーメンズ・オブ・ラブについでスクールバンドの大定番曲という印象があります。ベルアップなどのパフォーマンスも相当に格好良く、この激しい動きはスクールバンドだからこそできるものと感じました。学園天国観客参加型というで、掛け声の演出に加わりました。演奏前に練習しましたが1回目はいまひとつで「もっと声を出して下さい!」と気合が入っての2回目で「とても良い感じです!」となり、本番では会場全体で大変盛り上がって大成功となりました。コンサートマーチ「風薫る五月に」アンコールでの演奏となりましたが、この曲は歴史ある日本バンド・クリニック委員会の委嘱作品で巨匠の保科洋氏によるもので、A・リード氏にも褒められた秀逸曲です。今回中日大会の課題曲で演奏した縁で取り上げられましたが、改めてさわやかでステキな曲と感じました。可愛くてごめん3部の合同ステージは、OBOG約50名と現役生約45名が加わって約100名での超大編成での演奏となりました。オープニングは、SNSで絶大な人気を誇る中村千鶴のキャラクターソングで2022年リリース。楽しい雰囲気でスタートの高揚感を感じさせるものがありました。エル・カミーノ・レアル2曲目は、吹奏楽の神様A・リード氏の代表曲の1つですが、おそらく格好良さという点ではナンバー1ではと感じます。私の中では2016年に放映されたテレビドラマ「仰げば尊し」でコンクールに出るための自由曲として生徒たちが取り組んでいた曲としての印象が強いです。また私自身過去2回ほどそれぞれ違うパートで演奏したこともあり、100名という大編成のド迫力の演奏に触発された感もありますが、今日聴いてみてまた機会があればやってみたいと感じた次第です。風林火山千住真理子氏の兄、千住明氏による楽曲ですが、つい半年ほど前に千住明氏のVIVANTを演奏した縁もあって、この曲調のドラマチックさは千住明氏以外は考えられないといった印象を受けました。風林火山は山本勘助が主人公でしたが、私の中では真田丸のオープニングがこの曲だったら良かったのに!と聞くたびに感じるところです。マツケンサンバ2サイコロタイム!ということで、テレビ番組で見かけるような巨大なサイコロが登場しました。このサイコロで何を決めるのか?と思ったら、指揮者を決めるとのことで「指揮者が急に変わっても演奏はできる。」ことを証明しますという趣旨で、さいの目の結果、OB指揮者の池上氏となりました。そしてこの曲では、再びマラカスが貸与され、ボーカリストとダンス隊が登場。いずれも現役生からの選抜で、元気いっぱいの歌とダンスで大いに盛り上がりました。ジャンボリミッキー!2回目のサイコロタイム!さいの目の結果、学生指揮者の鳥居氏が指揮者に選出され、ミッキーの手をはめて指揮という楽しい演出がありました。こちらもダンス隊が登場し、平台の客席全体まで進出してダンスが行われるというサプライズがあり、さらに盛り上がりました。宝島アンコールは定番の宝島でしたが、定番のアルトサクソフォーンソロは1回目は2人で2回目は全員で演奏するというスタイルになりました。またHからの金管群のソロは人数の迫力もあって壮観なものがありました。フラッシングウインズのような曲27年に渡って顧問を務めた丸山先生の指揮での演奏となりました。曲名のアナウンスが無かったのですが、どこかフラッシングウインズの似た雰囲気の飛翔系の楽曲と感じました。松商学園高校校歌ラストは校歌でしたが、過去何度か松商学園高校吹奏楽部の定期演奏会で聴いたことがあったので親しみを感じつつの終演となりました。まとめ10代~60代のOBOGが集っての演奏会とのことでしたが、1部がOBOG単独。2部が現役生。3部が合同という充実したプログラムに加えて、OBOGステージでは家族の参加。現役生では元気な演出とアンコール。3部ではサイコロの登場といった、サプライズ的な企画が盛りだくさんでとても楽しいステージとなっており、歴史ある松商学園高校吹奏楽部の世代を越えた結束も感じた公演となりました。
September 28, 2024
開催日:2024.9.28(金) 19:00開演場所 :東御市文化会館ロビー(70名収容)#79ピアノの夕べ 癒しのJAZZナイトに行ってきました。プログラム1.My Black2.ムーンライト・セレナーデ3.エリーゼのために4.キラキラ星5.信濃の国6.白い恋人たち7.I'll wait for you8.Misty9.海の見える街10.あの雲にのせて11.しっとり系の曲アンコール12.私のお気に入りレポートMy Black根木マリサ氏のオリジナル曲でライブのオープニングの定番曲ということで、自己紹介をはさみながらの演奏となりました。ライブ後に根木氏のユーチューブを拝見したところ、曲名の由来は自身の車が黒いからということがわかりました。ムーンライト・セレナーデ配布されたプログラムになかったサプライズ演奏となりましたが、サンテラスホールの館長さんがグレン・ミラーがお好きということで、短いバージョンで!と前置きしての演奏でしたが、聴き手とすれば十分な尺があると感じ、グレン・ミラーの色を堪能させていただきました。エリーゼのためにMusicLabo.という大人のためのオンラインピアノスクールを開いている根木氏ですが、教育者としての視点からジャズのイロハについてお話ししながら、題材としてベートーヴェンのこちらの楽曲が取り上げられました。弾き始めて「あたしでもこのくらいは弾けるんです!」との口上に拍手があり、その後リズムを加えてジャズ化するエリーゼのためには魔法がかけられたような変化が感じられ、なるほど!と感じました。キラキラ星どんな曲でもジャズになる!とのキャッチフレーズからの演奏となりました。この曲はもともとモーツァルトのきらきら星変奏曲が原典になっていると思われますが、キラキラ感のある前奏からスタートして、とても格好の良いキラキラ星を感じることができました。信濃の国こちらもサプライズ演奏ということで、信州人向けに選んで演奏していただいたのかと思いましたが、その後のMCで、じつは根木氏は若い頃、1シーズン(夏~冬)にかけて野尻湖でカヤックのインストラクター、奥志賀でスキーのインストラクターをした経験があり、野尻湖で子供たちが歌う信濃の国を聴いて覚え、奥志賀で来客者から受けたピアノのリクエスト演奏が、今のピアノを生業とする生活のもとになったそうで、深い想い入れを感じました。白い恋人たち志賀高原で覚えた想い出の楽曲としてサプライズ演奏となりました。I'll wait for you映画シェルブールの雨傘の楽曲ですが、こちらも志賀高原で覚えた楽曲との紹介がありました。演奏前にその情景をフランス語もどきを交えながらとてもわかりやすく話していただきました。わかりましたね!ということで演奏に入り、聴き手としてイメージをより膨らませることができたので、より深く曲を楽しめた次第です。Misty恋は盲目で知られる楽曲ですが、こちらは根木氏の志賀高原でのアルゼンチン教官への恋心に絡めての演奏となり、演奏後にもしあの時教官についてアルゼンチンに行っていたら今頃どんな生活をしていただろう・・といった回想もあって、人生の選択について考えさせられるひとときになりました。海の見える街始めと終わりこそ海の見える街ですが、真ん中にいろいろな曲の断片(エリーゼのために、小さい秋、残酷な天使のテーゼなど)が入っており、演奏後にじつはコードが全部一緒というタネ明かしがありました。このあたり、アレンジするというジャズの醍醐味を存分に感じた次第です。あの雲にのせて河合楽器の高級な電子ピアノのプロモーションビデオで使われている根木氏のオリジナル曲とのことでした。演奏に先立って今日演奏しているピアノは河合楽器製だが、コンサートを10回やって河合製に出会えるのは1~2回ということで、そのしとやかな音色の傾向が好きだというお話やコロナ禍でのユーチューブ進出など今の根木氏の活動のいったんが見えた感がありました。しっとり系の曲曲目のアナウンスが無かったので曲名はわかりませんが、最後を締めくくるにふさわしいしっとり感のある曲でした。根木氏のライブでは、最後は盛り上がって終わることが多いそうですが、今日はこの河合製のピアノがしっとりと終わりたいと言っているということでの選曲となりました。私のお気に入り本プログラム終了後に再登場してのアンコールはサウントオブミュージックでおなじみのジャズスタンダードナンバーとなりました。ジャズピアノの真骨頂とも言うべき乗りに乗った演奏にとても贅沢なひとときを感じることができました。まとめ楽しい会話を交えながらのライブは、大変素晴らしくあっという間の1時間でしたが、根木氏の教育者としての情報発信と演奏者としての表現発信という2つの要素が感じられたところです。またピアノの夕べは昨年の#76以来ほぼ1年ぶりの鑑賞となりましたが、この演奏者をぐるりと取り囲む客席の配置はこのピアノの夕べならではの醍醐味ではないかと改めて感じました。
September 27, 2024
開催日:2024.9.21(土) 14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)ブラック・ボトム・ブラスバンドのライブに行ってきました。プログラム2023年9月8日にリリースされたBBBB30周年記念アルバム「ロマン」の収録曲やカバー曲。ジャズの定番のシングシングシング。そしてアンコールの健康ジャズに続いて、関連プログラム「BBBBと一緒に「聖者の行進」を演奏しよう!本番直前「聖者の行進」ワークショップ」の参加メンバー(クラリネット、サクソフォーン、鍵盤ハーモニカ、太鼓、ご家族バンド)を加えたとてもにぎやかで楽しい聖者の行進でした。レポートBBBBのライブ鑑賞も5回目ということでメンバーや楽曲への親近感も出てきて、より楽しめた感がありました。BBBBのキャッチフレーズである「ワッショーイ!」「ドッカーン!」を始め、途中スタンドしてのライブもあって、大いに盛り上がりました。またライブの冒頭でヤッシーさんからの「わるいことは、全部この会場に置いていってくださいね!」という基本コンセプトのもと、恒例の悪いものを吐き出すパフォーマンスをみんなで行うことでストレスを発散した気持ちになり、大いに元気をもらったライブになりました。まとめ縁あって今回も地元音楽愛好者の一員としてワークショップに参加させていただき、その発表の場として聖者の行進を御一緒させていただきましたが、今回サントミューゼ10周年おめでとうの意味をこめて、下手側からIGGY氏、上手側からYUTA氏を先頭に客席を最上段まで登るという豪華パレードにも加わることができ、とてもよい想い出になりました。
September 21, 2024
開催日:2024.9.16(月) 17:00開演場所 :信州国際音楽村 パノラマステージひびき(1,000名収容)9月12日から開講した上田ウィーンアカデミー2024のフィナーレコンサートである、ひびきピクニックコンサートに行ってきました。プログラム出演:カールヤイトラーウインドアンサンブル指揮:カール ヤイトラー1.聖セシリアのファンファーレ2.『怪盗団』序曲3.大行進曲「ヴァルトブルグ城への客人の入場オペラ『タンホイザー』より4.ウィーンのメロディーの花束5.「鍛冶屋」ポルカ・フランセーズ6.「消防ポルカ」ポルカ・シュネル7.「楽しめ人生を」ワルツ8.「二人きりで」ポルカ・マズルカ9.「飛行」ポルカ・シュネルアンコール10.ラデッキー行進曲レポート聖セシリアのファンファーレ上田ウィーンアカデミー開闢以来ずっとオープニング曲として演奏されてきていますが、この曲は音楽の神様へ捧げる曲であり、襟を正すような気持ちで演奏させていただきました。そして一昨年クローズアップされた、セカンドタイムオンリーのユーフォニアム・テナーホルンによる裏メロは、今回テナーホルン2名、ユーフォニアム2名という強力な布ではありましたが、特にヤイトラー氏から指示がなくても自然とまわりが音量を控えるような暗黙の了解のもと演奏が進み、バンドとしての熟成度が上がっていること感じたひとときになりました。『怪盗団』序曲昨年に続いてのスッペの序曲で、これまた2曲目にして相当骨のある楽曲と感じました。また私の中でこの曲は、子供の頃に初めて買ったCDであるデュトワのスッペ序曲集のトラック4に入っていた曲であり、トラック5の美しきガラデア(昨年取り上げられた)の次くらいによく聞いていた曲で、特に中間部の行進のような刻みのリズムが入る弱奏部は印象深いものがあり、そんな想い出の曲を演奏できたことは、子供の頃に無くした宝物を見つけたような懐かしさがありました。大行進曲「ヴァルトブルグ城への客人の入場オペラ『タンホイザー』より今年2月の上田ウィーンアカデミーの初練習の時に取り上げられ、勇ましいメロディーが心地よいところでしたが、合奏を積み重ねるうちに難しいところも見えてきて大曲感がでてきました。また冒頭に難しい部分があり、そこはヤイトラー氏の優しさで、できるテンポまで落としての演奏となりました。そこはアカデミーの原点を見たような感覚がありました。ウィーンのメロディーの花束演奏時間13分40秒というこのコンサート中最も尺が長い曲でしたが、なんでもヤイトラー氏が学生時代に演奏した想い出の曲とのことで、それは約60年前!そんな歴史のある曲を2024年の現代で演奏できるという喜びもあり、さらにメロディーの花束という題名がなんとも愛らしくて好感を持ちました。入っているのは、メリーウィドウ、ウィーンはいつもウィーンなどのこれぞウィーンという楽曲なのですが、途中で歌唱が入る曲もあって、お祭り的な要素もあって大いに盛り上がった感がありました。「鍛冶屋」ポルカ・フランセーズ昨年のコンサートでも「陽気な村の鍛冶屋」マーチがプログラムに入っていたこともあり、私の印象では鍛冶屋という職業は、音楽になりやすいのかなと感じます。それは、鍛冶屋が鉄を叩く音が音楽とリンクしているからに他ならないところですが、曲の目玉としてトンカチで鉄を叩く音が入り、この音色にはヤイトラー氏も強くこだわりを持っているようで、リハーサルでは直々の指導が鍛冶屋担当のトンカチ奏者の方に入り、よりよい演奏になった感がありました。「消防ポルカ」ポルカ・シュネル日本では江戸時代の火消しや現代の消防団組織などがありますが、ウィーンでもそういったチームが活躍している様子をこの曲から感じ取ることができました。「楽しめ人生を」ワルツひびきピクニックコンサートでは必ず1曲入るワルツの大曲ですが、序奏→1番ワルツ→2番ワルツ→3番ワルツ→4番ワルツ→5番ワルツ→コーダ(1番~5番ワルツのテーマを復唱する)という黄金パターンを1つ1つ噛みしめながらの演奏となりました。そしてこのワルツでは5番ワルツの難易度が高く、なかなかかみ合わないところがあったようで、ヤイトラー氏もそこを取り出して繰り返しリハーサルを行いましたが、曲としてはとても楽しく、まさに人生を楽しむをイメージさせるところがありました。「二人きりで」ポルカ・マズルカヤイトラー氏がアカデミーの9/12の開講式の後のリハーサルで1番最初に取り上げた楽曲として印象に残っていますが、二人の恋模様をとてもコミカルにかわいく表現しているようなところがあって、聴くほどにステキな曲だなと感じました。「飛行」ポルカ・シュネル本プログラムの最後を飾るのは、昨年の鉄道から進化して、ついに空へ!曲の疾走感から音速の世界を彷彿とさせるものがありました。ラデッキー行進曲第1回から演奏しているアンコール曲の定番ですが、楽譜には書かれていない冒頭のスネアドラムソロに加えてヤイトラー氏流のフルリピートもすっかり板についており、ヤイトラー氏が聴衆側を向いて指揮を振るというラデッキーのお決まりの演出も健在でアカデミーの締めくくりを感慨深く感じることができました。まとめ13回目のアカデミーを締めくくるは、昨年に続いての通常規模での開催となり、総勢50名による大迫力のピクニックコンサートとなりました。また天気にも恵まれ、秋の虫の音も演奏に加わりつつ、陽気は夏ですが、季節は着実に進んでいるのだなと感じた次第です。また印象的だったのは、ヤイトラー氏から、みなさんはウィーンの楽団とまったく同じように演奏されています!というコメントをいただいたことで、13回やってきて板についてきたものが実を結んでいきているのかなと思うところがありました。
September 16, 2024
開催日:2024.9.15(日) 14:00開演場所 :信州国際音楽村 ホールこだま(300名収容)9月12日から開講した上田ウィーンアカデミー2024のアカデミー受講生コンサートに行ってきました。プログラム1.フルートアンサンブル ●E.ハウゼン/ふるさと ●P.I.チャイコフスキー/「くるみ割り人形」より葦笛の踊り2.トランペットアンサンブル ●G.マーラー/「原光」 子供の不思議な角笛より 3.トロンボーンアンサンブル ●フォアルベルガー/パラダ-マーチ ●F.ウェーバー/アンダンテ レリジオーソ ●F.メンデルスゾーン/朝-祈り4.アンサンブル・ベルリアン ●J.シュトラウス/ポルカ・フランセーズ『小さな水車で』作品57 ●J.シュトラウス2世/ポルカ・マズルカ『都会と田舎』作品322 ●E.シュトラウス/ポルカ・シュネル『テープは切られた』作品45F5.クラリネットアンサンブル ●J.シュトラウス2世/喜歌劇「こうもり」セレクション ●P.I.チャイコフスキー/「くるみ割り人形」より序曲レポートフルートアンサンブル今回のフルートアンサンブルは、オーストリアの山々をイメージさせるふるさとと、原曲でもフルートがソロを取るくるみ割り人形の葦笛の踊りの2本立てのプログラムでしたが、1曲目はとてもしっとりした感のあるアンサンブルが心地よく感じられました。2曲目の葦笛の踊りは、くるみ割り人形の中でもかわいさが感じられる曲調をフルートのみのアンサンブルでとてもよく表現している感がありました。トランペットアンサンブルUWAの講師で編曲者である太田氏の指揮による演奏となりましたが、いろいろなトランペットで編成されたアンサンブルなので、音色のバリエーションが豊富でとても彩り豊かに感じられました。また楽曲的にスローということもあって、1つ1つの和音を丁寧に聴かせる演奏がとても素晴らしいと感じました。トロンボーンアンサンブルハーモニーを得意とするトロンボーンによる8重奏となりましたが、1曲目のマーチは高音のパリッとした音色がよく通る小気味よい曲で躍動感が素晴らしく、2曲目のレジリオーソは子守歌のようなゆったり感がとても心地よいところ。3曲目の朝-祈りは、日曜日の朝の教会での祈りをイメージさせる厳かな曲調で、聴きながらホールこだまが教会のように見えてきた感がありました。アンサンブル・ベルリアンUWAアカデミー受講生コンサート初登場で、UWA講師でウインドオーケストラの練習指揮をされている藤田氏率いるチームでしたが、ピッコロ・フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン×2、トランペット×2、トロンボーン、チューバ、パーカッションの11名編成でウインドオーケストラの根幹となるパートが揃っており、聴いた感じはもはやウインドオーケストラそのもので、過去UWAでもやったことがある楽曲も登場して懐かしく感じたりと、とても楽しく聴かせていただきました。クラリネットアンサンブル今回も縁あって、チームの一員として参加させて頂きました。「こうもり」セレクションは、吹奏楽版でもおなじみの鈴木英史氏によるおいしいどころ取りのメドレーで、ヤイトラー氏のレッスン時に「とてもうまく編曲してあるね!」というお墨付きもありました。6分弱の曲中におなじみのこうもりの楽曲群が詰め込まれており、演奏するのも聴くのも楽しい!そんな楽曲でした。「くるみ割り人形・序曲」は、バレエ組曲「くるみ割り人形」の1番最初の曲で、原曲ではかわいさを演出するためチェロ以下の低弦を編成から外していますが、それをクラリネット用にアレンジするとなると、アルト以下の曲がりは外されるのが筋かもしれませんが、この編曲版ではアルト・バスまで含めて作られている関係上、アルトはそこまで厳しくはないですが、バスが高音域で小さな音を要求されるようなところがあり、そういった意味ではアンサンブル的にこれまでの経験値が通用しない部分もあって、原野を切り開くようなやりがいを感じた次第です。
September 15, 2024
開催日:2024.9.14(土) 16:00開演場所 :信州国際音楽村 ホールこだま(300名収容)9月12日から開講した上田ウィーンアカデミー2024の目玉である、カール・ヤイトラー トワイライト トロンボーンコンサートに行ってきました。プログラム1.O.ヒューム:二つのイギリスの歌 1,村の鍛冶屋 2,アレトゥーサ2.C.M.v.ウェーバー:アリア「語るな、黙れ」オペラ『魔弾の射手』より3.F.シューベルト:さすらい人4.G.マーラー:シュトラスブルクの砦の上5.W.A.モーツァルト:警告6.C.レーヴェ:詩人トムアンコール7.オーストリアでとても有名なお酒を飲む歌 ワイン貯蔵庫にて8.小さい秋みつけたレポート9月12日から開講して16日までの上田ウィーンアカデミーの最初のコンサートは、昨年に続きトワイライトコンサートということで夕暮れ時に向かっての16時スタートという時間設定のもと、アカデミー受講生と一般の聴衆のもとで厳かに演奏が始まり、ヤイトラー氏の温かく音色のすてきな演奏にとても心地よいひとときを感じることができました。そして今回、コンサートの中盤でヤイトラー氏が49年前に初来日した時のことが語られ、その時は成田空港が無くて羽田空港に降りたこと。またその後来日する中でヤマハに自分専用の楽器を作ってもらったことなどが語られました。このあたり、ヤイトラー氏のバストロンボーンは、ダブルロータリーでも独特な管の巻きになっており、どこのメーカーの楽器なのかと気になっていたところ、明快な回答が得られてすっきりした次第です。そしてアンコールでは、ヤイトラー氏といえばお酒好きということで、今年もアンコールにてお酒にまつわる曲の演奏がありました。また締めくくりには日本の秋の歌「小さい秋みつけた」が演奏されましたが、昨年に続いて真夏のような陽気の中でのアカデミー開催とあって、少し未来への目線で来るべき秋の情景を感じつつの拝聴となりました。まとめコンサート終演後は、ヤイトラー氏がロビーに出て、アカデミーメンバーや来場者と談笑するというひとときが設けられました。またワンドリンク付きということで、冷たい麦茶やワインが提供され、折からの暑さを癒したり、宿泊するアカデミーメンバーは、ワインを楽しんでいる様子がありました。
September 14, 2024
開催日:2024.8.24(土)16:00開演場所 :新川文化ホール 大ホール(1,191名収容)ブロードウェイミュージカル ピーター・パンに行ってきました。プログラムミュージカルナンバーズM1 ブロローグM2 心優しい羊飼いM3 雄叫びM4 ネバーランドM5 アイム・フライングM6 パイレーツ・マーチM7 フックのタンゴM8 モリビトダンスM9 ウェンディM9A ウェンディ(リプライズ)M10 フックのタランテラM11 大人にならないM12 ミステリアス・レディM13 地下の家M14 血の兄弟M15 遠いメロディM16 フックのワルツM17 雄叫び(リプライズ)M18 心優し羊飼い(リフライズ)M19 大人になりますM20 フィナーレ/ネバーランド(リプライズ)レポート1,800円にてパンフレットを購入し、ストーリー、キャスト、ピーターパンの原作について、歴代公演資料といったピーターパンとは?について講演前に予備知識を得た訳ですが、昨年の公演が大変素晴らしく、機会があれば是非ともまた見てみたいという想いがあった中での鑑賞だったので、今年は昨年とどこが違うのかな?といった比較も含めて楽しませていただきました。印象とすれば、山﨑玲奈氏のとても伸びのある歌声とフック船長の「静かになさい!少し静かに!」は健在。新キャストの鈴木梨央氏の役どころがとても新鮮に感じるところがありました。そしてピーターパンの圧巻はやはりラストでピーターパンが妖精の粉を振りまくシーンですが、これは会場ごとにそれぞれ違ってはいるものの、沸き上がるような歓声が自然とあがってくる素晴らしいひとときになりました。まとめ途中2回の休憩を挟み、3部構成にての公演でしたが、ピーターパンはの1981年の初公演から数えると今日の公演が1723回目ということで、聴き手はそのストーリーをどんな解釈でどういった演出で、そしてキャストがどんなふうに演じるのか…ということに期待することになろうかと思いますが、昨年に続き演出は長谷川寧氏、音楽監督に宮川彬氏という基本的な枠組みは変わらずで、キャストはピーターパン役の山﨑玲奈氏とフック船長役の小野田龍之介氏は2年目。そしてウェンディ役の鈴木梨央氏は初登場。ダーリング夫人役の壮一帆氏が2年ぶりの再登場。タイガー・リリー役の住玲衣奈氏は昨年のモリビト役からの抜擢という形で、リピーターにとっては、また逢えた感+新しいキャストがどんな表現をしてくるのかというダブルの楽しみが感じられるところでした。そして今年もまたチラシのキャッチフレーズ通り、この夏の良い想い出にすることができました。
August 24, 2024
開催日:2024.8.21(水) 19:00開演場所 :坂城町文化センター 大会議室外村理沙 ヴァイオリン・コンサート in 坂城町に行ってきました。プログラム1.P.サラサーテ:序奏とタランテラ 作品472.J.マスネ:タイスの瞑想曲3.M.ファリャ(クライスラー編):スペイン舞曲4.M.ポンセ(クライスラー編):エトレリータ5.G.ガーシュウィン(ハイフェッツ編):オペラ『ポーギーとベス』から サマータイム そんなことはどうでもいいさ ベスよ、お前はもう俺のもの6.W.クロル:バンジョーとフィドル7.M.ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ ト短調 第1楽章 アレグレット 第2楽章 ブルース:モデラート 第3楽章 ペルペトゥム・モビレ:アレグロアンコール8.C.ドビュッシー:美しい夕暮れレポート序奏とタランテラコンサートのオープニングは、序奏が入っているこちらの楽曲でスタートになりましたが、タランテラといえば、語源はタランチュラということで、タランチュラに噛まれた人が毒抜きのために激しく踊るための音楽という印象があります。私自身このタランテラについて知ったのは、2年前の神谷未穂氏のヴァイオリンコンサートで、K.シマノフスキの夜想曲とタランテラを聴いた時で、その時に神谷氏が「タランテラとはタランチュラのこと…毒グモ!」と言ったことが強烈な印象として残っており、演奏を聴く中で序奏が終わり、タランテラに入ると、激しく踊っている感じがとてもリアルに伝わってきた感がありました。タイスの瞑想曲序奏とタランテラの後、MC無しでこちらの楽曲の演奏に入りました。前曲との落差もさることながら、この曲はヴァイオリン奏者にとってはいわば課題曲のような位置づけなので、この名曲を外村氏がどんなふうに表現するのかをわくわくしながら聴かせていただきました。スペイン舞曲ファリャときいて、火祭りの踊りがふと脳裏に浮かびましたが、スペイン舞曲を聴くうちに、2年前にこの会場で行われた加藤文枝氏のチェロコンサートで火祭りの踊りが演奏されたことを思い出しました。会場の一致、作曲家の一致というちょっとした縁ではありますが、とても親しみを感じることができました。エストレリータこちらは、つい先月の南紫音氏のヴァイオリンコンサートで聴いたばかりということで、その記憶も新鮮なうちにまた聴くことができ、とても親しみを感じながら楽しませていただきました。南氏は多くの実績があるヴァイオリニストということで、その演奏は堂々たるものでしたが、それに対して現在大学在学中の外村氏はとてもフレッシュな感じがあり、同じ曲でもまた違ったストーリーが展開されているような印象を受けました。オペラ『ポーギーとベス』から演奏前に外村氏より留学しているニューヨークでジャズにふれ、大学の授業でもジャズを取り、学んでいるというお話がありました。ジャズヴァイオリンと言えば、2年前にジャズ・ヴァイオリンの女王と言われる寺井尚子氏のジャズコンサートを聴く機会があり、こんなに魅力的な音楽があるのか…と大いに感銘を受けたところでしたが、今回は新進気鋭のお二人が奏でるガーシュウィンのおなじみの作品を、とても粋な演奏で楽しませていただくことができました。バンジョーとフィドルバンジョーははじく楽器、フィドルはヴァイオリンのことを指しているとのことでした。楽曲は、かなりアップテンポで楽しい雰囲気でスタートしましたが、はじくバンジョーのパートはピッチカート、フィドルのパートは弓で艶やかに…そんな2つの個性を見事にヴァイオリンに表現されていてお見事と感じました。ヴァイオリン・ソナタラベルのヴァイオリンソナタ2番とのことで、特に第2楽章のブルースは、おフランス視点のジャズというお話がありました。そこにちょっとピンときたものがあって、私が過去にやったことがある曲でフィリップ・スパークのリフレクションズ~ある古い日本俗謡による~という曲があるのですが、これは英国視点の日本俗謡だったな…ということで、国境の無い音楽だからこそ、こういう〇〇視点の曲というものが生まれる土壌があるかもしれず、そこは他国の人が自国の文化をどのように捉えているのか…というとても興味深いテーマについて音楽を通じて知ることができるのかもと感じました。美しい夕暮れアンコールは、ドビュッシーのおなじみの曲ですが、これまた先月の南紫音氏のヴァイオリン・リサイタルのアンコール曲と同じということで、ある意味黄金のアンコール曲なのかもと感じました。まとめ今回、外村氏の演奏を拝聴するのは初めてでしたが、お話の内容からニューヨークに留学中で、そこでジャズと出会い、もともとのクラシックとともに学びを深めている様子を感じました。またピアノを担当する吉見友貴氏とは7年前のコンクールで1位・2位を分け合った縁で知り合って、今は外村氏はニューヨーク。吉見氏はボストンという同じアメリカで学び、おそらく今は夏休みで日本に帰国してコンサートをやっているのかもと感じました。お二人とも20代前半という若さにして既に素晴らしい音楽家として活動をされていると思いますが、さらにこれからどのように成長してゆくかが楽しみで、何年か先にまた演奏を聴くことができたらいいなと感じました。
August 21, 2024
開催日:2024.7.28(日) 15:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容)第600回群響定期演奏会プログラム 群馬交響楽団 上田定期演奏会2024夏に行ってきました。プログラム前半モーツァルト6つのドイツ舞曲 K.600第1番 ハ長調第2番 ヘ長調第3番 変ロ長調第4番 変ホ長調第5番 ト長調第6番 ニ長調コルンゴルトヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35第1楽章 モデラート・ノビレ第2楽章 ロマンス:アンダンテ第3楽章 フィナーレ:アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェソリストアンコールバッハ無伴奏ヴァイオリンソナタ 第2番後半R.シュトラウス家庭交響曲 作品53,TrV209レポート6つのドイツ舞曲 K.600どこか宮廷の香りのする音楽を聴いて、ふと過去のアナリーゼワークショップで学んだ「バッハは神様へ捧げる音楽を作った。モーツァルトは貴族へ捧げる音楽を作った。ベートーヴェンは庶民のために音楽を作った。」ということをことを想い出した次第ですが、この楽曲全体は12分の尺ながら6つに分かれているため、1つ1つの曲がより明確な形で耳に入ってくる感触がありました。ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35ソリストのマルク・ブシュコフ氏を迎えてのコンチェルトになりましたが、ブシュコフ氏の奏でるヴァイオリンは音がよく立っていてオーケストラをバックにしても音が埋もれることが無いパワフルさがあり、加えてフラジオレットがとても美しく、そのコントロールにおいても卓越したものがあると感じました。そしてコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲は初めて聴いたのですが、映画音楽を彷彿させるものがあり、これはアドベンチャーミュージックだなと感じました。そしてジョン・ウィリアムズばりのカッコいいホルンがとても印象的で、とてもわくわくしたひとときになりました。無伴奏ヴァイオリンソナタ 第2番ソリストアンコールは、無伴奏曲となりましたが、聴衆がブシュコフ氏の奏でる音楽を少しでも聞き漏らすまいという集中力がひしひしと感じられる空気感があり、このようなステキな空間にいられたことを感謝しつつ楽しませていただきました。家庭交響曲 作品53,TrV209この楽曲では、編成が100名越え?というくらい大ホールの舞台いっぱいにイスが並べられ奏者がぎっしりとなりました。そういえばこのところ郡馬交響楽団の上田定期演奏会の後半はこういった超大編成の曲になっていることを想い出しました。楽器編成は、ピッコロ、フルート3、オーボエ2、イングリッシュホルン、オーボエダモーレ、クラリネット3、小クラリネット、バスクラリネット、ファゴット4、コントラファゴット、サクソフォン4(ソプラノ、アルト、バリトン、バス)、ホルン8、トランペット4、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、グロッケン、シンバル、タンブリン、大太鼓、トランアングル、ハープ2、弦楽器5部とのことで、吹奏楽でもほとんど使われないバスサックスが加わるなど、そのサウンド感は、強奏部で吹奏楽の音圧に匹敵するものがあると感じました。楽曲は、リヒャルト・シュトラウス一家の日常を描いたもので、子守歌あり、夫婦喧嘩ありとじつにリアリティーを感じるものでした。そしてシュトラウスの妻と言えば、感情の起伏が激しかったパウリーネにシュトラウス自身も手を焼いていたことで知られていますが、なんだかんだ言っても惚れた弱み…愛おしく思っていたからこそこのような大曲が出来上がったのだろうと感じました。まとめアンコールは行わないのが、群馬交響楽団の公演スタイルとなっていますが、終演後に常任指揮者の飯森範親氏より、歴史的に上田と郡馬交響楽団の本拠地高崎は強い縁があり、今後はそれをさらに強固なものにしてゆきたいというメッセージが発信されました。もともと長野県の東信地域は、群馬県東部とは結び付きが強く、その中心都市である高崎も同様ですが、文化芸術の分野でも上田のサントミューゼを郡馬交響楽団の第二本拠地のように考えていただけているということを感じました。余談ながら、今回群響の楽器を運ぶトラックが新調されたとのことで、そちらもありがたく拝見させていただきました。
July 28, 2024
開催日:2024.7.27(土) 14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)南紫音ヴァイオリン・リサイタルへ行ってきました。プログラム前半1.A.シモネッティ:マドリガル2.F.クライスラー:シンコペーション3.G.フォーレ:夢のあとに4.S.プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ヘ短調 Op.80 第1楽章 アンダンテ・アッサイ 第2楽章 アレグロ・ブリュスコ 第3楽章 アンダンテ 第4楽章 アレグリッシモ後半5.A.ヘルト:フラトレス6.C.フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 第1楽章 アレグレット・ベン・モデラート 第2楽章 アレグロ 第3楽章 「レチタティーヴォ-ファンタジア」ベン・モデラート 第4楽章 アレグレット・ポコ・モッソアンコール7.C.ドビュッシー:美しい夕暮れレポートマドリガルまずは挨拶がわりに1曲…という風情で優雅でヴァイオリンの美しい音色が際立つ感のあるこちらの楽曲でリサイタルがスタートしました。シンコペーション愛の喜び・愛の悲しみ・美しきロスマリンなどでおなじみのクライスラーの楽曲ですが、曲目解説によればラグタイム風の軽妙なリズムと洒脱なハーモニーが特徴の一曲とのことで、少し毛色は違うものの、聴き進むとどこかクライスラーの音楽の香りを感じるところがありました。夢のあとにフォーレの代表曲の1つですが、この曲のカラーを一言で例えると「絶望」がイメージされ、どうしてこんなにも悲しくて寂しい調べなのだろう…。と感じるものがありました。南氏より今回のリサイタルのテーマは光と闇とのお話があり、プログラム構成的に大曲ソナタでそれをグラデーションしているのはわかっていましたが、小品でもそれを感じた次第です。ヴァイオリン・ソナタ第1番 ヘ短調 Op.80今回のリサイタルテーマ「光と闇」の闇を表現するソナタの位置づけでの演奏となりました。曲の入りはまさに世界の終わりを連想させるようなドロドロした感覚があり、ともすれば子供が恐ろしくて泣いてしまうのではなかろうか?という程、闇を感じたひとときになりました。楽章が進むと嵐のような場面もあり、その情景描写があまりにもリアルだったので、最後まで聴き終えた時、南氏がアナリーゼワークシッョプで語っていた「1本の映画を見終わったような感覚」を身をもって感じることができました。フラトレスおおよそクラシック音楽は作曲者がこの世にいない場合が多いですが、この曲を作曲したペルトは今年89歳という高齢ながら健在であり、演奏家の間ではペルトに会ったことがあるという方もちらほらいる模様で、南氏もそのことについて私たちと同じ時代を生きる作曲家とのお話をされていました。曲は、クラシックとはいえどこか現代曲風で、執拗に繰り返されるフレーズなどは、別次元の音楽のようにも感じられ、ある意味シンセサイザーやコンピューターミュージックを彷彿とさせるものがあり、生身の音楽家にこれを演奏させるというのは酷ではないかという感覚もありましたが、淡々としかも正確に演奏するお二人の技量の高さを感じることとなりました。ヴァイオリン・ソナタ イ長調今回のリサイタルテーマ「光と闇」の光を表現するソナタであり、さらに南氏よりサントミューゼ10周年のお祝いの気持ちを込めて演奏するとのお話もあって、特別感のある演奏になりました。人気曲ではありますが、これまで私自身はあまり拝聴する機会が無く、2022年に3回(千住真理子氏による演奏、野口万佑花氏・岩井志帆氏・西田遼太郎氏による楽章別のヴァイオリンとフルートでの演奏、小田雅氏・平野友理氏による楽章抜粋演奏)聴いてちょっとしたマイブームになったものの、2023年は0回で対比して聴くには間が空いてしまったこともあり、その分初めて聴くような新鮮さをもって楽しむことができました。美しい夕暮れアンコールは、ドビュッシー版夕焼け小焼けとも言うべきこちらの楽曲でしたが、演奏に先立って南氏が歌詞を朗読するという場面がありました。歌詞としては、限りあるこの世でのひとときを思い切り楽しもうといった意味が込められており、改めて一日一日を有意義に過ごさなくては!との想いを強くしたひとときになりました。まとめサントミューゼのアーティストインレジデンスの企画として、2週間に渡って地元の小学校のクラスコンサート、2回の公民館コンサート、アナリーゼワークシップを経ての締めにあたるリサイタルでしたが、今回一般向けに開放されている公民館コンサート2回とアナリーゼワークショップと3度に渡って南紫音氏と秋元孝介氏と同じ時間を共有することができ、感覚とすれば知り合いのコンサートに足を運んでいるような親しみがあって、これこそレジデントアーティストの一番の魅力ではないかと改めて感じました。
July 27, 2024
開催日:2024.7.21(土) 14:00開演場所 :坂城町文化センター 大会議室坂城町文化センターリニューアルオープン記念 サマー・コンサートへ行ってきました。プログラム前半1.チャイコフスキー:くるみ割り人形より「花のワルツ」2.モーツァルト:トルコ行進曲3.アッセルマン:泉4.サン=サーンス:白鳥5.マスネ:タイスの瞑想曲6.メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番ニ短調より第1楽章後半7.バッハ:無伴奏チェロ組曲より8.クライスラー:愛の悲しみ・愛の喜び9.ベルリーニ:ノクターン10.ラヴェル:ツィガーヌアンコール11.坂城町の歌レポートくるみ割り人形より「花のワルツ」オープニングは、本日出演メンバーのピアノ・ハープ・チェロ・ヴァイオリンの4人全員での演奏となりました。ピアノとハープはともに複数の音を同時に出せる楽器であることから、これまでもデュオ演奏でもピアノとヴァイオリン、ハープとヴァイオリンといった編成の演奏を聴くことがあった訳ですが、本日の編成だとピアノとハープの両輪が揃ったことで、どちらかがオブリガード的な役割を果たすこともできるようになって演奏の幅が相当に広がっている感覚がありました。トルコ行進曲ここからは一つづつ楽器の音色を楽しんでもらおうとのことで、まずはピアノ独奏にてモーツァルトのおなじみの楽曲であるトルコ行進曲の演奏となりました。改めて聴いてみると後半のこれでもかという盛り上がりにとても高揚感を感じました。泉ハープ独奏での演奏となりました。まずは演奏者の奥田恭子氏より楽器の説明が行われ、普段は聴衆には見えない操作側も大公開!ズラリと並んだフットペダルでシャープとフラットを切り替えて演奏しているので、とても足が忙しいというハープあるあるを御紹介いただきました。演奏は、ハープオリジナル曲で男性のハーピストが作った楽曲とのことで、いわゆる髪の長い女性が弾く楽器という世間一般の印象はじつは正しくないことも合わせて知ることができました。白鳥チェロとピアノ・ハープのトリオでの演奏となりました。まずは海野幹雄氏よりチェロについての説明がありました。そして演奏は、チェロと言えばこの曲という印象がありますが、なんでもこの曲はもともとピアノ2台とチェロという編成で書かれていたとのことで、今日は2台目のピアノパートをハープが担当するというめったにない演奏となりました。私自身、この曲はこれまでに数えきれないほど聴いてきましたが、2台目のピアノパートが加わった状態で聴くのは初めてであり、同じ曲でもかなり新鮮さを感じる貴重な体験となりました。タイスの瞑想曲ヴァイオリンとチェロとハープのトリオの演奏となりました。演奏に先立って瀬崎明日香氏よりヴァイオリンについてのお話がありましたが、ヴァイオリンを主体とする弦楽器として特徴的なことが「音をなめらかにつなぐことができる。」というもので、これは管楽器ではトロンボーンにしかできないことということで、これまで弦楽器と管楽器の共通点について考える機会がなかったこともあり、なるほど!と思いました。そしてタイスの瞑想曲は、先日の南紫音氏のリサイタルでも曲の背景を勉強していたこともあって、そんなイメージも加えつつとても珍しいハープとチェロとのトリオによる演奏を楽しませていただきました。ピアノ三重奏曲第1番ニ短調より第1楽章ピアノ、ヴァイオリン、チェロによるトリオ演奏となりました。演奏に先立って、海野幹雄氏より2020年当時のコロナ禍の初期で音楽家が何もかもできなくなったことによる喪失感と、打開のために動画配信への挑戦し、それを見たレコード会社よりCD作成のオファーがあったことなどのお話がありました。それを聴きながら私自身も2020年当時のことを想い出しましたが、後から振り返れば実際にコンサートが全く無くなった期間というのは、2020年3月から7月頃までの4カ月ほどだったのですが、その当時はいつまで続くともわからなかった訳で、えらく長く感じられた4カ月だったという想いがよみがえりました。そして演奏は、ピアノが超絶技巧ありということで、このあたりは、ピアノ三重奏曲なのだから主役をとるのは当然としても、大いに聴きごえのあるひとときになりました。無伴奏チェロ組曲より後半のスタートは、チェロ独奏では大変有名なこちらの曲が披露されました。演奏に先立って、海野幹雄氏から古楽器に由来する古いタイプの弓やガット弦にまつわるお話がありました。ガット弦については、飼い犬が食べてしまったという笑い話もあり、確かに羊の腸だから犬からしてみたらエサ…しかも好物に見えたのだろうとのことでした。演奏は、あえてエンドピンを付けず、音量を増すために真ん中に絞りのある弓(現代で一般的に使われている弓)をあえて使わず、古いタイプの弓を用いてとても味のある古風な響きを楽しませていただきました。愛の悲しみ・愛の喜び演奏に先立って瀬崎氏よりクライスラーのプロフィールについてお話がありました。クライスラーは、医師であり音楽家であったということですが、どちらも人を癒すことのできる職業ということで共通点を感じるところがありました。演奏は、まずは愛の悲しみをしっとりと聴かせていただき、続けて愛の喜びへと入りましたが、なんと瀬崎氏が客席を練り歩きながら演奏するというサプライズが登場し、多くの聴衆がヴァイオリンの生の音色をとても近い距離で堪能することができたひとときになりました。ノクターン演奏に先立って奥田氏よりチェロとハープのために書かれた数少ないオリジナル曲との紹介がありました。それだけにチェロとハープそれぞれの特徴を生かした作りになっているとのことで、印象とすればそれぞれのパートが自然体で伸び伸びとした感じで弾いている感じがありました。ツィガーヌヴァイオリンが大活躍する楽曲としてよく知られていますが、海野氏によればオーケストラ編成におけるハープとの絡みがまた素晴らしいとのことで、今日のカルテットで演奏しない手はないだろう!とのことで選曲されたとのことでした。瀬崎氏の気迫あふれるヴァイオリンの演奏。それに絡む奥田氏のハープ。そして海野幹雄氏のチェロ、海野春絵氏によるピアノと4人のスペシャルアンサンブル感に終始圧倒され、コンサートの締めくくりにふさわしい盛り上がりを楽しませていただきました。坂城町の歌アンコールは、おなじみの坂城町の歌ですが、今日の4人の編成のためにアレンジされた特別バージョンということで、3番まである歌のメロディーを交代しながら演奏してこれ以上ないようなバラエティーにとんだ豪華な坂城町の歌を堪能することができました。まとめ今回7月にリニューアルオープンした坂城町文化センターのこけら落とし公演という位置づけでのサマーコンサートでしたが、坂城町町長より古い建物をあえて建て替えずにリニューアルして使うことに意義があるというお話がありました。また音響についても、スペック的には南条小学校音楽堂と同じ残響がでるよう設計したとのことで、そんなことを考えながら演奏を聴かせていただきました。また出演者でチェロの海野幹雄氏、ハープの奥田恭子氏、ピアノの海野春絵氏は初めてお目にかかる方々でしたが、瀬崎明日香氏はコバケンとその仲間たちのオーケストラ公演で何度か拝見したことがあり親しみがあるとともに、手が届きそうな近いところで演奏を拝聴できる機会を持ててとても有意義なひとときになりました。
July 21, 2024
開催日:2024.7.19(月) 14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)三井清夏ソプラノリサイタルへ行ってきました。プログラム1部1.浜辺の歌2.みかんの花咲く丘3.夏の想い出4.明日この世が終わるとしても5.私は家をつくりたい6.オペラ『イル・カンピエッロ』より さようなら、愛しのヴェネツィア7.オペレッタ『メリー・ウィドウ』より ヴィリアの歌2部8.オペラ『魔笛』より 「パパゲーノ-夏の恋物語」(日本語訳上演)アンコール9.うたうだけ10.もしも歌がなかったら浜辺の歌今回、コンサートの開催日が海の日ということ。また三井清夏氏のお名前に「夏」が入っているといった縁から、それらに関連した曲を選んだとのことで、まずは海から浜辺の歌の演奏となりました。みかんの花咲く丘みかんというと、愛媛・和歌山など温暖な地方の果物という印象がありますが、温暖化の進行により、将来的には栽培地域が今のりんごの栽培地域にかかってくるということもあるようで、そんなことを感じながら聴かせていただきました。夏の想い出この曲の舞台となる「尾瀬」ですが、私も1999年に一度いったきりなので、その時の記憶はわずかしか残っておらず、曲とイメージをリンクさせる情報が乏しい状態ではありましたが、それでも記憶は蘇るもので、そういえば尾瀬へ行く時にはシャトルバスに乗った…とか鳩待峠という地名。群馬と福島の県境に位置するのか尾瀬だったよな…などを懐かしく想い出すことができました。明日この世が終わるとしても司会とバリトンを兼ねる宮本益光氏より、三井氏との馴れ初めが語られる場面がありました。楽曲としては、宮本氏の作詞・作曲の曲ということで、三井氏が宮本氏へ捧げる曲という位置づけで、明日この世が終わるとしても、種をまいて明日へ希望をつないでゆくことが大切といった趣旨で、最後まで生きることをあきらめない前向きさを強く感じました。私は家をつくりたいイタリアでこの曲が歌われる時は、サビの部分で聴衆が合唱して盛り上がるとのことで、それをこの公演でも再現しようということで、宮本氏の指導のもと、まずその練習が行われました。三井氏登場後、本番ということで、合わせるところが3か所ほどあり、大いに盛り上がりました。さようなら、愛しのヴェネツィアいよいよオペラ歌手としての三井氏の本領発揮となるプログラムへと入り、楽曲は、イタリアではどの街にもある広場を舞台に繰り広げられる日常のひとときを表現したものとのことで、ここではヴェネツィアなので、さしずめサン・マルコ広場をイメージすしつつ楽しませていただきました。ヴィリアの歌宮本氏より演奏に先立ってメリーウィドウとヴィリアの歌の解説を身近なものに例えた形でとてもわかりやすく話していただき、なるほどというところで演奏が行われました。メリー・ウィドウは、これまで私も何度も演奏しているので曲じたいは親しみがありましたが、歌詞と演出が入った公演を聴くのは初めてで、特にバリトンの宮本氏とソプラノ三井氏との身振り手振りを交えた歌唱があまりにも素晴らしく、これが本当のヴィリアの歌なのだなと感じました。オペラ『魔笛』より「パパゲーノ-夏の恋物語」2部は、まるごとオペラということで、まずは宮本氏より「パパゲーノ-夏の恋物語」の解説がありました。そしてオペラでは必ず序曲があるということで、本来は魔笛序曲が演奏されるところでしたが、ここでは同じモーツァルトのきらきら星変奏曲を序曲としてピアニストの髙田恵子氏の独奏によって演奏されました。序曲演奏後にいよいよオペラ本編がスタートしましたが、宮本氏演じるパパゲーノが登場してその素晴らしい歌唱を披露。さらに三井氏演じるサーヤ姫(パミーナ)・パパゲーナ(パパゲーノの恋人)。髙田氏の魔法のピアノ、成平有子氏演じる魔法の鈴が登場して圧巻の演奏となりました。途中には上田わっしょいの歌唱が入るなどご当地を意識したところもあり、このあたりは構成・演出・訳詞を行った宮本氏の観客の心をつかむ術に長けたところを感じるところでした。うたうだけアンコールの演奏前に、三井氏が一時思うように声が出なくなった時期あり、その時支えてくれたのがこちらの曲だったとのことで、昨年のコンサートを聴いた聴衆から三井さんのテーマ曲にしたらどう?との声もあったようですが、この曲は宮本氏が作曲した曲ということで、宮本氏より「勝手にテーマ曲にしないで!」とつっこみが入るなど和やかなMCを経ての演奏となりました。もしも歌がなかったらアンコール2曲目は、ここまで歌唱での出番が無かった成平氏の歌いだしでスタート。続いて宮本氏と三井氏の歌唱が入り、合唱となりました。こちらの楽曲は宮本氏作詞の曲ということで、まさに自作自演の貴重な公演を体験することができました。まとめ三井氏が、地元に是非文化芸術の花を咲かせたいという気持ちから、昨年から始まったリサイタルということで、今回は2回目の公演になるとのことでしたが、その内容は唱歌あり、オペラ曲あり、さらには序曲にもこだわった本格的な演出を伴うオペラまでとても充実した内容でした。また会場が小ホールということで、より近いところで歌い手の表情や演出を感じることができたのも貴重な体験となりました。
July 15, 2024
開催日:2024.7.14(日) 14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容)TSUKEMEN CONCERT キャンドルのぬくもりに行ってきました。プログラム(順不同)・ガブリエルのオーボエ・主よ人の望みの喜びよ&HAPPYクリスマス・ニューシネマパラダイス・コンチェルトメドレー・ゴジラヴェル・The Warmth of Candle・BASARA~15th Anniversary version~・SAKURA・Sincere・「海」をテーマにした新曲 世界初演・真田組曲レポートコンサートのタイトル通り、ステージ上にまんべんなく配置されたキャンドルの暖かな炎の雰囲気のもと、休憩なしの2時間超の公演となりました。とはいえ途中でエコノミークラス症候群予防の体操などが行われ、そこでは出入り自由といった計らいで聴き手のことを配慮した形になっていました。最も出演者のTSUKEMENメンバーは休憩を取らずにステージ上に出ずっぱりなので、限られた時間をなるべくコンサートを聴きに来てくれた皆さんと一緒に過ごしたいという意思が感じ取れました。またメンバーが音楽家として何を目指しているかということも明確に語られ、その意識の高さに感服した次第です。演奏については、2曲をミックスしたり、コンチェルト曲のおいしいどころ取りのコンチェルトメドレーがあったり、世界初演の海をテーマにした新曲、ご当地である真田組曲といった聴きどころ満載の楽曲群に耳を奪われました。また今回のコンサートのテーマ曲とも言えるThe Warmth of Candleでは、本職でないヴァイオリニストのお二人がピアノを弾いて、本職のピアニストが鍵盤ハーモニカでコラボするといった新たな挑戦があったり、全体を通してヴァイオリンをヴィオラに持ち替える楽曲ではそのすばらしいハーモニーを感じることができました。まとめ3人だけで大ホール公演、しかも弦楽器とピアノでとなると、どうしてもマイクなどの拡声装置に頼りがちではありますが、後で調べてみたところTSUKEMENは生音にこだわっているとのことで、今回の公演でもそれが実践された形になっており、客席後方では少し音が聞き取りにくい感は否めないところでしたが、その分聴き手は耳を澄まして静かに鑑賞する形で、演じ手と聴き手が寄り添うような雰囲気もあったように感じました。また運営側もそのことをよくわかっているようで、実際のところ大ホールの後ろから数列は座席を販売していなかったようで、空席になっており、これ以上後ろだと聞き取りずらいので聴き手を失望させてしまうかもしれなというノウハウが出来上がっていることが見て取れました。
July 14, 2024
開催日:2024.7.13(土) 19:00開演場所 :信州国際音楽村 ホールこだま(300名収容)クワチュール・ベー・コンサートに行ってきました。プログラム前半1.吉松隆:アトム・ハーツ・クラブ・カルテット 1.アレグロ 2.アンダンテ 3.スケルツォ 4.フィナーレ2.新垣隆:バラード 1.サクソフォンカルテットのための[2017年Quatuor B 委嘱作品]3.J.S バッハ(伊藤康英編曲):無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 BWV.1004より「シャコンヌ」後半4.QuatuorBが贈る進化系エンターテイメント【べーかるぼっくす2024】アンコール5.聖者の行進6.to be continuedレポートアトム・ハーツ・クラブ・カルテット曲目解説によれば、曲のフルネームが「ドクター・タルカスズ・アトム・ハーツ・クラブ・デュオ」で直訳すると「タルカス博士の原子心倶楽部二重奏曲」になり、そこにいくつかの要素を加えて手塚治虫の鉄腕アトムの十万馬力でシェイクしたのがこの作品というくだりで、もともとは1997年夏にモルゴア・カルテットのために弦楽四重奏版として作曲された楽曲とのことで、そこから派生してギター・デュオ版、サクソフォン・カルテット版、ピアノ・トリオ版、弦楽オーケストラ版が発表されているとのことで、間口の広い楽曲という印象があり、1曲目からクワチュール・ベーの圧倒的な演奏を感じることができました。バラード2017年のクワチュール・ベーの委嘱作品で曲目紹介によれば、曲目の由来は、F.ショパンが自身のピアノ曲にバラードとつけたことに倣っているとのことで、ここでは私が一番好きなバラード1番を想像しながらその演奏をじっくりと楽しませていただきました。無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 音楽の父J.Sバッハの代表作品の1つですが、曲目紹介で2018年にクロアチアでクワチュール・ベーが演奏した際に満員の聴衆の喝采を浴びた想い出の曲で、それから6年。今のクワチュール・ベーが描く音楽的体験を味わっていただきたいとの記載があり、2018年の喝采の様子を想像しつつ、今目の前で繰り広げられる演奏を心して聴かせていただきました。QuatuorBが贈る進化系エンターテイメント【べーかるぼっくす2024】後半は、前半からうってかわってエンターテイメントショーのステージとなりました。プロジェクターを使って映像による視覚的効果や各種コント類が大変素晴らしく思い切り笑って拍手する夢のようなひとときになりました。レポート的にはその素晴らしい内容を書きたいところではありますが、これからこの素晴らしいエンターテイメントを初めて体験する皆さんの楽しみを奪ってしまってもいけないので、あえて伏せておくこととします。聖者の行進~to be continuedアンコールは、定番の聖者の行進。そしてクワチュール・ベーのテーマ曲で幕引きとなりました。まとめ今回、初めてクワチュール・ベーのコンサートを拝聴させていただきましたが、前半の大真面目なステージと後半のエンターテイメントステージのコントラストもさることながら、メンバーお一人お一人がとても人間味があって身近に感じられました。また今回、クワチュール・ベーのグッツとしてクリアーファイル2種類、キーホルダーが販売され、私も入手しましたが、もれなく4名のメンバーのサインがいただけるというサプライズもあって会場が歓喜につつまれたひとときになりました。
July 13, 2024
開催日:2024.7.13(土) 15:00開演場所 :ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)中ホール(1,070名収容)2014年以来、10年ぶりに国立長野高専吹奏楽部の演奏会に行ってきました。プログラム開演前ロビーコンサート1.サクソフォンアンサンブル となりのトトロメドレー2.サクソフォンアンサンブル 魔女の宅急便メドレー3.金管アンサンブル 1600年代の古い曲第1部 Act11.高き山へ、遠き川へ~祝典のための前奏曲~2.バレエ音楽「青銅の騎士」より3.風がきらめくとき4.Foster's America第2部 Act25.GODZILLA組曲6.アルヴァマー序曲第3部 Act37.RPG8.スーパーマリオブラザーズ9.PIRATES OF THE CARIBBEAN10.「君の名は。」コレクション11.ジャパニーズ・グラフィティ12 アンコール12.ディスコ・キッドレポート開演前ロビーコンサート開場後すぐにロビーにてサクソフォーン2チーム、金管1チームによるウェルカム演奏が行われました。サクソフォーンアンサンブルは、ジブリよりとなりのトトロメドレーと魔女の宅急便メドレー。金管アンサンブルは、1600年代の古い曲2曲ということで、開演10分前くらいまで目いっぱいの充実したひとときになりました。高き山へ、遠き川へ~祝典のための前奏曲~長野県吹奏楽連盟創立50周年を記念して2010年に作曲された楽曲ですが、曲中に信濃の国の旋律の一部が組み込まれているとのことで、それを探しつつの鑑賞となりました。またこの曲は、私の中では冒頭部分がどうしても弦楽セレナーデの一節に聴こえる…ということで、このあたりは作曲者が意図的にやったことなのか、単なる偶然なのかいつも気になるところではあります。バレエ音楽「青銅の騎士」より帝政ロシアの初代皇帝であるピョートル1世をリスペクトした曲ですが、曲のイメージカラーはホワイトというところで、とても華やかな印象を受けます。私もこの曲は過去に1回だけ演奏したことがあり、演奏者のテンションがどんどん上がってゆく感じがあって、曲調がそうさせるのかはよくわかりませんが、とても興味深い曲だと感じた次第です。風がきらめくとき2024年の課題曲2で、ここまで何回か耳にしてきましたが、曲目解説によれば、テンポ変化があまり具体的に表記されておらず、各団体の息遣いに応じて、自由に設定ができるようにと意図されているとのことで、そういった意味では演奏のオリジナリティーを表現しやすい楽曲ともいえ、裏を返せば同じ曲で評価を比較するコンクール曲としてやや不向きなのかもしれないですが、曲を聴きながら思ったのは、もしかするとコンクール後に演奏会の1ピースとして人気がでるかもしれないと感じました。Foster's America曲の並びから考えて、おそらく今年のコンクールの自由曲なのかもと思いましたが、曲目解説によればアメリカの作曲家スティーブン・C・フォスターの「何をぼんやり考えているの」「夢路より」「あなたに口ひげさえあったなら」「愛しのリーナ・クレア」の4曲をフィーチャーした3楽章の組曲ということで、どこか古き良きアメリカを彷彿させるものがありました。GODZILLA組曲第2部は、約30名のOBOGが加わってのステージとなり、現役生21名と合わせて50名という大編成での演奏となりました。GODZILLAは今の流行りだけに選曲の妙を感じたところですが、ゴジラが街を破壊する臨場感をその音楽から感じることができました。アルヴァマー序曲バーンズのおなじみの曲ですが、50名超の編成での演奏はさすがに迫力あり!ということで、吹奏楽ならではの音の厚みによる迫力を感じることができました。RPGSEKAI NO OWARIの有名曲ですが、私の中では数年前の新しい曲というイメージがあったのですが、リリースは2013年ということで、10年ひと昔という意味では、新曲ではないけれど今を生きる私たちの世界観に合致するところがあるように感じました。スーパーマリオブラザーズゲームそのものは1985年の発売ということで、40年近く前になりますが、楽譜が出たのが2010年なので音楽としてはひと昔くらいの感覚になりますが、ゲームの雰囲気を感じつつ楽しく聴かせていただきました。PIRATES OF THE CARIBBEANパイレーツ・オブ・カリビアンもいろいろなアレンジが存在しますが、今回演奏されたのはわりと比較的コンパクトにまとめられ、それでいておいしいところはしっかり押さえている印象のあるアレンジと感じました。「君の名は。」コレクション私の中では新海誠監督三部作として「君の名は」「天気の子」「すずめの戸締り」が挙がっていますが、いわば三部作の1作目である君の名は話題性でいけば新海誠監督の名を世に知らしめた作品であるので、その音楽もまた作品と関連する形でインパクトがあるように感じました。私事ですが、つい先日2作目の「天気の子」コレクションを演奏したばかりだったので、それとの対比もしつつ楽しく聴かせていただいた次第です。ジャパニーズ・グラフィティ12 銀河鉄道999~宇宙戦艦ヤマトという昭和アニメの二大巨頭の楽曲をメドレーにしたもので、おそらく歴代ジャパニーズ・グラフィティーの中で演奏頻度が最も高い作品ではないかという印象がありますが、今回の演奏会テーマである「Adventure」を象徴する2作品(特に999はその傾向が強い)から、締めの曲としてふさわしいと感じ、大いに堪能させていただきました。ディスコ・キッドアンコールは、1977年発表の古典の部類に入る課題曲ですが、冒頭のピッコロとエスクラのコラボ。そしてクラリネットソロをエスクラを吹くという形に大いに興味をそそられました。まとめ10年ぶりに国立長野高専吹奏楽部の定期演奏会を拝聴させていただきましたが、伝統であるステージ表記の「Act」や、おなじみの1部司会者である鈴木先生。2部のOBOGとの共演。3部の春山先生のプレイヤーとしての主演と変わらずに続けられていることが、とても懐かしく感じられました。
July 13, 2024
開催日:2024.7.5(金) 19:00開演場所 :中央公民館 大会議室サントミューゼのアーティスト・イン・レジデンス 地域ふれあいコンサートVol.90 南紫音ヴァイオリン・コンサートへ行ってきました。プログラム1.E.エルガー/愛の挨拶2.S.プロコフィエフ/『3つのオレンジへの恋』より「マーチ」3.M.ポンセ/エストレリータ4.A.ピアソラ/リベルタンゴ5.C.フランク/ヴァイオリン・ソナタより第4楽章6.J.マスネ/タイスの瞑想曲7.P.サラサーテ/ツィゴイネルワイゼンアンコール8.A.ピアソラ/アヴェ・マリアレポートプログラムは、地域ふれあいコンサートVol.89 南紫音ヴァイオリン・コンサートin中央地域と同様のため、あえて曲ごとのレポートはいたしませんが、全体を通して感じることは、生演奏は毎回違う魅力があるということ…。まず演奏が違うということはもちろんですが、会場が違うので響きや演奏者との距離感も違い、そこで印象がだいぶ変わってきて、そこがとても新鮮に感じられました。また当然聴き手についても違う皆さんとご一緒している訳なので、その雰囲気の違いというのもコンサートの印象に関わってくる感じがありました。まとめサントミューゼのレジデントアーティストは、おおよそ2週間の日程で小学校のクラスコンサートと2か所での公民館コンサートをこなし、しばらく時間をおいて締めくくりとなる小ホールでのリサイタルという構成でコンサートをこなしているようですが、今夜のコンサートは、その2週間の日程の締めくくりということもあってか、南氏、秋元氏による出口でのお見送りがあり、来場者が一言二言づつ両氏と会話をかわして退場してゆく形となりました。私自身は、南氏が2020年秋の前回のレジデントアーティストだった時以来のお久しぶりですとお声がけさせていただきましたが、南氏よりベートーヴェンですね!と即座に返していただき、うれしいひとときになりました。
July 12, 2024
開催日:2024.7.12(金) 19:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大スタジオ南紫音 ヴァイオリン・リサイタル関連プログラムのアナリーゼワークショップに行ってきました。プログラムアナリーゼレポートリサイタルで演奏するS.プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第1番、A.ペルトのフラトレス、C.フランクのヴァイオリン・ソナタにスポットを当ててアナリーゼが行われました。今回は、それぞれの作曲家の人物像によりスポットを当てた形で南氏よりその人となりを書き綴った伝記が朗読されるといった踏み込んだ内容となりました。また楽曲についても、プロジェクターを使って曲の構造の解説もあり丁寧に行われました。特に、フランクのヴァイオリンソナタで使われているカノンについては、本来はヴァイオリンとピアノで1小節ずれて演奏するところを試験的に同じタイミングで演奏してみたりといった、まさにアナリーゼ・ワークショップでなければできないことが行われるなど、聴き手にとっては本プログラムへの関心を大いにそそられるという点で、とても有意義な時間となりました。締めには、リサイタル当日は弾かない曲で先日の地域ふれあいコンサートでも演奏されたM.ポンセのエストレリータの演奏もしていただき、予定1時間のところ20分ほど延長してのアナリーゼワークシッョプとなりました。まとめリサイタルの前に楽曲の予習として演奏者視点による演奏者の生の声を聴くことができるアナリーゼワークショップは、内容的に大変有意義なものですが、加えてリサイタルのチケットを持っていると無料で参加できるというのもお得感満載なところで、改めて素晴らしい企画だと感じました。
July 11, 2024
開催日:2024.7.7(日) 14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容)上田染谷丘高校舞踊班の第23回定期公演会に行ってきました。プログラム第1部1.Opening2.フラメンコ 3.Choose your fighter4.Cut to the feeling5.Wonder land6.月夜見の舞7.めぐりゆく第2部1.Sing Sing Sing 吹奏楽班の生演奏にて2.宝島3.HYPER☆BEAT4.So What5.美夢仙子-メイモンシェンズ6.輝きだして走ってく7.Destiny8.Finalレポート先月行われた吹奏楽班の定期演奏会においてゲスト出演した舞踊班のダンスが大変素晴らしかったことから、舞踊班の定期公演も是非拝見したいとのことで昨年に続いての鑑賞となりました。今回都合により第2部の前半しか拝聴できなかったのですが、吹奏楽班とのコラボである生演奏で踊るSing Sing Singでのその妖艶な踊りがじつに見事であり、その一挙手一投足に大変感動しました。また宝島は、吹奏楽班単独のステージとして演奏されましたが、認識として多くのバンドで演奏される人気曲だが、それぞれのバンドでアレンジされたオリジナリティーを持っている宝島であるということでした。余談ながら翌日信濃毎日新聞に舞踊班の定期公演の記事が掲載されていたのですが、2年生不在の中で取り組んだ公演だったということや、大いに盛り上がってのフィナーレがになったとのことでした。
July 7, 2024
開催日:2024.7.7(日) 14:00開演場所 :イオンスタイル上田2階イベント広場(タワーレコード前)5年ぶりの単独公演となる長野大学吹奏楽部のたなばたコンサートに行ってきました。プログラム1.学園天国2.怪獣の花唄3.群青アンコール4.明日もレポート学園天国1974年発表の歴史あるスクールソングですが、いわゆる学園祭シーズン真っただ中のこの時期ということもあって昨日も高校生の演奏を耳にしたところでもあったので、その人気ぶりを改めて感じました。そしてかなり久しぶりに長野大学吹奏楽部の演奏を聴かせていただきましたが、木管群が少人数ではあるものの、金管がほぼフルパートな上、低音がかなり厚い(チューバ×2、コントラバス、バスーン、バリサク)ことから、吹奏楽らしい迫力ある演奏に圧倒されました。怪獣の花唄Vaundyの1作目のアルバム『strobo』の収録曲で2020年リリース。2022年の第73回紅白歌合戦で広く世間に知られるようになり、2023年の年間カラオケランキング第1位ということで、2023年を代表する楽曲の1つになりますが、聴いてみるとなるほどこれは親和性がある楽曲で売れるのも納得と思いました。群青世界的アーティストとなったYOASOBIの代表曲の1つですが、疾走感のあるテンポに耳なじみの良いメロディーが自然と体に入ってくるとても魅力的な楽曲と感じました。明日もSHISHAMOの楽曲で、2017年にNTTドコモ『ドコモの学割』のCMソングに起用されブレークしたことから、年末の紅白歌合戦でも初出場での歌唱となり、さらにSHISHAMOとしては初の応援ソング的な楽曲ということで話題になった曲ですが、アンコール曲としての演奏で大いに盛り上がりました。まとめ長野大学吹奏楽部は、大学開学以来の伝統ある部として定期演奏会を30回も開催してきた歴史ある団体でしたが、年を追うこどにだんだんと人数が減り一時期部員が0名になった時期があっていったん活動が途絶えたこともありましたが、その後新たなメンバーによって復活したとのことで嬉しく思っていたのですが、コロナ禍もあってなのか直近では単独で演奏会ができる人数が集まらず少人数で活動されていたようです。そんな中で今年度たくさんの1年生が入り、再び単独での演奏会ができるだけの人数が揃ったことから、じつに5年ぶりの単独公演が実現したとのお話がありました。またこのイベントを主催しているイオンでは、演奏するスペースの提供だけでなく運営担当のスタッフがついており、終演後には長野大学吹奏楽部を激励するスピーチの後、イオン上田店をよろしくお願いいたします。この後もお買い物をお楽しみください!とのことで、商売をしつつも地域の音楽文化向上という社会貢献の一翼を担う役割を果たしていることは、いろいろな意味で心温まるものがありました。
July 7, 2024
開催日:2024.7.7(日) 11:00開演場所 :上田西高校 体育館第60回西高祭 上田西高校吹奏楽部 ステージ発表に行ってきました。プログラム 企画名 Time travel~笑顔の花を咲かせよう~1.ドラえもんのうた2.グレイテスト・ショーマン3.ムーンライト伝説4.J-POP大メドレー5.野球応援曲レポートドラえもんのうたオープニングは、夢をかなえてドラえもんではなくあえてその前の大山のぶ代がドラえもん役をやっていた頃の主題歌が演奏されました。そしてドラえもんファミリーが登場するという凝った演出がありました。グレイテスト・ショーマン2曲目はドラマチックな演出で知られるこちらの楽曲。次々と展開される曲群にとても熱いものを感じました。ムーンライト伝説美少女戦士セーラームーンRの主題歌で1992年から1994年まで使われていた主題歌ですが、印象として他の主題歌が思い出せないことから、この曲のヒットの特別感が感じられるところでした。演奏では、セーラームーンが登場し、歌唱するという楽しい演出が入り大いに盛り上がりました。J-POP大メドレー曲名のアナウンスが無かったので、タイトルは仮のものですが、聴いたことがある曲も出てきたので、おそらく歴代のJ-POPをつなぎあわせたメドレーだと思いますが、パワフルな演奏がとても小気味よく楽しめたひとときになりました。野球応援曲おそらく野球の応援で演奏される曲と思いますが、とにかく音圧が下がらない勢いのある曲で、これは吹いている方も常に全力ということで、選手たちの闘争心がより掻き立てられること間違いなしといった印象を受けました。まとめTime travel~笑顔の花を咲かせよう~の企画のもと、ドラえもんファミリー(ドラミちゃんも登場!)やセーラームーンといった楽しい演出も加わって迫力のある演奏を楽しませていただきました。また校内の様子も拝見させていただきましたが、西館のカフェテリアでは特別メニューが設定されるなど、一般公開で訪れた人たちの食欲をそそるおいしそうな香りも漂っていました。また一般公開での来場者も多かったようで、駐車場はサッカーグラウンドに白線を引いてかなり広く確保されていましたが7~8割は埋まっている印象がありました。
July 7, 2024
開催日:2024.7.6(土) 14:15開演場所 :上田高校 同窓会館2F第67回松尾祭 上田高校室内楽班 Classic concertに行ってきました。プログラム1.ブランデンブルク協奏曲第3番 第1楽章 -J.S.バッハ2.主よ、人の望みの喜びよ -J.S.バッハ3.すずめ -野田洋次郎4.輝く未来 -アラン・メンケン5.アイネ・クライネ・ナハトムジーク -W.A.モーツァルト6.セントポール組曲より、1.Jig -G.ホルストアンコール7.Summer -久石譲レポートブランデンブルク協奏曲第3番 第1楽章曲目紹介によれば、弦楽合奏曲ではなかなか見ない全10パート編成であるため、より豊かな音の厚みや響きを感じることができる1曲とのことで、聴いてみるとたしかに音の引き出しが多い感覚があり、イメージとすれば森の中でたくさんの木が茂っている様子を見ているかのようなところがありました。主よ、人の望みの喜びよバッハの代表曲の1つですが、2年生と3年生の座席を入れ替え、2年生が主体となって演奏しますとのことで、いわば3年生から2年生へ室内楽班の歴史のバトンを渡すような儀式のように感じました。聴いていて思ったのは、やっぱりこの曲は弦楽器でないと!ということで、以前管楽器でこの曲をやった際は、弦楽合奏をイメージして滑らかに演奏しようとすると息継ぎするところが無くなって死んでしまう…という壁にぶちあたったことを想い出し、それぞれ楽器の長所短所はあるにせよ、滑らかな演奏するという点については弦楽器に一日の長があることは間違いないと感じた次第です。すずめすずめの戸締りの不思議な世界観を代表する1曲ですが、昨年11月にこの曲を演奏する機会があったこともあり、より親しみをもって聴かせていただきました。また弦楽器特有の音色の濃さも手伝って、不思議な世界観がクローズアップされた感がありました。輝く未来曲目解説によればラプンツェルとユージーンが手を取り合って、船の上で歌うシーンが感動的!とのことでしたが、私自身この曲はつい先日演奏したばかりだったので、そんなことも想い出しつつ、これまた弦楽器の濃ゆい音色で楽しませていただきました。アイネ・クライネ・ナハトムジーク123期生9名(三年生)による演奏となりました。指揮者の宮下先生の話によれば、三年生はこの松尾祭のコンサートをもって引退となるとのことで、多くの人にとって一生の想い出になる高校生活の班活というかけがいのない時間の集大成としての演奏をリスペクトする気持ちで聴かせていただきました。セントポール組曲より、1.Jig3年生はみんな大好きな曲とのことで、4月に入班したばかりの1年生も加わっての班員全員での演奏となりました。また室内楽班は、4月の始めに定期演奏会を行っていることから、このように三学年が揃っての演奏というのは、この松尾祭でのコンサートが最初で最後ということもあって、とても感慨深く聴かせていただきました。Summerアンコール曲は、まさにいまの季節感にピッタリの楽曲。暑い夏ではありますが、クラシックコンサートということもあり生徒さんたちは正装で演奏に臨んていることもあって、冷房を強めに効かせた快適な室内の中で室内楽を楽しむという絵にかいたようなステキな環境だったこともあいまって、おだやかな気持ちでとてもよい音楽を聞かせていただきました。まとめ室内楽班の定期演奏会は、昨年・今年と聴かせていただきましたが、4月に定期演奏会をやるということは、三年生はどこで引退するのだろう…と素朴な疑問がありましたが、今回初めて松尾祭へ足を運んでみて、集大成はまさにこの公演にあったということで、その集大成の演奏を生で聴き、同じ空間と時間を共有させていただけたことがとてもよいひとときになりました。また松尾祭のステージ発表のタイムテーブルについても、吹奏楽班のサマーコンサートを聴いてから、歩いて同窓会館へ移動するとちょうど室内楽班のコンサートが始まるタイミングになるということで、時間が重複してどちらかしか聞けないとか、待ち時間がたくさんあって待ちくたびれるということも無く、絶妙な形で作られていることに感謝した次第です。
July 6, 2024
開催日:2024.7.6(土) 13:00開演場所 :上田高校 第一体育館第67回松尾祭 上田高校吹奏楽班 サマーコンサートに行ってきました。プログラム前半1.学園天国2.LOVE POP SOUL!3.フロンティア・スピリット4.ディープ・パープル・メドレー後半5.情熱大陸6.宝島アンコール7.オーメンズ・オブ・ラブレポート学園天国この曲が世に出たのは今から50年前の1974年。世代的には、団塊ジュニア世代が生まれた頃ですが、その曲が学園祭の真っただ中のコンサートのトップで登場するという状況から、音楽に廃れはないと改めて感じた次第です。LOVE POP SOUL!ウィンズスコア初の吹奏楽のオリジナルポップス作品ですが、トランペットとトロンボーンにソロの見せ場があり、コンサートの1ピースとしてノリもよく良曲と感じました。作曲者は福田洋介氏ということで、アレンジにも定評があることから、そのオリジナル作品がこのような粋な楽曲になるのも納得なところです。フロンティア・スピリット近くで聴いていた中学生と思われる生徒さんが、この曲を聴きに来たと話しているのが聴こえてきたので、上田高校吹奏楽班の演奏をお手本としていろいろなことを学ぼうという狙いが見て取れました。私もこの曲が今年の課題曲で1番のお気に入りなので、その演奏を生で聴くことができ、充実したひとときになりました。ディープ・パープル・メドレーこの曲はニューサウンズインブラス'96に収録されていた曲なので、そこそこ古めの曲になりますが、宝島・オーメンズ・オブ・ラブあたりと並んでスクールバンドの人気曲という印象があります。演出としてサングラスをかけ、パートソリのスタンドプレー演出。そして見せ場のバリトンサクソフォーンのソロは大変お見事で、若さあふれるエネルギッシュな演奏を感じさせていただきました。情熱大陸冒頭にサクソフォンカルテットのアンサンブルがある浜響版(遠藤幸夫氏編曲)での情熱大陸ですが、サクソフォンアンサンブルは絵になるカッコ良さであり、さらに中盤のオーボエソロもノーマイクで渾身の力を込めて演奏されていて、聴き手にぐっと訴えかけるものがありました。宝島最終曲はやはりこの曲!ということで、アルトの第1ソロをバリトンで演奏する変化球があったり、第2ソロはアルトらしい躍動感にあふれ、パーカッションソリはとても賑やか。そして金管群のスタンドソロも元気いっぱいということで、とても楽しく聴かせていただきました。オーメンズ・オブ・ラブアンコールは上田高校吹奏楽班の定番曲と言えそうですが、演出としての振付はかなり激しくてジャンプもあり。ベルアップでは普通は免除されることが多い木管低音もその長い管体を天井に向けて突き上げる様は見ていてハラハラなところもありましたが、リスキーと感じられることにも物おじせず挑戦してゆく姿がとても輝いて見えました。まとめ折からの猛暑で冷房の無い体育感は、大きな扇風機で熱がこもらないように工夫はされていましたが、演奏者の熱気もあいまってヒートアップ感もあり、これぞサマーコンサート!といった雰囲気を楽しむことができました。また1時間ほどのコンサートでも休憩が設定されており、十分な水分補給をすることができたので、熱中症の心配もなく曲を存分に楽しむことができて良かったです。
July 6, 2024
開催日:2024.7.5(金) 19:00開演場所 :中央公民館 大会議室サントミューゼのアーティスト・イン・レジデンス 地域ふれあいコンサートVol.89 南紫音ヴァイオリン・コンサート in 中央地域へ行ってきました。プログラム1.E.エルガー/愛の挨拶2.S.プロコフィエフ/『3つのオレンジへの恋』より「マーチ」3.M.ポンセ/エストレリータ4.A.ピアソラ/リベルタンゴ5.C.フランク/ヴァイオリン・ソナタより第4楽章6.J.マスネ/タイスの瞑想曲7.P.サラサーテ/ツィゴイネルワイゼンアンコール8.A.ピアソラ/アヴェ・マリアレポート愛の挨拶演奏後に南氏よりオープニングの挨拶がわりの演奏です!とのお話がありましたが、この曲は日本人演奏家に人気ということもあり、私自身もつい最近手掛けたことから演奏者視点でも注目して楽しませていただきました。『3つのオレンジへの恋』より「マーチ」プロコフィエフの中では有名な曲とのことで、マーチ特有の前進感が印象的な楽曲と感じました。2分くらいの短い中にとても力強いメッセージを感じるところがありました。エストレリータ歌曲とのことで、演奏に先立って南氏よりその歌詞の朗読があり、その熱い詩が甘いメロディーに対応するものであることを事前に知ることがでました。また前曲のマーチと合わせてヴァイオリニストの王と呼ばれる20世紀を代表するヴァイオリニストのヤッシャ・ハイフェッツによる編曲作品ということで、そのセンスの素晴らしさに対する南氏・秋元氏のお二人によるリスペクトもありました。リベルタンゴピアソラの有名曲ですが、ピアニストの秋元氏から日本のワビ・サビにも通ずるところがあるとのお話で、言われてみれば確かにそうかも!ということでピアソラに対するイメージが少し変わった部分があり、これは新たな発見だと感じました。ヴァイオリン・ソナタより第4楽章7月27日のリサイタルでは、テーマを「光と闇」とし、プログラムにグラデーションを付けているとのことで、その中で光に属する曲が、このフランクのヴァイオリンソナタという位置づけとのお話がありました。そんな中、南氏より今回は第4楽章の抜粋演奏だが、リサイタルでは全楽章を演奏すること。そして演奏家としては、全楽章を演奏して第4楽章に至るのと第4楽章だけ演奏するのとでは、だいぶシチュエーションが変わってくるとのことで、それはドラマでいきなり最終話を見るのと同義なのではないか?ということもあって、抜粋演奏の功罪について少し考えさせられるところがありました。タイスの瞑想曲ヴァイオリンリサイタルではかなり演奏頻度の高い有名曲になりますが、演奏に先立って南氏より曲の背景となるストーリーのお話がありました。それを知って聴くのと知らないで聴くのとでは、想像するものが違ってくる訳ですが、お話の内容から今回は聖なる曲といったイメージで楽しませていただくことができました。ツィゴイネルワイゼンヴァイオリンの名手であるサラサーテは、手がとても小さかったそうで、演奏家にとっては手が大きい方がより遠くの弦まで指が届くので有利というのが一般的な見解のようですが、サラサーテはそれを逆手にとり小さい手だからこそできる超絶技巧を曲に組み込み、このツィゴイネルワイゼンでもそれが絶妙な形で生かされているというお話がありました。このあたり、振り返ってみるとこの曲を弾いているのは女性のヴァイオリニストの方が多かった印象もあり、ある意味演奏者側の事情を知ることができ大変勉強になりました。アヴェ・マリアアンコールは、ピアソラのアヴェ・マリアですが、じつはアヴェ・マリア副題とのお話がありました。またこの曲が使われた映画「エンリコ4世」にも話がおよび、興味をそそられるところがありました。まとめ南紫音氏の演奏を聴くのは2020年のレジデントアーティストとしての3公演(地域ふれあい・アナリーゼワークショップ・リサイタル)、2021年の広島交響楽団の協奏曲のソリストでの演奏以来となりましたが、約3年を経て再び演奏を聴かせていただくことができ、とても懐かしいところがありました。また地域ふれあいコンサートはアーティストと聴衆との距離がとても近く、より親しみも感じるところで改めてサントミューゼのレジデントアーティスト制の素晴らしさを感じた次第です。
July 5, 2024
開催日:2024.7.1(月) 19:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)群響上田定期演奏会2024夏-関連プログラム 室内楽演奏会(弦楽四重奏)へ行ってきました。プログラム1.W.A.モーツァルト ディヴェルティメント K.138 第1楽章2.G.マーラー 交響曲 第5番より アダージェット3.E.W.コルンゴルト 弦楽四重奏曲 第2番 作品26 第4楽章4.R.シュトラウス 弦楽四重奏曲 イ長調 作品2アンコール5.W.A.モーツァルト ディヴェルティメント K.138 第3楽章レポートディヴェルティメント K.138 第1楽章モーツァルトらしいさわやかな曲調がとても印象的でした。MCを担当された太田玲奈氏によれば、モーツァルトの楽曲を取り上げたのは、群馬交響楽団定期演奏会が第600回という節目を迎えるにあたり、上田定期演奏会2024夏でもモーツァルトの6つのドイツ舞曲 K.600を取り上げることもあって、関連プログラムである本公演でも取り上げたとのことでした。交響曲 第5番より アダージェットマーラーの妻であるアルマに贈られた楽曲とのお話かありました。アルマは少女時代から絵画、文学、哲学、作曲に才能を発揮し美貌にも恵まれ多くの芸術家を虜にしていたそうですが、なぜ彼女がマーラーを選んだのか…そのあたりの真相が気になるところですが、よもや贈られたこの曲に魅せられたからだとしたらだいぶロマンチックだな…と想像をふくらませた次第です。弦楽四重奏曲 第2番 作品26 第4楽章アルマは、マーラーが亡くなってからアメリカに亡命し、そこでコルンゴルトに出会い、親交があったというお話がありました。そんな話のつながりがあることと、上田定期演奏会2024夏でコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲が演奏されるということで、それならばコルンゴルトの曲を弦楽四重奏でお届けしますという趣旨での演奏となりました。またコルンゴルトはオーストリア出身なので、ウインナワルツにも長けているとのことでしたが、そんな要素も組み入れつつ、それだけでは終わらないなんとも不思議なワルツの楽曲を楽しませていただきました。弦楽四重奏曲 イ長調 作品2上田定期演奏会2024夏で取り上げられる3曲目R.シュトラウスの家庭交響曲に関連して取り上げられた弦楽四重奏とのことですが、作品2という若い番号からもわかるようになんとR.シュトラウスが16歳の時に書いた楽曲とのことで、16歳にしてこの完成度…さらに太田氏からは、純粋な少年を思わせるところもあるけれど、なにやら悟った16歳のようなところもあるという紹介がありました。余談ながら私の中では、R.シュトラウスといえばなんといってもヴァイオリンのソナタの印象が強いですが、ピアニスト泣かせのため、2022年に奇跡的に3回聴けた後は、2023年は0回、2024年もここまで聴く機会はが無いという状況です。ディヴェルティメント K.138 第3楽章アンコールは、オープニングで演奏したK.138の第3楽章が取り上げられました。プログラム的にモーツァルトで始まりモーツァルトで終わるという形になりましたが、モーツァルトという本の表紙を見て、その後いろいろな作曲家の作品を読み終わって最後にまた裏表紙のモーツァルトを見ているかのようなイメージがありました。まとめこちらの公演は、7/28に行われる群響上田定期演奏会2024夏の関連プログラムとして、本公演のチケットを持っていれば無料で聴くことができるという大変お得な計らいがなされていますが、本公演を強く意識した選曲となっており、作曲者についてのお話も聴けたのでとても良い予習になりました。
July 1, 2024
開催日:2024.6.30(土)13:30開演場所 :長野県松本文化会館大ホール(2,000名収容)2019年以来、5年ぶりに豊科高校吹奏楽部の定期演奏会に行ってきました。プログラム第1部 クラシックステージオープニング ~豊科高校吹奏楽部ファンファーレ~1.序曲「春の猟犬」2.フロンティア・スピリット3.交響詩スパルタクス*** 渡邉義行氏 ゲストステージ ***4.Concerto for Trombone and Military Band(1878)5.Sweet memories《トロンボーン・カルテットのための》6.ユー・レイズ・ミー・アップ第2部 ステージドリル『奏造』7.GRAND MARCH8.銀河鉄道9999.September10.パーカッションステージ/メジャーステージ/ガードステージ11.AURORA BOREALISアンコール12.合唱 ~夢みたものは13.宝島14.ディープ・パープル・メドレーレポート豊科高校吹奏楽部ファンファーレ短いながらも、強奏-弱奏-強奏という曲としての形があり、これから序曲が始まるのか?!と思わせる重厚感のあるファンファーレでした。序曲「春の猟犬」私の中でアルフレッド・リードの御三家という認識がある「アルメニアンダンスパート1」「エルカミーノ・レアル」「春の猟犬」の一角を占める楽曲ということで、8分半ほどの楽曲ですが、3曲の中では一番情景がくっきりと浮かび上がるところがとても魅力的と感じています。また私自身としてはこの曲は練習はしたが、コロナ禍により本番に臨めなかった曲として悔しい想い出があり、そんなこと感じながら楽しませていただきました。フロンティア・スピリット2024年度のコンクール課題曲をこれまで何度か聴いてきましたが、4曲の中でこの曲が一番好きだな…というのが、ここ最近の印象です。クラシックから現代曲までそれこそ音楽には無限の可能性がありますが、その中で、聴いた人を幸せな気持ちにさせる曲というものが、確かに存在するもので、この曲には、その要素があるのではないかと感じるところです。交響詩スパルタクスヤン・ヴァンデルローストといえば、アルセナールというイメージがまず浮かんでくるところですが、この曲はそのアルセナールが作られるより前の1988年に作られたとのことです。吹奏楽の世界では1988年といえばどちらかというと古典の部類に入る認識ですが、多くの古典曲がコンクールではあまり演奏されなくなってしまった中で、この曲についてはいまだによく耳にする印象です。そしてここで演奏されているということは、今年の豊科高校のコンクールの自由曲はスバルタクスということで間違いなさそうなので、改めてその人気ぶりを確認することとなりました。渡邉義行氏 ゲストステージプロのトロンボーン奏者をゲストに迎えて、トロンボーン協奏曲の基本曲として知られるConcerto for Trombone and Military Band(1878)。そして生徒さんたちとのコラボ曲Sweet memories《トロンボーン・カルテットのための》。締めでユー・レイズ・ミー・アップが演奏されました。協奏曲では、トロンボーンらしいパリッとした音色。澄み渡る魅惑の高音。まるで言葉を発しているかのような親しみ感がとても印象的でした。Sweet memoriesでは、豊科高校トロンボーンパートとのコラボとなりましたが、これは渡邉氏の生徒さんたちと是非一緒にコラボしたいという希望からの選曲だったようで、渡邉氏の心意気が伝わってきました。ユー・レイズ・ミー・アップは、よく知られた楽曲ですが、トロンボーンソロで!ということで、とても贅沢なひとときを感じさせていただきました。ステージドリル『奏造』「奏造」をテーマに5曲がノンストップで流れるというステージドリルステージでは、演奏もパフォーマンスもお見事で目が離せないところがりましたが、ステージドリルといえば皆さん楽譜を見ないで吹いている…。ということで、これはどうやって覚えたのか、練習の賜物と言えば確かにそうだとは思いますが、私自身、地元のお祭りで演奏する時にどうしても暗譜しなくてはならなかった時にやっとこ1曲覚えるのが精いっぱいで、一緒にやった方から暗譜の文化がないから厳しいですよね…。という会話があったり、プロの奏者でも金子三勇士氏が「1曲目を覚えて、2曲目に入り、3曲目に入ると1曲目を忘れてしまうので練習は過酷です…。」といったとも聴いており、実際このステージドリルが出来上がるまでの練習は本当に過酷だったのだろうなと思いながら、一瞬も見逃すことがないよう集中して楽しませていただきました。合唱 ~夢みたものは今回、曲名のアナウンスは無かったように思いましたが、豊科高校の伝統曲として絶やすことなく続けられていていることが、懐かしくもあり、失われた5年を取り戻せたような気持ちになりました。宝島アンコール1曲目はおなじみの宝島ということで、大いに楽しませていただきました。ディープ・パープル・メドレーアンコール2曲目は、またまたおなじみのこちらの楽曲ですが、最後の最後でこのキツイ曲をやるということが、社会人バンドには叶わないことなので、改めて若いっていいな!ということを感じるとともに、彼・彼女らに今しかできないことを全力で楽しんで欲しいと感じました。まとめ5年ぶりに訪れた定期演奏会でしたが、2019年と構成がほぼ一緒で、よい意味で伝統をつなげていることを感じました。そして少子化が叫ばれて久しい今日にあって、なんと今年度は31名の1年生を迎えたというお話があり、3年生10名、2年生10名、1年生31名の計51名という大編成バンドの迫力も大いに感じることができました。
June 30, 2024
開催日:2024.6.29(土) 13:20開演場所 :南条小学校音楽堂坂城町音楽愛好会・坂城町公民館が主催する音楽団体の音楽会に行ってきました。プログラム第1部1.坂城コーラス[混声合唱] ・島唄 ・世界がひとつになるまで ・この星の名前は地球2.坂城ミュージックベルの会[ベル演奏] ・野菊 ・びっくりシンフォニー ・星に願いを ・威風堂々3.坂城小学校合唱部[合唱] ・遠き山に日は落ちて ・Believe(ビリーヴ) ・ひろい世界へ4.アルストロメリア[コカリナ合奏] ・どこかで春が ・さくらさくら ・花 ・生まれいずる朝 ・荒地のレクイエム5.村上小学校合唱部[合唱] ・気球にのってどこまでも ・風になりたい ・Wish~夢を信じて第2部5.さかきハッピーブラス(南条小・村上小・坂城小)[金管合奏] ・荒野の七人 ・365日の紙飛行機6.坂城オカリナ教室[オカリナ演奏] ・車にゆられて ・竹田の子守歌 ・通りゃんせ ・エデンの東 ・星に祈りを7.童謡・唱歌を楽しむ会[合唱] 「小さな四季」メドレー ・春がきた ・こいのぼり ・たなばたさま ・海 ・虫のこえ ・冬の夜 ・どこかで春が8.坂城町吹奏楽団[合奏] ・名探偵コナンメインテーマ ・銀の龍の背に乗って ・異邦人レポートコーラスを皮切りに、合唱、ハンドベル、コカリナ、オカリナ、金管バンド、吹奏楽と音楽愛好会に相応しい様々なジャンルの団体が出演し、日頃の活動の成果を発表する舞台としての音楽会と感じました。その中でも坂城町吹奏楽団についてレポートしてみたいと思います。坂城町吹奏楽団昨年10月21日に上田市交流文化芸術センターサントミューゼ小ホールにて結成40周年記念演奏会を開催しました。41年目となる今年は、さる5月18日にこの南条小学校音楽堂において春の定期演奏会2024を開催し、この納涼音楽会ではその演目からよく知られている3曲を抜粋しての出場となりました。名探偵コナンメインテーマアニメソングらしくないサスペンス風の楽曲ですが、いろいろ調べてゆくと意図してそれを狙って作られたとのことで、作曲者があの太陽にほえろのテーマを作った大野克夫氏であることから納得がゆくところです。そして今回演奏されたのは山下国俊氏による編曲版で、音の厚みがしっかりあって吹奏楽らしい重厚感があり、後半にはアルトサクソフォーンのカッコ良いソロの見せ場もあって、1曲目としてまず聴き手の気持ちをしっかり引き付けるにはもってこいの曲と感じました。銀の龍の背に乗って最近NHKの新プロジェクトXが話題になっていますが、そこでクローズアップされているのが、地上の星ということで、にわかに中島みゆきブームが起きている感がありますが、この銀の龍の背に乗っては、中島みゆきの曲の中でも少しマイナー感はあるものの、聴くとその世界観に引き込まれるとても熱い曲!という印象がありました。またこの曲は、Dr.コトー診療所のテーマ曲として知られている訳ですが、離島医療の難しさについて医師だって生身の体なのだから、いつ何があるかわからない…という命題をつきつけられたところで、曲の深さを改めて感じました。異邦人この曲は最初は暗い雰囲気の1メロでスタートするのですが、2メロになった途端パーッと光が差したような明るい曲調に変化するのが、とても特徴的と感じるところがあります。音楽的には転調がかかっているのは間違いないところですが、楽譜上は、フラット2つのまま変わらずで明るくなる部分は臨時記号で対応されています。このあたり、編曲者の山里佐和子氏が意図的にそのように書いたのは間違いないところですが、どのような目的でそうしたのか…難易度を易しくするため?あえて臨時記号にすることで奏者に変化を知らしめるため?など真相を知りたい興味にかられました。余談ではありますが、P.スパークの曲は、いわゆるフラットやシャープがない無調で書かれていることが多い印象がありますが、これもどうしてそうしているのか…調性による音楽の色の変化をあえて隠すことで、別の何かが生まれてくる?などと思いを巡らせたひとときになりました。まとめ坂城町音楽愛好会に所属する団体の交流演奏会という位置づけになる納涼音楽会ですが、今回新団体である坂城ミュージックベルの会が加わり、より幅広い音楽を楽しむことができるようになりました。また昨今、街を歩いていても、子供たちを見る機会がめっきり減ったり、過去は大編成だったスクールバンドが小編成になっていたりと、少子化の進行を肌で感じずにはいられないところなのですが、そんな中で4団体の元気な子供たちの音楽を拝聴できたことが、とてもうれしいこととして感じられました。
June 29, 2024
開催日:2024.6.23(日) 14:00開演場所 :ホクト文化ホール 小ホール (300名収容)2019年以来、5年ぶりの開催となるクラリネットだけで作るオーケストラである長野クラリネットクワイアーの演奏会に行ってきました。また縁あって、今回も演奏者として参加させて頂くことになりましたので、演奏者視点でのレポートも加わります。プログラム第1部1.コンサートマーチ「アルセナール」2.ファンタスティック・ズー!~動物童謡メドレー~3.ディズニー映画「美女と野獣」より美女と野獣、朝の風景(Belle)4.メモリーズ・オブ・ユー クラリネット・ソロ 春山俊介5.「聖者の行進」 for Clarinet choir第2部6.メリー・ウィドウ セレクション7.アンネン・ポルカ 作品1178.山賊のギャロップ9.アルルの女 第2組曲アンコール10.アリオーソ11.クラリネットこわしちゃった編成レポート 本日のクラリネットクワイアーの全編成は下記のようでした。 Eフラ クラリネット 2名 Bフラ クラリネット 28名 アルト クラリネット 8名 バス クラリネット 6名 コントラアルト クラリネット 4名 コントラバス クラリネット 2名また 「東京クラリネット・クワイアー」 「金沢クラリネット・クワイアー 「船橋ブレス・クラッツ」 「クラリネット・フィルハーモニー名古屋」 「浜松クラリネット・クワイアー」 「和歌山クラリネットファミリー」 「松本クラリネット・アンサンブル」 「長野市民吹奏楽団」 「メセナ市民交響楽団」 「世田谷区民吹奏楽団」 「ちるくま音楽隊」 「ウィローウインドオーケストラ」 の皆さんが賛助で参加しておられました。演奏レポートコンサートマーチ「アルセナール」今年に入ってから既に吹奏楽で2回演奏を聴いているおなじみ感のある曲ですが、クラリネットクワイアーの編曲版で聴くのは、2012年の長野クラリネットクワイアー第17回定期演奏会以来となりました。そして2012年当時は観客として聴いていたことから、演奏者の立場では初の取り組みとなりました。印象とすれば、演奏会のオープニングにはピッタリというのは変わらないところで、クワイアー版はこんな感じなのだろうな…という演奏前の想像に近しいところもあり馴染みやすかったです。演奏後に稲垣先生から、曲の作られた背景などのお話もあり、よい知識を得ることもできました。ファンタスティック・ズー!~動物童謡メドレー~曲目解説によれば、サン=サーンスの動物の謝肉祭をもじったパロディー風のメドレーで冒頭部分は、動物の謝肉祭がそのまま使われていますが、ファンファーレの後は雰囲気がガラリと変わり、動物の童謡にまつわる曲が次々と出てくる楽しいメドレーということで、まさにタイトル通り動物園(ズー)を連想させるものでした。演奏にあたっては、やはりその動物をイメージすることが音楽作りには大切ということで、例えるなら大きな動物は重々しく。軽やかな動物は歯切れよくといったことを心掛けながらの演奏になりました。ディズニー映画「美女と野獣」より美女と野獣、朝の風景(Belle)美女と野獣と朝の風景を続けて演奏することにより、ミュージカルの世界をよりイメージさせやすくしたという2曲の組み合わせ、ニューサウンズインブラス96の美女と野獣(真島俊夫編曲版)でプロローグの後に朝の風景が入っており、これがとてもわくわく感のある曲調でいっきに曲を盛り上げてゆくことから、今日もそんなわくわく感を感じながら美女の野獣の世界観を想像しながら演奏を楽しませていただきました。メモリーズ・オブ・ユーベニイ・グットマンが演奏することで知られるクラリネット吹きには憧れの楽曲と言えますが、吹奏楽でもしばしばソロクラリネット奏者をフィーチャーして演奏される人気曲という印象があります。そして今回は賛助出演者としてプロ奏者の春山俊介氏がクワイアーをバックにソロを奏でるということで、大いに注目の演奏となりました。演奏にあたってはバックの音がソロを喰わないように特に気を使いつつも、間奏はしっかり吹くという基本方針がありますが、結果的にマイクを利用してソロを浮かび上がらせることができたので、そこまでソロを喰うことに対して強く気を使うことなく、自然な形でソロを聴ききつつ自らも加わって楽しむことができました。「聖者の行進」 for Clarinet choirおなじみの聖者の行進をいろいろなパートのソロをリレーする形で進むとても楽しい楽曲ですが、私自身は2017年の第22回定期演奏会で演奏したことがあったので、「あの曲だな!」という印象がありました。2017年当時は、アルトのリーダーの方がソロを吹かれているのを聴いている立場だったものが、今回はパート全員でソロ部分をソリにして全員でスタンドして行うという方針が示されたことで状況は一変…。わりと難解なソロなのでより踏み込んた個人練も必要となりましたが、終わってしまえばあっという間ではあるものの、パートの皆さんとの連帯感も生まれてとてもよい想い出になりました。メリー・ウィドウ セレクションおなじみのメリーウィドウのおいしいどころ取りメドレーですが、稲垣先生より作曲者のレハールの生きた年代についてのお話もあり、ウィーン音楽を代表する名曲を歴史的背景にも想いを馳せながら演奏させていただきました。また私自身は、昨年鈴木英史氏の編曲版による吹奏楽版とクラリネットアンサンブル版をそれぞれ演奏したこともあり、今年はクワイアー版ということで、その対比もしつつ、馴染みのあるメリーウィドウの世界を楽しませていただきました。アンネン・ポルカ 作品117演奏に先立って、稲垣先生からヨハン・シュトラウス二世とその兄弟についてのお話もあって、当時の情景を想像しつつの演奏となりました。こちらの楽曲は、ウィーン音楽の代名詞ともいうべきポルカですが、2019年の第24回定期演奏会でも演奏されており、そういった意味では5年間の空白をつないでくれる橋渡しの曲との想いもありました。山賊のギャロップこちらはハイテンポの楽曲ですが、5年前の2019年の東京クラリネットクワイアーの第33回演奏会のレギュラーステージの最終曲として演奏されたこともあって、私的には楽譜にも見覚えあり!だった訳ですが、そんなクワイアーファミリーの縁も感じつつ、振り落とされないようにしっかり捕まって!というイメージで演奏を楽しませていただきました。アルルの女 第2組曲第2組曲より、パストラール、間奏曲、メヌエット、ファランドールの4曲を取り上げることとなりましたが、メヌエットではエスクラリネットが主役。そしてファランドールでは、終盤の金管群のパートを力いっぱい吹いて盛り上げる!といった役割を得て、大編成の強みをここで生かさないでどうする!といった気合も入って、レギュラープログラムの最後がより華々しく締めくくられることとなりました。アリオーソアンコール1曲目はバッハの楽曲。正式名称は、チェンバロ協奏曲第5番BWV1056より第2楽章 ラルゴですが、ファランドールで燃え尽きたところで、力が抜けてよい演奏になる!という感じで、クールダウン的な意味合いも込められた演奏となりました。クラリネットこわしちゃったアンコール2曲目は、2015年の第20回定期演奏会のアンコールでも演奏されたことから、クワイアーにとってはアンコールの定番曲の1つなのかもしれないですが、こちらは作曲者が不詳ということで、先日の上田市吹の定期演奏会でのグリーンスリーヴスと同様、語り継がれた曲なのだと感じつつの演奏となりました。まとめ縁あって、今回も一奏者として演奏に加わらせて頂くことができましたが、演奏会としては2019年の第24回定期演奏会からコロナ禍を乗り越え、じつに5年の歳月を経て行われた第25回定期演奏会という形となった訳ですが、出演者の皆さんとは2019年以前は年1~2回お会いしていた方が多かったのに、それがとつぜん5年の空白ができたことで、ずいぶん長い時間が経ったのだなという想いと同時に再び集って同じステージで演奏会をやれたという喜びを改めて感じたひとときになりました。また私事ですが、ホクト文化ホールの小ホールは、長野県県民文化会館の時代から演奏者はもちろん観客でも一度も入ったことが無く、そのホールに初めて入り、しかも楽屋裏まで知ることができたことがとてもよい経験となりました。
June 23, 2024
開催日:2024.6.19(水) 19:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容)特別編サントミューゼ・ソワレ 西川智也クラリネット・コンサートに行ってきました。プログラム1.R.シューマン:幻想小曲集2.F.シューベルト:『冬の旅』より「菩提樹」3.R.ワーグナー:『ヴェーゼンドンク歌曲集』より 第3曲「温室にて」 第5曲「夢」4.J.ブラームス:クラリネット・ソナタ 第1番 第1楽章 アレグロ・アパッショナート 第2楽章 アンダンテ・ウン・ポコ・アダージョ 第3楽章 アレグレット・グラツィオーソ 第4楽章 ヴィヴァーチェアンコール.F.シューベルト:美しき水車小屋の娘より小川の子守歌レポート幻想小曲集「静かに、感情を込めて」「活発に、軽やかに」「急速に、燃えるように」の3つの小品からなる曲で、ドレスデン宮廷楽団の首席奏者ヨハン・コッテのクラリネット、クララ・シューマンのピアノで初演。ヴァイオリンやチェロで演奏されることも多い楽曲ですが、今回の演奏会のテーマとして挙げられた「ドイツの響き」を象徴する曲として、幕開けでの演奏となりました。R.シューマンがクラリネット向けに書いた唯一の作品ということで、クラリネット奏者にとっては大事な曲とのお話もあり、まずはクラリネットの魅力を存分に楽しませていただきました。『冬の旅』より「菩提樹」西川氏より菩提樹というより街路樹をイメージしていただければ!とのお話がありました。ちょっと想像すると、シューベルトが冬の街を歩いていてふと目にした街路樹から起草した曲というふうに感じられます。楽曲は、暖かいと冷たいが交錯している雰囲気があり、少しつかみどころのない不思議な印象を受けました。『ヴェーゼンドンク歌曲集』よりワーグナーが楽劇『トリスタンとイゾルデ』と並行して作曲した歌曲とのことで、第1曲「天使」、第2曲「とまれ」、第3曲「温室にて」、第4曲「悩み(心痛)」、第5曲「夢」で構成されますが、今回はその中から3曲と5曲が演奏されました。西川氏より、楽劇でも全く同じではないが似た感じで歌われるのでそんなイメージで聴いてみて下さいとのコメントがあり、楽劇の一幕で歌われているところを想像しつつ楽しませていただきました。クラリネット・ソナタ 第1番晩年になり創作意欲が減退し活動を休止していたブラームスが、1891年に知り会った名クラリネット奏者リヒャルト・ミュールフェルトの演奏に感銘を受け、再び創作意欲を取り戻し、立て続けにクラリネット向けの作品を作ったことは、よく知られているところですが、西川氏から内容から見て、おそらく第2番より第1番の方が後に作られたものであろうとのお話がありました。またこの曲は、2022年に横川晴児氏&秋場敬浩氏の演奏によるクラリネット版と鈴木学氏・田村響氏の演奏によるヴィオラ版を聴く機会があったので、2年ぶりに耳にするところでしたが、演奏前に西川氏から「クラリネットソナタではありますがピアノが大変な曲」。ピアニストの三原未紗子氏から「楽章ごとにキャラクターが違う」といったコメントもあり、4楽章すべてを聴くにつけ、その大曲感を改めて感じたひとときになりました。美しき水車小屋の娘より小川の子守歌アンコールは美しき水車小屋の娘の最終曲のこちらの楽曲となりました。メインプログラムのブラームスのクラリネットソナタが大曲で高揚感があっただけに、演じ手・聴き手のクールダウン的な意味合いもあって、とてもおだやかな気持ちになってコンサートの幕を閉じることができました。まとめ私の知る限りでは、サントミューゼの企画にクラリネットが単独で取り上げられたのは初なのかなと思いましたが、そういった意味ではとても新鮮なものがありました。またピアニストの三原氏もクラリネットと一緒に演奏するのは初めてというお話もあって、そこで呼吸感の話もあり、考え見れてみるとヴァイオリンなどの弦楽器はブレスが無いので、管楽器とはいろいろ違うところがもともとあることはわかっていても、実際に合奏してみて初めてわかることもたくさんあるのだなと感じました。
June 19, 2024
開催日:2024.6.16(日) 14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容)上田市民吹奏楽団の定期演奏会に行ってきました。プログラム開演前1.木管アンサンブル 2.ホルンアンサンブル前半1.ハンティドン・セレブレイション2.行進曲「勇気の旗を掲げて」(2024年度全日本吹奏楽コンクール課題曲1)3.風がきらめくとき(2024年度全日本吹奏楽コンクール課題曲2)4.ダンソン第2番後半5.吹奏楽のための第一組曲6.グリーンスリーブス7.オペラ座の怪人アンコール8.威風堂々第1番9.夕焼け小焼けレポート開演前アンサンブル大ホールのエントランスにて2チームがウエルカム演奏を行いました。ホルンが加入した木管アンサンブルと、ホルンのみのアンサンブルでしたが、それぞれエントランスの左と右といった感じで演奏場所を分けて演奏する形となっており、広いエントランスをうまく利用していると感じました。ハンティドン・セレブレイション曲目解説によればイングランド東部を本拠地とするハンティンドンシャー・コンサート・バンドの創立10周年を記念して作曲された楽曲で「狩猟者の丘」を意味しているそうで、初夏のこの時期の季節感を彷彿とせ、これから始まる演奏会のわくわく感を出させてくれるものがありました。行進曲「勇気の旗を掲げて」曲目解説によれば2分の2拍子のシンプルな行進曲とのことですが、印象として過去の課題曲であるマーチ・ハローサンシャイン(1987-E)とピッコロマーチ(2007-1)の一部分を連想させるようなところがあり、あるいは作曲者はこの2曲にインスピレーションを得て、イメージとして組み入れたのかも…などと感じつつ楽しませていただきました。風がきらめくとき曲目解説によれば、曲目タイトルが春の季語「風光る」をアレンジした言葉とのことで、いわゆる春曲との認識を得ました。そしてこの曲の特徴すれば「暖かいサウンド」が根底にたゆっていて、とても穏やかな気持になれる癒しの曲という印象がありました。ダンソン第2番曲目解説によれば、メキシコの現代音楽作曲者であるマルケスが、メキシコで広く親しまれている「ダンソン」というキューバ発祥のダンス音楽からインスピレーションを得て作った曲とあり、終始ダンソンのリズムが支配する形で統一感があり、現代音楽としてはメロディーが明確なので、聴いた後耳残りがする曲でありました。吹奏楽のための第一組曲1909年頃には既に演奏されていたという100年以上の歴史を持つ吹奏楽の古典曲ですが、シャコンヌ、間奏曲、マーチの3曲から構成される組曲ということで、私自身も過去に何度か演奏したことがあり、その当時の想い出を懐かしく感じながら楽しませていただきました。グリーンスリーブス今回の演奏会のテーマは「イギリス」ということで、このグリーンスリーブスもイギリスを代表する曲の1つと言えますが、ここで作曲者不詳についてのお話があり、じつは世の中には意外と作曲者不詳の曲がたくさん存在する…ということで、例として数曲挙げられましたが、グリーンスリーブスもその1つということで、なるほどというところです。オペラ座の怪人曲目解説によればミュージカルの金字塔「オペラ座の怪人」は、1986年の初演以来、世界各地でロングラン記録を打ち立てているということで、その歴史は40年に迫るものがあります。そしてこのヨハン・デ・メイの編曲による7曲が入ったメドレーは、私自身も過去に演奏したことがあるのですが、とてもドラマチックでオペラ座の怪人の世界観をとてもよく表しており、曲として大変素晴らしいと感じました。さらに昨年、バリトンの大山大輔氏による「The Music of the Night」を生歌で拝聴する機会もあって、いろいろな体験を脳内で総動員しつつ、演奏を深く楽しませていただきました。威風堂々第1番アンコール1曲目は、イギリスといえばやはりエドワード・エルガー!ということで、おなじみのこちらの楽曲の演奏となりました。2カ月ほど前に同じエルガーの愛の挨拶を演奏した縁もあって、エルガーのことをいろいろと調べていたこともあって、より親しみがわくひとときとなりました。夕焼け小焼け上田市吹の定期演奏会のフィナーレは鉄板とも言えるこの曲ですが、記念すべき第1回定期演奏会のプログラムの1つで演奏され、2回以降はずっとアンコールで演奏されてきた歴史ある曲ということで、そう考えると今回が第47回なので、47年という長い年月を変わらずに演奏されてきたのは本当に偉業であると思わざるを得ないところでした。まとめ市民バンドは練習時間の制約もあって年1回の演奏会のところが多いのですが、そんな中にあって上田市民吹奏楽団は春の定期演奏会と冬のポップスコンサートと2公演を行っており、地域の皆さんに音楽文化向上の機会をより多く提供していると言えます。だからと言ってスクールバンドのように毎日のように練習している訳ではなく、週2回、各2時間という、限られた時間の中で練習をされているとのことなので、きっと効率の良く時間を使っているのだろうと感じました。
June 16, 2024
開催日:2024.6.15(土) 10:00開演場所 :信州国際音楽村 ホールこだま(300名収容)&野外ステージ信州国際音楽村 開村37周年記念 信州ルネッサンス2024野外フェスティバルに行ってきました。プログラム野外ステージ会場1.式典オープニング・依田保育園2.式典エンディング・音楽村少年少女合唱団3.丸子中央小学校金管クラブ4.丸子北小学校金管部5.丸子中学校吹奏楽部6.ナネア フラ7.レア フラ マーラマ8.ポーマイカイ9.dance studio PEEPS(ピープス)10.Studio POP(スタジオポップ)11.丸子北中学校吹奏楽部12.真田つわもの隊13.和太鼓サークル和(NAGI)14.上田ベリーダンス レイミーズ15.上田市消防団音楽隊16.スペシャルコンサート#ブラスシンデレラ ・ブロックM ・トランペットラブレター ・たなばた ・宝島ホールこだま会場1.おやき2.オカリナハーモニー3.長野二胡楽友会4.UWAフルートアンサンブル/フルートアンサンブルFilare5.UWAクラリネットアンサンブル/らららクらリネット6.UWAトロンボーンアンサンブル7.マンドリーノ 青いくるみ8.音楽村 ギターアンサンブル9.ミッチー&サーヤ10.雅楽の魅力を広める会11.コスモスターズ ジャズオーケストラ12.Yuraq Orqo(ユラック オルコ)13.剣扇塾14.殺陣集団 陸15.信州国際音楽村尺八講座16.エンディングアクトレポート昨年よりもさらに出演・出店が増え、過去最大規模となり、キッチンカーや各種販売テントが敷地いっぱいに展開されるという賑わいを感じさせる信州ルネッサンスとなりました。パフォーマンスステージは、野外ステージ会場とホールこだま会場の2会場で同時に進行するのでどちらかを選んで鑑賞する形となります。おおよそ、大編成のチームはパノラマ会場、小編成のチームはこだま会場という感じですが、今回はクラリネット関連の演奏と#ブラスシンデレラスペシャルコンサートでの演奏と出演団体のいくつかの発表を鑑賞いたしました。UWAクラリネットアンサンブル例年9月に行われる上田-ウィーンアカデミーのクラリネットパートによるアンサンブルですが、アカデミーの指導役である廣田喜美先生のもと、教室の発表会や地元ワイナリーイベントでの演奏などで発表の機会を広げてきたこともあり、今年はアイネクライネナハトムジークより第1楽章/モーツァルトと喜歌劇「こうもり」セレクション/シュトラウス2世の2曲の披露となりました。また後半は、廣田先生以下4名の皆さんがらららクらリネットのユニット名にて、先日のMUSIC RAUM発表会でも演奏された2曲が披露されました。UWAトロンボーンアンサンブル市村信持先生のMCのもと、チロルからの挨拶、アウグスブルグの讃美歌、カンツォーナ(マリーニ)、ロンドンデリーの歌、ラッサストロンボーンの5曲が演奏されました。トロンボーンという楽器は教会での使用が起源という歴史の振り返りで讃美歌。スライドで音程を変化させるという機構から、他の楽器にはできないスムーズなグリッサンド奏法ができるという点を生かしたラッサストロンボーンがとても印象的でした。上田市消防団音楽隊ケセラセラなどのJ-POPのヒット曲の演奏や、ジャンボリミッキーでの振付など馴染みのある楽曲でまとめられており、団員募集のノボリなども音楽隊らしい演出と感じました。スペシャルコンサートサクソフォーン奏者でスーパーコモロウインドオーケストラの指揮者でおなじみの小山弦太郎氏による指揮のもと、ゲストにピアニストの金子三勇士氏とズーラシアンブラスからホワイトライオンさんを迎えて4曲の演奏となりました。↓ブロックM吹奏楽の古典曲とも言うべき歴史のある曲ですが、冒頭の感じが2008年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲のブライアンの休日と似ている…ということが関係者の間でよく話題になるところですが、ここまで本家本元のブロックMを演奏する機会が無かったので、そのあたりの吹奏楽あるあるも含めて練習からじっくりと曲に触れさせていただきました。曲の前半は冒頭のファンファーレの勢いを継承する形で進む感がありますが、Trioからは波がひくような静けさとなり、小山氏の指導では人にたよるイメージで、全体としてppになるように、しかし細かい音符ははっきりと…といったところでメリハリのきいた音楽の基本を学ぶのにとてもよい曲と感じました。トランペットラブレターホワイトライオンさんのために書かれた楽曲ですが、今回金子三勇士氏とコラボするために、作曲者の石川亮太氏が新アレンジを作成したとのことで、いわゆる世界初演演奏となりました。楽曲は、冒頭の12小節が金子三勇士氏のソロとなっており、曲の中盤でもピアノパートがソロに絡む部分があったりと、本当にスペシャルなアレンジと感じました。演奏にあたってはゲストお二人のあまりにもステキなソロ演奏にどうしても気を取られてしまい、出遅れや見失いといったことが起きやすいところではありましたが、そこはしっかりとバンドの役割を果たさなくてはということで集中力を高めての演奏となりました。たなばた演奏に先立って小山氏から「たなばたというタイトルからそれぞれのイメージでドラマを組み立てて聴いてみて下さい。」というコメントがあり、音楽の楽しみの大きなところは人それぞれに自由に想像をふくらませることができるところかなと改めて感じました。また偶然ではありますが、私自身たなばたは2月に所属楽団でも演奏したのですが、その時とは違うパートになったこともあり、同じ山を登るにも見える景色が全く違う感じで、ある意味とても新鮮な気持ちで楽しむことができました。また7回あるブラスシンデレラの練習で、7割近い練習時間(この曲しかやらなかった日もあり)を費やした印象もあり、まさにブラスシンデレラの総力結集といった演奏となりました。宝島ゲストプレイヤーの金子三勇士氏、ホワイトライオンさんが加わり、全員での演奏となりました。おなじみのアルトサクソフォーンのソロ1は、アルトサクソフォーン全員で。ソロ2は、小山氏のソロでの演奏となり、Hからの金管のスタンド。リピート後は全員でのスタンドでの演奏となりました。宝島はそれこそ多くの演奏会で耳にする人気曲ですが、ピアノパートが入るのは珍しく、さらに今回は金子氏のアドリブも入っている模様で、相当に豪華な演奏になった感がありました。まとめ午前中から夜まで目一杯に発表予定が入っており、まさに信州ルネッサンスという名に相応しい充実したイベントという感がありました。また今回も出店がかなり広範囲で多数されており人手も大変賑やかでした。そして今年から新たに出店したSEKIDO錆作所/umatacoのタコライス弁当をいただき、さらにパティスリーRuRuの信州産いちごを使ったいちごクレープと和風なお味の抹茶クレープをそれぞれいただきましたが、物価高でもうれしい値段据え置き350円というリーズナブルな価格もさることながら、肉厚で食べがいがあり、今年もそのおいしさを堪能させていただきました。
June 15, 2024
開催日:2024.6.8(土)14:00開演場所 :長野県民文化会館大ホール(2,173名収容)2015年以来、9年ぶりに長野西高校吹奏楽班の定期演奏会に行ってきました。プログラム第1部1.勇気の旗を掲げて2.フロンティア・スピリット3.Redline Tango第2部4.映画「君の名は」ステージ第3部5.ディスコ・キッド6.オーメンズ・オブ・ラブ7.サマータイムシンデレラ8.We are confidenceman9.Soranji10.ディスコパーティー2アンコール11.宝島レポート※大変恐縮ながら、都合により3部からの鑑賞となりましたので、3部からの部分レポートとなります。ディスコ・キッドプログラムに記載はありませんでしたが、ステージオープニングの挨拶といった雰囲気での演奏となりました。曲の途中で3部司会の挨拶が入る形でうまくまとめられており、さらにペンライト配布が曲中で行われるサプライズがありました。オーメンズ・オブ・ラブ恋の予感を意味する楽曲ですが、ビート感のしっかりきいたドラムスのもと強くロック感を感じる演奏と感じました。サマータイムシンデレラ恋の予感つながり!ということで、テレビドラマ「真夏のシンデレラ」の主題歌である緑黄色社会の楽曲の演奏となりました。ソロプレーもあり、J-POPらしいポップなノリがとてもほっこりする楽曲と感じました。We are confidenceman欲望や金をテーマに3人の詐欺師が活躍するドラマ「コンフィデンスマンJP」の曲ですが、「目に見えているものが真実とは限らない…。」という思わせぶりなコメントがあったりと謎を彷彿とさせる雰囲気がありました。こちらの楽曲でもトランペット、クラリネット、トロンボーンによるソロプレーが登場し、大いに盛り上がりました。Soranji吹奏楽班の想い出ムービーとともに演奏されました。また先ほど配布されたペンライトの使用もこちらの曲でという案内がありました。曲の中盤からは三年生7名の紹介が行われ、バラード調の感動的な楽曲の雰囲気の中、しみじみと活動を振り返るひとときになりました。ディスコパーティー22004年リリースのニューサウンズインブラス第32集のディスコ・パーティー2は、ホット・スタッフ~ヴィーナス~ジンギスカンの3曲が収録されており、2003年のディスコ・パーティー1と2005年のディスコ・パーティー3と合わせてディスコ・パーティー3部作の真ん中の作品という形になりますが、もしかすると一番難しいのでは?と感じるポリューム感に圧倒された次第です。宝島ディスコ・パーティー2の後、続けてアンコールに突入しましたが、なんと演奏者が客席に降りてきてバラバラの位置で演奏するというサプライズがありました。こういった芸当はよほど曲に慣れていないとできないものと思うので、お見事と感じました。そしてアルトサクソフォーンの2回目のソロは、指揮台に乗って演奏するなど、あるものを上手に利用して最大の演出効果を上げる工夫がとても素晴らしいと感じました。まとめ今回時間の都合により1部・2部を拝聴できなかったことは大変残念でしたが、途中からでもスムーズに入場できるようスタッフを配置されていて、次の演奏開始時間までアナウンスしていただきとてもありがたかいと感じました。短い時間ではありましたが、とてもよいひとときを楽しませていただけたことに感謝です。
June 8, 2024
開催日:2024.6.8(土) 13:30開演場所 :ホクト文化ホール 中ホール(984名収容)長野市立長野高校吹奏楽部の第12回定期演奏会に行ってきました。プログラム第1部1.アルセナール2.2011年度課題曲2 天国の島3.喜歌劇「こうもり」セレクション第2部4.楽器紹介のためのファンタジーメドレー5.J-BEST '23 ~2023年J-POPベストヒッツスペシャルメドレー~6.J-BEST ~日本を勇気づける名曲たち~(中学・高校合同ステージ)第3部7.INB and 高校文化部コラボショー!8.愛を込めて花束を9.ジャンボリミッキーアンコール10.オーメンズ・オブ・ラブレポートアルセナール先週の演奏会に続いてこの曲がオープニングということで、変わらぬ人気ぶりを感じるとともに、少編成であっても音がしっかり出ている骨太感があり、クリアな演奏がとても心地よく感じました。天国の島感じとすれば、過去課題曲ではさくらのうたの次くらいによく演奏されている印象がありますが、改めて聴いてみると、冒頭のスレイベルの涼しげな音色がとてもいい味を出していること。テンポアップしてからの疾走感がとても格好良いこと。中間部の重厚感。各パートにソロが散りばめられ見せ場もあることが、演奏会向きの曲だなと思いました。喜歌劇「こうもり」セレクション鈴木英史氏のセレクションシリーズは、本当においしいところ取りでよくできていると感じますが、ちょうど今私自身がこの曲のクラリネット版を取り組んでいることもあって、曲の構造もよく似ているので、より親しみを感じながら楽しませていただきました。楽器紹介のためのファンタジーメドレーディズニーのいろいろな楽曲を楽器紹介のために連ねた楽曲で、ディズニー好きにはたまらないところと思いますが、私自身が昨年この曲を演奏した経験から記憶に新しいこともあって、パートのソリでのスタンドプレーの緊張感や、リレーされるさまざまなパートのソリの雰囲気を懐かしく楽しませていただきました。J-BEST '23 ~2023年J-POPベストヒッツスペシャルメドレー~2023年のヒット曲が15曲連なるまさにスペシャルなメドレーですが、ぱっとわかったのがすずめ feat.十明と愛の花の2曲で、自身のJ-POP離れを感じざるを得ないところでしたが、改めてその年の流行りは知っておいた方が良いのかなと感じた次第です。J-BEST ~日本を勇気づける名曲たち~市立長野中学校吹奏楽部と市立長野高校吹奏楽部の合同ステージでの演奏となりました。中高一貫校は、高校の敷地内に中学校が併設される形で増えてきているようですが、高校生・中学生ともに交流による良い刺激があるとのことで、今後ますます増えると良いなと思うところです。そして楽曲は90年代~00年代のJ-POP全盛期の名曲を集めたもので、どちらかというと演奏している高校生・中学生の親世代にマストな曲という印象がありますが、そもそも1800年代の曲がクラシックとして日常的に楽しまれているのが音楽というものなので、演奏している皆さんもおそらくこの名曲たちに触れ、古い曲といった印象は持っていないのではなかろうか?と感じた次第です。INB and 高校文化部コラボショー!1曲目の魔女の宅急便メドレーでは、市立長野中学・高校音楽部とのコラボで、音楽部の皆さんは、指揮をする先生を含めて全員がキキの頭リボンを身に着け、メドレーのエンディングとなる「優しさに包まれたなら」で素晴らしい合唱のコラボがありました。2曲目のとなりのトトロでは、市立長野高校演劇部とのコラボで、めい・さつき・トトロ・お父さん・友達の5人がキャストとして登場し、曲間で作中のシーンの寸劇が披露され、トトロの世界観をより楽しむことができました。愛を込めて花束を部長挨拶を組み込む形での演奏となりました。来場への御礼、顧問の先生方への御礼、二年生・一年生への御礼、三年生の紹介、これからの活動への抱負が語られ、選曲とともに楽曲の尺をほぼ使い切る形でとてもうまくまとめられていると感じました。ジャンボリミッキー冒頭のジャンボリミッキー!のかけ声は、聴衆とともに!ということで、かけ声の練習を2回してからの演奏開始となりました。また振付をつけての立奏での演奏ということで、賑やかで盛り上がり感が半端ないところでした。オーメンズ・オブ・ラブアンコールは「恋の予感」を意味し、宝島に次ぐアンコールの定番曲という印象のある、いずれも真島俊夫氏による編曲により原曲よりはるかに豪華になったことで知られるオーメンズ・オブ・ラブで大きく盛り上がってのフィナーレとなりました。まとめ3つのステージでそれぞれ特徴を持たせる中で、中高合同ステージ、吹奏楽部と音楽部・演劇部とのコラボステージと見どころ聴きどころ満載の演奏会で、さらに表紙を含めて14ページに渡る演奏会パンフレットも曲紹介、パート紹介が読みやすい文字の大きさとレイアウトでまとめられており、素晴らしいと感じました。
June 8, 2024
開催日:2024.6.2(日) 13:30開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容)上田染谷丘高校吹奏楽班 第35回定期演奏会に行ってきました。プログラム開演前A.木管五重奏 brilliant DancesB.金管八重奏 四神降り立つ街に第1部1.行進曲「春」2.フロンティア・スピリット3.M-Vミッション4.乱世の神威 幸村第2部 染吹シネマズ5.サウス・ランパート・ストリート・パレード6.シネマトリロジー~Sky Flight~(ジブリメドレー)7.コードブルー8.輝く未来9.ハリーポッター10.Sing Sing Sing第3部 マーチング11.SHOW ME HOW YOU BURLESQUE12.RUN A WAY BABY13.楽器紹介のためのミッキーマウスマーチ14.パレコンメドレー(海の男達の歌~知恵を持つ海)アンコール15.宝島レポートbrilliant Dancesパンフレットにはロビーコンサートと記載されていましたが、ステージ上での演奏となりました。私的にはロビーコンサートは、いわゆる「づく」が出なくて聴くことなく見送ってしまう方も多く見受けられるので、よりたくさんの方に演奏を聴いていただくためにもこの変更は良い選択と感じました。曲は細かい音符が多い印象ですが、作曲者がダンス曲で定評のある福田洋介氏ということで、こんな曲も作っていたのかと興味深く聴かせていただきました。四神降り立つ街に金管らしいパリッとした音色がとても心地良い演奏で、トランペット×3、ホルン×1、トロンボーン×2、ユーフォニアム×1、チューバ×1という編成から、バランス的にトランペットが浮き上がる曲と感じました。行進曲「春」オープニングは、2019年のコンクール課題曲で福島弘和氏の作品ですが、公募作品ではなくプロの演奏家に委嘱して作られた作品ということで、曲の内容的にとてもよくできている印象があります。特に曲の中盤にある緑のトンネルをイメージさせる部分がよい味を出しており、これからやってくる春のわくわく感が演奏会の始まりのわくわく感に通づるところがあって、とてもよい選曲だと感じました。フロンティア・スピリット染吹が夏のコンクールで演奏する今年の課題曲ですが、これまで2024年の課題曲4つを何度か聴いた中では、これが一番楽しい気持ちになれる曲かなと感じるようになりました。また演奏比率で行けば中高生が演奏する機会が多いコンクールの課題曲だけに、いわば未来への希望をイメージさせる曲は本当にいいものだなと思うところです。M-Vミッション染吹が夏のコンクールで演奏する自由曲とのことですが、「M-V」はミューファイブというロケットを打ち上げて小惑星のサンプルを採取し、地球に戻ってくるというミッションをイメージして作られたとあり、これは現実に存在する「はやぶさ」をモチーフにしているのだろうと推測されます。ちょうど先月にJAXAの宇宙科学研究所へ見学に行ってはやぶさが持ち帰った小惑星のサンプルを実際に拝見する機会があったこともあり、より具体的なイメージを持って曲を楽しむことができました。乱世の神威 幸村染吹の今年のマーチングパレードコンテストで演奏する曲とのことで、幸村が最も華々しく活躍する大阪夏の陣を描いた楽曲です。信州上田といえば真田の里ということで、まさにご当地曲というイメージが強く親しみを持って聴かせていただきました。余談ながら私も2019年にこの曲を演奏したことがあり、もう5年前なので楽譜までは思い出せずでしたが、当時の盛り上がり感を懐かしく回想することもできました。サウス・ランパート・ストリート・パレード第2部は染吹シネマズということで、映画館でいろいろな作品を見て回るというストーリーのもとプログラムが進みましたが、導入部から東宝シネマズをイメージした作りになっていて、そのクオリティーに度肝を抜かれるところでした。またこの曲では、1年生による伝統のダンスも飛び出し、まさにイッツ・ショータイム!と感じました。シネマトリロジー~Sky Flight~(ジブリメドレー)おなじみのジブリの楽曲から、「空」に注目した曲がメドレーになった曲とのことですが、それを象徴する1曲としてホウキで空を飛ぶ魔女の宅急便が特に印象的で、演出としてキキが登場してトンボと楽しく談笑する様子がとても微笑ましいと感じました。コードブルー日本の医療ドラマの草分け的存在のコードブルーのテーマ曲ですが、サントミューゼにドクターヘリがやってくるという設定での演奏となりました。演奏中に医療チームがステージに走って登場してくる演出が入り、臨場感がとても高く、視覚と聴覚で大いに曲の世界観を感じることができました。輝く未来演奏前にステージの前方にたくさんのランタンが用意され、その温かな光の中での演奏となりました。またこの曲では、ガード隊が登場し、その優雅な舞にも魅了された次第です。ハリーポッター曲目解説によれば1990年代のイギリスを舞台にした作品とありましたが、私自身90年代は21世紀への期待と不安を抱えながら過ごした時代であり、当時の世相なども想い出しながら楽しませていただきました。またこの曲では演出で魔法使いも登場し、その装いのちょっと怪しげな雰囲気が曲想にもぴったりとはまっていて素晴らしいと感じました。Sing Sing Sing染吹定期演奏会の大きな特徴である舞踊班の演出が入りました。ジャズの名曲ということで、曲のイメージに合わせた舞踊班の黒系の衣装と舞いがステージ上でよく映えていて、大きく盛り上がりました。また演奏でもクラリネットやトランペットのソロが入り、こちらもお見事でした。SHOW ME HOW YOU BURLESQUEここからはマーチングステージということで、オープニングはバーレスクラウンジというアメリカのクラブを舞台にしたミュージカルバーレスクからの1曲とのことで、聴衆の心をいっきにつかみ取るような勢いを感じました。RUN A WAY BABYマーチング2曲目は、「逃げるんだかわいい子猫ちゃん。俺のトリュになる前に!」というメッセージが込められたグルーノ・マーズの名曲という紹介がありましたが、この曲の背景には自分はプレイボーイだから一夜限りのおつきあいしかしないよとあらかじめ宣言し、それでも良ければついてきな!といった意味があるとのことです。楽器紹介のためのミッキーマウスマーチこの曲のテーマは、全員が主役とのことで、楽曲の特徴である楽器紹介を意識したソリをうまく利用してコンテを作っている感じがありました。また1年生のマーチングデビュー曲でもあり、歩くだけでも精一杯というコメントもありましたが、わずか2カ月弱の間にここまでやりきる心意気に大いに感心した次第です。パレコンメドレー(海の男達の歌~知恵を持つ海)昨年のパレードコンテストで演奏した2曲をメドレーにした楽曲で、東海大会で演奏したという実績もあって、とても高いクオリティーを感じました。紹介文によれば、毎年夏の終わりから始まる練習は辛いことや苦しいことがたくさんあります。というコメントがあり、いわば二重苦…。その後に本気の努力や執念は本当に大きな力になることを学んだとあり、班員の皆さんがマーチングを通じて大きく成長した実感を得ていることがよくわかりました。宝島アンコールは定番のこの曲ですが、マーチングの宝島は一味も二味も違うもので、これぞマーチング宝島という形で楽しませていただきました。まとめおおよそ2時間半の公演でしたが、開演前のステージコンサート。1部の座奏。2部のシネマ。3部のマーチングという曲だけでも17曲という盛ったプログラムなのに、2部ではかなり凝った映像とダンスやキャラクターによる演出。極めつけは舞踊班の踊り。3部では動きに魅せられるマーチングと、見どころ聴きどころ満載と感じました。
June 2, 2024
開催日:2024.6.2(土) 13:00開演場所 :長野県松本文化会館大ホール(2,000名収容)2012年以来、12年ぶりに松本蟻ヶ崎高校吹奏楽部の定期演奏会に行ってきました。プログラム第1部1.アルセナール2.2024年度全日本吹奏楽コンクール課題曲3番 メルヘン3.「ダフニスとクロエ」第2組曲(全曲)夜明け~全員の踊り第2部【ブラックライト劇】「オズの魔法使い」フルートアンサンブル魔女の宅急便メドレー【演出ステージ】白雪姫のアリえない1日第3部4.2024年度全日本吹奏楽コンクール課題曲4番 フロンティア・スピリット5.さくらのうた6.ディスコキッド7.ケセラセラ8.Happiness9.宝島10.合唱 Story11.復興(カット版)アンコール12.I should be so luckyレポートアルセナールオープニングにもアンコールにもよく合うヤン・ヴァンデルローストの代表曲ですが、これから始まるコンサートの期待感を感じさせるとてもステキな演奏でした。メルヘンここ最近の演奏会で何度か耳にしてきた楽曲ですが、楽曲紹介によればテンポや拍子が目まぐるしく変わるのが特徴的とあり、思い当たるところでは同じ酒井格氏の七五三を連想しました。七五三は、私自身も取り組んだことがありますが、奏者もそうですが、なにより指揮者が大変…。そんなパズルのような要素がこのメルヘンにも入っているということで、怖いもの見たさで楽譜がどうなっているか見てみたいと感じた次第です。「ダフニスとクロエ」第2組曲(全曲)夜明け~全員の踊り松本蟻ヶ崎高校吹奏楽部は、2016年のコンクールにおいてこの曲で県代表を掴んだという歴史がありますが、コンクールの自由曲の定番として演奏され尽くし、審査されるという観点からすると、ある意味ガラス張りのような曲という印象もある中で、再びこの曲にトライする心意気を感じました。そしてしばらく聴いていなかったダフクロについて、こんな曲だったなと懐かしく楽しませていただきました。【ブラックライト劇】「オズの魔法使い」12年前に定期演奏会を聴かせていただいた際は、ブラックライト演出のスーパーマリオブラザーズという演目でしたが、今回は音楽劇のオズの魔法使いということで、気分を盛り上げる音楽とともに心温まるストーリーが展開されました。音楽とナレーションのかみ合いなど細部まで本当によく作り上げられていて、ブラックライトの独特な視覚効果とともに大いに楽しませていただきました。魔女の宅急便メドレー舞台転換の時間を生かして、ステージ横の張り出しでフルートアンサンブルの演奏となりました。魔女の宅急便メドレーはアンサンブルとしていろいろな編成が出ていますが、フルートはあまり聴いたことかなかったので、とても新鮮な気持ちで楽しませていただきました。【演出ステージ】白雪姫のアリえない1日アリえないというところが校名の「蟻」にかけているのかなと思いましたが、キャストとして白雪姫(白雪姫・王子・小人)、ガーズ、チャーリーとチョコレート工場、パイレーツ・オブ・カリビアン、ゴーストバスターズが登場し、道に迷った白雪姫がいろいろな旅をするオリジナルストーリーで、先がわからない分、次は何が登場するのかというわくわく感がすごくありました。またステージ中では、ストーリーに合わせてくるみ割り人形から金平糖の踊りやパイレーツ・オブ・カリビアンなどが演奏され、大いに楽しませていただきました。フロンティア・スピリット未来を切り開き挑戦する意味が込められている楽曲とのことで、フロンティアという言葉だけを取り上げるとかつて存在したアメリカ西部の開拓時代を彷彿とさせるものがありますが、楽曲紹介によれば吹奏楽コンクールの課題曲としては数少ない式典行進曲をイメージした曲とあり、予感ではありますが、コンクールが終わった後でも式典や壮行会などで演奏される機会がありそうと感じました。さくらのうた今年に入ってから既に何回か耳にした印象がありますが、相変わらずの人気課題曲ぶりを再確認した次第です。この曲の売りとして各パートにソロが点在していることがあると思いますが、特にホルンとトロンボーンがリレーするところが強く印象に残るようで、今回も演奏後にホルンとトロンボーン奏者がスタンドして一礼するサプライズがありました。ディスコキッド曲目解説によれば1977年の課題曲Cとのことですが、そもそも課題曲にドラムセットが登場するということがめずらしいことなので、課題曲らしくない課題曲というイメージがあります。またこの曲は、聴く分には楽しくて良いが、演奏するとなるとなかなかの難易度であり、安易に選曲すると練習時間を取られてしまうことがあり、そういった面ではよくぞ取り上げていただいた!という称賛の気持ちです。ケセラセラ~Happiness今回、ポップスとして「私は最強」「ケセラセラ」「タイムパラドックス」「Happiness」の4曲から来場者のリクエスト投票によって2曲演奏するという方法が取られました。ロビーに投票場が設けられていて、4曲の曲名の下にシールを貼るようになっていましたが、そのボードを見るとケセラセラとHappinessが多くシールが貼られているかな…と感じていたところ、やはりその2曲が選ばれての演奏となりました。宝島楽器を持ってきた中学生が加わっての演奏となりました。注目のアルトサクソフォーンのソロは、サクソフォーン奏者が全員でステージ前に出ての演奏で、大変豪華と感じました。先週の野沢北高校の定期演奏会でも中学生との合同演奏がありましたが、改めて中高の縦の交流が積極的に行われている様子を感じ取れた次第です。合唱 Story全員での合唱となりました。曲の中盤で部長挨拶が入り、コロナ禍後の制限の無い定期演奏会作りについての想いなどが語られ、改めて2020年から3年間続いたコロナ禍という時代がやっと終わったという実感をしみじみと感じ、自分自身の行動の変容についても考えさられました。復興(カット版)演奏に先立って司会の方から「この作品を演奏させていただくことは私たち高校生にとってとても意味のあるものになった。」とのコメントがありましたが、改めてこの曲について調べてみると、技術的にそこまで難しい曲ではないが、奥が深いため練習に終わりが見えないということで、その奥深さを学生の皆さんが感じ取った上でのコメントなのだろうと感じました。I should be so luckyアンコールは、パートごとに色を揃えたポンチョを着るという見事なコーディネートをしての演奏で、華を感じるフィナーレとなりました。まとめ少子化が話題になる中、高校の吹奏楽部の人数も減少し、単独ではバンドを組めないところが増えているように感じますが、そんな中で松本蟻ヶ崎高校吹奏楽部は56名のメンバーを擁し、編成上でもバスクラリネット3名、バリトンサクソフォーン3名、バスーン2名と木低の充実ぶりは目を見張るものがありました。またダフニスとクロエでは、ハープの2台演奏もあって、終始その人数に圧倒された演奏会でした。
June 1, 2024
開催日:2024.5.26(日) 13:30開演場所 :小諸市文化センター(712名収容)野沢北高校吹奏楽班 第107回定期演奏会に行ってきました。プログラム第1部1.五月の風2.アルヴァマー序曲3.井斐川に流るるクシナダ姫の涙佐久穂中学校吹奏楽部による演奏4.怪獣の花唄5.Happiness木管アンサンブル6.私のお気に入り第2部7.銀河鉄道9998.Paradice Has No Border9.Sing Sing Sing金管アンサンブル10.ドラえもん木管アンサンブル11.三日月第3部12.スーパーマリオブラザーズ13.愛の歌14.Music From JURASSIC PARK15.唄16.千と千尋の神隠しハイライト17.ひまわりの約束アンコール18.宝島レポート五月の風5月の演奏会で耳にすることが多い季節感のある曲で、とてもさわやかな雰囲気のコンサート幕開けとなりました。こちらは、真島俊夫氏の楽曲ということで聴き映えは抜群。とても豪華ですが、演奏するとなるとなかなか難解で、仕上げるのに練習時間を取られる楽曲と思いますが、まず第1曲目でこの定期演奏会にかける強い想いを感じることができました。アルヴァマー序曲続く2曲目は、バーンズの名曲ですが、今月の始めに奏鳩会のコンサートで聴いたばかりでもあり、そういった意味ではこの名曲を続けて聴ける幸運に感謝という気持ちがありました。またこういった吹奏楽ド定番の曲を演奏会のプログラムに組み込んでもらえるということにも感謝です。井斐川に流るるクシナダ姫の涙この曲の出典を調べてみたところ、古事記上巻に記される出雲神話「ヤマタノオロチ退治神話」より、物語のヒロイン、クシナダ姫にスポットを当てた曲とありました。聴き進むほどドラマチックなストーリーが鮮明に浮かび上がり、題名から想像するイメージ通りの楽曲と感じました。またこちらの楽曲は作曲者の樽屋氏が小編成版・中編成版・通常版・2022年版と、さまざまなバリエーションを用意しており、バンドの規模に関わらず演奏できるという点についても素晴らしいと感じました。怪獣の花唄ここからはゲストの佐久穂中学校吹奏楽部の演奏となりました。さらに野沢北高校吹奏楽班のメンバーで佐久穂中学校のOBOGが演奏に加わるという中高の交流もあり大変素晴らしいと感じました。楽曲はJ-POPらしい楽しさが湧き出てくるような雰囲気がありました。Happiness嵐の人気曲ですが、2007年リリースということで、じきに20年になろうかという粋の長い曲と感じました。活動休止状態とはいえ、このように楽曲は演奏され、聴く人たちがたくさん生まれる…。今日のクラシック音楽の隆盛からもわかるように、ある意味音楽は不老不死のものと言えるのかもしれません。私のお気に入り1部終了後、20分間の休憩に入りましたが、その中でサウンドオブミュージックを構成するこちらの楽曲が、木管アンサンブルで演奏されました。私の中では、この私のお気に入りは、ドレミの歌、エーデルワイスなどさわやかな印象の曲のイメージが強いサウンドオブミュージックの中にあって、ちょっと毛色が違う、いやだいぶ違う?そんな感じがするのですが、演奏を聴くにつけ木管アンサンブル独特の様々な音色のミックスがとても魅力的と感じました。銀河鉄道999第2部は、ノリノリな曲を集めたステージということで、その1曲目に劇場版銀河鉄道999のエンディングテーマであるこちらの楽曲が演奏されました。私自身、つい先日この曲が入っているジャパニーズ・グラフィティ12を演奏したばかりというタイミングだったので、そのアレンジが頭の中で鳴っていて、ちょっと二十演奏のような不思議な感じになりましたが、大いに楽しませていただきました。Paradice Has No Border野沢中学校吹奏楽部の皆さんとOBOGの皆さんが加わってステージいっぱいの超大編成での演奏となりましたが、さすがにこの人数だと音圧が半端ない…。ということで、もともと力のある曲がさらにパワフルになり、圧倒された感がありました。Sing Sing Singこちらの楽曲の指揮は、昨年度まで顧問を務められていた小嶋先生による指揮での演奏となりました。このあたり、どうしても学校の先生は異動がつきものなので、さすがに新しく赴任した現顧問の井出先生が2カ月ちょっとで定期演奏会という大きな舞台をすべて仕切るのは酷だろうと感じるととともに、こうやって前任の先生が時間を工面してヘルプしてくれるという素晴らしい関係性がとても良いものだと感じました。ドラえもん2部終了後、再び20分間の休憩となりますが、その間に2つのアンサンブルチームの演奏が披露され、まず最初に金管アンサンブルにて、星野源のドラえもんが取り上げられましたが、この曲は中間部の1フレーズに元祖ドラえもんの曲が組み込まれているというのが曲名としてドラえもんを使っている意味なのかなと聴くたびに感じるところです。三日月次に登場したのは木管トリオチームで、絢香の初期の頃の名曲が演奏されました。余談ながらとこの曲を聴くとドビュッシーの月の光を連想するところもあり、「月」をモチーフにした曲は、どこかロマンチックなところがあるのかもしれません。スーパーマリオブラザーズ演奏前にマリオとルイージ、ヨッシーらが登場する寸劇がありました。このあたり、マリオとルイージが登場することはあってもヨッシーまではなかなか!ということで、その凝りようは見事なものと感じました。そして演奏は、私自身もしばらく前に演奏したことも手伝って親しみを感じつつ楽しませていただきました。愛の歌朝ドラの主題歌にしてあいみょんの代表曲の1つになりますが、ドラマのワンシーンやあいみょんの歌声が連想されてくるところで、改めて発信力のある曲だなと感じました。Music From JURASSIC PARKこれぞ映画音楽!というジョン・ウィリアムズらしい楽曲ですが、冒頭にクラリネットソロの見せ場があったりと、編曲も秀逸と感じました。タイムリーなことにちょうど金曜ロードショーでジュラシックワールドの3週連続放映の真っただ中ということも手伝って話題性も大きいところでした。唄12名の一年生のダンスが入っての演奏となりました。一年生は、入学からわずか2カ月弱という短い期間を考えるとよくここまでの複雑な振付のダンスをこなしているなと感服した次第です。千と千尋の神隠しハイライトピアノ演奏から始まるアレンジで、演奏するにはピアノ奏者・ピアノ調律など大変な手間もかかるところですが、千と千尋の世界観を出すのには、ピアノ演奏は大きな効果があると感じました。またアレンジがシンフォニック寄りになっており、そこも素晴らしいと感じました。ひまわりの約束映画『STAND BY ME ドラえもん』の主題歌と作られた楽曲で、作曲者の秦基博氏によればドラえもんをイメージしたものとのことで、困ったときに必ず助けてくれる暖かいドラえもん像が浮かび上がってくるとても優しい曲だなと感じました。宝島アンコールは定番の宝島ということで、大いに楽しませていただきました。そして注目の後半のアルトソロはバリトンとのコラボという形で、オリジナリティーを感じるところとなりました。まとめ107回目の定期演奏会ということで、年2回公演の信州大学交響楽団を除けば県内唯一の100回越えの定期公演を続けているということで、その伝統は群を抜いているものがあると感じました。仮に年1回の定期演奏会だとすれば100年前の1924年に始まったことになり、それは大正時代まで遡ることになります。そんな長い長い時間の流れを感じつつ、3ステージに加えて休憩中のアンサンブルまで2時間半におよぶ充実のステージを楽しませていただきました。
May 26, 2024
開催日:2024.5.19(日)14:00開演場所 :軽井沢大賀ホール(784名収容)軽井沢ファミリーオーケストラ 第9回定期演奏会に行ってきました。プログラム開演前弦楽アンサンブル第1部1.シュトラウス2/アンネンポルカ2.アンダーソン/トランペット吹きの休日3.楽器紹介 弦楽アンサンブル 弦楽セレナーデ 木管アンサンブル 白鳥の踊り 金管アンサンブル ドラゴンクエスト序曲 打楽器アンサンブル ボレロのリズムによるパフォーマンス4.ミヒャエリス/森の鍛冶屋(かじや)第2部5.ドヴォルザーク/交響曲第9番『新世界より』 第1楽章 第2楽章 第3楽章 第4楽章アンコール6.G線上のアリア7.ラデッキー行進曲レポート開演前13:40頃よりプレコンサートとして、弦楽アンサンブルの演奏がありました。聴いたことがある曲ではありましたが、曲名を想い出せずです。アンネンポルカウィーンフィルのニューイヤーコンサートをイメージさせる曲ですが、まずはオープニングでオーケストラの響きを堪能させていただきました。トランペット吹きの休日運動会でよく耳にする曲ということですが、腕に自信のあるトランペット奏者が楽団に数名いないとなかなかできなさそうな感じのテクニカルな曲という感じがあり、その疾走感は群を抜くものがありました。そして演奏後は、トランペット奏者へのリスペクトタイムとなりました。楽器紹介オーケストラを構成する楽器についてその特徴と時には奏者の特性(トランペットは目立ちたがりやが好んで演奏する?→そうとは限らないという主張もあり…)まで踏み込んだ解説とそれぞれの編成での演奏が披露され、改めてこの楽器群が融合した形がオーケストラなのだなと感じた次第です。森の鍛冶屋(かじや)鍛冶屋というと、ホルストの第2組曲の鍛冶屋の歌を連想しますが、解説によれば、森の中に住む鍛冶屋さんの日常である森の中の静かな雰囲気や朝のお祈り、作業をする様子が描かれているとのことで、森の雰囲気を出すのに、弦楽器の音色はとても相性が良いと感じました。そんな曲の中で鍛冶屋さんが作業する様子を表す金属音がありますが、主張しすぎないところがまた上品だなと感じました。交響曲第9番『新世界より』今回の演奏会のメインプログラムの位置づけで、第2部のすべてを占める大曲ですが、本当に聴き応えがあり圧倒された感がありました。曲紹介を見ると、アメリカの自然や先住民の文化、そして移民の喜びや切なさを描いた曲とありますが、私の中でこの曲は、過去にドはまりした銀河英雄伝説のOVAシリーズの第17話アムリッツァ星域会戦のBGMで使われていたこともあり、戦いの曲という印象がとても強く、曲を聴き進めると、そのシーンがどんどん連想されてしまうということで、改めて音楽に紐づけられた記憶というものは相当に強固なものだと感じました。G線上のアリア新世界でテンションが極限まで上がった会場をクールダウンさせるのにふさわしい楽曲で、心を落ち着かせ、穏やかにしてくれるひとときになりました。ラデッキー行進曲締めはおなじみのこちらの楽曲ということで、指揮の杉原直基氏がお約束の聴衆への拍手の指示をして大いに盛り上がりました。こちらは、静かに!盛り上がる!のアクセントをうまく演じられるかという訳ですが、それも訓練だなと思いました。まとめ小さい体格用の小さいヴァイオリンを手にした若いメンバーから、シニア層までとじつに幅広い年齢層のまさにファミリーを感じさせる楽団で、それを杉原氏が巧みに束ねているとても素晴らしい雰囲気を感じました。またコンサートについて、多くの方に音楽に親しんでいただく機会として未就学児のお子様も入場が可能なことをうたっている訳ですが、それをよりよい形で実現するためにお子様席をステージから少し離れた場所に設けたり、お子様がびっくりして泣いたり、じっとしていることに飽きて暴れたり歩きまわったりした時のために演奏中の出入りをOKとしたり、様々な工夫をしているところがとても印象的でした。
May 19, 2024
開催日:2024.5.18(土) 13:30開演場所 :南条小学校音楽堂昨年に続き、南条小学校音楽堂での定期演奏会のレポートです。また演奏会のテーマは「アニメ映画音楽」で、第1部をメインにアニメ映画に関連した楽曲を取り上げました。プログラムオープニング1.紅蓮華第1部 アニメ映画音楽ステージ2.名探偵コナンメインテーマ3.ジャパニーズ・グラフィティ124.「天気の子」コレクション5.いつも何度でも6.塔の上のラプンツェル・メドレー第2部 アンサンブルステージ7.坂ブラクラッツ 愛の挨拶8.おにぎしブラス ドラコンクエスト3メドレー第3部 坂ブラ2024 スプリングステージ9.キャリオカ10.銀の龍の背に乗って11.VIVANT Main theme12.女流演歌コレクション13.ジャパニーズ・グラフィテイ18アンコール14.異邦人15.マツケンサンバ2レポート紅蓮華テレビアニメ「鬼滅の刃」のオープニングテーマで始まりました。この楽曲は、2019年7月にリリースされ、その年の紅白歌合戦で大々的に取り上げられ、2020年は吹奏楽でも大ブレーク!という予感があったのですが、2020年3月から始まったコロナ禍によって一番良い時期を逃してしまったという印象が当時ありました。しかしながら私自身もこの曲を2021年の秋に演奏する機会があったりと、いっきに燃え上がらなかった分、息の長い演奏機会を得られたのかな?ということを今にして感じました。名探偵コナンメインテーマアニメ映画の金字塔の1つであるコナンは、これまでに26作もの劇場版が作成されていますが、そのメインテーマは妙にカッコイイ!と以前から感じていましたが、よくよく調べてみると、そもそもコナンの制作サイドでメインテーマを作るにあたり、太陽にほえろのテーマ曲のようなサスペンスドラマタッチにしたいという狙いがあり、そこで大野克夫氏に制作依頼して出来上がったのがこの曲ということで、なるほど感がありました。またこの曲の大きな見せ場は中盤のアルトサクソフォーンソロであり、そのあたりも吹奏楽によくマッチするところです。ジャパニーズ・グラフィティ12ニューサウンズインブラスのジャパニーズ・グラフィティは全部で20作以上出ていますが、その中で最も演奏頻度が高いのが12という印象があり、その人気の要因は入っている曲のTV版銀河鉄道999と宇宙戦艦ヤマト、そして劇場版銀河鉄道999の3曲のメドレーにあると考えられますが、曲の構成を見てみると出だしは劇場版999をモチーフに作られたつかみの良いフレーズ。そしてささきいさおのカッコ良い歌がイメージされるTV版999、ヤマトと連なり、盛り上がったところでトドメの劇場版999で締めくくられるということで、演じ手も聴き手も大きく盛り上がる要素があるからと言えるかもしれません。「天気の子」コレクション新海誠監督が、2016年に「君の名は」でブレークしてから、続く2019年の「天気の子」、2022年に「すずめの戸締り」がいずれもヒットしている訳ですが、音楽は全てRADWIMPSが担当しており、そういった意味では宮崎駿監督作品における久石譲氏の音楽という間柄と似た関係性があるように感じます。そして新海誠監督のブレーク後の3作品の音楽を聴き比べた時に最もドラマチック感があるのが「天気の子」なのかな?という印象があり、特にコレクションの最初を飾る祝祭は、編曲の妙もあるのかもしれませんが疾走感がありつかみが良く、その後につづくグランドエスケープ、大丈夫、愛にできることはまだあるかいへと次々と展開してゆく楽曲の風景を想像させてくれるところで、コンサート向けの1曲としてとても秀逸であると感じた次第です。いつも何度でも宮崎駿監督作品の音楽といえば久石譲氏という印象が強い訳ですが、その中で久石氏ではない曲もあるということで、こちらは木村弓氏による楽曲です。そしてこの曲の特徴は8分の6拍子で書かれているということで、日本人が民族的文化の関係で不得意とするいやな拍子か?と思いきや、いわゆる3拍で1・2ではなく、1拍づつのカウントで1・2・3・4・5・6となるので、演奏がしやすいのかなと感じました。またこの曲は、冒頭の1メロがクラリネットのソロになっていて、曲の持つ素朴な魅力を表現するのにはクラリネットの暖かい木の響きがベストチョイスではないかと感じました。塔の上のラプンツェル・メドレー美女と野獣、リトルマーメイドなどそうそうたるディズニーの楽曲群を世に送り出したアラン・メンケンを代表する楽曲の1つと感じますが、このメドレーでは自由への扉、誰にでも夢はある、王国でダンス、輝く未来、自由への扉という構成で、扉を開けて、扉を閉めるという構成になっており、そのあたりにストーリー性を強く感じるところがありました。また楽曲中に各パートのソロが散りばめられており、特に輝く未来でのテナーサクソフォーンのソロは大きな見せ場として感じるところがありました。愛の挨拶ヴァイオリンやチェロなどのコンサートで挨拶をかねて最初に演奏される頻度が高い楽曲ということで、耳なじみのある曲ですが、このおなじみの名曲をクラリネット5重奏で演奏するのは大変面白いものがあると感じました。編成はB♭×4、アルト×1ということで、B♭管とアルトの音色の違いというのはもちろんある訳ですが、それとは別にB♭管でも奏者による音色や表現の違いの妙が、2分半という短い時間の中で次々と展開される様が大きな魅力であり、これこそが複数人で演奏するアンサンブルの醍醐味の1つではないかと思いました。ドラコンクエスト3メドレートランペットとバストランペット(一部ピッコロトランペットに持ち替え)による三重奏での演奏となりました。序曲、おおぞらをとぶ、そして伝説への3曲を楽しませていただきました。ドラゴンクエスト3といえば、社会現象にもなったファミコンの大ヒットゲームですが、振り返れば今のPCやスマホと比べれば足元にも及ばないようなハードウェアの仕様でよくぞここまでのゲームを作ったものだと感嘆するとともに、その音楽についてもすぎやまこういち氏による名曲揃いということで、本当に伝説の作品だなと思うところです。キャリオカいわゆる江戸っ子やパリジャンと同様のニュアンスを持つリオ・デ・ジャネイロっ子という意味を持つ楽曲ですが、大きな特徴として曲中に4パートのアドリブソロが組み込まれていることで、都合4回の大きな見せ場があり、ソリストの表現力もさることながら、いろいろな意味で楽しめる楽曲という印象がありました。余談ながら、この楽譜の参考演奏的な位置にあるニューサウンズインブラス'96に収録されているキャリオカのソロでは、前半の2パートはわりと楽譜に忠実に演奏されているが、後半のトロンボーンはかなり崩されていて全く参考にならず…トランペットはあのエリックミヤシロ氏による演奏なので異次元のハイトーンということで常人には演奏不可能ということで、参考演奏にならないという話もちらほらあったようです。銀の龍の背に乗ってつい数か月前にDr.コトー診療所の劇場版が地上波で放映され、私も視聴しましたが、離島医療の困難さについて考えさせられるところがありました。コトー先生も生身の人間である以上はいつ何があるかわからない…。というところで、このテーマ曲が作られた時にそこまで見越していたかはわかりませんが、とても心に響く内容となっていました。また今回演奏されたのは、ミュージックエイト社の山下国俊氏の編曲版になりますが、冒頭のアルトサクソフォーンのしっとりしたソロ。そして後半の金管群による力強い旋律演奏と全パートが主役になれるような作りも大変好感が持てました。VIVANT Main theme昨年夏にTBS系で放映されたテレビドラマになりますが、その当時私自身見ておらず…。その後、この曲のことを知り、ちょうどタイミングよく総集編スペシャルの放映があったので録画して視聴してみましたが、こんなに手に汗にぎる展開のドラマは見たことがない!ということで、久しぶりにドラマで感動した次第ですが、その楽曲は千住明氏によるものだということも知り、昨年コンサートに行ったデュランディの千住真理子氏のお兄さんということでなにやら親近感が湧くこととなりました。女流演歌コレクション八代亜紀の舟唄、森昌子の越冬つばめ、坂本冬美の夜桜お七の3曲がメドレーになった楽曲で、編曲はさくらのうたでおなじみの福田洋介氏によるものです。女流演歌は華があるという印象がありますが、それぞれの華を各パートのソロに見立て、舟唄はクラリネット。越冬つばめはアルトサクソフォーン。夜桜お七はフルートとトロンボーンといった形になっており、それぞれが女流演歌歌手さながらにスポットを浴びる形でとても熱いものを感じるひとときになりました。ジャパニーズ・グラフィテイ18ジャパニーズ・グラフィティの18作目は、アニメヒーローの主題歌を集めた楽曲で、鉄腕アトム~ガッチャマンの歌~ゲゲゲの鬼太郎~CHA-LA HEAD-CHA-LA~ウィアー!がメドレーになったものです。アトムは、途中まで原曲風で行きますが、2フレーズ目からはロックテイストになり粋なアトムを演出。そしてガッチャマンは金管群のバッキングがカッコ良い。ゲゲゲの鬼太郎は、トランペットのおもしろミュート演奏。CHA-LA HEAD-CHA-LAは、いまはチャラ(無しにするという意味)という言葉は使わなくなったな~などと思いつつ。ウィアー!はどこまでもONE PIECE!のテーマ曲という雰囲気で楽しませていただきました。異邦人アンコール1曲目は、昭和歌謡の名曲ですが、この曲は出だしは暗い感じでスタートしますが、途中で調が変わり急に世界観が明るくなる部分がある、いわば「異邦人あるある」みたいなところがありますが、楽譜上ではその部分は転調という形ではなく、臨時記号での対応となっており、演奏サイドとしてみれば、こういう書き方の方が親切なのかな…と思うところがありました。マツケンサンバ2昨年あたりから人気が再燃しているマツケンサンバ2ですが、コンサートのアンコールの締めの1曲としても本当に秀逸だなと感じる曲想だなと感じました。まとめ坂ブラとしては昨年の春の定期演奏会2023に続いての南条小学校音楽堂でのコンサート開催となりました。改めてこのホールを見ると、やはりその音響の良さが際立っており、音楽用に設計された建屋であることがよくわかります。坂城町ではこの音楽堂以外には音楽用の施設は存在しておらず、そういった意味では地域の音楽文化発展のための貴重な中核施設としての役割を期待したいと感じました。
May 18, 2024
開催日:2024.5.12(日)14:00開演場所 :相模原市民会館(1,264名収容)相模原市民吹奏楽団のグリーンコンサートに行ってまいりました。プログラム第1部1.メルヘン2.カントゥス・ソナーレ3.風がきらめくとき4.Mont Fuji~富士山・北斎の版画に触発されて第2部 ミュージカルをなたに5.ミュージカル「キャッツ」メドレー6.ドレミの歌7.「ライオン・キング」メドレー8.ウエスト・サイド・ストーリー・メドレー9.「美女と野獣」メドレーアンコール10.パート・オブ・ユア・ワールド11.Yours!レポートメルヘングリーンコンサートの1曲目は、2024年全日本吹奏楽コンクールの課題曲3より。偶然にも、前日のスーパーコモロウインドオーケストラの演奏につづき2日連続の拝聴となりましたが、改めて聴くほどに幸せな気持ちになる曲だなと感じました。この課題曲は、4曲の中で唯一の委嘱作品ということで、もともと他の3曲とは一線を画する部分がある訳ですが、メルヘンに限らず酒井格氏の曲のイメージを一言で表すならメルヘンチック感がある!と妙に納得した感がありました。カントゥス・ソナーレ歌の響きという意味を持つ楽曲とのことですが、タイムリーな話題として普段は高緯度地方でしか見ることのできないオーロラが、世界中の中緯度地域で見れている…。という身近な出来事もあって、この曲の視覚的なイメージをオーロラとして捉えて聴かせていただきました。ステージに広がる変化する響きが、オーロラの動きと連動しているようでとても神秘的なひとときになりました。風がきらめくとき全日本吹奏楽コンクール課題曲2より。アンサンブル感がとてもくっきりと感じ取れる、とてもきれいな曲というイメージがありますが、それだけに一人一人が持つ最もきれいな音色をたっぷりと聴かせていただいたという感覚がありました。風をモチーフにした曲はたくさん出ていますが、風ときらめきを合わせるとはなんという素晴らしいセンスだろうと感じました。Mont Fuji~富士山・北斎の版画に触発されて演奏前に福本先生と高松氏のトークの中で、故・真島俊夫氏の想い出話があり、こよなくフランスに入れこんでいたこと。その想い入れから日本を象徴する富士山をモチーフとするにも、タイトルにはフランス語で山を意味するMont Fuji(モンフジ)を用いたこと。そんな想いを受け止めながら聴かせていただきました。またこの曲は、今日人気曲として日本中の多くのバンドで演奏されている訳ですが、もともとは2014年の12月に行われた第50回記念の演奏会の委嘱作品ということで、原点は相模原市吹にあり!ということで、そんな縁を感じながらじっくりと楽しませていただきました。ミュージカル「キャッツ」メドレー第2部のテーマは、ミュージカルをあなたにということで、福本先生いわく世の中には一定数ミュージカルが嫌いな人がいる…という分析がありましたが、実際のところ音楽コンサートに比べれば公演数が少なく、特に地方在住だとなかなか機会にも恵まれないことから食わず嫌いという側面があるのかもしれません。私自身も長いこと興味はあったものの、なかなか見れる機会が無かった訳ですが、たまたま昨年家近にピーターパンの公演が来たので、初めて生のミュージカルを体験しましたが、宮川彬良氏の音楽の素晴らしさ、ピーターパン役の山﨑玲奈氏の伸び伸びとした歌に大いに魅せられたことは記憶に新しいところです。そしてキャッツですが、前半はどちらかというとあまり馴染みが無く新鮮な曲。後半のメモリーは、おなじみ感を持って楽しませていただきました。ドレミの歌ここからは、共演の上鶴間中学校吹奏楽部の皆さん登場となりました。ドレミの歌の音階にそれぞれ振り分けられているドーナツなどの絵のプラカードを手に楽しいダンスの演出が加わってとても楽しいステージになりました。ドレミの歌はミュージカルのサウンド・オブ・ミュージックの中の曲ですが、私自身今年はこの曲を演奏する機会にも恵まれており、自身の演奏体験も踏まえて演奏者視点でも楽しむことができました。「ライオン・キング」メドレーライオンキングの父ムファサに着目したアナザーストーリーの公開で話題とのことでしたが、福本氏と高松氏の話の中で悪いライオンの叔父スカーと勘違いして笑いをとる場面もありました。この曲では三年生が演奏。二年生が演出で大活躍となりましたが、特に演出が曲とマッチングする形でストーリー性があり、シンバ誕生からナラとの交流、登場する動物たちとのやりとりなど素晴らしいものがありました。日頃我々は音楽を聴く時、それぞれが好きな想像をして楽しむ訳ですが、それを視覚効果として形で示してくれるのがミュージカルの醍醐味なのかなと感じました。ウエスト・サイド・ストーリー・メドレートゥナイトとマンボの2曲を厳選しての演奏となりました。トゥナイトでは、上鶴間中学校吹奏楽部の皆さんの歌の演出が加わり、英語の歌詞という難しさがあるにも関わらず見事な歌唱がありました。マンボではお決まりの「マンボ!」の掛け声で会場が熱気に包まれ、参加する楽しみも満喫させていただきました。「美女と野獣」メドレー真島俊夫氏、森田一浩氏、船山基紀氏の編曲版をストーリーに合わせて組み合わせるという豪華版での演奏となりましたが、聴きながら最初のうちは「この部分は真島氏アレンジで…。」と耳を立ててみましたが、ストーリーを高松氏が朗読するというスペシャルな演出があり、すぐにそちらに意識を奪われてストーリーの世界へと取り込まれました。美女と野獣は数年前に実写版を劇場で見たことがあったので、バラの葉が落ちるまでに!というタイムリミットのもと、劇中でバラの葉が1つ、また1つと落ちてゆく時間経過を示す演出がところどころに入るのが印象的だった訳ですが、そんな実写版のシーンを回想しながら楽しませていただきました。パート・オブ・ユア・ワールドアンコール1曲目は、リトル・マーメイドでアリエルが歌う有名な楽曲ですが、こんな豪華な吹奏楽版があったのかと驚きました。余談ながら私も昨年アンサンブルで取り上げたことがあり、ミュージカルで歌ういろいろなアリエルをユーチューブで見てみましたが、本当に希望に満ちた歌だなと思うところがありました。Yours!相模原市吹だけの門外不出の楽曲となるYours!ですが、なんと福本先生よりCD化が実現したら全国の皆さんに演奏してもらいましょう!というお話も飛び出し、ちょっと期待が膨らむところではありますが、そもそも相模原市吹のテーマ曲である以上は、他で演奏することは想像できないというところではあります。そして、グリコン恒例のソロはゲストの上鶴間中学校吹奏楽部のメンバーが担当するという形になりました。まとめこの時期恒例のグリーンコンサートですが、午前中少し時間に余裕があったので、JAXAの宇宙科学研究所と相模原市立博物館を見学し、宇宙都市相模原の魅力について学ぶことができました。その後、16号線を歩いて市民会館まで移動した訳ですが、NTT新相模原ビルの赤白鉄塔がとてもよい目印になりました。実際はスマホ片手にグーグルマップを見ながら歩けば迷うことはなさそうですが、歩きスマホで歩けば棒に当たる…ということで、実際に見える目印はありがたいと感じました。コンサートでは、恒例の中学生とのコラボはいつも楽しみな訳ですが、共演を体験したメンバーの中から将来の団員が生まれる可能性があるということを考えると、後進の育成という点でも大変大きな役割を果たしていると感じた次第です。
May 12, 2024
開催日:2024.5.11(土)14:00開演場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容)長野県小諸高校出身のプロ音楽家が集結し、2017年4月に旗揚げ公演を開催後、7回目の公演となるスーパーコモロウインドオーケストラの第7回演奏会に行ってきました。プログラム前半1.キャンディード序曲2.詩的間奏曲2024年度全日本吹奏楽コンクール課題曲より3.課題曲3 メルヘン4.課題曲4 フロンティア・スピリット5.ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶後半6.ファンタスティック・シナノ・ランド7.パントマイム ユーフォニアムソロ:宮島優哉8.もののけ姫Highlights9.SKWOスペシャルメドレー2024アンコール10.オーメンズ・オブ・ラブ11.宝島レポートキャンディード序曲コンサートのオープニングは、テレビ朝日『題名のない音楽会』で2008年4月から2015年9月まで番組テーマ曲として使われていたこちらの楽曲ですが、改めて通しで聴くと疾走感感、装飾感の際立った曲想で、何かが始まりそうな予感をさせられる曲だなと感じました。詩的間奏曲アルヴァマー序曲など元気な曲のイメージがあるバーンズの印象からすると、また違った感覚のある楽曲ですが、どんな曲か調べてみたところ「テクニックよりも豊かな表現力が必要とされ、なによりホルンの名手がいることが条件」とのことで、ホルンパートにとっては見せ場であり、表現力となると曲の味付けをする指揮者の力量がより試される感じかなと思いました。指揮者の小山氏は「とても美しい曲」と表現されていましたが、実際に聴いてみるとまさしくその通りだなと感じた次第です。メルヘン~フロンティア・スピリット2024年度全日本吹奏楽コンクール課題曲よりということで、プロ集団の演奏会としてコンクールに出演するアマチュアバンドやスクールバンドへの課題曲の模範演奏的な意味合いを持つ選曲になろうかと思います。ユーチューブでそういった模範演奏的のものはよく見かけるところではありますが、やはり実際にステージ上で奏者が演奏しているというのは格別のもので大変貴重な機会だと感じました。ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶小山氏より、この曲を選曲したのは「辰年」だからという動機からだそうですが、アメリカの水爆実験に巻き込まれてしまった第五福竜丸の悲劇をストーリー性を持たせて音楽にした楽曲ということで、そのイメージを丁寧にお話してからの演奏となりました。余談ながらサントミューゼのリサイタルシリーズでは、コンサート前の別日に曲目解説や演奏者の想いなどを伝えることを目的としたアナリーゼワークシッョプが開かれており、それを聴講してからコンサートに臨むとより深く楽しめるということがありますが、今回はそれと同様の効果を感じることができ、改めて事前に曲を知るということは大事なことだなと感じました。ファンタスティック・シナノ・ランドスーパーコモロウインドオーケストラのテーマ曲ともいうべき楽曲で、これまでスーパーコモロウインドオーケストラ以外では上田ブラスフェスト2023で耳にしたことがありますが、いずれにしてもご当地曲ということでおなじみ感がありました。小山氏によれば、カラオケで県歌があるのは信濃の国だけとのコメントもあり、ある意味長野県民のふるさと的な楽曲なのかもしれません。そしてこの曲のアレンジの特徴とすれば、あまり原曲を崩していないという点があり、そこもまた聴きなじんだ曲をベースにファンタスティック感が程よくブレンドされた感があって楽しめた次第です。パントマイム3月のメセナウインドオーケストラの佐藤采香氏による演奏がまだ記憶に新しいところで、今度は宮島優哉氏による演奏で楽しませていただきました。ユーフォニアムの奏者の方から「これはユーフォニアムの楽譜じゃない。」という言葉を時折耳にすることがあり、それは金管パートらしからぬ細かい音符がある!ということを憤慨しているのだと思いますが、まさにこの曲もそれの最たるもの…。ここまで細かい音符にした作曲者スパークの「吹けるものなら吹いてみろ!」という声が聞こえるようなイメージですが、それに立ち向かうプロ奏者の気迫を感じることができました。演奏後に小山氏より「ユーフォニアムってこんな演奏ができるんですね~!」的なコメントがありましたが、まさに宮島優哉氏のスーパーテクニック満載の演奏は感動のひとときになりました。もののけ姫Highlightsもののけ姫はいろいろな編曲版が出ていますが、私自身はこの天野正道氏の編曲版は初めて聴くようで、とても新鮮な感じがありました。ウインドオーケストラとはいえ、今回は編成にハープの竹内遥香氏とピアノの町田莉佳氏が入っていることもあり、そのお二方にスポットを当てるという意味合いもあったのかもと思いました。SKWOスペシャルメドレー2024レギュラープログラムの最後を飾るのは、10分以上におよぶ大メドレーでした。収録曲は…といきたいところですが、1曲が聴いたことも演奏したこともあるはずなのですが曲名が出てこない…。これは人の顔は思い出すが名前が出てこないという現象と酷似している状態で非常に歯がゆいところです。2曲目以降は、インザムード、ムーンライト・セレナーデ、東京ブギウギ、その後は初めて聴く知らない曲をはさんで、シングシングシングという感じだったかと思います。目についたのは、バリトンサクソフォーンのお二方がアルトも用意して時折持ち替えていたことで、まさにサクソフォーンパートのスクランブルといったところでしょうか。あとはなんといってもシング・シング・シングでのコンサートマスターの粟生田先生による豪華なアドリブソロ!これは相当に聴き応えがありました。オーメンズ・オブ・ラブスーパーコモロウインドオーケストラ演奏会のアンコール定番曲ということで、楽しいアンコールの時間が始まったという感じがありました。ある意味、聴き手もそれを期待しているところがあるので、安定の楽しさを感じたところです。宝島ドラムスのソロから、いつアゴゴのあのリズムがが始まるのかな?と思っていましたが、いつもとはちょっと違う形で曲がスタート。そして今回は最初のアルトソロを村田淳一氏。後半のロングソロを指揮者の小山弦太郎氏がサクソフォーンを持ってきてソロを担当するお約束の演奏となりました。まとめ2年ぶりにスーパーコモロウインドオーケストラの演奏を聴かせていただきましたが、昨年の上田ブラスフェストでコンサートマスターの粟生田先生を筆頭に何名かの方を拝見していることもあって、より親しみを持って楽しむことができました。
May 11, 2024
開催日:2024.5.5(日) 14:00開演場所 :千曲市文化会館 あんずホール(760名収容)GW恒例となっている長野県の吹奏楽伝統校である屋代高校吹奏楽班のOBOG会である奏鳩会のコンサートに行ってきました。プログラム第1部1.アルヴァマー序曲2.風紋3.ANTHEM 「アンセム」~吹奏楽のための第2部 特別演奏5.屋代高校校歌~屋代高校附属中学校吹奏楽班の皆さんによる演奏~6.第ゼロ感7.オーメンズオブラブ~屋代高校吹奏楽班の皆さんによる演奏~8.課題曲II「風がきらめくとき」9.マツケンサンバ2第3部10.彼こそが海賊11.星に願いを12.アニメ・メドレー~久石譲作品集~~合同演奏~13.ディープ・パープル・メドレーアンコール14.エルクンバンチェロレポートアルヴァマー序曲オープニングは、景気の良いファンファーレでスタートするこちらの楽曲となりましたが、メロディーもこれぞ吹奏楽という音の厚みがしっかりあるもので、聴いていてとても骨太なサウンドだと感じました。バーンズの楽曲は私も昨年アパラチアン序曲をやりましたが、パートによってはうねるような連符があってなかなか難しい…ということで時間さえあればその部分をさらっていた訳ですが、アルヴァマー序曲にもやはり似たようなうねるような連符があり、これがバーンズらしさなのかと納得した次第です。風紋こちらの曲も人気課題曲の5本の指に入る楽曲と思いますが、今回の演奏はタメが入る仕上がりになっていて、ウインナーワルツにも似た優雅な風紋を感じることができました。余談ながらこの曲は1987年の課題曲なので50歳以上の人にはリアルタイムだった訳ですが、風紋は課題曲Aで、本来課題曲のABCDEは、難易度のランクでは無かったのですが、子供心にAは上手な学校がやる曲みたいな思い込みを先輩含めしていたこともあって、最初からAは選択肢から外れており、私自身楽譜は入手したものの個人練習でちょっとかじったくらいで、ひと夏をかけてやりこむ機会は無く、今思えば風紋をやっていればこのレポートでもいろいろ語れたのに…と少し残念な想いもありました。ANTHEM奏鳩会のコンサートといえばこの曲を聴かなくては帰れない!という程私の中では価値のある曲だと感じています。それは初演から聴かせていただいているという特別な思い入れがあることもありますが、楽譜が門外不出で屋代高校現役生やOBOGでなくては演奏できないため、レア度が高く、オンリーワン感がとても高いというところです。屋代高校校歌パンフレットの裏面に屋代高校校歌の記載があったので、プログラムには無いがどこかで歌うのだろうな…と予測しておりましたが、2部の始まりでの演奏となりました。紹介は無かったですが、おそらく歌い手は屋代高校吹奏楽班のメンバーではないかと思われ、若々しい歌声がとても印象的でした。第ゼロ感アニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」のエンディング主題歌とのことですが、話題とすればプロバスケットボールチームの信州ブレイブウォリアーズが拠点にしていることぶきアリーナが、あんずホールのすぐ近くにあるということで、そんなことも想像しながら聴かせていただきました。オーメンズオブラブ日本語訳すると恋の予感だそうで、吹奏楽では大編成向けの真島俊夫氏のアレンジが特によく演奏されているようですが、今回演奏されたのは別バージョンということで、小編成でもよく鳴るように工夫された感じがあり、見せ場もしっかりあって秀逸なアレンジと感じました。課題曲II「風がきらめくとき」弱奏をメインにしたとてもきれいな曲という印象を受けました。全体として安らかな雰囲気が続きますが、ところどころで何か不安や悲しみといった要素が顔を出す部分もあって、もしかすると亡くなった親しい人を回想している曲なのかも…と想像を膨らませてみました。マツケンサンバ2右手を骨折してしまった顧問の滝沢先生の不運を吹き飛ばそうとがんばる生徒さんたちの元気な演奏がとても印象的でした。マツケンサンバが世に出てもう20年になりますが、昨年あたりからまた人気が再燃してきて、いろいろな団体で演奏されており、今年もそれが続きそうかなというところです。彼こそが海賊パイレーツ・オブ・カリビアンのメドレーでは、だいたい盛り上がるフィナーレの部分で使われている印象がある曲ですが、そこをピンポイントで取り上げて最初から盛り上がる感があり、こういった演奏の仕方も効果的かも!感じました。星に願いを世の中狭いもので…この曲は2月に私自身も演奏したばかりでアレンジも全く一緒だったので、楽譜がまだ頭に残っているようなところもあって、プチ懐かしい心持ちで楽しませていただきました。見せ場のソロや曲の締めくくりは、相変わらずお洒落感があって改めてステキな曲だなと感じた次第です。アニメ・メドレー~久石譲作品集~曲紹介では、久石譲の曲で不可欠なピアノを使わない編曲であるとのことでしたが、吹奏楽アレンジとすれば、ピアノはソロ楽器とはいえ音量では管楽器が束になってかかればかなわないものなので、演奏にあたってバランス調整で管楽器がかなり音量を抑えることを求められる感じがありますが、そこを割り切ってピアノを編成から外すという選択は正解なのではと感じるところがありました。またメドレー2曲目の鳥の人(風の谷のナウシカ)は、宮崎駿監督作品で初めて久石譲氏が音楽を担当した曲とのことで、以降生まれてくる名曲の数々のことを想うと伝説の始まり。原点なのだと感じながら聴かせていただきました。ディープ・パープル・メドレー合同演奏ということで、奏鳩会のメンバーと現役生の三年生がステージに集合しての演奏となりました。この大人数だとさすがに全員座ることができず、後列のパートの皆さんは立ちでの演奏となりましたが、見た目の迫力もさることながら、演奏についてもあんずホールの壁を突き破るのではないか?と思える程の大迫力で恐れ入った次第です。エルクンバンチェロ屋代高校の18番とも言うべき曲ですが、控えていた生徒さんたちも合流して、おそらく楽器を持っている全てのメンバーがステージに集ったと思われる超大編成での演奏となりました。そして奏鳩会コンサートという吹奏楽の祭典の締めくくりにふさわしいど迫力のグランドフィナーレになりました。まとめ奏鳩会コンサートは、コロナ禍によって2020年~2022年は行われず、2023年は関係者のみ。そして今回、5年ぶりに一般公開という形で完全復活となった訳ですが、出演メンバーを拝見すると幅広い年代の方が参加しており、屋代高校吹奏楽班の伝統が脈々と引き継がれていることを改めて感じました。
May 5, 2024
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