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「仙人掌」って何?……と思われた方も多いでしょうか?あっさり言っちゃいますと、サボテンのことです。つまり、仙人サマの掌はトゲトゲだということでしょうか。とても仲良くなれそうにありません。逆になかよくなってみたいのが、石のサボテン、カクタス・クォーツです。ご存じのようにカクタスとは、サボテン(多肉植物)のこと。つまり、サボテン水晶というわけです。にょきにょきというより、にょろにょろ……とでも形容したい、ユニークな水晶です。この水晶も希産とまでは言いませんが、比較的珍しい部類にはいると思われます。なのに、妙に選り好みしてしまって、なかなか手元に迎えられずにいましたが、「時に「サボテンぽくない」などと、石には関係ないようなわがままな条件をくぐり抜けて我が家にやってきたのがこの石。ちょうと掌サイズのほどよいボリュームと、ほどよくサボテンっぽい形、先端の錐面と柱面のドゥルージーのバランスもなかなかよろしいんじゃないかと自画自賛(笑)もっと色が濃いものもありますが、私はほんのり先端アメシストな、こういう色合いの方が好きですし、柱面の小結晶もこれくらい小さい方が好きです。一部黄色っぽく見えていて、この部分を「シトリン」だとする説明もみかけますが、これは褐鉄鉱かなにかの成分によって結晶の表面がコーティングされているもので、鉄イオンによるシトリンというのはちょっと正しくないと思います。また、コーティングによって全体が黄色く発色しているものを「サンシャイン・クォーツ」と呼ぶ場合もあるようです。水晶のことについて自分なりにいろいろ調べてきた今、このカクタス水晶については、「一種のキャンドル・クォーツ」であろうと考えています。以前にご紹介したように、キャンドル・クォ-ツは、水腫小野原料となる成分がたくさん含まれた熱水の中で成長したために、ひとつの大きな結晶が成長するのではなく、あっちこっちで結晶が成長し、ひとつになったもので、専門的には「骸晶」に分類されるようです。では、なぜ先端が大きな錐面になるのかというと、これは結晶が成長していくにしたがって、熱水中の水晶の原料成分が少なくなり、大きな結晶を形成する程度になったためと考えられます。下部が小さな結晶の集合体で、先端が大きな錐面という特徴は、カクタス水晶にもそのまま当てはまります。アメシストの結晶は柱面が発達しにくい場合がありますが、(例:ブラジルのアメシストのクラスターなど)柱面の発達していない結晶が集まると、キャンドル・クォーツ状になるかわりに、カクタス・クォーツのようになるのだと思うのです。アメシストで、柱面が発達しない傾向があるのは何故か。ローズクォーツで結晶が少ないのは何故か。……私は、不純物である鉄イオンやチタンなどのせいで、結晶する温度に変化が出ているのではないか……という気がしています。水晶には、870℃から573℃の間で結晶したと言われる高温型水晶と、573℃よりも低温で結晶したと言われる低温型水晶があります。高温型水晶は、いわゆる「ソロバン型水晶」、低温型水晶はよく見かける六角柱の形です。(ただし、高温型水晶も温度が変わると低温型に変化してしまい、厳密には「形だけ高温型の低温型水晶」になるそうです)870度よりも高温だと、また別の鉱物になってしまいますし、低い温度では大きな結晶にはならず、微少な結晶の集合体……カルセドニーになってしまいます。しかし、水晶として結晶する温度には幅があります。ですから、透明な水晶と、鉄イオンやアルミニウムイオンが混ざり込んだ場合、あるいはローズクォーツのように微細なチタンが混ざった場合では、結晶する温度……結晶できる温度が微妙に異なり、それが結晶の形に影響を及ぼしているのではないか……と考えるのは、おかしいでしょうか?
2005/07/07
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美しい色合いで人気のアメシスト。おなじみと言えば世界最大のアメシストの産地ブラジル、濃い色合いが美しいウルグアイ。ちょっと変わったところでは「世界一美しい」と言われるベラクルス。あ、ちょっと補足しますと、ベラクルス産のアメシストは、淡い色合いのものを見かけますが、「世界一美しい」といわれているものはもっと濃い色合いのものらしいです。写真で見ただけですが、長柱状で先端に行くに従って色が濃くなるタイプで、その色合いは濃くもなく淡くもない絶妙のバランスの輝くような紫でした。そんなすばらしいベラクルス産には滅多に出会えませんが、最近、その美しさでベラクルス産と肩を並べているのではないかと勝手に思っているのがナミビアのブランドバーグ産です。こちらのアメシストは、エッジもきれいで透明感は抜群。クリアな中にスモーキーとアメシストが混ざり合って、時にファントムのようになっていて、水入りのものも多いです。もちろんあこがれの石ですが、やはりというか何というか……高嶺の花。でも、ブランドバーグ産にも変わり種があるようです。ブランドバーグ産にはエレスチャル(骸晶)タイプの結晶も見られ、セプタータイプもあります。これは……強いて言うなら「逆セプター」。別名松茸水晶と言われるセプター水晶とは逆に、だんだん細くなっています。おまけに、なにやらヨレヨレとふらついていたりもします。全長4センチくらいの小さな石ですが、一番大きな結晶も小さな結晶もそろって逆セプター。先端がほんのりアメシストで、カワイイです。私が変な水晶好きと知っている方からの頂き物。ありがとうございます~!
2005/07/06
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謎の小惑星X……ではなくて、アラゴナイトです。全然似ていませんが、日本名では霰石。なんと、カルサイトの親戚みたいな石なのです。専門的には成分は同じで、結晶のしかたが違う鉱物を同質異像といいますが、カルサイトとアラゴナイトは、この同質異像の関係になります。この二つの石に共通する成分は炭酸カルシウム(CaCO3)。これは石灰岩や大理石の主な成分でもあります。石ばかりではありません。サンゴや貝殻の成分も炭酸カルシウム……ということは、カルサイトやアラゴナイトが成分であるということです。調べてみたら、貝殻などはカルサイトが多く、真珠やサンゴの骨格はアラゴナイトが多いのだそうです。偶然かもしれませんが、上のアラゴナイトもこちら↓のアラゴナイトも、どこかサンゴっぽい感じがしませんか?アラゴナイトは、サンゴのような形に結晶することがあることから、「山珊瑚」とも呼ばれます。では、貝のようであって貝ではないオウムガイやアンモナイトはどうなのかというと、アンモナイトの場合はアラゴナイトだけを使って殻をつくり、オウムガイはアラゴナイトとカルサイトの両方をつかって殻をつくっているのだそうです。ただし、アラゴナイトとカルサイトを比べると、カルサイトの方が安定した鉱物なので、しだいにカルサイトに変わっていく傾向があるのだとか。どちらもさまざまな形の結晶をつくる美しい石なのですが、モース硬度が3程度と柔らかいため、なかなか手が出ない石でもあります。
2005/06/20
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関東地方が梅雨入りしました。週間天気予報を見ても、傘マークだらけ。太陽光で撮影している私にとっては、ちょっと困った季節がやってきました。……というわけで、新宿戦利品はちょっとお休み。変わりに登場いたしますのは、2004年末の池袋ショーでやってきたマラウィ産のスモーキー。あれ、前にも登場してなかったっけか、と思われたあなた、たいへん記憶力がよろしい! うらやましい!そうです。マラウィのスモーキーは、過去に2つ、登場しています。一つ目はこちら、二つ目はこちらです。マラウィという国については、2つ目のところでくわしく述べているので、ここでは省きます。一つ目のマラウィは、ファセット(錐面)が5つしかない変わり種、二つ目は、スモーキーの上を透明な水晶が覆った、色合いの美しいもの。そしてこの三つ目は、マラウィの特産であるエジリンを肩に担いだ水晶です。ご覧の通り、斜めに白濁した筋……というか亀裂が走っているので、他の2つのような透明感は望めません。2004年末~2005年はじめごろにかけて、マラウィ産のスモーキーを見る機会が何度かあったのですが、どちらかというと、こういう亀裂が走っていたり、内包物があったりで、さほど透明感がないものも多かったように思います。ファセット5面の水晶は、かなりねじれが入っていると言われたのですが、この亀裂を見るに、今回のスモーキーも、成長の途中でかなりの力を受けたのではないでしょうか。そもそもマラウィは今も大地が引き裂かれている現場……アフリカ南部の大地溝帯にある国ですから、この石の傷も、地球の蠢きによるものかも……と想像はふくらみます。そしてやはり、この石にも変わったところがひとつ。根本です。この石はDTではなく、根本はポイントを形成していません。セルフヒールドでもありません。では、一般に見るように折れている状態なのか……?それも違います。どっちかというと……溶けてます。写真の右側を見て下さい。なかなか写しにくくて困るのですが、妙になめらかなのがおわかりいただけるでしょうか。でこぼこしているので、研磨したのではないことは確かです。ちょうど、折れた断面を火であぶって軽く溶けてなめらかになった……という、そんな感じ。火であぶったくらいで水晶が溶けるわけがありませんが、指でさわっても、つるつるなめらかなのです。さすが、マラウィ。一見地味でも、ちゃんと不思議を抱えています
2005/06/11
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昨夜、書き込んでいたら、操作ミスで約半分が消えてしまったので、記憶をたどりたどり、消えた分を追加しました。(4月6日)三大ヒーリング・ストーンなるものがあるのだそうです。一体誰が3つを選ぶのかは知りませんが、その3つはラリマー・チャロアイト・スギライトなのだと聞きました。おお……どれも輝くお値段の持ち主ではありませんか。そして、申し合わせたように結晶の形を持たない石ばかり。出回っているのはタンブルや宝飾用に磨かれたもの、あるいは、ぶっかき氷風「原石」かその一面磨きです。なので、「透明感あり/結晶」系原石派である私には、ちょっぴり遠めの石たちです。持ってはいるのですが、数の上では少数派。今日の石にいたってはたったの二つしか持っていません。そのうちひとつはタンブルとも言い難いチップなので、「ひとつ+α」という感じ。三大ヒーリングストーンのひとつ、ラリマーはすでに登場しました。今日はその2番手……スギライトです。スギライトと言えば紫の石ですが、その紫色にもさまざまあり、ほとんど黒のものから深い紫、ピンクがかった鮮やかな紫、青い部分が混ざったものも見られます。スギライトの紫はアルミニウムや鉄の割合で色が変化するほか、カルセドニーやリクトライトが混じっているものもあるそうです。写真のスギライトは直径2.5センチ。青みが混じったスギライトも鮮やかで美しいと思うのですが、スギライトと言えばこの深い紫かなあ……と、深い紫色の部分が多いものを選んでみました。そうそう、この青い部分は「リクトライト」と紹介されていることが多いですが、正式には「リヒテライト(リヒター閃石)」といいます。リクトライトは宝石業界名なので、鉱物的に調べるならば「リヒテライト(リヒター閃石)」でどうぞ。スギライトは和名を「杉石」といいます。そうです。スギライトは日本人が発見した石なのです。現在、私たちが目にするスギライトは、ほとんどが南アフリカ産ですが、日本人がはるばる出かけていって発見したのではありません。スギライトが最初に発見されたのは、愛媛県。1942年、九州大学の杉健一氏と久綱正典氏によって、当時の越智郡岩城村で見つかりました。そのときはユーディアライトのような鉱物と思われていましたが、約30年後に村上允英氏が分析、調査した結果新たな鉱物とわかり、1977年に発見者杉健一氏にちなんで「杉石」と名付けられたそうです。日本で発見された後にインドや南アフリカでピンクや紫色のスギライトが発見されていくわけですが、村上氏の調査・研究によって新種とわかりIMA(国際鉱物学連合)に申請されたのが1976年。南アフリカで美しい紫色の石として発見されたのが1975年なので、「スギライト」の名前は、ちょっときわどいタイミングで成立したわけです。まあ、名前がどうであれ、美しい石であることに違いはない……と思われるかもしれませんが、この場合はどうでしょうか。スギライトについて調べていて一番驚いたのは、スギライトは、紫色の石ではないということです。私たちが普段目にする南アフリカ産のスギライトは、マンガンを含んでいるために紫色をしていますが、純粋な杉石はウグイス色(黄緑色)なのです。つまり、紫色のスギライトの方が変種というわけで、スギライトはまさにスギ色。……名は体を表す?(おまけ)スギライトは「スージーライト」とか「スージャライト」などと呼ばれていわゆるインディアンジュエリーに用いられていることがあります。スギライトのアクセサリーと言えば、ブレスレットとかシンプルなペンダントヘッドを見かけますが、インディアンジュエリーのジャンルで根気よく探すとちょっと変わったデザインのものが見つかるかも。
2005/04/05
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耳にタコかもしれませんが、私はヒマラヤとロシアの水晶が好きです。「最終的には石そのものの魅力が決め手!」……と言ってはみても、ロシレムと聞けばそわそわ(……のわりにひとつも持っていない)、ちゃんと持っていてもヒマラヤと聞けばわくわく。石の「ブランド」に負けてるんじゃない?……といわれてもイマイチ否定しかねます。そんな私が完全に肩書きにしてやられてしまった石があります。もしかしたらWEBサイトや池袋ショーでご覧になった方や、兄弟石をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。エジプト、シナイ山の水晶です。シナイ山は紅海に突き出たシナイ半島にあり、モーセが十戒を授かった場所として有名です。「ホレブ」、「神の山」、「山」などいくつもの名前で呼ばれてきたシナイ山は、今では4世紀以来のキリスト教の伝承によってジェベル・ムサ(標高2285m)であるとされています。……というのも、遊牧民によって聖なる山とされている別の山や、聖書の記述からシナイ山が火山ではなかったかとされることから、アラビア半島北部のハラ・エル・ベドルという休火山ではないかとする説や、岩に文字のあとが残っているネゲブ南部のハル・カルコムがシナイ山ではないかとする説など、実は諸説ある山なのです。この水晶はシナイ山産としか聞いていませんが、おそらくジェベル・ムサ産ということになるのでしょう。実は、このスモーキーは2回に分けて入荷し、1回目に買い損ね、悩みつつも2回目の入荷で無事入手した石です。1回目入荷の石は、表面にヘマタイトかと思われる皮膜が石の表面をまるでモザイクのように覆っている、ワイルドな石でしたが、2回目入荷のこの石は、うってかわって半透明の透け具合が、穏やかな雰囲気を感じさせます。お店の人が「ちょっと変わった透け方をするんですよ」とおっしゃっていましたが、どうやらそれは、石の中ほどにほぐれた綿の繊維のような、靄のようなインクルージョンが入っているからのようです。ネットであれこれ探していたら、フリーで使えるシナイ山の画像があったので貼り付けてみます。日本の「山」イメージとはかけ離れた感じですね……。石だけを見ているとふんわり穏やかな雰囲気ですが、その産地を見る限り、第1弾のワイルドな石の方が、この場所にふさわしいように思えてきます。もしかして、キリスト教徒でもないのに、「モーゼの十戒の地の石だって!」という興味だけで買ってしまって、実は石に対してとても失礼なことをしてしまったのかもしれません。いや、それよりもこの聖地で水晶を探し出して掘り出したというのもすごいかも……。
2005/02/23
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薔薇にもいろいろな名前、色があります。「ブラック・ティー」という茶色(茶色っぽい赤)の薔薇。「ブルー・ムーン」という紫色の薔薇。ビロードのような深い深紅の「黒真珠」。白にピンクの縁取りがお菓子みたいな「ニコル」。ショッキングピンク! な「マリア・カラス」……しかし、薔薇色と言えば華やかで深みのあるピンク色。個人的なイメージでは先日のアフガン・ローズの色がまさに薔薇色! なのです。石にもピンク色をしているために「ローズ」の名前を持つ石がいくつかあります。有名な(?)ところではローズ・クォーツ、ロードナイト、ロードクロサイトなどでしょう。まだいろいろありますが、私自身実物を見たことがないので、ボロを出さないように控えておきます(笑)。上に上げた3種類の石の中で、一番薔薇色な石に会える確率が高いのはロードクロサイトではないでしょうか。ロードクロサイトにもいろいろありますが、ビーズなどで見かける色が濃くて透明感のあるこの石の色は、心躍る薔薇色です。しかし……薔薇色の石の結晶というのは、総じてお高いのは何故でしょう?ローズ・クォーツの結晶はご存じの通り稀少で高い。ロードナイトはよくみかけるのは不透明なピンクで、透明感のある結晶はこれまたあまり見かけません。……そして、ロードクロサイトの結晶も……。ピンキリといえばそうなのですが、きれいなものはやはり高い。でも結晶が欲しい~! と探していた私は、2004年5月の新宿ショーで見つけました。「本日のセール品」のコーナーにあったのです。……ラベルは確かにロードクロサイトなんですけどぉ……。「これ、ロードクロサイトですよね?」と、思わずお店の人に念を押してしまいました。ガボン産のロードクロサイトです。まるでカルサイトのような犬牙状の結晶の形。(実際の大きさは2ミリほどで、根性でマクロ撮影しました)そのうえ色はローズというより「ヅケのマグロ色」……。確かにピンクというより深紅の結晶を見たことがあるのですが、これは深紅というよりは茶色がかっていて「ヅケのマグロ色」。けなしているようですが、実は「こちらの方が珍しいかも~♪」ということでうちにやってきました。これが私の初・ロードクロサイト結晶です。それにしても「ロードクロサイト」に対して和名は「菱マンガン鉱」。「蛍石」や「銀星石」「藍晶石」「空晶石」「天青石」など美しい和名はたくさんあるのに、薔薇色のこの美しい鉱物に対してなんと色気のない名前を付けるんでしょうか!?
2005/01/09
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2004年の新宿ショーのうれしい驚きはアフガン・ローズでした。最終日に手に入れられるとは! とホクホクしましたが、ショーの最後、つまりは2004年最後の石はアフガンローズではありませんでした。2004年最後の石は、この石です。実は、初日に同じ産地で同じくらいの大きさのスモーキーを買ってしまっていたのですが……。長さ約8センチ、色はご覧の通りのコーヒー色。ちょっとブラウンがかったような色合いです。濃い割に透明感が高いところも好印象。最後も最後、4時に会場が閉まる15分くらい前に、「正直ちょっときついんだけど」と言われながらおまけしてもらいました。なぜ、そんなにまでしてこの石を買ったのか。決め手は数です。これを買えばキリがいい数! なんてのじゃありませんよ。右下の写真に注目して、ファセット(錐面)の数を数えてみて下さい。右側に光を反射してちょっと白っぽく見えている2つの菱形の面は錐面ではありませんよ。1、2、3、4、5……そう、この水晶は水面が5つしかない変わり種なのです。普通の水晶は柱面が6つの6角形で、錐面も6つ。ところがこの石は、面がひとつどこかに消えてしまっているのです。時々、錐面がとても小さく細くなっていて、よーく見ないとわかりにくいものがありますが、この石はよーく見てもわかりません。お店の人も気が付いていませんでした。マラウィの水晶は、一見まっ黒で光に透かすとインク・ブルーというすてきな石を見せていただいて以来気になっていたのです。さすがにインク・ブルーの石はありませんでしたが、マラウィのスモーキーがこんなにきれいだとはちょっと驚き。それに加えて5面の変わり水晶と来れば、私にとってはちょっとした掘り出し物です。しかも、ちょっぴり逆三角形もくっついていたりして(右上)。水面に浮き出た三角形をレコードキーパー、くぼんだ(凹凸両方あるという説もあり)逆三角形をトライゴーニックというのだそうですが、池袋の会場で6面全部に逆三角形がこれでもかと言うほど連打された石を見せてもらったので、それとくらべると逆三角形の具合も違うので、これはトライゴーニックと呼ばれるものではなさそうです。で、買ったあとにふと気が付いたら、2003年の池袋ショーでも最後の最後にこの店に飛び込んで、おまけしていただいてました……。すみません……。2005年こそは、もっと早く来ます。
2005/01/05
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青い石第3弾です!ご存じのように、私は原石派。結晶の形にはどきどきします。まあ、大きさは手のひらに乗るほどであればいいので、何が何でも大きな石!……ということはありません。とはいえ、あまりにも小さいとなくしそうだし、色も本来の色が出ないし、それなりの大きさは欲しいもの。ところが……今日の石に限っては小さい方の結晶に軍配を上げます!なぜなら……この「青」に出会うためには、結晶が小さくないと光を透さないんです……。アズライトというと不透明なものを見かけるのですが、結晶も産出します。モロッコ産にはきれいな結晶があるようです。あと、アメリカ産でもマラカイトと共生して、部分的に結晶しているものを持っています。不透明なアズライトは、見るからに「青」なのですが、結晶はパッと見には「黒」。よーく見るとそれが濃い青であることがわかります。それを光に透かすと、このような美しい青が現れるんです。この青ばかりは、太陽光では無理。撮影は電池を交換したての一番光の強いペンライトを、石のすぐ近くに置いて行いました。太陽光であれば、下に白い紙を引いて、ごく小さい結晶にルーペで大接近すれば何とか……。思わず肩に力が入り、勢い余って息まで止めてしまうような撮影ですが、この青が写せれば苦労のし甲斐があります。昨日分のアパタイトがどこからともなくやってきた青ならば、これは探し求めて得た青。海の中が青いのは、青い光が光の中で最も深くまで届く光だからだそうですが、もしかしたら心の一番奥まで届く光でもあるのかもしれません。なぜなら、命が生まれ、こうして私たちが生きている地球も「青い星」なのですから。
2004/11/18
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そうそうさぼってもいられまい……(さぼるとくせになりそうなので)と、今日はやります石雑記。ここのところ雨続きで石の写真もままならず、ちょっと曇り空が恨めしくなっています。そうでなくとも、このくらいの季節になるとちょうどいい太陽光を得るのが難しくなってきます。窓の向きの関係で、いつも写真を撮っている場所に光が射し込み出すのがお昼前。そして2時ごろになると確実に太陽光が黄色くなり、撮った写真は色補正が必要になってしまいます。また、太陽の高度も低くなってきたため、直射日光が射し込むと明暗の差がきつすぎて写せなくなります。レフ板なんてのを使うといいのですが、レフ板を任意の角度で固定するすべがないので使えません。レフ板というのは、カメラマンが使う白い板です。逆光ぎみに撮るときは、この板に光を反射させて影の部分に光を補います。会社時代、カメラマンの撮影にくっついていったときは、レフ板の運び当番でした。白い服を着ていったら、背中をレフ板がわりにされたこともあります(笑)段ボールか何かに一度しわをつけて伸ばしたアルミホイルを貼り付けたものでも代用できるそうです。今度、ガスレンジの油はねよけを床に敷いて試してみよう……。透明感のある石であれば、影に光を補うことは考えなくてもいいのですが、先日のマダガスカルの石のような大きい石や不透明な石では、影の部分が写らないので工夫が必要なのです。さて、前置きが長くなってしまいました。レフ板の話から入ってしまったので、今日は大きい石だろう……と思われた方、すみません、まったく逆の小さい石です。長さはたったの2cm、産地はアフリカ南部のナミビア。美しいアメシストで知られるブランドバーグ産の石です。ナミビアは、アフリカ大陸の南端からやや西に回り込んだところにある国です。そのなかでもブランドバーグは、内陸のボツワナに近いあたりにあります。地質学上は、アフリカ大陸の中では比較的新しい時代の水晶といわれているそうですが、確かにアフリカ地域の水晶に比べて透明度が高く、エッジの状態も良いものが多いようです。中でもアメシストは、長柱状で、クリアの中にアメシストやスモーキーがファントムのように入り、内部に多く見られる空洞に光が反射してきらめき、他の産地にはない美しさを醸し出しています。きれいな石も好きな私は、「いつかきっとブランドバーグ」とねらっていたのですが、きらめきのブランドバーグではなくこんなのを買ってしまいました。「クローライト入り先っちょだけアメシスト」です。ありそうで案外ないんですよ、この組み合わせ。前に紹介したように、水晶は地中のできた空洞の中にできます。これを晶洞といい、一番わかりやすいのがアメシストのカペラです。この晶洞を「ガマ」ということがあるのですが、このクローライト&アメシストは、小さなガマの、さらにその一部からしか採れなかったそうです。ほかの石も見せていただいたのですが、クローライトが入っていなくて、先端だけがアメシストでした。先端だけアメシストというとよく知られているのがセプター形……または松茸水晶といわれるものですが、これはそうではなく、全くの一体型です。しかも結晶の角の部分が濃くなっています。骸晶と同じメカニズムで、角の部分の方が結晶しやすかったのでしょう。おそらく、ある程度結晶が成長した段階で熱水の成分が変わり、アメシストになったのだと思います。この石については「こんなのが出ているよ」と知り合いの方に教えていただいてあわててかけつけることができました。(ありがとうございます!)やはり、情報は大切です!ナミビアのアメシストは、比較的小ぶりなものがほとんどで、このクローライト入りも最大の結晶でも5cmほどでしたが、大きい結晶ではクローライトの色も鮮やかで、水晶とは思えないような色合いでした。でも、とてもとてもそんなすばらしいのは買えないので財布と相談した結果が写真の石です。本当にちっちゃな石なのですが、クローライトはファントムですし、紫色もきれい。加えてきれいに写真に写ってくれるとなれば、言うことなしです。
2004/10/12
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今日は、暑いことは暑かったですが、昨日に比べれば、湿度も低く過ごしやすい天気でした。なので、今日も石を持ち出し、カメラを構えて日がな一日石とにらめっこをしていたのですが……日焼け止めを塗ったのに、腕がひりひりします!日光アレルギーだったりするので、あとで湿疹ができちゃうかなあ…………。窓辺で石を撮影するとなると、私はほとんどの石を持ち出します。石好きの割に部屋に飾ると言うことがなくて、石はもっぱら箱の中。それをえんやこらさと運び出すのです。今日は石を撮るぞと気合いを入れる日には、全部の石を並べちゃったりするので「おや、こんな石もあったっけ」ということは意外に少ないのですが、「壊れ物注意」につき、厳重保管の石は「おお、久しぶりだねえ……」なんてこともあります。今日は、そんなお久しぶりの石をご紹介します。 お店で聞いたところによると、ローマ時代、ローマ人が採掘していた銅鉱山の坑道の壁面にあった水晶だそうです。それを裏付けるかのように、アズライトと、裏側にほんのちょっぴりマラカイトがくっついています。複雑な形といい、マラカイトのくっつき具合といい、なんとも危なっかしい石なので、普段は柔らかい紙でぐるぐる巻きにして箱の中。そうそう気軽にいじり回せません。見た目はこんなにごついんですけどねえ……。写真は、右が全体像、のこりが部分の拡大になります。水晶そのものは白いのですが、根本の方に酸化鉄や赤土のようなものが付着し、そのうえに鮮やかなアズライトが乗っています。そして私のカメラではこの酸化鉄系赤が鮮やかめに出る傾向があってなんだかとってもおハデな写真に……。実物は、もうちょっと上品です。しかし、形は上品というよりワイルドでしょう。小さな結晶がよりあつまって複雑な形を作るこのクラスターは、ある人は「箱庭」のようだといい、私は最初「島」だと思いました。そして、写真を撮ったあとの私の感想は……「白龍だ!」赤い大地の中から、身を躍らせる白い龍!見れば見るほど、そんな躍動感を感じるのです。さて、この水晶のふるさと、モロッコはと言えば、マダガスカルに次いでひそかにその数を増やしている産地。水晶よりもフローライト、アズライトが多いでしょうか。「密かに数を増やす」という共通点を持つマダガスカルとモロッコ。石の視点で見ていくと、なにか共通点があるのでしょうか?では、まず、モロッコのアウトラインをまとめてみます。モロッコは、ご存じ、北アフリカ大陸に位置する国。(……と書いてはいますが、実は、とっさに出てこなかったりします)北アフリカは、アラビア語で「太陽が沈む場所」を意味する「マグレブ」と呼ばれているそうですが、モロッコは、そのマグレブの中でも最も西、イスラム圏の西の端にある王国です。面積は日本の約1.9倍。緯度は九州と同じくらい。アフリカ最古の石器が発見されるなど、古くから人の痕跡が残されている地でもあり、紀元前4世紀ごろから、ローマ人が沿岸に小さな街を作り始め、紀元前25年頃にはローマ帝国に支配されるようになります。7世紀ごろには東から勢力を伸ばしてきたアラブ人によって、国すべてがイスラム化してしまうようになります。その後、イスラム王朝やベルベル王朝が興亡を繰り返し、17世紀に現王朝であるアラウィー朝の基礎が築かれますが、20世紀にはフランスの植民地となり、1956年に独立、現在のような王国となったのです。このように、人類がこの地に残した歴史だけでも古く、複雑なものですが、この大地の歴史はどうかと言えば、マダガスカルのように大陸から分裂したわけでも、インドのように別の大陸がくっついたわけでもないようです。しかし、何となく「サハラ砂漠の国」というイメージがあるモロッコには、総延長2400kmに及ぶアトラス山脈という山脈があります。(最高峰はツブカル山・4167m)この山脈はアルプス山脈につながるものであると言われ、今から6000万年前のアルプス・ヒマラヤ造山運動によって、誕生したのです。いろいろなサイトを見ていくと、このアトラス山脈からは、アンモナイトの化石や水晶が採れるそうです。(モロッコ産のアメシスト、見てみたい!)……ということは、モロッコの水晶は、ヒマラヤ山脈、アルプス山脈と同じ、いわゆる「スーパーコールドプルーム由来の水晶と言うことになるのでしょうか。でも、この形状といい、土っぽい雰囲気といい、どちらかというと、南アフリカやマダガスカルに似た雰囲気です。やはり、スーパーコールドプルーム由来だの、スーパーホットプルーム由来だのという分け方は無理か……と、ため息をつきつつなおも調べていくと、ひとすじの光明が!マダガスカルが誕生したのと同じパンゲア大陸分裂の時、当時くっついていたアフリカと北アメリカの間に小規模ではありますが、スパーホットプルームが上昇したことを示す図を見つけたのです。正確には、北アフリカのモロッコの部分と言うよりは、海なのですが……。アトラス山脈がかつて海底だったことを考えると希望は持てそうです。アトラス山脈の成り立ちを見るなら、この水晶はスーパー・コールドプルーム系です。しかし、私はあえてこの石はスーパー・ホットプルーム系の石だと思いたい!パンゲア大陸分裂の時の地殻変動によって誕生し、のちにアトラス山脈形成に飲み込まれたのだと思うのです。水晶のまわりに鉄分や銅由来のアズライトが付着しているのは、水晶が含まれた地層がアルプス造山運動の地殻変動に巻き込まれ、新たなマグマが上昇してきてそこに鉄やの鉱脈を形成したためだ……。この考えはあまりにも無理があるでしょうか?
2004/09/01
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「きれいな石は好きですか?」……と聞かれたら、どうしますか?「はい」と即答したいところですが、私の場合、まずは、「きれいなの も 好きですが……」とお茶を濁しておきましょうか。実際、集めた石を思い浮かべてみるに、素直に「きれい」と言い難い石も、けっこう多いのです。では、なぜ素直にきれいと言えない石を好きこのんで買うのかというと、きれい、と即答できない部分が美しいと思ったからです。「きれい」と「美しい」をそれぞれ辞書で引いてみると、どちらも似通った意味なのですが、「きれい」には「清潔」とか「整っている」という意味が含まれます。でも、私は石の整っていない部分や土っぽくて汚れて見える部分も美しいと思うのです。茶道で使うお茶道具には、土っぽくてゆがんでいたり、中には欠けたところがあるものが「名品」とされていることがあります。整った形にわざと手を加えてそれを乱したものや、陶器を最後に焼くときに炎の中で思わぬゆがみや山割れを生じた物の美しさを「破調の美」(はちょうのび)と言うのだそうですが、それに近いかもしれません。……とこんなことを言うと、なんだか高尚な趣味だと思われるかもしれませんが、そもそもは珍しくて変わった石が好きで、そういう石は往々にして「きれい」とは言いがたいものが多いというのが始まりです。そんな石が「美しい」と言えるようになったのは、清潔で整った「きれい」とは対極にあるようなこの石の写真からでした。写真にも入れてありますが、南アフリカはメッシーナ鉱山産のアホーアイト(アホーイト)入り水晶です。真ん中の画像の一番右に写っている小さなポイントにほんのりアホーアイトが入っているだけなので、「アホーアイト入り水晶」と言うよりも「おまけ程度にアホーアイトが見られるメッシーナ産水晶」と言った方が正しいかもしれません。アホーアイトは、銅を含有した珪酸塩鉱物で、銅鉱床から発見されます。日本語ではちょっとインパクトのあるその名前は、産地であるアメリカのアリゾナ州のネイティブアメリカンの部族の名前にちなんで命名されたということですが、アホーアイト入りの水晶は、メッシーナ鉱山でしか採掘されないそうです。しかも、メッシーナ鉱山は1992年に閉鎖され、なかなかお目にかかることができません。あってもお値段が……!しかしこの石は、アホーアイトのほんのりさが幸いして、格安で入手できました。(ダルネゴルスクの緑水晶と一緒に買っておまけしてもらったのは、この石です)あ、話がずれました。メッシーナ産の水晶は、もちろん、アホーアイトの入っていないものもあります。たいていは乳白色でやや半透明~不透明なものが多く、緑泥石(クローライト)、A赤鉄鉱(ヘマタイト)、褐鉄鉱(リモナイト)パパゴ石(パパゴアイト)等のインクルージョンが見られます。(青緑のアホーアイトに対してパパゴアイトは青。これも大変珍しいものです)形も変わっている物が多いようです。……しかし、写真でもわかるように、「きれい」というよりも、なんだかいろいろなものがたくさんへばりついた「ワイルド」な水晶です。私も最初はこれを「美しい」とは思えなくて、「高いし、せっかく買うならもうちょっときれいなのを」なんて考えていました。写真の石も、「格安アホーアイト入り水晶」として買ってしまったのですが、写真に撮ってみて驚き!美しい!その土っぽさも、形のワイルドさも、土っぽいなかからほんのり透ける半透明さも、まるで「廃墟」や「遺跡」や「自然の山」のような風格と美しさを備えて見えました。少なくとも、私には美しく見えたのです。この美しさに気づいた後、アフリカやマダガスカル産のワイルドな水晶が増えてきたことは言うまでもありません。整った結晶は、きれいです。しかし、写真に撮るとなると意外に「撮り方」が限定されてしまいます。それよりも、写すたびに新たな発見のあるワイルドな水晶の「破調の美」に惹かれてしまう今日この頃です。※こんな石も美しいと思い始めて困ったこと その1……欲しい石が増えたこと。財布の中身は有限なのです。※こんな石も美しいと思い始めて困ったこと その2……お店に行って、スタッフの方がせっかく「これなんかキレイですよ~」と薦めて下さっているのに、「こっちの方が……」とワイルドなのを手にとって、けげんな顔をされてしまうこと。 ※こんな石も美しいと思い始めて困ったこと その3……これは申し訳ないのですが、スピリチュアル系のお店で、手に取った石を(もちろんワイルドな石)「それ、カワイイですよね~」と言っていただいたとき、どう答えていいかわからなくなること。いや、私が手に取る石は、手のひらサイズのが多いので、大きさ的には「カワイイ」かも。でも、土っぽかったり、ごつごつしてたり、まっ黒だったり……それでも「カワイイ」?できれば「カッコイイ」と言って欲しいかも。あ、「変わってますよね」でもいいかな。
2004/08/01
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