2004/09/01
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カテゴリ: アフリカ産
今日は、暑いことは暑かったですが、
昨日に比べれば、湿度も低く過ごしやすい天気でした。
なので、今日も石を持ち出し、カメラを構えて
日がな一日石とにらめっこをしていたのですが……

日焼け止めを塗ったのに、
腕がひりひりします!

日光アレルギーだったりするので、
あとで湿疹ができちゃうかなあ…………。

窓辺で石を撮影するとなると、私はほとんどの石を持ち出します。
石好きの割に部屋に飾ると言うことがなくて、石はもっぱら箱の中。
それをえんやこらさと運び出すのです。

今日は石を撮るぞと気合いを入れる日には、
全部の石を並べちゃったりするので
「おや、こんな石もあったっけ」ということは
意外に少ないのですが、
「壊れ物注意」につき、厳重保管の石は
「おお、久しぶりだねえ……」なんてこともあります。

今日は、そんなお久しぶりの石をご紹介します。



お店で聞いたところによると、
ローマ時代、ローマ人が採掘していた銅鉱山の坑道の壁面に
あった水晶だそうです。

それを裏付けるかのように、
アズライトと、裏側にほんのちょっぴりマラカイトがくっついています。
複雑な形といい、マラカイトのくっつき具合といい、
なんとも危なっかしい石なので、
普段は柔らかい紙でぐるぐる巻きにして箱の中。
そうそう気軽にいじり回せません。

見た目はこんなにごついんですけどねえ……。

写真は、右が全体像、のこりが部分の拡大になります。
水晶そのものは白いのですが、根本の方に酸化鉄や赤土のようなものが
付着し、そのうえに鮮やかなアズライトが乗っています。

そして私のカメラではこの酸化鉄系赤が鮮やかめに出る傾向があって
なんだかとってもおハデな写真に……。
実物は、もうちょっと上品です。

しかし、形は上品というよりワイルドでしょう。
小さな結晶がよりあつまって複雑な形を作るこのクラスターは、
ある人は「箱庭」のようだといい、
私は最初「島」だと思いました。

そして、写真を撮ったあとの私の感想は……

「白龍だ!」

赤い大地の中から、身を躍らせる白い龍!
見れば見るほど、そんな躍動感を感じるのです。

さて、この水晶のふるさと、モロッコはと言えば、
マダガスカルに次いでひそかにその数を増やしている産地。
水晶よりもフローライト、アズライトが多いでしょうか。

「密かに数を増やす」という共通点を持つ
マダガスカルとモロッコ。
石の視点で見ていくと、なにか共通点があるのでしょうか?

では、まず、モロッコのアウトラインをまとめてみます。
モロッコは、ご存じ、北アフリカ大陸に位置する国。
(……と書いてはいますが、実は、とっさに出てこなかったりします)
北アフリカは、アラビア語で「太陽が沈む場所」を意味する
「マグレブ」と呼ばれているそうですが、
モロッコは、そのマグレブの中でも最も西、イスラム圏の西の端にある王国です。
面積は日本の約1.9倍。緯度は九州と同じくらい。

アフリカ最古の石器が発見されるなど、古くから人の痕跡が残されている地でもあり、
紀元前4世紀ごろから、ローマ人が沿岸に小さな街を作り始め、
紀元前25年頃にはローマ帝国に支配されるようになります。
7世紀ごろには東から勢力を伸ばしてきたアラブ人によって、
国すべてがイスラム化してしまうようになります。
その後、イスラム王朝やベルベル王朝が興亡を繰り返し、
17世紀に現王朝であるアラウィー朝の基礎が築かれますが、
20世紀にはフランスの植民地となり、1956年に独立、
現在のような王国となったのです。

このように、人類がこの地に残した歴史だけでも古く、複雑なものですが、
この大地の歴史はどうかと言えば、
マダガスカルのように大陸から分裂したわけでも、
インドのように別の大陸がくっついたわけでもないようです。

しかし、何となく「サハラ砂漠の国」というイメージがあるモロッコには、
総延長2400kmに及ぶアトラス山脈という山脈があります。
(最高峰はツブカル山・4167m)
この山脈はアルプス山脈につながるものであると言われ、
今から6000万年前のアルプス・ヒマラヤ造山運動によって、
誕生したのです。

いろいろなサイトを見ていくと、
このアトラス山脈からは、アンモナイトの化石や水晶が採れるそうです。
(モロッコ産のアメシスト、見てみたい!)

……ということは、
モロッコの水晶は、ヒマラヤ山脈、アルプス山脈と同じ、
いわゆる「スーパーコールドプルーム由来の水晶と言うことになるのでしょうか。

でも、この形状といい、土っぽい雰囲気といい、
どちらかというと、南アフリカやマダガスカルに似た雰囲気です。

やはり、スーパーコールドプルーム由来だの、
スーパーホットプルーム由来だのという分け方は無理か……と、
ため息をつきつつなおも調べていくと、
ひとすじの光明が!

マダガスカルが誕生したのと同じパンゲア大陸分裂の時、
当時くっついていたアフリカと北アメリカの間に
小規模ではありますが、スパーホットプルームが上昇したことを示す図を見つけたのです。
正確には、北アフリカのモロッコの部分と言うよりは、
海なのですが……。
アトラス山脈がかつて海底だったことを考えると希望は持てそうです。



アトラス山脈の成り立ちを見るなら、
この水晶はスーパー・コールドプルーム系です。

しかし、私はあえてこの石はスーパー・ホットプルーム系の石だと思いたい!
パンゲア大陸分裂の時の地殻変動によって誕生し、
のちにアトラス山脈形成に飲み込まれたのだと思うのです。

水晶のまわりに鉄分や銅由来のアズライトが付着しているのは、
水晶が含まれた地層がアルプス造山運動の地殻変動に巻き込まれ、
新たなマグマが上昇してきてそこに鉄やの鉱脈を形成したためだ……。
この考えはあまりにも無理があるでしょうか?








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Last updated  2004/09/01 06:09:09 PM
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フォレスト@ Re:”メタ”からアゼツを考える。(09/28) アゼツライトは水晶にもならないただの石…
スターブラリー@ Re:名前を使う、意味を使う(10/08) この写真に掲載されている水晶は、販売予…
spiranthes@ Re:Vサイン!(11/15) 55度24分のベローダ(Belowda)式双晶かもし…
販売者@ Re:分りやすいです。(09/30) スーパーセブンが、過去くず石だったとい…
通さん@ Re[4]:深紅であるはずの石(12/10) わ!わ!こちらにお返事をありがとうござ…

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